君が行く

道の長手を繰りたたね

焼き亡ぼさむ

天の火もがも

 

 

万葉集 巻拾伍・参七弐四

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Luna Blu

プロローグ

 

碧い月

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太古の昔より、月はこの地球を見つめ続けてきた。

人がこの地に現れる遥か前、古の昔より
その姿をこの大地にさらしてきた。

そして、今も変わらぬ姿でこの大地を見つめ続けている。

悠久の彼方より変わることなく
青く、気高く、光り輝いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少女は、水の中を漂っていた。

 

 水は無色ではなく、オレンジ色のインクを一滴、水に落としたような色をしており、少女はその水の中にいた。

 

 少女は短い、銀色の髪を持っていた。
 光の加減では青みがかっているようにも見える不思議な色をした髪だった。少女の体がゆらゆらとゆれると、少女の青みがかった銀色の髪もそれに合わせ、ふわふわと水のなかを漂った。

 肌の色は、透き通るような白い色をしていて、よく見ると、本当に透けているのではないかと思うぐらいの白さだった。

 

 

 

 

 

 

 

 少女は一糸まとわぬ姿で、水の中に漂っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少女は思った。

 いつからここにいるのか?
 そして、いつまでここにいるのか?

 その問いに答えるものは誰もいなかった。
 こぽこぽっと、少女の口から、あぶくがでた。

 

 少女は思った。

 いつからここにいるのか?
 そして、いつまでここにいるのか?

 

 こぽこぽこぽ。
 少女が、くるりと体をひるがえすと、そのオレンジ色の液体もゆらゆらと、揺れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Continua ...


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