今月の葉っぱ
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Ceiba speciosa

シラタマカズラ

アカネ科ボチョウジ属の常緑つる性木本

<所長の独り言> 亜熱帯・沖縄の森に行くと、アカネ科の樹木が一気に増え26種も分布するのだが、シラタマカズラはその中でも南国に来たことを実感する植物の一つだ。沖縄に冷たい北風が吹き出す10月頃から、名の通り小さな白玉団子のような果実を多数つけ、秋の到来を告げる風物詩になっている。とはいえ、この果実は春先までよく残っているので、長い間見られるのだが。鹿児島県の大隅半島南端の佐多岬を訪れたとき、このシラタマカズラの幼い枝が木の幹に張りつくように登っているのを見つけ、感激したものだ。四国では南部の離島にのみ分布するという。ところがここ沖縄の森では、マツ林やシイ林にうじゃうじゃ生えており、林内でごく普通に見られるつる植物となっている。今年もまた、白い実があちこちで目立ち始めた(2016年11月)

ウンシュウミカンのしめ縄

 


 

Ceiba speciosa

ウツギ

アジサイ科ウツギ属の落葉低木

<所長の独り言> 樹木を覚え始める頃に苦労する木、それが「ウツギ」である。まず種類が多い。代表種だけでも、ウツギ、ヒメウツギ、マルバウツギ、ガクウツギ、ノリウツギ、タニウツギ、ニシキウツギ、ハコネウツギ、ヤブウツギ、ツクバネウツギ、フジウツギ、コゴメウツギ・・・しかも、いろんな科があって同じ仲間とは限らない。前述のうち冒頭5種はアジサイ科(旧ユキノシタ科)、続く5種はスイカズラ科、フジウツギはゴマノハグサ科(旧フジウツギ科)、コゴメウツギはバラ科である。そして、葉の形が平凡でよく似ている。この画像でウツギと分かった人は中級者以上だが、ただのウツギは小さく切れ込んだような鋸歯が特徴である。ウツギの名は、枝の内部が空洞になりやすいことから「空木」と書くが、ややこしいこの仲間は「鬱木」と名づけてもいいかもしれない(2015年9月)

ウンシュウミカンのしめ縄

 


 

Ceiba speciosa

トックリキワタ

アオイ科セイバ属の落葉高木

<所長の独り言> 沖縄に移住して10ヶ月が経ち、初めての正月を迎えた。ようやく南国の木々にも見慣れ、オオムラサキシキブが個体によっては常緑のまま冬を越すことや、ハゼノキが10月初めに紅葉したかと思えば、直後の台風でまた若葉が出て、一部は冬も葉をつけっ放しにしていることも分かってきた。そんな中で、四季の季節感を感じさせてくれる木の一つが南米原産のトックリキワタである。葉は柔らかな掌状複葉で、秋はほぼ完全に落葉し、一部の個体は南国らしい華やかなピンクの花をつける。そして早春に丸い大きな実からワタがこぼれる。バオバブの近縁種とあって、トックリ形の幹も愛嬌がある。なお沖縄には、掌状複葉の植栽木が何種類もあり、葉だけ見分けるのになかなか悩まされる。(2015年1月)

ウンシュウミカンのしめ縄

 


 


オオムラサキシキブ

シソ科ムラサキシキブ属の落葉低木

<所長の独り言> 今年2014年は、私にとって転機の年となりそうだ。一つは、樹木観察歴18年の集大成ともいえる大図鑑『樹木の葉』を出版したこと。一つは、10代の頃から憧れていた南の島・沖縄に引っ越したこと。このオオムラサキシキブは、その沖縄の沿海地に普通に見られる木で、本土で見られる基本変種のムラサキシキブに比べ、明らかに葉が大型で厚い。一応落葉樹とされるが、2月中旬には大きな葉を青々と茂らせていた。恐らく常緑樹に近い生態なのだろう。ハゼノキだって、紅葉した葉を残したまま若葉が芽吹くし、亜熱帯にはそんな節操のない(と言っては失礼だが)木が多い。そして今年もう一つの出来事は、今月の葉っぱを1年3ヶ月ぶりに更新したこと。もはや「今年の葉っぱ」と呼ぶべきである。(2014年4月)

ウンシュウミカンのしめ縄

 


 


タチバナ

ミカン科ミカン属の常緑小高木

<所長の独り言> 日本産樹木の中でも、正体のはっきりしない木の一つだ。日本に自生する木とされているが、タチバナが見られる場所の多くは神社境内やその周辺の森。植えられたものか、それが野生化したと思われるものが多く、純粋な野生状態といえるものは極めて少ない。タチバナといえば「右近のタチバナ、左近のサクラ」と言われるように、古くから常緑の縁起木として各地で植えられた経緯があり、その過程で品種改良や雑種化が進んだ可能性が高い。そもそも柑橘類は、ナツミカンやウンシュウミカンのように、海岸に流れついた種子から生じたものや、偶発的に生じた苗から増殖された品種が多く、それを自生と呼ぶかは難しいし不明な部分も多い。ともあれ、今もしめ飾りで主役をはるのは柑橘類。ただし、その大半は先祖代々受け継がれてきたダイダイではなく、ウンシュウミカンだ。(2013年1月)

ウンシュウミカンのしめ縄

 


 


サワダツ

ニシキギ科ニシキギ属の落葉低木

<所長の独り言> サワダツが生えるのは、決まって山地の谷沿いで、岩や砂利がむき出しになっている沢や谷筋だ。沢に立つ。ちょっと変わった名前も、漢字で見ると納得できる。実際には、立つというよりは這う感じに近い。幹はひょろっと曲がり、樹高は1m足らずのものが多い。マユミと同じニシキギ科で、直径1cmに満たないその枝が緑色で目立つので、アオジクマユミ(青軸真弓)の別名もあり、むしろその方が実物と結びつきやすいかもしれない。実際には、マユミよりもツリバナに似ているのだが。自然が豊かな環境を象徴する木であり、人手の入った里山地帯では見かけないし、地味な木なので庭木や切り花にもされることもない。山中で出会うと嬉しい木の一つだ(2012年4月)

果実

 

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