P1の登りは、直下のフェース斜めに走るクラック
(水野クラック)が面白そうだが、数パーティーが、
岩登り練習中で順番待ちをしていた。
我々は、ここはパスすることとし、しばらくP2の岩
の上でトカゲをきめこんでいた。

岩なだれ
その中、上のほうでガラガラと落石の音がしたと
思ったら、これが次々落石を誘発し、B沢全体を
猛烈な岩なだれが突っ走った。
ガラガラ、ゴーゴー、カチカチが入り混じった轟音。
砂塵が巻き起こり、目の前に聳え立つ第一尾根や、
北穂山頂も一時見えなくなった。
真下のB沢を覗くと、濛々たる砂塵の中に、火花が
散り、硝煙の臭いが鼻をつく。
なだれが収まって後もしばらくは硝煙の臭いが
ただよっていた。
こんな物凄い岩なだれを見たのは、後にも先にも
この時だけだった。

左;P2kら見る第一尾根の岩壁。