未来が壊れていく…




 その17

 

■世界遺産が崩壊していく■
 
 New! <温暖化による世界遺産の危機、深刻に>

 ユネスコは07年4月10日、地球温暖化によって世界遺産が受ける影響についてまとめた初の報告書「気候変動と世界遺産に関する事例研究」を発表した。それによると、温暖化の影響が顕著なのは、氷河や氷雪などの自然遺産で、エベレストを含むネパールの「サガルマタ国立公園」では氷河の後退によって土砂が谷をせき止め、決壊による洪水の心配が高まっている。雪の減少で、ユキヒョウなど希少動物の生息環境にも異変が起きている。タンザニアの「キリマンジャロ国立公園」では、1万年以上維持されてきた万年雪が20世紀だけで8割消失し、このままだとあと15年ですべて消滅する。ケニア山(ケニア)やルエンゾリ山塊(ウガンダ)でも、20年後には万年雪が失われる見通しだ。
 豪州のサンゴ礁「グレートバリアリーフ」では海水温の上昇による白化現象が顕著で、インドやバングラデシュのマングローブ林「スンダルバンス」では海面上昇などによる塩分濃度上昇の影響が出ている。
 文化遺産では、ペルーのインカ帝国以前の遺跡「チャンチャン考古地域」がエルニーニョ現象による多雨などで被害を受けており、イギリスの「ロンドン塔」などテムズ河畔の遺跡は、水位上昇によって地面の水分が増え、建築物が影響を受けている。(07年4月11日朝日夕刊)
 
 <世界遺産126件が危機に>

 ユネスコの内部文書によると、世界遺産730件のうち2割近い126件が、内戦や災害、開発、観光客増などによって危機的な状況にある、と02年11月13日の朝日新聞が報じている。それによると、内戦の影響が深刻なのは中部アフリカで、開発や人口増加の影響が大きいのは、アジアやアラブ諸国。またロシアのバイカル湖のように、森林破壊が深刻になっているところもある。
 
 <インカの遺跡が地すべり危機>
 ユネスコの世界遺産に指定されている南米ペルーのマチュピチュ遺跡が、地すべりによる崩壊の危機にあることが、京都大学防災研究所の調査が明らかになっている。調査は00年3月、地上と上空から行われ、その結果、山の尾根をはさむ遺跡の両側に数カ所の地すべり跡があったほか、中央部でも建物の変形や崩壊が見られた。同研究所では、ペルー文化庁やユネスコと共同で対策の検討に乗り出す。
 

 
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