Takara's Diary…7月後半

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7月14日(月)
楽しみがあると、それだけで気分がウキウキしてくる。
あと一週間。一週間で今井と図書館に行ける。
このあいだのときみたいに、お互いにわかるところを教え合うこともしたい。
だけど、できれば……いろいろな話をいっぱいして、今井のかわいい笑顔を見たい。


…………「かわいい」だって。ぎゃ〜〜〜!!!!





7月15日(火)
夏休み中の部活のスケジュールを足立と組んだ。
俺は朝からやって午前中には終わらせたいんだけど、足立は午後から夕方までのほうがいいんじゃないかって言ってきた。
夏は暑いからなのか、塾も朝から午前中にやることが多い。だけど俺はいつもの時間(夕方から夜)のに通うつもりで申し込みもしちゃったから、午後からの練習だと余裕がなくて厳しい。
なんとかして足立を説得させたいんだけど……みんなにもどっちがいいか聞いて、意見の多いほうにしたほうがいいのかなぁ。






7月16日(水)
さっそく練習時間のことをみんなに相談した。
そうしたら、やっぱり朝から午前中にやったほうがいいっていう奴のほうが多かった。そうだよな、午後からだと1番暑い時間だからだらけちまうもんな。
そんなわけで、足立はぶすくれてたけど、体育館がとれる日は午前中ってことで話がついた。よかった〜、塾がない日とか、午後だったら今井のこと誘ってどこかに行けるかもしれない!

あー……でも、夏休み中の練習試合のこととか、まだ決めなくちゃいけないことはあったんだっけ。
めんどうだなぁ。足立に全部押しつけちゃいたいよ(そんなことしたら、今度こそ俺半殺しにされるかもな)。






7月18日(金)
今井と図書館に行く日が近づいてきて、当日のことを考えているだけでなんか幸せな気持ちになってくる。うきうきしてくるっていうか、顔がにやけちまうっていうか。
今までつきあってきた子たちには、こんなの感じたことがない(って断言できるのって、どうなんだ? ちょっと問題な気がしないでもないんだけど……)。
でも、頭の中で今井と一緒にいる自分をシミュレーションするだけで楽しいんだもん、しょうがないよな。

けど、これで本当にまた今井と図書館にいったら、俺どうなっちまうかわかんねぇ。
もやもやしたものが鼻血として出ちまうような事態にはなりませんように!






7月19日(土)
今日は明日に備えて早めに寝ることにする。
着てく服も準備しておいたし、持ってく勉強道具も用意したし……。
あっ! そうだ、財布に金突っ込んどくの忘れてた!!



忘れないうちに金も用意した。
よし、これで準備万端だ!
あ〜〜、今井に会えるって考えるだけでニヤニヤしちまう〜〜!!






7月20日(日)
楽しい1日はあっという間に終わっちまう。
今も目の前に今井がいるような気がする。
今井……かわいかったな。

待ち合わせの場所に行くと今井はまだ来てなかった。ていうか、俺が待ち合わせ時間の30分前に行ったから当然なんだけど。
そわそわしながら待ってると、今井も10分前には待ち合わせ場所に来てくれた。
「あれ、橋本早いね」
って、笑った顔が! 顔が、かわいくて!!!!
「あ、今井っ!?」
思わず声が裏返っちまった。情けねぇ!
それからすぐに図書館に行って、めちゃめちゃ真剣に勉強した。
今井のところはもう夏休みに突入したらしくて、テストも先週終わったらしい。今井、そんなこと全然言ってなかったから驚いた。
だけど、
「橋本に教えてもらったから、苦手の物理も化学もそれなりの点取れたよ。ありがとな」
って言われちゃって、それなら俺も今井に教えてもらってるんだからいい点取らないとって少しプレッシャーを感じた。
だけどそれがよかったのか、今井に顔を寄せられても必要以上にドキドキしなくて済んだ。よかったぁ(笑)。
昼に一度外に出て、図書館の近くのファミレスで昼飯を食った。今日の今井はけっこう顔色が良くて、食欲もあったみたいでパスタのセットを全部食べてた。なんかそれだけでほっとした。
俺は俺でハンバーグのセットにしたんだけど、ライスを大盛りにして、トッピング(鉄板に最初から乗ってるポテトとかから揚げとは別)に白身魚のフライをつけたら、「橋本、すごい食べるね……」って今井があぜんとしてた。
「や、これくらい普通だって。今井が食わなすぎるんだよ」
って言ってやったら、首を傾げながら「そうなのかな……」って! そんな仕草1つとっても今井はかわいいんだ!!(俺、おかしくなってるのか?)
照れくさくなって、勢いで「今井もハンバーグ食うか? けっこううまいぜ?」ってハンバーグを今井のパスタの皿に乗せてやったら、今井は嫌がらずに食ってくれた。
「うん……おいしい。今度は僕もハンバーグ食べようかな」
笑いながら言ってたけど──『今度』!? 次のこと、期待していいのか、俺!?

昼飯が済んだらまた図書館に戻って、夕方までみっちり勉強した。1日でこんなに勉強したのは、もしかしたら初めてかもしれない。今井のおかげだな。
今回は絶対いい点が取れそうな気がする。なんたって今井に端から端まで見てもらったんだしな!
夕飯は俺のオゴリでそばを食いに行った。……俺は中華を食いに行こうと思ってたんだけど、今井が昼に食いすぎたって言って「さっぱりした物なら食べられそうだけど……」って言うから、予定を変更して。
「テストが終われば俺たちも夏休みに入るから、ヒマなときにでもまた遊ぼうぜ」
ダメ元で誘ったら(内心すっげードキドキしながら)、今井は「いいね」って笑ってくれた。
「僕のほうがきっと橋本よりヒマしてるから、橋本の都合のいいときにまた連絡して?」
なんて言われたら、「俺もいつだっていいぜ!」って答えそうになってた。……もちろんいつでもいいわけじゃないんだけどさ(部活も塾もあるからな)。
でも、早めに連絡したほうがいいよな。今井だって、塾には行ってなくても部活があるだろうから。
でも、いつでも誘えるんだって思ったらそれだけで嬉しくて、俺ずーっとにやにやしてたかも。今井に「ヘンな奴」って思われてなきゃいいんだけどな。

今日1日で、今井とたくさん話すことができた。
中学のときに同じクラスだった奴らのこととか、お互いの高校のこととか。
ホントはお父さんのこととかも聞きたかったんだけど……さすがにそんなに込み入った話をするほど仲がいいわけじゃないから(悲しいけど事実だ)、今日は聞くのはやめた。
いつか聞けるといいな。……なんでクスリに手を出したのかってことも。


なんかやたらぽ〜っとした気分だ。最後に見た今井の顔が本当に楽しそうで、すごくかわいくて……思い出しただけで──鼻血が出そう(俺って……)。
って! 明日からテストじゃん!!
やべーやべー、せっかく今井に教えてもらったことも忘れそうだったぜ。よし、もう少し補習するかな。






7月23日(水)
や、やっとテストが終わった……。
なんか余裕がなくなってて、勉強以外のことに気が回らなくなってた。
今回は特に、今井に教えてもらったことが大きいからなー。これで赤点なんか取ったら、俺今井に顔向けできねー!

久しぶりに部活をやって、たまってたうっぷんを全部晴らしてきた。
そしたら周りから「おまえ飛ばしすぎ!」って苦情が出た。
ったく、4、5日部活やらないでいてすぐになまるなんて、鍛え方が足りないんだよ。
夏休み中は鬼メニューでも組んでやるかな……。






7月24日(木)
テストが続々返ってきた。
どれも思った以上にできてたみたいだ! 苦手の現文も60点は取れたし!
やっぱ今井と頑張ったからだよな、これって。マジですげー嬉しい!!
早く全科目返ってきて、結果を今井に報告したい。今井、喜んでくれるかなぁ。

こんなに成果が出るなんて、塾に通うより今井にカテキョー頼んだほうがいいのかも(笑)。
……なんて、今井が嫌がるに決まってるけどさ。






7月25日(金)
今日は終業式だった。
で、テストも全部返ってきた。
思った以上に点がよくて、前回のテストよりどれもこれも全部点数がよかった!
すげぇ嬉しくて、これは絶対に今井に報告するべきだって思って、休み時間にそっこーでメールした。
そしたら今井からもすぐに返事が返ってきて!!
『全科目点数上がったの? すごい頑張ったね。僕も教えた甲斐があったな…なんてね(笑)』
まさか返事がくるとは思ってなかったから(しかもすぐに)、すっげーびっくりしたし嬉しかった。
今井も喜んでくれてたみたいでよかった。あー、今井に会いてぇ!






7月26日(土)
今日から夏休み! ……で、さっそく部活と塾に追われた。
部活が始まる前に練習メニューの予定をちらっと足立に相談したら、「おまえ1人でやってろ!」と怒られた。
つーか、去年とそんなに変わらないメニューを用意したつもりだぞ? こんなことだと来月にあるOB戦で大恥かくことになるからな!

……ってわけで、部活時間中は仕方なく抑えめのメニューにして、終わってから軽く1時間くらい自主練した。
他の連中はすぐに帰っていったけど、角田と久木も残ってシュート練をしてた。
2人はレギュラーになれるかどうかぎりぎりのところなんだけど(今の段階でな)、角田はゴール下のシュート、久木は3Pをもっと決められるようになれば俺も推薦してやれると思う。
3人いれば1on1もできるし、明日からは自主練に力入れるかな。






7月28日(月)
突然今井から電話が来た!
「明日、ヒマだったら遊びに来ない?」
って言われて、驚いてすぐに返事できなかった。
けど、もちろん断るつもりなんかなかったから、
「いっ、行く行く! 絶対行くよ!!」
何度も『行く』を連発して(しかも声を上擦らせて)、OKした。
明日も普通に部活があるから(塾はもちろんサボるつもりだった)、
「昼に行くよ」って言ったら「待ってる」って言われて、もう飛び上がりそうに嬉しかった(や、ベッドの上でジタバタもがいてたけどさ)。
今でも信じらんねー、今井から誘われるなんて。
明日なに着て行くかなー?

ていうか、今井……もしかしてなにかあったのか?
……………………すっげー気になるぅうう!!!!






7月30日(水)
これからまた今井の家に行く。

昨日のこととかは、あいつの家に行ってからゆっくり書きたいと思う。

今は少しでも長い時間あいつのそばにいてやりたいから。






7月31日(木)
日付が変わった。
今井はさっき寝たところだ。
なんか……いろいろなことを一気に見たり聞いたりしたせいで、興奮してるみたいだ。
最初からまとめて書いていこう。


29日の昼に今井の家に行くと、出迎えてくれた今井の顔が驚くくらい腫れ上がっていた。
まるで誰かに殴られたみたいなその痕に驚いて、玄関先で固まってしまったら、
「散らかってるけど……入って?」
切れた唇が痛いのか、小さな声でそう言いつつ今井が俺を招いてくれたから、とりあえず中に入らせてもらった。
そうしたら、通された居間もまた信じられないような状態で。あまり物がない部屋なのに家具がめちゃくちゃに散乱していて、しかも一万円札が撒き散らかされてたんだ。
最初は聞かないほうがいいのかなと思って我慢したんだけど、その部屋の様子を見たら聞かずにはいられなくなっちゃって、
「なにかあったのか!?」
ってすごい剣幕で聞いてしまった。今井、そういうふうに聞かれるの嫌だったかもしれないのに。
で、俺がそう聞いたら今井は顔を伏せて泣き出してしまって!
焦って肩を抱いたら今井が俺の腕の中に収まるような感じになって、気づいたら今井は俺の胸板に顔を寄せてくれていた。
立ったままだと話すのに疲れるんじゃないかと思って、その状態のままソファに座って、改めてなにがあったのか聞くと、今井は信じられないようなことを話してくれた。
今井が通っている学校に、身体の関係を持っている教師がいること。その教師が一昨日家に来て、その……この部屋でエッチをしている最中に、今井のお父さんがお金を持って家に来たこと。
それでその教師が今井のお父さんのことを『今井の遊び相手の1人』と勘違いして、今井に暴行してあげくこの部屋で暴れたんだって。
しかもその教師は昨日もこの家にやってきて、一昨日と同じ事を今井にしていったんだって……。
そこまで話すと今井が俺の腕の中で丸くなっちゃって、どうしたのかと思ったらそのまま寝てしまっていた。もしかしたら、そんなことがあったから全然眠ってなかったのかもしれないな。
今井の部屋がどこなのかわからなかったから、寝心地は悪いだろうと思ったけどそのまま寝かせようと思ってじっとしてたら俺まで眠くなってきちゃって。
気づいたら、俺も今井を抱き締めるような感じで朝まで寝てたんだ(恥ずかしいぜ)。
今井はまだ起きてなかったから、起きたらすぐに何か食べられるようにと思って勝手に台所を漁っておかゆを作ってやった(本当は救急箱を探したり居間の片付けを先にやりたかったんだけど……救急箱はどこにあるかわからなかったし、散らばった1万円札をかき集めるのもなんか気が引けてさ)。
おかゆができる頃には今井が起きてきたから、最初に救急箱を持ってきてもらって応急処置だけしてやった。それからおかゆを食べさせて、一緒に居間の片付けをした。
かき集めた一万円札は、きっと50枚以上あったように思う。でも今井は枚数を確認することもなく居間にあった引き出しにそれを投げ入れて。
で、そこまでしてたら部活の時間になっちゃって、休もうかと思ったんだけど今井が俺の様子で察したみたいで、
「僕はもう大丈夫だから、部活があるなら行ってきて?」
と言われてしまって。塾は休もうと思ったけど、部活はやっぱ休めないなと思って(うるさい奴もいるし)、
「じゃあ部活が終わったらまた来るから」
今思うとそんなことを当然のように言った自分が信じられないんだけど、今井も普通に頷いてくれたから、それがおかしいとは思わずに帰ってきた。

今井の綺麗な顔に傷をつけた奴が許せなくて、部活中も自然とラフなプレイをしていたみたいだ。他の奴らがビビってたもんな(笑)。
で、その前の日と同じように自主練はしないで家に帰って、この日記帳だけ持ってまた今井の家に来たんだ。

……書くの疲れた。続きはまたあとで書こう。





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