陸奥へのドライブ(かつて公開していた旅行記)

東北道 青森 十和田湖


陸奥へのドライブ

爆走!東京→青森

一人でぶらっと旅に出かけるのに、出発のきっかけなど、ないに等しい。この連休は青森に車で行くことにした。

今回の旅行は車を選んだ。連休はどんな交通機関も混むが、車だったら公共の交通機関と違って混む時間・路線を外すことができる。また、予想外の事態に遭っても、連休ならば時間に余裕をもって対処できるだろう。

目標は、東京−青森間700キロを車で走破すること。以下の文章は、青森までぶっ通しで車をぶっ飛ばした体験談である。

 

出発

5月1日夜8時、忙しかった仕事が終わる。さすがに疲れを感じるが、これから休み(2日は休暇を取った)なのでワクワクする。十分な計画を立てない旅行は、出発する直前が一番楽しい。

はやる気持ちを抑えつつ、あらかじめ準備万端整えておいたプリメーラ(車台番号P10-035176、名前は当分付けない)に乗り込み、エンジンをかける。出発だ。外環に向けて、いつもと同じ道のりなのだが、心が高ぶる。

700キロ無給油走行に備えて、出発してすぐのセルフスタンドでハイオクガソリンを(行きと帰りでハイオクとレギュラーを使い分けたが、ハイオクの方がリッターあたり1kmほど燃費が良かった)溢れる直前まで給油する。

 

国道298号をしばらく走り、夜9時、三郷インターから外環道に入る。交通量は少ない。カーステレオで疲れを飛ばす。程なく川口ジャンクションを通過、東北道に入る。

東北道は線形の良い3車線の道路なので、ついついスピードが出てしまう。ハンドルに貼った、速度取締機(オービス)の設置場所を書き移した紙切れを、路肩のキロポストと見比べる。交通量は普通、みんな結構なペースで飛ばしている。

休みたいほど疲れてはいないが、ちょっと気分転換したいな、と思ったのが夜の10時過ぎ。近くの上河内サービスエリア(栃木県)に入り、カレーライスと豚汁の遅い夕食。豚汁おいしい等と思いながら手際よく流し込む。

 

みちのくのとば口−福島大激走

電車に乗っていると黒磯(東京用の電車と東北用の電車との乗換駅。互いに直通は出来ない)から北が福島県のような気になるが、実際には黒磯以北もしばらく栃木県を走り、白河インターの手前で漸く福島県に入る。

白河でこけしが描いてある「ここからみちのく」の看板がある。それを横目で見送ると、道路にはトラックをよく見るようになった。流れをリードできる速度の近くまで飛ばして追い抜いてゆく。心地悪くない程度の気怠さを感じるだけで、疲れはあまり感じない。

郡山・福島は一飛びに通過。真夜中なので風光明媚な稜線など見る影もない(帰りもこのあたりを通りかかったが、新緑が結構美しかった)。視界に入るのは、上下・左右に曲がりながら伸びる道路と視線誘導のために付けられている反射材だけ。夜行列車の運転士のような孤独な気分になる。

 

宮城の夜

ちょっと疲れて来たので、気分転換を兼ねて国見サービスエリアに立ち寄る。もう宮城県まで来てしまった。青森で世話になる友人宅に電話。電話の向こうでも「もう宮城県に入ったのか?」と驚いていた。今後に備えてあらかじめ仮眠を試みる。牛乳を飲み椅子を倒して横になるが、全然寝付けない。すこしつらいけど、もう少し疲れを貯めないと寝付けないと思い、車を動かす。時計は0時35分。

カセットをとっかえひっかえかけながら走る。山形方面と分岐する村田ジャンクションから先は80キロ規制。半径の大きい高速コーナーが続く。仙台周辺では、高速道路は中心部をわざと大きく避けるように山の中を走る。

いい気になって飛ばしていると、「自動取締機設置路線」の看板。あれこんなところに取締機なんかあったかな、とハンドルのメモ書きを見る。どうやら新しく付けられた取締機のようである。

カーブが続く一帯で品川−弘前間のノクターン号らしき高速バスとすれ違う。このあたりでよく大型バスとすれ違った。連休のため、高速バスも増車をしているのだろう。

 

仙台を過ぎ、東北道中間地点(340km)の標識を過ぎる。半分まで無事故無違反でやってきた。体調は良好だが、何となく眠さ・だるさを感じるようになった。大音響で音楽を聴き、ガムを噛み、コーヒーをすすり、適度に曲がったカーブでハンドルを切って、眠気を押さえ込む。自宅を出てから4時間半、さすがに疲労がたまってきた。

一旦規制が解除になって、再び80キロ規制になり、きつい登りを経てトンネルを抜けると岩手県に入る。一関・中尊寺のあたりも山の中を選んで走る。前沢サービスエリアに着く頃には2時を回っていた。

十二分に眠くなってきたので、ここで仮眠を取ることにした。椅子を倒し、持参の毛布をかぶって仮眠する。寝酒を飲めないので、睡眠剤代わりにノートパソコンを取り出し、この文章のサワリを書く。時計は2時40分。

 

暁の岩手路

気がついたら、3時50分。まだちょっと目が覚めきっていないが、心なしか青くなった夜空をみて、焦りと元気が入り交じった物がわいてくる。眠気覚ましのコーヒーを啜って出発。程なく空が明るくなってきたが、青空のそれではない。厚い雲が垂れ込めている。

盛岡を過ぎ山岳区間に入ると、霧が濃くなってきた。ヘッドライトを上向きにつけていても、100メートル先が見えない。道路は50キロ規制が敷かれているが、場所によっては本当に50キロまで落とさないと危ない。大型のトラックとか、よく速度を落とさないで走れるな、と思う。

先の見えない登り坂を走っていると、畑パーキングで事故を起こしているトラックを見た。現場には十数台のパトカー・公団車両が赤や黄色の回転灯を灯しており、遠くからでも異常事態が起きていることが分かる。現場では、中央分離帯のロープが100メートルに渡ってえぐり取られ、トラックのバンパーが落ちていた。胃と身が引き締まる。

 

未体験領域−陸奥に到達

このまま東北道を北上しても早く着きすぎると思い、安代ジャンクションから八戸道に入る。東京方面から来る際には八戸道方面が本線(弘前方面に出るには分岐車線に出なければならない)なのだが、八戸道ではちっとも車を見かけない。こんなのでいいのかな?と思う。

また霧が出てきた。5時45分に折爪サービスエリアに入り朝食を取ろうとするが、食堂はやっていない。日が昇っており、寝ようとしても寝付けない。牛乳を飲み、足を屈伸したりで1時間ほどボーッとする。

一晩中、不十分な仮眠だけで走り続けることなど、これまで無かった。未体験領域に踏み込んだ体調の方も、疲れているのかいないのか分からなくなってきた。具体的に言うと、客観的な「疲れ」は貯まているのだろうが、体の方はそれを感じていない、そんな感じである。

ともかく600km以上を無事に走り続けた。気だるく嬉々としたした表情で八戸の料金所を通る。高速代は川口−八戸間で12,650円であった。

 

青森に着くのは昼の12時と先方に言ってある。八戸市内でボーッとした後、9時頃おもむろに国道45号線を北上して青森に向かう。が、ここに来て眠気が津波のように襲ってきた。どうにも眠い。ハンドルもふらふらになっている。さすがにまずいと思って、途中路肩の広い場所に車を止めて仮眠する。

10時30分、目が覚める。とてもよく眠っていたようだ。気を取り直して、青森方向に向かう。七戸の南部縦貫鉄道の廃線を見て、東北町と青森市を直結するみちのく有料道路に残る残雪を見て、青森市に入る。

750km、15時間に及ぶロングドライブの終点、青森市。ウイニング・ランの舞台は青森市内を東西に貫く国道4号の大通りである。電照の行先表示が特徴の青森市営バスとすれ違い、路駐の車両を追い抜きながら市の中心部に到着した。

気が緩んだのか友人宅に車を停めるや否や寝入ってしまった。さらに、当日はこれ以降車を動かしていないのに、疲れが翌日朝まで残ってしまった。運転中は緊張して疲れを感じないが、運転が終わるとダメになるらしい。

 


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更新日 2005.5.24/無断転載および無断引用はご遠慮ください/Link Free/・・・
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