Yuto's Diary 8月前半

一番上が新しい書き込みです。

下線の引かれている単語には説明があります〜。



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8月14日(火)
 家から電話がくる。
「なんで帰ってこないの!?」とおふくろのキンキン声で怒鳴られたけど、何を言われても耳を素通りして、ああとかごめんとかしか言えなかった。
 俺が全然元気ないって気づいたおふくろは、それから「元気でやるのよ!」って言い残して電話を切ってくれた。おやじが横から口出ししてこようとしてたみたいだけど、代わる前に切れて助かった。おふくろに感謝した。

 親不孝することになったらどうしよう。俺がホモだと知るのだって、そうとうショックなことだろうに……そのうえ『エイズになった』なんて言わなくちゃいけなくなったら……

 誰か、助けて。

8月13日(月)
 バチが当たった。大気さんのこと無視してたバチ。
 昨日、久しぶりにあの街へ行って、オアシスに入ろうか迷ってるところをあいつらに見つかってしまった。
 あいつらって、俺をレイプしたマッチョマンたち。
 気づいてすぐ逃げたけど逃げ切れなくて、細い路地に連れ込まれて、そのまま犯された。拷問に近いセックスをされてしまった(あんなのは初めてだった)。
 かなり長い時間そこでやられて、そこに放置されたまま動けなくて(全身がすっげー痛かったから)空が明るくなるのを見て。
 半分眠りについていた俺の耳に、信じられないことに、大気さんの声が聞こえてきた。
 目を開けたらホントにそこに大気さんの姿があって、俺は慌てて逃げ出そうとした……けど、全然動けなかった。
 そのあとのことはあまりよく覚えてないんだけど、マッパ(真っ裸)の俺に上着をかけてくれた大気さんが路地から走り去って、すぐにマスターやミツルやレイジさんたちを連れて戻ってきて。みんなで俺を助けてくれた。
 安心して眠ってしまったらしい俺は、次に気づくとふかふかのベッドに寝ていた。
 そばにはミツルがいて、どういうことか詳しく教えてくれた。

 バイトを終えて帰る途中だった大気さんが俺を見つけて、オアシスに残って呑んでいたミツルたちを呼びに行ったんだという。ミツルたちが駆けつけたとき、俺は地面にべったりと張りついたまま動かなくて、死んでるのかとミツルは思ったらしい。
 確かに俺の体は文字通りぼろぼろで、アナルは血と体液でぐちゃぐちゃ、チ○コは縄みたいなもので縛られたままで、全身噛みつかれたりつねられたようなあざがあったという。それと、すり傷切り傷が山ほど。
 みんなでミツルの知り合いが経営してるっていうラブホに俺を連れてきてくれて(起きたときにいたのがそこ)、医者にも見せてくれて。みんな俺に気をつかって帰ったらしい。起きたときにたくさん人がいたら俺が嫌な思いをするだろうって考えてくれたみたいだ。
 大気さんは最後までここに残りたがったらしいけど、ミツルが説得して帰してくれたと聞いて、心底ミツルに感謝した。……あんな姿見られただけでも恥ずかしいのに、もう、大気さんにあわせる顔がない。

 これは、本当に天罰だったんだろう。そうとしか思えない。
 大気さんみたいに優しい人を邪険にした俺を、神様も許せなかったのかもしれない。

 それに、大きな問題が一つ残った。
『いちおう、エイズ検査したほうがいいかも』
 って、ミツルに言われてしまったことだ。
 確かに最初のあのときはみんなゴムつきでやってたけど、今回は誰もそんなものを使ってなかったはずだ。
 万が一のことがあったらどうしよう……。怖い。

8月10日(金)
 今日、バイト先でセクハラを受けた(男に)。
 初めて来た(俺は初めて見た)オヤジが、俺がコーヒーを持っていったら突然手を握ってきて「仕事が終わったら私と会ってくれないか?」って誘ってきた。
 その手の握り方とか、すごくエロくて一瞬ムッとしたけど(あからさまにセックス狙いってわかる奴はムカつく)、ちょうどむしゃくしゃしてたし「いいよ」って返事しようとしたら、奥から店長が来て「そういったことは困ります」って俺の代わりに断ってしまった。
 オヤジはあたふた帰ってしまうし、そのあとの俺はいら立ちを店長にぶつけてしまった。店長が悪いわけじゃないのに。

 バイトが終わって帰るときに店長が「ああいったことがこれからもあるかもしれないけど、できれば続けてもらえないかな?」って言ってきて(俺がイライラしてたのはオヤジにセクハラされたからだって思ったみたいだ)、辞める気なんて全然なかったから「もちろんです」って答えた。
 店長は「よかった。これからもよろしくね」って笑って言って、そのときの笑顔がツボにハマって家で2発も抜いてしまった。
 ごめん、店長。

8月9日(木)
 今日も中村を誘ってホテルへ。

 止まらない。体が暴走してる。男がほしくてたまらない。
 好きな人とやれないなら、他は全部一緒だ。誰だってかまわない。

8月8日(水)
 俺って最低な奴だ。……今さら自覚しても仕方ないのかもしれないけど。
 大気さんからの電話を、もう6回は無視してる。オアシスにも行ってない。
 ミツルがまた飲みに誘ってくれたけど、それも断った。どうせ大気さんに何か言われたから誘ってきたんだろうから。
 ……人の好意をこんなふうにしか思えないなんて、やっぱりサイテ−だ。

 だって、大気さんから最初の電話が来たとき、聞こえたんだ。この間の男の声が電話の向こうから。
 しかも大気さんの名前を呼び捨てにしてて(店でも呼び捨てだったけど)それを聞いた途端、俺はがっくりと崩れ落ちた(ちょうど授業中に電話がかかってきて、昼休みに留守電を聞いて、あいつの声が聞こえた瞬間かくかくっと力が抜けてしまった)。
 そこを助けてくれたのが中村で、俺はまたしても衝動的に中村を誘っていた。憂さ晴らしがしたくてたまらなくて。
 授業サボってホテルに行って、俺の気が済むまで抱いてもらって。
 やってる最中、自己嫌悪で涙が止まらなかった。……それと、なぜかすごく悲しくて。
 大気さんに自分は似合わないんだって思い知らされた気分だったからかもしれない。

 俺、どんどん女々しくなってる。

8月6日(月)
 たぶん今日は大気さんはバイト休みだろうと思って、オアシスに行った。
 そしたら俺の予想通り、大気さんはいなかった。
 でも今日の目的はマスターと話すことだったから、彼がいなくてほっとした。
 マスターなら知ってるんじゃないかと思って。大気さんと話してた昨日の男は誰か。
 俺がおそるおそる聞くと、マスターは「学校の友達だって言ってたよ」としか言ってくれなくて。
「2人は一緒に帰ったんじゃないんですか?」って聞いたら、「帰ったよ」と言われて、ショックで目の前が真っ暗になった。
 そのあとマスターは何か話してたけど、何も耳に入ってこなかった。

8月5日(日)
 昨日もオアシスへ行って、大気さんとたくさん話をした。
 だけど話すことってだいたい世間話みたいなことで、お互いのことはまだあまり知らないんだってことに気づいた。
 それで今日はいろいろ聞きたいなと思って店に行ったら、なんと、大気さんの友達って人が来てて、2人で親密そうに話してたから、結局何も聞けなかった。
 なんか、俺とは合わないタイプの奴だった。なんでも知ってて、大人の余裕で周りをリードしていくような感じ(年はたぶん大気さんと同じくらい)大気さんのとなりにいても全然違和感のない人。
 声がかけづらくて、俺は大気さんから離れたカウンター席に座ってマスターと話して帰った。
 すごく気持ちが沈んだ。せっかく上昇してきたところだったのに。

 大気さんは、実はああいう人と話してたほうが楽しいのかな……。

8月3日(金)
 気分を切り替えて、オアシスへ行った。
 前みたいにでかい声で入っていったら、大気さんはいつもの笑顔で迎えてくれた。
 大気さんは俺に、何があったのか、どうしてあんなに大気さんやオアシスを避けてたのかは、一切聞こうとしなかった。ただいつもの様子で俺を甘やかしてくれた。
 だから俺も、今までのことは全部忘れて大気さんと話した。久しぶりにちゃんと話をしたから、けっこう照れくさかった。……やっぱり、好きな人だからさ。

 また明日もオアシスへ行こう。

8月1日(水)
 ようやく気持ちにふんぎりがついて、オアシスに行った。
 大気さんは、いつもと変わらない様子で俺を迎えてくれて、いつもと変わらないように話してくれた。
 それだけのことなのに、俺は、泣いてしまった。みんなの前で。
「泣き上戸なんです」なんてヘタなウソ、きっと大気さんは気づいてるだろう。
 自分でもどうして泣いたのかわからない。ただ無性に切なくて、大気さんの笑顔を見てたら勝手に涙が浮かんでいたんだ。
 大気さんのことは好きだけど、別に付き合ってるってわけじゃないんだから、説明も言い訳もいらないはずなのに、中村とのことを全部話したくて仕方なくなって──でも、結局話さなかった。

 もう、このことを気にするのはやめよう。明日は今までの俺でオアシスに行こう。


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