MORI Hiroshi's Floating Factory Model Railroad Workshop
A&B Report 2014年4月号


The garden was covered in deep snow, but our railway worked.

/☆Go Back☆/
 欠伸軽便鉄道の1月下旬から4月下旬の3カ月間のレポートをお届けします。12月と1月は寒いことは寒かったのですが、晴天が多く、楽な冬だね、と話していました。でも、2月には、しっかりと雪が降りました。もちろん、梵天坂線、雪でも運行します。さっそく雪掻きに精を出すことになったわけです。その後はまた晴天続きに戻りましたが、積雪は4月まで残りました。

 毎年、冬は庭仕事がなく、暖かい工作室に籠もって工作に集中できます。この冬は、小さな機関車を幾つか作りました。最も面白かったのは、Jackという名前のハンスレットの機関車です(5インチゲージでも17号機として在籍しています)。室内で何度も塗装をしました。工作室の換気扇が強力なので、こういったことができるわけです。工作室をこれから作ろうという方は、この点を是非考慮下さい。

 4月になりましたが、まだまだ春というにはほど遠い感じです。最低気温はまだ氷点下ですし、樹の葉も出ていません。春先に咲く花も、これからです。しかし、地面にはちらほらと緑が出始めています。数日まえから水やりもしています。春はやはり外に出てしまいますね。

 このA&Bレポートでは、記録的な意味で主なニュースのみを取り上げています。より詳細な情報は、毎日アップされている欠伸軽便のブログ(Construction in Waterloo)をご覧下さい。

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雪景色

 気温が最も低いのは1月下旬だと思います。下がるときには、氷点下15℃以下になります。どれくらい寒いかというと、シャボン玉が飛んでいる間に凍ってしまいます。雪も氷も一日中解けませんから、屋根にもつららがありません。どれだけ雪が降っても、地面が泥濘むこともないのです。

 1枚めの写真が2月上旬。2枚めが2月中旬です。これくらいの積雪は、なんということもなかったのですが、このあとまた何度か降って、どんどん深くなりました。


 今年の冬は比較的気温が高かったようです。このため、この地には珍しく、湿った雪が降りました。湿っていると、このように雪だるまが作れるのです。トンネル山にも雪が積もり、ここでソリ遊びができました。


 とにかく、解けませんので、降ったら降っただけ積もります。一番多いときは1mくらいの深さになりました。1枚めの写真は、スコップで線路の除雪をしているところです。この深さでは、ロータリィ除雪機はまったく役に立ちません。人力では1時間に10mほど掘り進むことができます。300m以上ある本線を開通させるのに、1週間ほどかかりました(もちろん、線路以外に、生活のための除雪作業がまずあるわけで、そちらが優先です)。

 2枚めの写真は、3月になってからのもので、だいぶ雪面が下がっています。こうなると、硬くなり上を歩くことができました(足跡もつかないほどの硬さです)。3枚めは、4月の中旬。2カ月間雪の下にあった芝生ですが、枯れることなく緑を保持していました。たぶん、雪の下の方が暖かいのでしょう。


雪の中の運行

 雪の溝の中を走る感じになります。雪の壁は、最も高いところでは1m50cmもありました。スコップで除雪をするとき、だいたい60〜70cmくらいの幅の溝を掘ります。掘り出した雪を左右どちらかの雪の上に上げることになり、これがまた山になります。雪の断面は、水色に見えます。一度開通すれば、崩れたりすることもなく、その後はいつでも走れるのです。ただ、難点としては、機関車よりも前に行けないことです。枯枝などが落ちて、そのために脱線をした場合、復旧するためには、機関車の横に立ったり、前に出たりする必要がありますが、それができません。したがって、万が一にも脱線がないよう、ゆっくりと走らなければなりません。


 最初のうちは、この線路に沿った溝だけが庭園内の歩ける場所でした。深い雪の中へは踏み入れることができないからです。その後、しだいに雪が下がって締め固まってくると、雪の上を歩けるようになりました。1枚めの写真のようなアングルが可能になったのはその頃です。日射だけで、雪はだんだん減りました。しかし、解けた水は見かけません。地面は凍っているので、染み込むこともありません(凍った土はスコップも入りません)。蒸発してしまうか、解けた分が雪の内部へ入って氷になるか、なのです。

 雪の日のホイットコム *MOVIE in YouTube*
 もっと深い雪の中を走るホイットコム(駅長も登場) *MOVIE in YouTube*
 全線開通した雪回廊を走る氷河特急 *MOVIE in YouTube*


春の運行

 日陰ではまだ雪が残っていましたが、4月初めには、ほとんどの地面が現れました。1枚めと2枚めの写真は、ボールドウィンを運転したときのもの。1週間ほど間を開けて2回運転をしました。3枚めは、久し振りのガソリンエンジン車Kato 7ton。新線を走るのは初めてでした。


 冬の間もずっと活躍したのは、このホイットコムです。以前は、ゲストを乗せて走る(写真2枚めの)編成は、DB81の役目でしたが、昨年の夏からは、ホイットコムが代役を務めています。3枚めの写真は、4月中旬のもの。梵天坂駅の付近も地面が緑になりつつあります。


3/4インチスケールJack

 前レポートの続きです。3/4インチスケールというのは、分数で表現すると、1/16スケールになります。ゲージは32mm。

 RoundhouseのエンジンとAccucraftのボイラを使い、シャーシは以前にジャンクで入手したパート・ビルトを使用。これらを使った下回りについては、前回のレポートで書きました。試験走行が上々だったので、気を良くして、上回りを製作しました。難関は、なんといっても煙室です。高温になるためハンダづけができません。銀ロウづけで鉄板と真鍮板で製作しました。また、ルビィのボイラは、ドームが2つなので、その間隔にブッシュがありますが、これをどうしても3つのドームにしたかったため、騙し騙しの配置&工作となっています。上の1枚めが煙室ができたところ。2枚めは、煙突サドル、2つのサンドドームができたところ(スチームドームはAccucraftのエドリグのものを利用)。キャブには、真鍮角材で縁取りをしました(ハンダづけ)。丸窓の枠は、Oゲージの車輪を削って製作。


 ディテールで一番目立つのは、煙室サイドにある給油機。これは、旋盤で削り出したパーツです。このほか、ホィッスルやパイピング、ランプ台などを作りました。


 最後は塗装です。色は、赤に少量の水色を混ぜてマルーンを調合。シャーシとバッファビームは赤。屋根は黒。塗料はウレタンで、煙室だけ耐熱塗料です。乾燥したあと、黒と白のテープを貼り、黒線の外側は筆塗りで黒くしました。Jackの雰囲気が出せたと思います。

 Jackの走行 *MOVIE in YouTube*


クラウスを組む

 続いて作ったのが、GスケールのKrauss。アスターホビーのキットです。ガス焚きの45mmゲージ。Gスケールとありますが、かなり小型で、一般のGゲージよりは一回り小さく、16mmスケールの小型機に見えます(そのわりにゲージは広い)。伊予鉄の坊ちゃん列車で有名な機関車。もちろん、実機はドイツ製です。

 アスターのキットは図面がしっかりしているのですが、この新しいキットは、図面がなく、写真で組立て説明がされていて、これがとてもわかりにくいものでした。構造は非常に複雑です。1枚めの写真のように軸動ポンプを装備し、2枚めの写真のようなアウトサイドのバルブギア。3枚めは、スライドバルブのエンジン。


 キットといっても、塗装済みなので、組めば終わりです。でも、なかなか手強い。細かいネジが多く、組む順番も考えなくてはなりません。面白い構造としては、水面計の中をロッドが通っていて、このロッドで下へバルブを押し、ブローダウンさせる装置があること。また、ガスタンクが2つあること(これは単に容量を稼ぐ目的かと)。レギュレータは元はスチームドーム内にあって、ボイラの上をロッドがキャブまで通ります。

 完成して、Jackと並べました。実機は、Jackの方がずっと小さいのですが、スケールが違います。スチームドームからの蒸気管はボイラの外側を通ります。塗装やライニングは綺麗。欠品もなく組み上がりました。走行も納得のいくものでした。

 AsterのKraussの走行 *MOVIE in YouTube*


16mmスケールのシェイ

 Kurausに続いて、またアスターのキットです。ただ、こちらは35年以上まえの古いキット。未組立てのものを数年まえにオークションで購入。下回りは、説明書のとおりに作ります。エンジンは、組立て済みでした。ボイラは、アスベストを使う仕様でしたので、代わりにカオウールを使用。スミス式のボイラで、もちろんアルコール焚き。


 この機関車は既に2台持っているので、今回は、キャブを自作し、改造することにしました。もともとは1番ゲージか、もう少し大きめのスケールのようですが、16mmスケールを意識して、キャブを高くしました。屋根は、棒材で支え、工業機関車っぽい感じにしました。グレィのウレタンを、キャブとリアタンクとドームに塗りました。煙突も長くしてあります。そうそう、煙突サドルが欠品だったので、シンプルな形状のものを自作しました。

 シェイの走行(後述のDouble FairlieとSamsonも) *MOVIE in YouTube*


小さい機関車たち

 珍しい機関車を入手しました。1枚めと2枚めの写真は、Finescale Engineering社のPeckett 0-4-0という小型のサドルタンク。16mmスケールで、32mmゲージ。ガス焚きです。同スケールで、これほど小さい機関車はほかにないでしょう。ガスタンクがキャブの上部にあるので、窓が塞がれていて、これでは運転士が前が見えません。それくらいスペースがないのです。それでも、シャーシの下に大きなホィッスルを装備しています。

 3枚めと4枚めは、Garden Railway Specialistss社のDouble Fairlieです。これは残念ながら、ライブスチームではなく、電動のモデルです。Single Fairlieは、既に幾度か製品化され、欠伸軽便にも2両が在籍していますが、Double Fairlieは、まだ出ていません。きっと、そのうちRoundhouseかAccucraftが製品化することでしょう。Ffestiniog鉄道で人気者の機関車で、中央のキャブは、中央にボイラが通っているため、右から乗ったら左へは行けない、という不便な構造です。このモデルは、ブラス製の完成品で購入したものです。16mmスケールの32mmゲージ。大変に小さく、実機が小型車であったことがわかります。

 FinescaleのPeckettの走行 *MOVIE in YouTube*


 1枚めは、中古品で購入したCheddar社のSamson 0-4-0。Cheddarは、ボイラで有名なメーカですが、かつては16mmスケールの機関車を幾つか発売していました。現在は、機関車からは撤退し、ボイラ専門になったようです。この機関車は、サスペンションもあり、大変に重厚な作りです。ガス焚き、32mmゲージ。やや大柄です。ガスタンクが壊れていたため、手持ちの適当なタンクを載せて走らせました。

 2枚めの写真は、ドイツのRegner社の994701という機関車。0-6-0のサイドタンク。ガス焚き、45mmゲージです。ドイツには、16mmスケールはなく、これはGスケール。LGBの連結器がついています。ラジコンの5ch仕様で、レギュレータ、リバース、ホィッスル、ドレンコック、連結器解放などが操作できます。もちろん、中古品で入手したもので、スチームドームは欠品なのが残念です。

 3枚めも、Regner社のFrieda 0-4-0。45mmゲージのガス焚き。こちらは、初心者向けのシリーズで、スケールではありません(たぶん)。数年まえに購入したのですが、今回初めて走らせました。また、4枚めの写真は、Regner社のEasyシリーズの3機で、右からWilma 0-4-0、Vincent 0-4-0、Lumber Jack 0-4-0です。いずれも、45mmゲージのガス焚き。前者2機は、オシレーチングエンジン1気筒です。コミカルなスタイルのフリーランス。

 Regnerの機関車5台の走行 *MOVIE in YouTube*


 Hornbyのロケット号です。3.5インチゲージのライブスチームですが、異色の量産モデルで、世界中に大量に出回っている有名な模型。模型というよりもおもちゃかもしれません。以前から持っていましたが、走らせるのは初めて。数年まえにJAMで入手した客車を引かせました。

 デッキに線路を敷きました。この線路は、機関車とセットになっているプラスティック製のものです。ガス焚きで、タンクはテンダにあります。寒かったこともあって、なかなか調子が出ません。客車を引く力はなく、単独ならばなんとか走る、という程度でした。まあ、こんなものでしょうか。火力が弱いのと、ピストンの精度が低いのが原因だと思います。この線路で、OSのクラウスとかTichとかを走らせた方が面白いでしょう。ちなみに、このモデルは、1/16スケールなので、Jackと同じスケールなのですね。


Doraの改造

 急に思い立って、AccucraftのDoraの小改造を行いました。上の1枚めの写真が改造まえのものです。この機関車は、2気筒のオシレーチングエンジンをボイラの下に持っています。値段も5万円以下で、大変意欲的な製品といえます。ただ、少しボイラの位置が高い、というのが第一印象でした。おそらく、最初の企画では、下からボイラを炙るタイプ(ポット・ボイラ)を想定していたのではないかと思います。すると、最近の「Steam in the Garden」誌に、Horovitz氏が改造の記事を書いていました。まったく同じことを考えた人がいるのですね(たぶん、誰が見ても、ボイラが高いなと感じるのでしょう)。2枚めの写真がボイラを11mm下げた状態です。これだけのことで、プロポーションが劇的に改善されるのがわかると思います。

 ボイラを下げると、キャブ前面に隙間が開くので、この前面を作り直し、あとは、3枚めにあるように、煙突キャップや、サイドタンク・ハッチなどを作りました。4枚めは、逆転機の延長レバーを作って、外部から操作をしやすくしたところ。


 キャブ前面だけ塗ると色が違ってしまうので、全体を緑に塗りました。窓枠も作って接着。あとは、バッファ・ビームとクランクやロッドを赤く塗りました。

 キャブ内では、レギュレータを短くして、後ろに突き出ないようにしました。なんとか、16mmスケールのフィギュアを乗せるスペースを確保。

 小さいですが、ギアダウンしているので、力は充分。こそこそと走る仕草が可愛らしい機関車です。

 Dora改の走行 *MOVIE in YouTube*


駅長と助役

 1枚めの写真は、社長夫人が描いた助役の絵です。もちろん駅長の絵も何点かあるのですが、著作権の関係でここではアップしません(見たい人はブログを探して下さい)。2枚めは、堂々とポーズを取っているところですが、食事のときのエプロンを取り忘れている駅長。3枚めは、廊下で寝ているところです。そう、寝るときもエプロンをしているのです。


 雪が締まって硬くなった頃、ソリで遊びました。駅長はもう何度か乗っていますが、恐がりの助役は初体験。でも、駅長がやるところを見たあとだったので、上手にできました。その助役は、相変わらず、機関車の運転席に乗るのが大好きです。3枚めの写真は、春になって待望の水遊びができたときの様子。

 ストライプ兄弟の散歩 *MOVIE in YouTube*
 ソリ遊びをする兄弟 *MOVIE in YouTube*


長い冬も終わり

 深い雪でしたね。線路の除雪が済んだ頃には、ほかに歩けるところがなく、みんながここを通ったのです。2枚めは、雪の上に乗れるようになった頃です。これでもまだ30〜40cmの高さがありました。いつもよりも高いので、遠くが見えるわけです。

 4月になって、さすがに日差しが暖かくなってきました。でも、まだ朝は氷点下です。樹の葉が出るのは5月の下旬になるでしょう。今は、沢山の野鳥が毎日庭園を訪れますし、リス、イタチ、狐なども庭園内で見かけます(熊は2年ほど見ていませんが)。

 初めて撮影した野鳥の動画 *MOVIE in YouTube*

 次回の「A&Bレポート」は7月です。鬱蒼とした森の中、庭園内はすっかり木蔭になっているはずです。

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