〜10years Episode10〜

構想・打鍵 Zeke

 この作品はフィクションです。登場する人物、名称、土地、出来事等は実在するものではありません。
 本作は(株)ELFの作品「同級生2」の作品世界を設定として使用しております。 

再び『Mute』
 行列が出来る……という程でもなかったが、6時半頃になると常に待ちが2〜3組 
出る位にお客が入っていた。
 そんなに広い店では無いのだが、やはり一杯になると目が回るように忙しい。しか 
も今、フロアには龍之介一人しかいなかった。
 最初の頃は唯が一緒だったが、早々に厨房へ連れて行かれてしまい、今頃フライパ 
ンと格闘している筈だ。

 そんな事を考えている間にも、
「おーい! 注文」 
「ねぇ、ビールまだぁ?」
「こっち、お愛想」
 お客は待っちゃくれない。これに加えて食器洗いの激務である。龍之介が不満一つ 
漏らさずに黙々とそれらをこなすのは非常に珍しい事なのだが、それにはそれなりの 
ワケがあった。
 普段、此処でバイトをしている愛衣に、
「しっかり働かんかい」 
 とか言っている手前、無様な姿をさらすわけには行かない。今はその一念が、彼を 
突き動かしていた。
 しかし……、
「ねぇ、彼氏。これ、おかわり」
「はいはいはい、ただいま」 
 若い女性客は別だったりする。この様を唯が見ていたら蹴っ飛ばされていたかもし 
れない。

                  ☆

 そんなこんなで…… 
「終わったぁ〜」
 カウンターに突っ伏した龍之介が情けない声を上げる。
 午後9時、10時間に及ぶ激務にようやく幕が下りようとしていた。彼の背後では 
まだ数グループ、十数人が飲み食いしていたのだが、そんな事はお構いなしだ。 
 取り敢えずオーダーストップは掛かったので、少しは楽になる。
 などと思った矢先……、 
「あーっ! サボってるぅ」
 カウンターの向こうから声が飛んで来る。もちろん厨房作業から開放された唯だ。 
「うるさいな。俺様の運動量はお前の3倍を超えてる筈だ。休んで何が悪い」 
 実際それぐらいの差はあっただろうが、だからといって龍之介が厨房に入っても役 
には立たなかっただろう。
「だって、まだお客さんいるよ」
「あとは任せた」 
 俺の仕事は終わったよ、とばかりに顔も上げようとしない。
「しょうがないなぁ」 
 それでも唯が嫌な顔をしないのは、龍之介が自身の予定を蹴ってまで自分に付き合っ
てくれている事が嬉しかったからだ。

「ねぇ、晩御飯何が良い?」
「は?」 
「晩御飯。だって多分、お母さんまだ帰ってきてないよ」
 一応、客がすいた時間を見計らって、サンドイッチを摘んでいたが、そこで摂取し 
たカロリーなぞはとっくの昔に消費しきっていた。
「そうか。さすがにもうピザは飽きたしなぁ」 
 飽きていなかったら、たかるつもりだったのだろうか。
「駅前のスーパー、まだ開いてる筈だからリクエストがあれば唯、がんばっちゃう」 
「七面鳥の丸焼き」
 いつもの事ながら無茶を言う龍之介に
「丸焼きは無理だけど、ローストチキンなら出来るよ」 
 律儀に唯が応える。
「ふーん… ま、食えりゃ何でもいいや」
「唯がいつ食べられないモノを作ったのよぅ」 
「いつぞやのラーメン、ありゃ酷いもんだったぞ」
「アレはお兄ちゃんが手伝ったからだよ」 
 それ以前の問題である。
「人のせいに……」
『するな』と言いかけた龍之介だが、唯の背後に現れた人物に口を噤んだ。 
「お取込み中悪いんだけど……」
 何かを企んでいるような笑顔で立つマスターの姿に……

                  ☆

「…ったく、この寒いのに宅配なんかさせるなよ」 
 ブツブツ文句を垂れながら夜道の住宅街を歩く2つの影。もちろん龍之介と唯だ。

『これをこのメモに書いてある所まで届けてくれないかな。お代は貰ってあるから』

 この一言で寒風吹き荒ぶ(ちょっと大袈裟)中を宅配するハメになってしまった。 
 宅配までしているのは知らなかったが、なんでも『お得意さん』で特別らしい。 
「でも少し多めに貰えたからいいよね」
 千円ほど余計に貰えたので唯はご満悦だ。 
「それに届け終えたら帰っていいって言ってたし」
「お前なぁ、家と反対方向に向かってるのが、分かって言ってんのか?」 
 正反対に向かっているというわけではないが、2人の家から遠くなっているのは間 
違いない。しかし唯の方は気にしていないのか、
「晴れてたら、きっと星がきれいだったよ」 
 どんよりと曇った空を見上げている。
「前見て歩け、前見て… 落としたらシャレにならんぞ」 
 パーティでも開かれるのか、随分と大荷物だ。しかし唯の持つピザは分かるが、自 
分の持つ紙袋は何が入っているのかわからない。随分と重い気がする。
 などと考えながら暫く歩いて行くと、前方に明るい光…… コンビニが見えてきた。
メモによると、あのコンビニの次の角を曲がるとすぐらしい。

「クリスマスケーキ、いかがですかぁ?」 
 イヴの夜らしく、店頭でバイトであろう女の子が、サンタの格好をしてケーキを売っ
ている。
 別にケーキなぞに興味は無いので、目も向けずに通り過ぎよう…… と思ったが、 
チョイチョイと背中をつつかれてしまった。唯の方は大いに興味があったらしい。 
「ねぇお兄ちゃん、ケーキ買っていい?」
 見上げるように聞いてくる。
「なんで俺に断るんだよ? 欲しけりゃ買えばいいじゃないか」 
「半分出してくれる?」
「(やっぱりそう来たか)」
 チラッとケーキの方に目をやると、1ヶ2000円という値札が目に入る。 
「明日になれば半額以下になるから、それなら出してやる」
「えぇ〜、それじゃ意味無いよ。クリスマスケーキなんだから今日食べないと……」 
 唇を尖らせ不満を訴える唯。
「あのな、クリスマスって言うのは25日だぞ。今日はその前夜祭だ」 
「それはそうだけど、ケーキはイヴの夜に食べるのが普通だよ」
 それは間違ってはいないと思う。でなければ翌日半額以下になったりしないだろう。
「じゃ、自分で買え」
「ふーん、じゃあお兄ちゃんは食べないんだね」
「買ったら食う」 
「じゃあ、半分」
 両者一歩も引かず、1分近く睨み合った後、
「……わかった、千円よこせ。俺が買ってくる」 
 溜息混じりに龍之介が折れた。もちろんただ折れたわけではないのだが……

 その5分後……
 ケーキの箱を持って戻ってきた龍之介の顔は達成感に満ちていた。なぜ店頭販売の 
ケーキを買うのに5分も掛かったのかは此処では敢えて語らない。まあ、結果的にケー
キが手には入ったので、唯に文句は無かった。


 そんなこんなでようやっと目的の場所までたどり着く。 
「んーと、『セレスガーデン八十八』…… っとここか」
 目の前に建つ5階建てのちょっと洒落たマンションを見上げる。メモによるとここ 
の5階だそうだ。ただ、届け人の名前がない。
「まあ、部屋番号は書いてあるからなんとかなるだろ」 
 相変わらず楽天主義の龍之介。メモの最後には、
『セレスガーデン八十八 502号室』 
 とだけあった。

            ☆            ☆

その『セレスガーデン八十八』502号室……
「(お腹減った……)」
 空腹で目覚めるのは健康的には理想だと誰かが言っていたが、目覚めた時に食べる 
物が無いのは考え物だ。
 昼前にお粥、午後4時頃に素うどんを口にしただけなので、この時間に胃袋が抗議 
行動を起こすのは無理のない事だった。幸い風邪はインフルエンザ等のウィルス性で 
はなかったらしく、熱は平熱近くまで下がっている。
 起き出して自分で調理するぐらいは出来るのだが、いかんせん材料がない。2週間 
近く家を空けるつもりで買い置きなどしていないのだ。先の材料は全て愛美が自宅か 
ら持参してきたものらしい。
 その愛美はテレビのクリスマス特番を眺めたまま、何の行動も起こす気配はなかっ 
た。
「愛美ぃ」
 我ながら情けないとは思ったが、他に頼る術がない。
「なぁにぃ?」 
 妙なことに返ってきた声は自分に負けず劣らず力がなかった。
「あんた何か食べたの?」 
 遠回しに自分の空腹を訴えるのだが、
「あたしそんなに薄情じゃないよ」
 病人を放って食事などしないと言っているらしい。 
「お腹空かない?」
「……すいた」
 のそのそとベッドを抜け出し、ガウンを着込んで炬燵に潜り込みながら、 
「近くにコンビニがあるんだけど……」
 そう持ちかけてみる。17歳の乙女がコンビニのサンドウィッチやおにぎりでイヴ 
の夜を過ごすというのも情けない話だが、今更クリスマス料理など望むべくもない。 
 それでもケーキくらいはあるだろうから、それで少しでもイヴの雰囲気を… など 
と考えていたのだが、
「ううん、そろそろサンタクロースが来る頃だから……」 
 あっさりと愛美は愛衣の提案を却下した。
「サンタ?」
 ちなみにマンションには煙突は無い。時間も10時前だ。サンタが現実にいても、 
現れる確率は低いだろう。
「そ、サンタさん。そろそろだと思うんだけど……」 
 意味深な笑みを見せ、壁に掛けてある時計を見上げる。と、同時に如何にも『チャ 
イム』ですよといったドアホンが部屋に響きわたり、来客を告げた。
「あ、来たみたい。ちょっと待ってて」 
 いそいそと炬燵を抜け出し、
「はーい、今開けるよ〜」
 愛美が玄関に駆けて行く。


「ちわー『Mute』でーす。ご注文の品……って、あれ? ここ愛美さん家(ち) 
 なの?」
 目の前のドアから出てきた顔に、龍之介は少し面食らった。
「ううん、そうじゃないんだけど…… あ、どうぞ入って入って」 
 自分の家じゃないと言うのに招き入れようとする愛美に、更に
「は? だってクリスマスパーティの最中じゃないの?」 
「いーのいーの、パーティはこれからだから」
「????」
 訳がわからない内に愛美に手を引かれ、言われるままに上がり込んでしまう龍之介。
「愛衣ちゃーん、サンタさん来たよぉ」
「へっ? サンタ? 愛衣? ここって愛衣ん家?」 
 まだ龍之介の周りでは『?』マークが乱舞しているようだ。そして愛美に促される 
まま廊下から居間に踏み込むと、睨み付けるような視線が龍之介を迎えた。
「なによ」 
「あれ? だって…… あれ? 向こうに行ったんじゃないのか?」
 さっきより倍の『?』マークが羽を生やして乱舞し始める。 
「39度近くの熱を出して行こうとしてたのよ。止めるのに一苦労しちゃった。あ、 
 どうぞ入って」
 テキパキと龍之介が持って来た食材を炬燵の上に出しながら、笑いを堪えるように 
愛美が龍之介を炬燵へ促す。
「えっと、いいかな?」
 一応家主である愛衣の許しを請う。 
「……どうぞ」
 テレビの画面に見入りながらの気のない声。そんな愛衣に何が可笑しいのか愛美が 
忍び笑いを漏らしつつ、
「わぉ、マスター話せるぅ」
 紙袋の下の方から取り出した赤ワインのボトルに歓声を上げる。 
「そんなのが入ってたのか…… 重い筈だわ」
「……と、こんだけあれば十分ね。さすがにケーキは無いか…」 
「あ、ケーキなら唯のヤツが…… いけね、下で待たせてんだっけ」
 晩御飯(と言うより夜食近いかもしれない)の買い出しに、先のコンビニに行かせ 
ていたのだ。
「ばかっ、早く迎えに行ってあげなさいよ」
 案の定というか愛衣から罵声が浴びせかけられる……が、 
「あ、いーよいーよ。私が行って連れて来る」
 龍之介が踵を返すより早く愛美が駆け出していた。 
「ついでにジュースとかも買ってくるから」
「ごめん、多分コンビニで待っていると思う……」 
「わかった。ちょっとお願いね」
 何が『お願い』なのか聞き返す前に玄関のドアは閉まっていた。

 騒々しさの後には静けさがやってくる。テレビの音だけが支配する気まずい雰囲気 
に堪えられず、
「もういいのか?」
 龍之介が切り出す。
「なにが」
「いや、風邪だって言ってたから……」 
「おかげさまでね」
 さっきから何か機嫌が悪そうに見えるが、これはパジャマ姿を見られてしまった動 
揺を悟られないようにしているためらしい。
 だが、龍之介はそうは思わなかったらしく、 
「しょーがねえだろ、まさか愛衣ん家にデリバるとは思わなかったんだよ。知ってりゃ
 一緒に連れて上がって来てた」
  どうやら唯を置き去りにした事を咎められているのだと思ったらしい。実際はその 
事で不機嫌なわけでは無かったが、
「それ以前に、夜道に女の子を1人で待たせるもんじゃ無いでしょ」 
 藪をつついたら蛇が出てきてしまったようだ。
『夜道じゃなくて、コンビニだ』と言おうとしたが、どうせ『言い訳するな』と返さ 
れるのがオチなので止めておく。
「それにしても、39度あって良く平然としてられるなぁ」 
「大袈裟なのよ、朝計った時には37度8分しか無かったんだから」
「朝でそれだろ? ピーク時は39度近くあったな。で、今は?」 
「36度2分」
「ってーと、3度近く上下してんのか? それは多分体温計が壊れてるぞ。それにま 
 だ少し顔が赤いじゃないか」
 と言って、当たり前のようにその額に手を伸ばす。その手を愛衣は避けようとも、 
払い除けようともしなかった。『顔が赤いのは熱のせいじゃ無い』とも言えなかった。
「ほら、やっぱり少し熱い」
「ばかね、龍之介の手が冷たいのよ。自分の額に手を当ててみたら? あ、でも少し 
 気持ちいいかな……」
“ふっ”と目を閉じて、少し龍之介の掌に体重を掛ける。 
「へぇへぇ、どうせ俺の手は心と同じで冷たいですよ」
「なにひねてんの、逆よ」 
「あん?」
「手が冷たい人は逆に心が暖かいんだってさ」
「ま、まあ、そのテの俗説には色々あるからな」 
 
「お待たせぇ、ジュース買ってきたよぉ」
「お邪魔しまぁす」
 唯と愛美が部屋に入って来たときには、2人とも何事も無かったかのように、テレ 
ビの画面に見入っていた。
 
「ご苦労さん、早かったね。唯もありがと」
 愛衣が労いの言葉をかける。唯も愛美から大方の話は聞いているのか、 
「お言葉に甘えてお邪魔しちゃいます……良かったね、お兄ちゃん」
 そう言って、微妙な視線を龍之介の方へ向けるのだが、龍之介は気付かないのか、 
気付かないフリをしているのか、
「ああ、コンビニの貧相な食材でイヴを過ごさずに済んだな」 
 一片の動揺も見せずに答える。
 その攻防を横目で見ていた愛美だが、
「あぁっ、何も用意して無いじゃない。もう、てっきり準備してくれてると思ったの 
 にぃ……」
 は出て行ったときと変わりない炬燵の上を見て非難の声を上げる。もっとも非難し 
ていると言っても、その目は笑っていた。どうやら『私がいない間何やってたの?』 
といった意味合いらしい。
 無論、そんな事で愛衣が動揺を見せるはずがないのだが… 
「まっいいか…… あとは私がやるから、唯ちゃんも適当に座ってて」
 


「ちょっと買い過ぎちゃったかな」 
 2人はコンビニの袋をガサガサ言わせながら買ってきた物を床に散らばせ始めた。 
「平気平気。あ、ケーキは後ね、あっちに置いといて。へぇ、ローソクも買ったんだ」
「うん、誕生日とは違うんだけど……」
「ううん、欲しいなぁって思ってたから」 
 なにやらきゃいきゃいと楽しそうだ。その後2人はキッチンへと場を移し、 
「じゃあ、お皿は用意するから、唯ちゃんはグラスを出して」
「えと……、グラスってどれを使って良いのかな?」 
「んー…、愛衣ちゃんに聞いて」
 居間にいてもその会話は聞こえてくる。
「今行く」 
 別に唯を信用していない訳ではなく、単にグラスを持ちきれないと思ったからだ。 
「これとこれと…… それからこれで4つね。あとは……」
 別のグラスに手を伸ばそうとする愛衣を 
「あれ? もう4つあるよ。4人だから……」
『もういらない』と言おうとした唯に愛衣は笑みを返し、 
「ワイン… あるんだけど、唯も飲む?」
註)未成年者が未成年者に飲酒を勧めるのは言語道断です。

 こうして炬燵の上には4つのグラスに4つのワイングラス、ピザが二枚、ロースト 
チキン、スナック菓子等が所狭しと並べられ……
「コルク抜きは?」
「ワインオープナーならそこの戸棚。一番下の引き出しの中よ」 
 愛美の背後にある棚を指さす。
 引き出しを開けると探すまでもなく、目的の物を見つける事できたのだが、そこで 
愛美はふと違和感に捕らわれた。
「なんで一人暮らしの女子高生の部屋に、ワインオープナーなんかあるの?」 
 確かに数年前までは親と同居していた訳だからあっても不思議はない。だが、その 
在処を現時点で把握していたのはどういうことだろう?
「さあ?」
 当の愛衣はすっとぼけてワイングラスを電灯に翳す仕草などしている。 
「……ま、いっか。クリスマスだもんね」
 なにがどういいのかいささか疑問ではある。 
 愛美はまず愛衣のグラスに、続いて
「龍之介君は?」
「あ、オレと唯はジュースにしとくから……」 
 丁重に辞退する。愛美も無理に勧めることなく、
「そぅ? じゃあ、唯ちゃんどうぞ」 
 と、唯のグラスにボトルを傾ける。瞬間、龍之介は軽い目眩を覚えた。おまけに止 
めに入ると思った愛衣までが、
「1人飲まないって言ってるし……、それに今の内から慣れておいた方がいいからね」
 なんて事まで言っている。
「あのなぁ……」
「なによ、飲みたければそう言えばいいじゃない」 
 そう言って愛衣が龍之介のグラスに注ごうとするのだが、
「いや、俺は……」 
 あくまでも固辞するが、どうも歯切れが悪い。何か理由があるようなのだが…… 
「お兄ちゃん5年生の時にお屠蘇で派手に酔っぱらってから、お酒が飲めないんだよ」
「バカ、そうじゃない。俺は単純に未成年の飲酒をだな……」
 偉そうな事を言った処でもう遅い。 
「あ、そうなの。へぇー……」
 愛衣のその目は獲物を見つけた猫科の猛獣のようだった。少なくとも龍之介にはそ 
う見えた。 
「で、具体的には酔っぱらってどんな事したの?」
「えっとね…」



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