昨日の日記の続き。
このノートを取りに家に戻って、すぐに今井の家に来た。出迎えてくれた今井は朝より顔色が良くなっていてほっとした。
居間もきれいに片付けられてて、デリバリーのピザを取ったらしくてテーブルには飯の準備がされていた。俺も今井も昼がまだだったから、それを食べながらまた少し話をした。
今井を暴行した教師というのは、今井の高校の美術の先生なんだって。今井は美術部員でその先生とは1年のときからずっと関係があったらしい。
今井が言ってたけど、俺も前に1度会ったことがあるって。
「橋本、前に参考書のコピーをくれたことあっただろ? あのとき、夕飯を食べて店から出たらあの人の車が信号で止まってたんだ。橋本はわからなかったかもしれないけど……」
そう言われて、確かにそんなことがあったと思い出した。けど、あのときは暗くて顔がしっかり見えなかったんだよな(すげー残念だ!)。
あんまり聞きたいとは思わなかったんだけど(ホントのことを知るのが嫌だったから)、でもやっぱり気になっちゃって。
「その人と付き合ってるのか?」
って聞いてみたら。
「……そういうのとは、ちょっと違うんだ」
今井は困ったような顔をしてそう言ったんだ。
だから俺、ますます気になっちゃって、
「まさか、あいつに弱みを握られてるとか!?」
って追求して聞いてみたんだけど、これも違ってたみたいだ。
だけど今井はそれ以上詳しく話そうとしなかったから、言いたくないんだろうと思って聞くのを我慢した(本当はすっげー聞きたかったけどさ)。
昨日と一昨日は、俺が部活に行っている間はちゃんと鍵をかけていたから、誰かに侵入されることはなかったみたいだ。
俺が今井の家にいる間(夕方から朝まで)は誰も来なかったし、そのセクハラ教師の来襲はもうないんだろうか。
だけど、「もう絶対来ない」って保証がないから、俺も今井のことが心配で家になんて帰れない。
今井も、今日も部活が終って当然のようにこの家に来ちまった俺を追い帰そうとしないってことは、それを心配しているのかもしれない。
明日は部活が休みだし、塾なんて行かなくてもどうでもいいから、1日今井と一緒にいてやりたい。
夜中に小さな物音がするだけでびくっと身体を揺らせてるってことは、きっと安心して寝れてないってことだろうからさ(ちなみに俺達は居間で一緒に寝てる。……もちろん別々の布団でな)。
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