MORI Hiroshi's Floating Factory Model Railroad Workshop
A&B Report 2012年1月号


The new Bontenzaka station house in autumn and winter garden.

A Happy New Year !

/☆Go Back☆/
 欠伸軽便鉄道梵天坂線(Akubi Lightweight Railway Bontenzaka Short Line)は2回めの冬を迎えつつあります。2011年を振り返ってみると、線路工事に励み、ストラクチャを沢山作り、また後半は、いよいよ念願のライブスチームのスクラッチビルドに挑戦、と充実した1年だったと思います。

昨年の1月に挙げた目標は以下の3つでした。

1)5インチのボールドウィンB1タンクを作り始める。(「作り上げる」ではないので、実現できると思います。)
2)大きなジャイロモノレールを製作する。(「完成し、成功する」ではないので、可能だと思います。)
3)5インチゲージ梵天坂線を整備・延長する。(勾配の緩和、引込み線や支線を増設など。)

 このうち、1)は今回のレポートにもありますが、予想以上の進展です。9月からスタートしたので、4カ月間になります。毎日工作に没頭している感じで、このおかげで、2)のジャイロモノレールの製作が若干遅れています(まだスケッチ程度の設計段階です)。3)の線路工事については、4月と7月と12月に大規模な工事を実施し、2年分の計画を前倒しで進められるほどでした。これは天候と健康に恵まれた結果です。

 さて、では、2012年の目標を以下に挙げておきましょう。

1)5インチのボールドウィンB1タンクを作り続ける。(完成はいちおう2013年の春を目指しています。)
2)大きなジャイロモノレールを製作する。(設計はだいぶ煮詰まってきましたので、まもなく着手するでしょう。)
3)5インチゲージ梵天坂線を整備・拡張をする。(今年は主として周辺のストラクチャ建設を予定しています。)


 なんか、昨年と変わっていませんね……。

 このA&Bレポートでは、記録的な意味で主なニュースのみを取り上げています。より詳細な情報は、毎日アップされている欠伸軽便のブログ(Construction in Waterloo)をご覧下さい。

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梵天坂駅舎建設

 10月に建設された駅舎です。これは、プレィハウスと呼ばれる子供用の屋外玩具ですが、もちろん子供が作れるものではなく、建設をするためには、スクリュードライバなどの工具が必要です。アメリカではずいぶん流行しているようで100種類くらいの製品が出ています。大きなものは100万円くらいして、ホワイトハウスなどのスケールモデルまであります。今回輸入したのは3万円のキットでした。航空便で送ってもらったので送料も3万円ほどかかりました。組立てでちょっと手間がかかるのは基礎部です。置いておくだけでは台風で飛ばされてしまいますので、しっかりとした土台を作りましょう。このキットには床がないので、コンクリート沓石の羽根板に柱のすぐ側の壁をネジで接続しました。ゆっくり楽しみながら作ったので3日間で完成となりました。

 4枚めの写真のように、線路側のブリッジから見ると、2面の壁に出窓が並んでいて、ちょうど信号所のように見えます。


 線路の反対側には、窓とカウンタがあって、切符を販売する場所のようです。窓の外に小さなベンチが付属しています。正面には扉があり、インターフォンもあります。庇屋根が出ているので、大人は頭を打たないように屈まないと中に入れません。ドアの両側の窓には、花を入れるプランタがあります。こちらから見ると、駅舎らしいデザインです。暖かくなったら、ペンキを塗る予定です(このままでも、防水加工はされていますが)。

 ブリッジと時計柱と引込み線、それに駅舎ができたので、ここが駅らしく見えてきました。あとは周辺の整備ですね。また春以降、工事を行いましょう。


平常運行

 10月の後半から落葉が増え始め、11月がピークでした。今年は、昨年の経験を踏まえ、早い時期から落葉掃除を効率的に進めることができ、鉄道の運行にはまったく支障がありませんでした。

 上の3枚の写真は、いずれもKato 7tonですが、この機関車が梵天坂線では主力となっています。充電をする必要もなく、いつでもすぐに準備をして走らせることができるからです。ガソリンは1カ月に1度くらい満タンにすればOKです。ときどき油を注すくらいのメンテナンスで大丈夫。サスペンションを固くして以来、チェーンのトラブルも解消しました。4サイクルエンジンも絶好調です。しかし、なによりも、この森林の風景に似合いますね。


 その次に出番が多いのは、客車を専門とするDB81です。これはゲストを乗せて走らせる機会の多い編成です。ゆっくりと本線を一周して、のんびり風景を楽しむのにはもってこいです。DB81は、自動車用バッテリィを2機キャブ内に載せています。バッテリィを充電することと、前部キャブの横のドアを開けて、モータのチェーンを確認するくらいがメンテナンスです。これまでに、トラブルは一度もありません。

 ヘンリィを久しぶりに走らせました。帽子を被らせて撮影しましたが、氷点下の気温の日で、見ているだけでも寒かったのです。単1電池が4本載っています。モータはマブチ、ギアはタミヤです。真鍮の車輪を奢っただけのことはあるどっしりとした走りっぷりです。動画は下り勾配のところで撮影したのでスピードが出ていますが、製作以来電池を交換していないので、上りはかなりゆっくりでした。

 Henryの動画 *MOVIE in YouTube*


25号機Judith M

 梵天坂線になってから、まだ5インチゲージの動力車の増備をしていませんでした。しばらく、その予定はなかったのですが、突然1台やってきました。これは、13号機のLady Madcap、17号機のJack、そして24号機のAliceと同じく、イギリスのHunsletというメーカの機関車です(実機がですよ)。大好きな型式なので、4台めにもかかわらず、「これが欲しかったのだ!」と思える出物でしたので、中古品で購入しました。12月にやってきました。25号機になります。名前は、Judith Mです。Jackと似ていますが、サドルタンクがあります。Lady MadcapやAliceにはないキャブがあります。サイズ的には、5インチの機関車としては大きく、Jackに迫るサイズです。おそらく、4分の1か、4.8分の1スケールだと思います(Jackは4分の1)。

 モデルは、Don Youngが設計したもので、イギリスには、この機関車のライブスチームが沢山走っています。車輪が小さいので、エンジンを高くするために、シリンダが斜めになっています。スライドバルブは、フレームの内側にあります。アウトサイドフレームなので、車輪も内側、外にはクランクだけが出ます。あとは、どっしりとした煙室が特徴。サドルタンクの形も断面が円形ではなく、やや上が潰れた形です。これらが、Hunsletに共通する特徴です。暖かい日を選んでスチームアップしましたが、走りは大変滑らかでした。写真にはありませんが、キャブ内のボイラの周囲の縁取りが奇麗です。動画をご覧下さい。

 Judith M初走行の動画 *MOVIE in YouTube*
 Judith M2回めの走行の動画(汽笛付き) *MOVIE in YouTube*


他社からの入線

 1枚めの写真は、佐藤氏の東洋活性白土協三2号機。以前にもこの機関車は走っていますが、今回は佐藤氏が2台作られたもう1機の方です。レストアされ、奇麗になったばかりの状態でした。2枚めは、関根氏の4トラックのシェイ。沢山運材車を連結して走りました。3枚めは、木内氏のシェイ。これは欠伸軽便のシェイのまえに木内氏が作った1号機です。後ろの薪バンカと煙突の形が違います。当社のシェイと同じくエンジンをボアアップされたようです。4枚めは、井上氏の新作の1トラック・シェイが2機。左のものは既に完成していて、クレーンが付いています。右は製作途中のもの。長い煙突がユニークです。


 赤いDLは、杉浦氏のホィットコム。この機関車は7.5インチゲージにもなります。動力はモータです。4分の1スケールモデルで、ひときわ大きく見えます。2枚めは、木内氏のグース。4サイクルエンジンで走ります。前部は飾りで、動力は後部にあります。この後部のボディがようやく完成したみたいです。

 3枚めからは、小さいゲージになります。まず、2編成並んでいるのは、バーリントン・ゼファ。これは、和田ワークスの製品で、和田氏ご自身が持ってこられたもの。ラジコン飛行機用のエンジンで発電してモータで走ります。今回、1編成を欠伸軽便が購入することになりました。なんといっても、フォルムが素晴らしい人気車です。最後の写真は、小池氏が製作された45mmゲージのパイク。架線集電で、ポイント切換えなど全自動で走ります。カム制御のメカニズムは山川氏が製作されたものです。

 バーリントン・ゼファの動画 *MOVIE in YouTube*
 井上氏のデカポッドの動画 *MOVIE in YouTube*


小さいライブスチーム

 1枚めの写真は、マニアが自作したと思われる珍しいサドルタンク機です。アルコール焚き、オシレーチングエンジン、アウトサイドフレーム。凝った作りで眺めているだけでも楽しい一台です。ジャンクとして安く入手したものです。大変ラッキィでした。

 2枚めと3枚めは、同じ人が作ったと思われるナローの機関車。実はこのほかにもう2両、同じ作者による機関車を入手しました。合計4台です。緑の方は、ドイツのRegnerのWilmaを改造したもので、これは1気筒のオシレーチングエンジンで走るギアードロコです。また、赤い方は、同じくRegnerのLumber Jackを改造したもの。こちらは、オシレーチングエンジン2気筒ですが、やはりギアーダウンしてあります。いずれもイギリス風のデザインに大変身していて、緑の方はAurora、赤い方はIolantheという名前です。いずれもガス焚き。

 サドルタンクの動画 *MOVIE in YouTube*
 Auroraの動画 *MOVIE in YouTube*
 Iolantheの動画 *MOVIE in YouTube*


 1枚めも、ジャンクで入手した機関車で、スチームトラムですが、中身はMamodです。アルコール焚きに改造されています。簡単な改造ですが、なかなかのセンス。

 中古の機関車は、まず第一に(これまでの4台のように)モデラのスクラッチビルドか改造による世界に1台だけのものに価値があります。そして、その次には、今では入手ができない(特にメーカさえ存在しない)機関車が、珍しくて欲しくなる対象になります。ライブスチームは、金属製なので、けっこう古いものでも劣化が少なく、少し直してやれば走るようになります。プラスティック製品ではこうはいきません。さて、上の2枚めの写真もそんな一両で、かつて一世を風靡したイギリスのMerlinの機関車。ガス焚きで、ラジコン仕様。ホィッスルもラジコンで鳴らせます。名前はMajorです。

 沢山人が乗っている赤い機関車はインドのヒマラヤ鉄道を走るDarjeeling。紅茶の名前にもなった産地へ上っていく機関車ですが、実物は空色で、この色ではありません。機関車の前に乗っている2人は、急勾配でスリップしないためにレールの上に砂を撒くサンドマンです。普通の機関車は、ボイラの上のドームに砂が入っていて、パイプでレールへ落とすのですが、これをわざわざ人間2人の仕事にしているあたりがインドらしいところかと。

 もう1枚の写真は、Mamod2両の下回りを利用して作ったダブルフェアリィです。久しぶりに走らせました。キャブが無人で格好悪いのですが、とにかくここは灼熱地獄で、フィギュアが燃えたり溶けたりしてしまうので、乗せられないのです。ボイラとバーナは自作のものです。引いているのは、7/8インチスケールの客車で、サイズはぴったりです。

 スチームトラムの動画 *MOVIE in YouTube*
 MerlinのMajorの動画 *MOVIE in YouTube*
 赤いDarjeelingの動画 *MOVIE in YouTube*
 ダブルフェアリィの動画 *MOVIE in YouTube*


その他の小さい機関車

 昨年のJAMで購入したペーパ製の玉電(たまでん)ですが、その後、下回りのキットも入手し、動力部とポールだけ自作して走らせることができました。2枚めの写真が完成したところです。実物はクリームと緑だったようですが、赤くしてみました。名鉄風です。それから、木製キットで作ったリスボンのトラムも一緒に走らせました。このリスボン・トラムのキットは、玉電の何倍も時間がかかりましたね。

 玉電とリスボントラムの動画 *MOVIE in YouTube*


 和田ワークスから購入したゼファの上の蓋を開けたところの写真です。エンジンを始動するときには、外部バッテリィをつなぎます。そして、発電機のモータを逆にセルモータとして使ってエンジンをかけます。一度エンジンがかかると、あとは自分で発電して走るわけです。コントロール系もデジタルですが、バッテリィは車内には一切ありません。燃料は、ラジコン飛行機に使うグロー燃料。エンジンは、OS製の10(気筒容積1.7ccくらい)で2サイクルです。このゼファのボディは韓国のメーカが作ったものらしく、オール金属製でディテールも素晴らしい出来です。45mm、1番ゲージです。

 2枚めの写真は、オシレーチングエンジンで走るスチームトラムですが、ボイラはボール紙製で、中にモータが入っています。これが血圧計から取り出した小型コンプレーサで、つまり、この圧縮空気でエンジンを回します。ライブスチームではなくライブエアです。だいぶまえに作ったものですが、久しぶりに走らせました。力はまったくなく、貨車を引く余裕はありません。一方、3枚めの写真は、タミヤのギアボックスと単3電池2本というDL(ボディはプラ板製)ですが、これだけの貨車を引いて走ることができます。もっとも、ちょっとでも勾配があると、機関車の車輪が空転します。スチームトラムとDLは、32mmゲージで、16mmスケール(約19分の1)です。

 バーリントン・ゼファの動画(エンジン音がよくわかります) *MOVIE in YouTube*
 ライブエア機関車の動画 *MOVIE in YouTube*
 DLの貨物列車の動画 *MOVIE in YouTube*


ブロア車とロータリィ除雪車

 前回のレポートで紹介したブロアカーですが、何度か出動し、線路の落葉を除去しました。予想外に好調で、良い結果を残しました。ただ、この車両は、ずっと乗っているわけにいきません。つまり、本線を1周するだけで役目が終わってしまうのです。

 ブロア車試運転の動画 *MOVIE in YouTube*
 ブロア車実稼働の動画1 *MOVIE in YouTube*
 ブロア車実稼働の動画2 *MOVIE in YouTube*


 もともとは、こちらのロータリィ除雪車を製作し始め、途中で「雪よりも落葉がさきか」と気づいてブロア車製作となったのです。除雪車の方も、試運転を終えて、準備万端ですが、残念ながら、まだ積雪が少なく、出動のチャンスが訪れません。雪が降っても、寒いと嫌ですし……。


ジャイロカー

 大変珍しいおもちゃを入手しました。レーマンが1912年に作ったジャイロカーです。弾み車のジャイロを車内で回し、これによって自立して2輪で走行します。ただ、モノレールではありません。線路の上では立てないのです。傾いた方へステアリングを切って、ふらふらと迷走するから立っていられるわけです。レールの上を走らせるためには、井上氏が作られているような1輪車にするか、あるいは、バランシング機構を持ったジャイロモノレールにしなければなりません。

 このおもちゃは、歯車が欠けて壊れていますが、歴史的価値は高いものと思います(日本にたぶんこの1台しかないでしょう)。アメリカ人から買ったのですが、2枚めの写真にあるとおり、アメリカでは1913年から販売されたようです。井上氏は、このおもちゃを以前から探しておられましたので、現在は、井上氏にお貸しし、氏の研究資料となっています。まもなく、これを元にしたモデルができあがってくることでしょう。


ヤードの線路工事

 この工事は、春になって4月頃に行う予定でいたのですが、暮れの12月が意外に晴天続きで暖かかったので、思い切って実施しました。もともと、昨年の7月に本線の延長工事をしたとき、ヤードに不具合が生じたのです。しかし、オープンディなどの予定があったため、本線開通を優先し、この結果、ヤードの不備が残っていたのです。

 まず、待機とメンテナンスを目的として作ったピットのある引込み線が、本線のリバースになってしまいました。ここへ入るポイントは2番で、カーブ半径が2mです。また、反対側の出口も手動切換えのY型ポイントでした。一方では、ガレージへ出入りするポイントが自動の4番で、これは、普段ちょっと運行するときには、手動の方が手軽で良いな、と感じていましたし、また、ガレージへ入るのは当社の車両だけなので、カーブ半径6mの大きなポイントの必要はなかったのです。そこで、リバース線となった部分の出入り口に、4番ポイントと自動のY型ポイントを使用し、本線を含めてすべて自動化します。そして、ガレージへの引込み線を手動として、新たにピットを作る、というのが工事の目的です。

 ところが、やり始めてみると、もっと良いアイデアが浮かびました。ポイントマシンを移設すれば、さらに理想的な配置にできることに気づいたのです。このため、予定より2日ほど余分にかかりましたが、納得のいく配置になりました。

 上の1枚めの写真は、左にピットがありますが、この線路を右へ少し移動しようとしているところ。2枚めが古い線路を撤去したところです。このように、線路を重ねて置いて確認をしたうえで、つなぎ方を決めていきます。まさに、現物合わせです。この時点では、真っ直ぐ行った先にポイントを置いて、そこから右へガレージに入る予定でしたが、その後、このポイントは、手前から左へ分かれた先に移すことに変更になりました。3枚めの写真は、4番ポイントを設置しているところで、水平器が置かれています。この時点では、樹の根元にポイントマシンがありますが、最終的には、このポイントは手動に改造されました。


 次に、ガレージへの引込み線に、もう1本引込み線を増設することを思いつきました。これは、リバース線から撤去された2番ポイントが余剰になったからです。上の1枚めの写真がそのポイントをセットしているところです。もう、複雑になってわけがわからないと思いますが、やっている本人も、実物を見ないとわかりません。頭の中だけで考えられるものではありません。

 さて、こうして、1週間ほどで本線も開通し、運行ができるようになりました。2枚めの写真がそのときのものです。黒いシグナルブリッジが移動しています。それから、3枚めの写真にあるように、ガレージに近いところに、新しいピットを作りました。これは、蒸気機関車が灰を落とすための設備です。

 4枚めの写真は、新しいポイント切換え送信機です。奥にあるのが、元の弁天ヶ丘線のケースです。ポイントマシンで自動切換えができるのは合計6機のポイントで、これは弁天ヶ丘線と同じです(新たにマシンを買っていない)。また、線路は何倍も長くなりましたが、ダブルリバースに、両方向から入れる待避線が1本という本線の構成はトポロジィ的には同じなのです。実はガレージの中にあるポイントの数も同じで、結局、梵天坂線になって増えたポイントは、梵天坂駅の近くにある引込み線の4番ポイントだけです(このポイントは実物の転轍機で切り換えます)。


ボールドウィンB1タンク

 9月中旬からスタートした木曽ボールドウィンB1タンクの工作は、毎日なにか一つは加工する、という方針で進んでいます。いろいろ山場がありましたが、まず、最初の山場は、上の写真にある、バルブギアの組立てでした。多くのパーツはレーザカットされていますので、素材から切り出すことを考えれば雲泥の差です。また、穴をあける位置にレーザのマーキングがあって、これも非常に高精確で助かります。レーザカットというのは、円形の部品を作るには本当に威力を発揮するな、と思いました。

 1枚めの写真が第2動輪軸に入る4枚のバルブエキセンとストラップです。スチーブンソン式です。これがセットされたところを下から見た写真が2枚め。中央にあるエキセンは、軸動ポンプを動かすためのものです。結局、もともとのデザインをほんの少し変更し、2枚のエキセンを2mmほど薄くして製作しました。このほかはほとんど現設計のままです。ただ、全体図というか組立図というか、どのように収まるのかという図面は一切ありません。たよりになるのは、設計者の横田氏の十数枚のスケッチと、杉浦氏がご自身のボールドウィンを作るときに描いたパーツ図だけです。ただし、その杉浦氏の図面を元に、佐藤氏にエンジンを作ってもらいましたので、3枚めの写真のように、エンジンはぴかぴかです。このエンジンに恥じないように作らなければなりません。3枚めの写真は、クロスヘッドがスライドバーに通っていますが、これのネジ穴も難しかったですね。


 さて、もう1つの山場は、動輪にあけるクランクピンの穴です。これをどのようにしてあければ良いのか、佐藤氏に相談したところ、旋盤であけるのが最も精度が高い、と教えていただきました。普通は、ジグを使って、ボール盤であけてしまうものですが、迷ったときには、より面倒な工作をした方が安全側です。とにかく、旋盤でやってみることにしました。ところが、探しても探しても面板がないのです。あったのは、まえに使っていた旋盤のものでした。つまり、今のこの旋盤には、もともと面板が付属していなかったようです。

 さっそく、面板を注文したのですが、既に古い型でもあり、入手は困難とわかりました。マイフォードでも多く使われている機種とは違って、チャックも面板もスピンドルに3本のボルトで接続するタイプなのです。いちおう近い形の面板を取り寄せてもらい、それを加工して使うことになりましたが、とても待っていられなくなり、4爪チャックを使うためのジグを製作しました。このジグの材料代だけでも数千円かかっています。1枚めの写真がそのジグを4爪チャックにくわえさせ、動輪をセットしたところです。カウンタバランスのために左にウェイトがあります。2枚めは、ドリルであけた穴を中グリで広げているところです。この工程があるので、旋盤であけた穴は精度が高いわけですね。このあとリーマを通して仕上げます。3枚めの写真が無事に5枚の動輪に穴があいたところです。そうです、失敗する可能性を見越して、動輪はずっと5枚ここまで作ってきました。どれも甲乙つけがたい出来になったのは幸いでした。


 動輪のクランクピンの穴があいたので、次の山場は、動輪のクォータリングになります。それをしたら、エアテストができるのです。しかし、エンジンにエアを送るためには、給気管が必要。1枚めの写真は、市販のチーズ管を利用して作った給排気管です。このねじ込み式で左右をつなぐ方法は、ネジのピッチ分の誤差が出て、フレームを広げます。この問題を解決するのが、現在の課題です。

 2枚めの写真が年が明けて、クォータリングをしているところ。横に置いてあるロックタイトという接着剤で動輪を軸に固定します。あっという間に固まってしまうので、手早くセットをしなければなりません。重要なことは、前後2本の動輪軸において、左右の動輪のクランクの位置関係が同一であることです。左右のクランクは角度にして90度ずれています。これが少しでも狂うと、ロッドが通らなくなりますし、ぎりぎり通っても動きが固くなってしまいます。幸い、クランクピン穴を旋盤であけた成果として、ピンが垂直であったことが幸いし、また、クォータリングも無事に行うことができ、ロッドをつけたら実に滑らかに回りました。これで勢いづき、3枚めの写真にあるように、スライドバルブの動きを調整して、いよいよエアテストに臨むことになりました。その結果は動画にありますが、僅か0.5kg/cmで動輪が回り始めました。大成功です。

 というわけで、今のところ、ボールドウィンは順調です。エアテストがすんなりと成功した理由の8割は、エンジンが佐藤氏作であったこと、残りの2割は、やはりクランクピンの穴あけだったでしょう。さあ、まださきは長いのです。あと1年以上はかかると思いますが、これから、ボイラを載せ、さらに、上回りの工作へと進みます。

 エアテストの動画 *MOVIE in YouTube*


駅長と助役

 助役は2月生まれなので、もうすぐ1歳になります。駅長よりも甘えん坊ですが、聞き分けは良く、また身軽なので、階段も上れるし、車にも自分で乗れるので、付き添い人は楽ができます。躰の大きさは駅長よりも一回り大きいのですが、体重は駅長よりも1kg軽く、初代の駅長だったトーマに比べると2/3しかありません。初代駅長が大きかったということです。


 デジカメのレンズを向けると「待て」と言われることが多かったせいで、言わなくてもレンズを向けただけでおすわりをしてしまいます。それで、助役が写っているものは、たいていおすわりをしているわけです。駅長は滅多なことでおすわりはしません(もらいたいものがあるときだけです)。

 2人とも庭園内ではリードなしで自由行動ですが、どこか遠くへ行ってしまうようなことはありません。むしろ人間が遠くへ行こうとすると、「いけません!」と吠えます。牧羊犬なので、そういう習性のようです。


 上の1枚めの写真は、駅長といっしょに水遊びをしているところです。2人ともホースで水撒きをしてもらうのが大好きです。しかし、冬になったので、屋外の水道は凍って使えなくなりました。しばらく我慢をしなければなりません。

 今年は雪は少ないのですが、それでもときどき白くなります。雪の日の散歩には、ジャケットを着て、レッグウォーマを着けて出かけます。これは寒さ対策ではなく、雪が毛に付くのを防ぐ目的です。駅長は服を着ることに慣れていますが、助役もそれを見て、だんだん脱がなくなりました。お手本があると覚えるのは早いようです。


雪の庭園

 この地は、非常に気温が低いのですが、雪は少なく、冬は晴天が多いのです。でも、ときどき粉雪が舞います。非常に乾いたパウダスノウです。特徴的なのは、雪玉ができないことです。握っても固めることができません。さらさらなのです。まだまだ雪の本番は、2月から3月にかけて。これから、沢山降ることになるでしょう。ロータリィ除雪車も作りましたし、小型の雪掻きブルドーザも購入しましたので、楽しみにしています。


白い森

 最後の写真は、樹氷というのでしょうか。晴天の朝によく見られる光景です。バックの森も見て下さい。近くの樹も見上げると白くなっていますが、あまりに高くて気づかないことが多いのです。

 次回の「A&Bレポート」は4月になります。4月ではまだ春とはいえないでしょうね。

/☆Go Back☆/