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ガンガンァンッ 静かな山奥に銃声が響く。フォトン弾を主としたこの世界に置いて、それは珍しい光景だった。 両手に長身の拳銃を持った、黒を基調とするパーツのデザインの女性キャストの前に、その十数倍はあろうかという巨体の魔獣がひれ伏していた。 「マスター、お怪我はありませんか?」 無表情に淡々と語る女性キャスト。その正体は、主である旋璃亜の異界渡りに魂を惹かれ、この世界の住民であるキャストに魂を宿し、仮初めの姿を得たエックスだった。 この世界に来て二週間。 旋璃亜はその戦いと生活に慣れる事が出来ずにいたが、エックスは問題なくこの世界にとけ込み、彼女のサポートをしていた。 この世界の「キャスト」というコスチュームを着込んだのと同義。彼女に世界の壁は全く意味を成さない。 「ああ、すまない。しかし、お前には助けられるな」 感謝の言葉と共に肩に手をおく。 いつもは無表情のエックスが、かすかに笑った様に見えた。 「いえ、気になさらないで下さい、マスター。私はいつでも、貴女のお側に」 「? そうだな」 エックスの言葉に微笑みを返す旋璃亜。 「何者でもなく、何者にも必要とされない」、故にX。その存在の全ては、彼女のためにあった。 それを歪められ、長い時間を過ごした彼女にとって今こそが至福の時間。それを未だ「聖王姫」である主が知るよしもないが…… 「良しエックス。もう少し奧に行ってみよう」 「はい、マスター」 この時間に、終わりが来る事は解っている。しかし、それでも今は少しでも長く、貴女のお側に……。 |
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(勇者屋キャラ辞典:旋璃亜、X) | |
文:若菜綺目羅 | |
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