Kenta's ... Nothing But Pop
Reviews (Oldies): 3/17/1996

Reviews   Music


When My Niagara Moon
Turns To Gold Again...

The immortal masterpieces from Niagara Records.
Eiichi Ohtaki

(Niagara / Sony)


Go Go! Niagara


Niagara Calendar


Let's Ondo Again


Snow Time

旧譜いじりにかけては定評がある(なんだ、それは)

大滝詠一がまたやらかしてくれました。

去年、ダブル・オーおよびソニーから何枚か、

70年代ナイアガラ・レコードにおける大滝作品が

最新リマスターによって再発されたが、

今回はその第二弾。76年の『ゴー・ゴー・

ナイアガラ』、77年の『ナイアガラ・カレンダー』、

78年の『レッツ・オンド・アゲイン』、

そしてかつてプロモーション・オンリーで制作された

大滝詠一の未発表ヴァージョン入り哀愁曲

コンピレーション『スノウ・タイム』の4枚が

お目見えだ。


『ゴー・ゴー…』は70年代に当時の

ラジオ関東を舞台にオンエアされていた大滝詠一の

同名DJ番組のフォーマットを模して作られた

アルバム。今回は76年のオリジナル・ミックスを

リマスターして、いちだんとみずみずしい音に

生まれ変わっての再登場だ。ボーナス・トラックも

あれこれ4曲5ヴァージョン入っている。


『カレンダー』は81年、コロムビアからソニーに

配給元を移したときにリミックスされたヴァージョン

での再発。「クリスマス音頭」とか「泳げカナヅチ君」

とか、個人的にはオリジナル・ミックスのほうが

好きだった曲もあるけど、ライチャス・ブラザーズ・

アレンジによる「五月雨」のタムまわし入り

ヴァージョンはこっちのミックスでないと

楽しめません。内容的にはオリジナルのままで

きっちり完結した充実作だけに、ボーナス追加はなし。

が、もちろんこちらもリマスターによってさらに

手応えある音質になっている。


そして、オリジナル通りの形での再発/CD化は

今回がはじめての『レッツ・オンド・アゲイン』。

これはすごい。大滝詠一というと、

希代のメロディ・メイカーとして多くの人に

認識されているようだが、このアルバムは大滝詠一の

もうひとつの顔、つまり強力にアナーキーで

パンクで破壊的でブラックな大滝詠一の集大成盤。

音頭、カントリー、ロックンロール、R&B、

歌謡曲など、様々な音楽をマナイタに乗せ、

そのすべてを独自のギャグ感覚でぶちこわしていく

一枚。70年代ナイアガラの最後を飾った作品だが、

このアルバムを出したあと、数年のブランクを置いて、

かの名盤『ロング・ヴァケーション』がリリース

されることになる。


そして、もう一枚の『スノウ・タイム』。

これはファン垂涎のアルバム。プロモーション用に

業界で配られたベスト盤なのだが、森進一のヒット

として知られる大滝作品「冬のリビエラ」を大滝自らが

英語で歌った未発表ヴァージョン「夏のリビエラ」が

収録されており、中古屋さんでは――


10万円!

という値段で取り引きされたりもしていた貴重盤だ。

今回はプロモ盤のままではなく、

ラストに収められていた「レイクサイド・

ストーリー」のインスト・ヴァージョンをはずし、

代わりに大滝プロデュースによる 渡辺満里奈

シングル「うれしい予感」の未発表インスト・

ヴァージョンを収録。プロモ盤を持っている熱心な

ファンも安心できない。去年の再発第一弾シリーズ

同様、大滝詠一本人による詳細すぎるほどの

ライナーノーツも付いている。

金がかかるなぁ、ナイアガラ・ファンは……。

(Unedited stuff for FMfan / Mar. 1996)



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