ATFフィルターの交換(2)



準備作業が終わったら、いよいよフィルター交換作業にかかります。
  <準備する部品>
   ATFフィルター(ストレーナー)  部品番号  95 565 953    ¥2400
   カバーガスケット          部品番号  95 565 948    ¥350
   パイプシール(L) X2               96 085 783    ¥300
   パイプシール(M) X2               96 085 784    ¥210

  <使用特殊工具>

    T-27トルクスネジ対応レンチ


1. ギヤボックス・カバー開封


  • ギヤボックス・カバーを外すには、オイルクーラーのラインも外す必要があります。
    写真右側のボルトをイン・アウトとも外します。
  • ボルトを緩めるとクーラー側からのATFも出て来るので、受けが必要です。
  • これでギヤボックス・カバーの前がフリーになったので、カバーの廻りを固定しているT-27のトルクスネジを全て外します。
    ネジの長さが3種類ほど違いますので各位置を確認しておいて下さい。
  • トルクスネジはあまり固くしまっていませんが、作業のし難い個所もありますので、レンチが垂直に正しく当たっていないとネジ頭を舐めることがありますから注意して下さい。
  • 最近はトルクスネジ対応の工具も各種入手し易くなって来ましたが、写真右上のビットを小型ボックスレンチと組合わせると使い易い様です。
  • ギヤボックス・カバーの下側はこの様に油や泥で汚れていますので、カバーを外す前に周囲を綺麗に掃除しておく必要があります。
  • カバーは手前に引くと簡単に外れますが、2本のガイドピンで嵌合していますので、平行に引いてください。
  • 外れ難い時はプラハンマーで軽く叩いて浮かせます。
  • カバーを外すには、ATのバルブボディが飛び出ているので、この位置まで引く必要があります。
  • まだATFが抜けきっていないので、オイル受を下に置きます。
  • カバーは上に引き出します。
  • カバーが外れるとバルブボディ全体が見えます。
  • バルブボディ自体はあまり汚れていませんでした。
  • 古い紙パッキンを落としておきます。
  • カバーの下部にはスラッジが溜まり、写真右下の磁石には鉄粉が結構ついていました。
  • オイルで洗ってもスラッジが底に付着し、パッキンもボロボロです。左上のガイドピンも錆びていました。
  • ボディの下の方はATFに浸っていますが、大半は空気に露出していますので上の方のネジ頭や鉄製の部分は錆が出ています。ディップスティックの部分から水分が入るのでしょうか。
  • 錆を落とし、ATFで洗い流しておきます。



2. フィルターの取外し

  • フィルターはバルブボディの一番下についています。
    車体の下からアクセスしますが、覗いても良く見えませんので鏡で確認しておくと良いでしょう。
    ギヤボックスの底との隙間は5mm程度しかありません。
  • フィルター(赤矢)は写真では分かり難いのですが、バルブボディの底(青矢)に2個のクリップ(黄矢)で止められています。
  • フィルターを外すには、まず2個のクリップをプライヤー等で引抜いて取ります。
  • クリップは左のような形状で、バルブボディとフィルターのフランジ部を挟んでいます。
  • クリップが外れたら、中央の切込部の所のフィルター・フランジをラジオペンチの先で鋏んで、フィルターを引き出します。
  • フィルタを外した後のバルブボディ底のATF吸込み口です。奥に黒くフィルターの先を引掛ける爪が見えます。
  • ギヤボックスの底を指で拭くと、左写真の様にスラッジが酷く溜まっていますが、布で拭くのが難しいので諦めました。
  • 外したフィルターはスラッジで黒くなり、ATF吸込み口には金属片等が詰まっていました。



3. フィルターの清掃・再取付
  

 外したフィルターを新品と比べてみました。
ステンレス製のメッシュはほとんど目詰まり状態なのがわかります。
これではいくらATFを交換してみたところで、その効果の程が知れます。
最近のBX・Xantia等のナイロン製のメッシュの様に破れる心配が少ないのが救いです。

ATF吸込み側 ボディーバルブ取付側


 フィルターは現在、シトロエン社からは部品供給停止となっていますので、灯油などで良く洗浄して再使用して下さい。
 切子カス等が残らない様に充分洗浄が必要です。

 この ZF 3HP22 という形式のATは BMWや一部イタリヤ車で共用されていましたので、部品入手はまだ可能の様です。 
新品のフィルターがご希望の方はアメリカで交換セットが販売されています。
         http://www.jie/3hp22/3hp22.htm


4. 再組立て


 再組立ては今までの逆手順となりますが、いくつかのポイントで注意して下さい。

  • フィルタ-の掃除が終わったら再装着をします。
  • 正しい位置に狙って、フィルターをバルブボディの底に押し付ける様におしこみます。
  • フィルターの先が奥の爪に引っ掛かるように注意して、ラジオペンチでつまみながら押し込むと上手く入ります。
 
  • フィルターが正しく装着できたら、プライヤーでクリップを押込み固定します。



* 紙パッキンの装着

 

  • ギヤボックス・カバーを装着する際に、新品の紙パッキンを使用して下さい。
  • 純正品でも経年変化で穴位置が合いませんので、装着前に穴位置が合うか確認して下さい。
    合わない場合は、その穴を切り広げてください。
  • 紙パッキンは現在部品供給停止になっていますので、自動車部品屋から厚さ0.5mmのフリーサイズ紙パッキンを入手し現物合わせで切出してください。
  • 組込み時に紙パッキンが落ちたりずれたりしない様に、ATFをフランジ部に塗って密着させておきます。
  • 左写真ンの様にカバーフランジ部の下部に磁石の挿入を忘れないで下さい。注意しないと落ちています。



 * パイプシール


ハイプレッシャー・ポンプとプレッシャー・レギュレーターへの高圧配管の取付には新品のパイプシールを使ってください。


全ての取付作業が終わったら、ATFの補給を行います。
作業は以下を参考にして下さい。

ATFの交換




  以上の作業を適正な時期に正しく行えばフィルター交換の効果には目を見張ります。




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