中国に「廬山」という、天下一と賞される名勝がある。そこは文学や芸術、また、儒教(朱子学)・道教・仏教の聖地としても名高い。
蘇東坡が、「天下の名勝、廬山の絶景を長い間、見る機会がないことを残念に思っていたが、やっと出かけて堪能して帰ってきた。しかし、別にどうということもない。廬山は名勝であるということ、ただそれだけのことである」と言っている。
聖地巡礼をする人は多い。そして、ついそれを吹聴したくなるもの。しかし、自分が聖人になったわけではない。つまり、「別事無し」ということだ。
かと言って、けして無意味なことではない。仏道とはそうしたもの。聖人の「気」を肌で感じ取ること、それが肝要なのだ。
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無別事