いよいよ本題。 上方歌舞伎と江戸歌舞伎を楽しく社会学的にも比べながらのお話。 例えば!現実には音のしない雪の情景を、太鼓の音で表す歌舞伎。その音の間隔が、江戸では早く、上方ではゆっくりなんですって。どん・どん・どん・に対して、どん・・どん・・どん・・といった具合。その理由はと申しますと、江戸の雪は「はらはらと降り続ける雪の情景」。上方の雪は「深々と降り積もる雪の情景」をイメージしているからなんです・・・。 なんだかとってもロマンチックでございます。そのお話を聞きながら三津五郎様の手元の扇子の動きを見ていると、本当に太鼓の音が聞こえてきて、降りしきる雪の景色、はたまたその中を粛々と歩く大星由良之助の姿さえも見えてくるようでございました。
もう一つ、江戸では、13代目とか18代目とか・・何代も名前を襲名することが多いのだけれど、上方は2代、3代が多いんです。この理由もちょっと愉快です。上方は、今、上手で面白くなくてはだめ!へたなやつには襲名なんかさせません!しかしながら、江戸には応援して育てる文化がある。だから多少下手でも(もちろん謙遜)、○代目を襲名させて、ひいきにして、『 おう、○代目もなかなか上手になったじゃないか!』 と見守る風土があるとのこと。だから江戸ではどんどん襲名できる・・・と。
舞台で『歩く』時、いろんな歩き方はあるのだけれど、三味線の音がはいりますとまた、数倍の風情がでて、何種類もの歩き方ができます、といいながら白い足袋ですすす〜〜っと。
などなど、数々の所作をご披露くださりながら、われわれを圧倒し、あっという間に1時間半が過ぎました。
お話は、多岐にわたりとてもとてもここでお伝えすることはできません。
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