リヤ・スフェアー交換


部品呼称 : リヤ・スフェアー又はリヤ・サスペンション・スフェアー
不良現象 : リヤ・サスからの突き上げが酷くなる。
         リヤ・バンパー又はトランク部に体重をかけた時の
         沈みこみ量が小さく、硬い。離した時、ふんわり戻らない。
交換時期 : 2年程度(フロント・スフェアー交換と同時が望ましい)。
         ケチる場合は4年(フロント・スフェアー交換2回毎に1回)
用意部品 : リヤ・スフェアー
         シール・リング新品、スリーブ・シール新品、LHM若干

作業手順 ------- 90分コース
 
 
 CXのリヤ・スフェア-の交換方法にはいくつかのやり方があるようですが、ここではリヤ・シリンダーごと外してスフェア-を交換する方法を紹介します。

 車が古くなるとリヤ・サスペンションの動きが渋くなったり、車高を落とす際に最後にガクッとなることがあります。その一因は、リヤ・サスペンション・シリンダー内部にスラッジが溜まったり、シリンダー・ブーツ内のLHMが足りず動作不良になることです。ですから、こまめにスフェア-を交換しない場合は、シリンダーの掃除も兼ねたこの方法をお薦めします。

簡易法はこちらです↓

リヤ・スフェアー簡易交換法


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  • 車高をハイ・ポジションにし、作業側の車体前部に車載ジャッキをかけて、リヤ・タイヤを外す。
  • 反作業側の前輪に車止めをし、車高をミニマム・ポジションにする。
  • 作業側の車体後部にウマをかうことが望ましい。
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  • メイン・アキュムのついたプレッシャー・レギュレーターのブリード・スクリュー(青矢印)を 1〜1.5回転まわして緩め、油圧を抜く。
  • ブレーキ・ペダルを何回かポンピングすると完全に油圧が抜ける。

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  • シリンダー・ユニット先端のプッシュ・ロッドをサスペンション・アームに止めるスプリング・ピン(青矢印)を引抜く。
  • シリンダー・ブーツが一杯に縮むようにプッシュ・ロッドを押戻し(赤矢印)、シリンダー内のLHMをタンクに送り帰す。この作業を忘れると、頭からLHMをかぶることになる。

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  • LHM高圧配管のユニオン・ナットを緩める前に、シリンダーと配管のおおよその距離()を計るか目安をつけておくと、再組立が容易になる。
  • シリンダーの下に古タオルなどのウェースを置き、ユニオン・ナットをスパナで緩めて、配管をシリンダーから引抜く。
  • シリンダー・ブーツからもプラスチックのリターン・パイプとエア・ベント・パイプを引抜く。
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  • 高圧配管からはLHMが漏れてくるので適当なゴム栓などでせんをすると良い。竹箸を短くして栓をしたが、作業中に先端が折れ後で苦労した。
  • 高圧配管を作業中に傷めないように、奥に押し込んでおく。

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  • シリンダーをサブフレームに固定するクランプ(青矢印)をドライバーで完全に緩め、クランプバンドをガイド板から引抜き取り去る。
  • シリンダーにウェースを当て、プッシュロッドを何回か前後させてシリンダー内のLHMを完全に抜く。
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  • シリンダー・ユニット全体をプッシュロッドを縮めながら、取外す。                    (参考)              LHM高圧配管及びリターンパイプを外さずにこの状態でスフェアーを交換するやり方もある。但し、前回のスフェアー締付けが手で軽くしめた程度でなければ難しい。
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  • シリンダーやゴムブーツに損傷が無い事を確認する。

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  • ラジオペンチの先でLHM高圧配管穴からスリーブ・シール(パイプシール)を取り出す。一度使用したスリーブ・シールは左図のように変形しており、オイル漏れの原因となるので再使用しない。

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  • シリンダーを固定し、フィルターレンチでスフェアーを緩める。
  • スフェアーが硬く締まっている時、シリンダーを布で巻き水道用パイプレンチでくわえる。
  • 滑る時は直接くわえるが、シリンダーがアルミ製で傷つき易いので注意する。
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  • チェーン・レンチをシリンダーに巻いても良い。
  • スフェアーが軽く止まっている時は、シリンダーの捨て穴()に8mmのロッドを差込み、回り止めとする。ネジの切った配管穴()と間違えないように、充分注意する。

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  • スフェアー取外し後、スフェアー取付穴のLHMオイル(赤矢印)が汚れていたり黒ずんでいた場合には、迷わずシリンダー・ユニットを分解掃除する。
  • ゴムブーツのクランプ()を緩め、プッシュロッドをシリンダーから外す。ピストン()も反対側から押し出す。
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  • 分解すると、ピストン()の表面にアルミの摩耗粉である黒いスラッジがこびり付いたり、LHM含浸用フェルト(B')が乾燥している場合が多い。
  • 分解したシリンダー内部(C)とピストン表面(B)は充分清掃する。
  • もし、シリンダー内部C)とピストン表面B)に異常磨耗や傷が生じている場合は新品に交換しなければならない。
  • 清掃終了後にLHMオイルをつけながら再組立を行う。
  • シリンダーのLHMリターン穴(C')とゴムブーツのリターンホース固定穴(A’)の位置がずれない様にし、またLHM含浸用フェルト(B')がゴムブーツの取付位置からずれない様に注意する。

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  • 組上げたシリンダー・ユニットにLHMに浸した新品のリング・シールをセットする。スフェアー取付ネジ部にもLHMを塗っておく。
  • リング・シールは一見使えそうでも新品にした方が良い。
  • ネジ部を傷めないようにスフェアーをねじ込み、最後に手だけで力強く締める。

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  • 再組付け作業自体は基本的に分解の逆であるが、手順は以下の様にする。
  • シリンダー・ユニットを配管穴が上になるようにしてサブ・フレームの取付位置に置き、プッシュロッド先端をサスぺンション・アームの取付穴に、スプリングピンの穴を合わせながら入れる。
  • スプリング・ピンを差込んで、プッシュロッドとサスぺンション・アームを固定する。
  • クランプバンドをガイド板に差込みながらシリンダーに回した後、スフェアーの頭ををサブフレームの受け位置(赤矢印)に押し付けて軽く仮止めする。
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  • 配管穴にLHMをつけた新品のスリーブ・シールを突当たるまで入れる。
  • 高圧配管先端にLHMをつけてスリーブ・シールをガイドにしながら入れていき、配管先端が配管穴の小径部(A)に差込まれたのを感触で確認する。この部分がうまく嵌合していないと、オイル漏れの原因となる。マニュアル等では配管に先にスリーブ・シールをつける例が多いが、この方が失敗が少ない。
  • この時、分解時に目安をつけておいたシリンダーと配管のおおよその距離()が同じであることをも確認する。
  • ユニオン・ナットのネジ部にLHMをつけ、配管穴に手でねじ込む。シリンダーがアルミ製なので、きちんと無理なく入れないとネジ穴をバカにしてしまう。
  • 最後にスパナで締めるが、トルクが増してから1〜2回転で止める。
  • ゴム・ブーツにリターン・ホースを差込む。

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  • エンジンを始動し、プレッシャー・レギュレーターのブリード・スクリューを軽く締める。
  • 車高をハイポジションにする。
  • スフェアーがしっかりサブフレームで受け止められていることを確認したら、クランプを一度緩めてから締め直す。
  • リターンパイプ()をゴムブーツにしっかり差込む。
  • エアー・ベント・パイプ穴(B)からゴムブーツの中に、LHMを 25cc忘れずに注入する。この中にはLHMは漏れて来ないので、忘れると動作不良の原因となる。漏れて来る場合は、シリンダー内のO―リング不良である。
  • エア・ベント・パイプをゴムブーツにしっかり差込む。
  • 高圧配管系からのLHMオイル漏れが無いことを確認する。
  • リヤ・タイヤを取付け、ジャッキ類をかたずける。
  • ノーマル・ポジションに戻し、リヤ・バンパー又はトランク部に体重をかけた時、クッションに異常が無いことを確かめる。

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