強い風の通り抜ける、ゴツゴツとした岩場に、黒髪のポニーテール、上半身のみの白い装束の女がたたずんでいた。……少々恥ずかしい格好をしているが、麻莉亜である。

風の女神への昇格が決まった彼女は、同じ「人間あがり」のマルスの下に修行に来ていた。
この、上半身から少しだけ伸びたミニ着物の、見た目恥ずかしい修行着は、より風と一体に成るために、風との接点を増やす為に開発されたものであって、決してマルスの趣味を具現化した物ではない。

……いや、少しは入っているかもしれないが。

環境によって、様々な表情を見せる風の声を聞き、その身体に感じ、その風がそこに吹く意味を知るための修行。恥ずかしくても、未だ未熟な彼女は、この服を変えることは出来ない。

(うう、こんな格好、彼に見られたら死んじゃうわ)

などと考えつつ、意識を風に傾ける。
しかし、そんなことを考えた時こそ、彼はやってくるのだ。

「麻莉亜っ修行頑張ってるかっ、応援しに来たぜ!」

岩陰から突如現れる彼。二人の目が会う。そして、

……しばしの沈黙。

「こ、、このばかぁぁぁぁ!」

彼女の鉄槌と共に、怒りの声が風に乗って世界中に響き渡った。
(勇者屋キャラ辞典:麻莉亜
文:若菜綺目羅
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