月光花

文 / 露埼 紗羽さま   イラスト / 亜綿








そばにいるだけで
充たされてはいるけれど
やっぱり触れていたい


君が大好きだよ


繋いだ手のぬくもりは
君のすべてを伝えてくれる















「どうしたの、ランディさま?」


視線を感じたアンジェリークが、
翠緑を湛えた瞳をランディに向ける。


「どうもしないよ?」

「だって、さっきからずっと・・・」

「見つめていたらいけない?」

「いけなくはないけど・・・何だか恥ずかしい・・・」


受け止める瞳は空色の青。
桜色に頬を染めたアンジェリークは、
ランディの優しい笑顔に包み込まれた。


「俺のアンジェなんだよなって」

「やだな。当たり前じゃない。でも、どうして?」

「確かめずにはいられないよ」

「こうして2人でいても?」

「そう。2人でいても」


アンジェリークは向きを変えると、
ランディの腕の中に甘えるように身体を滑らせた。
裸の胸に頬を寄せながら、ランディを見上げる。


「私ね、自分がランディさまで出来てるのかなって思っちゃう」

「アンジェが俺で? どういうこと?」

「だって、私、寝ても覚めてもランディさまの事を思っているもの。
何をするのにも、最初にランディさまの事が思い浮かぶし、
どんな事でも、ランディさまに結びついちゃう。
だからきっと・・・私はランディさまで出来てるの」

「それだったら、俺もアンジェで出来てるよ」

「本当?」

「本当さ。
俺のすべては、いつだってアンジェと一緒にあるんだから」

「絶対に離れない?」

「絶対に離さない」

「嬉しい」


アンジェリークの白い肌は、
月の光を集めていっそう美しく輝く。
愛らしい微笑みを乗せて、花のようにたおやかに。


「綺麗だな・・・」


ランディの腕の中に咲く可憐な花。
その花が咲き誇る姿は、ランディしか知り得ない。
たまらずに落とすくちづけはどこまでも甘い。


「ランディさま・・・大好きよ」

「愛してるよ・・・アンジェ」


月の光に浮かぶその肌を抱き寄せる。
腕の中で咲き乱れる花を、もう一度確かめたくて、
花びらを1枚ずつ開かせるように、
ランディはゆっくりと熱を落とし始めた。

                                fin.




昨年('04年)12月に発行された露崎さんの本にイラストを描かせていただきましたが、
それに合わせたご褒美として、またまた素敵なお話を書き下ろしして頂きましたー!

月明かりの下、手を繋ぎあって愛を確かめ合う2人の会話は、
素直な2人らしく可愛かったり、…と思えばとても大人びて艶やかであったりv
月の光に洗われているような 清んだ雰囲気が素敵です。

拙いイラストに、こんな素敵なお話を付けていただいてとても幸せです〜(*^^*)
同じ表紙イラストに、もう1つ可愛く楽しいお話を書いていただきましたので
合わせてお楽しみくださいね。
露埼さんのサイトはこちらv→








 




05/05/10up