WINTER EDITION '98-'99

 クリスマスものは去年やりましたので、今年は別の趣向で選んでみました。最近聞いたものから、ヴィンテージなアルバムまで、あるいは音で選んだものからジャケットで選んだものまで、いい加減で雑多なセレクトですが、冬のイメージということで滋味なアルバムを集めてみました。

 リクエストも募集していますので、あなたの選んだ冬向けのアルバムお待ちしています。

 それでは、ごゆっくりどうぞ!

[ YUKIO's WINTER COLLECTION '98-'99]

KATE & ANNA McGARRIGLE / THE McGARRIGLE HOUR
マクギャリグル・アワー
1998年
 伝統的なマクギャリグル家のホーム・コンサートをそのままパッケージしてくれたという何ともありがたいアルバムです。トラッド・ナンバーを中心に清らかで暖かい歌声にしばし、聞き入ってください。しかも、応援にケイトの元旦那のラウドン・ウェインライト、そして今年デヴューした彼らの息子ルーファス・ウェインライトまで集まってくるなんて、いいですね。デヴューが近いという娘マーサもその才能の片鱗を見せています。この他リンダ・ロンシュタット、エミルー・ハリスなどの参加もありヴァラエティ豊かなマクギャリグル・ファミリーにさらなる色を添えています。お試しあれ。

RUFUS WAINWRIGHT/RUFUS WAINWRIGHT(1998年)
 ヴァン・ダイク・パークス、レニー・ワロンカーらのバーバンク勢がプロデュースにからんだケイトの息子のデヴュー作。トム・ウェイツとかランディ・ニューマンなどが好きな人は要チェックかもしれません。かなりアクの強いシンガーであり、上記の『マクギャリグル・アワー』でも異彩を放っています。
LOUDON WAINWRIGHT III / UNREQUITED(1975年)
 ケイトの元旦那であり、ルーファス・ウェインライトの父親でもあるラウドン・ウェインライトですが、このアルバムの最後に「RUFUS IS A TIT MAN」というルーファスのことを歌った曲がおさめられています。
KATE & ANNA McGARRIGLE / KATE & ANNA McGARRIGLE (1975年)
 例の探検隊によりCD化されたデヴュー作。リンダ・ロンシュタットが取り上げた「ハート・ライク・ア・ホイール」など単にフォーク・ソングとしてはかたづけられないアーシーながらも芳醇なポップ感覚は素晴らしいものがあります。


JOHN SIMON / HOME
ホーム
1998年
 ザ・バンド初期のプロデューサーとしてというより、ほとんどメンバー同然だったともいえるジョン・サイモンの5作目です。完全に自宅で録音されたということで、ピアノの弾き語りをメインとした一人多重録音のシンプルなサウンドですが、ノスタルジックなジョン・サイモンの世界を表現するに必要十分であるといえます。けっしてシンガーとしては上手いほうではないのでしょうが、この暖かく味わい深いヴォーカル、逸品といっていいでしょう。


HIRTH MARTINEZ / I'M NOT LIKE I WAS BEFORE
ミスター・ドリームズヴィル〜夢の旅人
1998年
 ザ・バンド人脈の中で、70年台後半に2枚アルバムを出して以来の21年振りの新作とやらで...。ジャケットからして夏向きかなとも思いますけど、この暖かい音は是非とも寒い時期に聞きたいものです。洗練されたジャジーなサウンドとともに、あなたの部屋にきっと温もりを届けてくれることでしょう。今年は懐も寒そうですからね...。


ELVIS COSTELLO with BURT BACHARACH / PAINTED FROM MEMORY
ペインテッド・フロム・メモリー
1998年
 キャロル・キング(多分)を題材にした映画『グレース・オヴ・マイ・ハート』のエンディングテーマ「ゴッド・ギヴ・ミー・ストレングス」を切っ掛けに制作されたアルバムです。この以外ともいえるコラボレーションは、結構効いてます。コステロが醸し出す骨太感が、バカラックの甘さと見事に調和した大人の男の世界をつくりだしており、バラード・アルバムとバカにしてはいけません。すでに名盤の貫禄漂う1枚と言えます。


GENE CLARK / GENE CLARK
ホワイト・ライト
1971年
 ブームとも言える今年のアメリカン・ルーツ・ロックの再発CDの中では、ジェシ・デイヴィスの『ウルル』とともに、最もインパクトのあった1枚かも...。ジェシのプロデュースのもと、シンプルで素朴な歌には、心洗われます。できることなら美しい雪景色の見える部屋で、グラスを傾けながら、しみじみと聞きたいものです。正月向けには、最適かもしれません。これ聞きながら、年頭の誓いなんて...。 また一つ幻の名盤が、幻でなくなりました。


LOEN RUSSELL & MARC BENNO / ASYLUM CHOIR II
アサイラム・クワイヤII
1971年
 モノトーンの美しいジャケットで選んでみました。LAスワンプの中心人物ともいえるレオン・ラッセルとマーク・ベノのコラボレーション。60年代末の録音ということで『サージェント・ペパーズ』の影響の大きいこのアルバム、確かにサイケデリックな感じもしますが、レオン・ラッセルのアクの強さがいい意味で発揮されており、はやくもスワンプの匂い漂う好盤です。


STEVE YOUNG / SEVEN BRIDGES ROAD
セヴン・ブリッジス・ロード
1981年
 この雪景色は、ナッシュビルなのでしょうかね?イーグルスやリタ・クーリッジのカヴァーが有名なタイトル曲ですが、これのみ新録音であとは、71年の音だという変則リイシュー盤です。なんてことないカントリー・フォークといってしまえば、それまでですが、ライ・クーダーだとかナッシュビルの例の市外局番615の人達がいい味出してます。カントリー・ワルツが泣かせてくれる好盤。


RITA COOLIDGE / RITA COOLIDGE
リタ・クーリッジ
1971年
 冬には関係ありませんが、「セヴン・ブリッジス・ロード」が出たところで、ついでに。デヴュー作ながら、豪華なミュージシャン達に引け劣らずに堂々とした歌い振りが見事です。まさにLAスワンプの歌姫(デルタ・レディなんて言うのかな?)ここにありです。マーク・ベノ、ニール・ヤングらの名曲の中でも、やはりヴァン・モリソンの「クレイジー・ラヴ」が好きだな〜。選曲もよし。


VAN MORRISON / MOONDANCE
ムーン・ダンス
1970年
 「クレイジー・ラヴ」が出たところで、やっぱり本家も紹介しなければね。ちなみに、この曲、ジェシ・エド・ディヴィスも1stアルバムで取り上げてます。よく孤高なんて形容されるこのお方ですが、このアルバムは比較的キャッチーな曲が多くて、気に入っています。子供の頃はあまり興味なかったのだけど、年を取ってくるとこんなのがしみるのです。西海岸に移ってからの『テュペロ・ハニー』もまたいいですけど...。


LEVON HELM AND THE RCO ALL-STARS
リヴォン・ヘルム&ザ・RCO・オールスターズ
1977年
 またまた冬景色のジャケにつられて...泣く子も黙るザ・バンドのドラマー、リヴォン様のソロ・デヴュー作。ザ・バンドをもっと南部風にした感じでしょうか、こんなの酒飲んで聞いてたらトロトロになってしまいます。寝正月のお供にいかが?ドクター・ジョン、ポール・バターフィールド、スティーヴ・クロッパー、ブッカー・T・ジョーンズなどが好演、悪いはずがない。


JONI MITCHELL / HEJIRA
逃避行
1977年
 サウンド、ジャケットともにアートと言って良い素晴らしい作品。原題の意味は、「大量移動(移住)」を意味するらしいですが、年末年始の民族大移動もこんなアルバムでも聞いて、落ち着いてみたらいかがでしょうか?ジャコ・パストリアスのベースやラリー・カールトンのギターの素晴らしさは言うまでもないですが、ジョニのギターもこのシンプルな音空間の中で、しっかりと存在感を主張しています。


PAT METHENY GROUP / STILL LIFE (TALKING)
スティル・ライフ・トーキング
1987年
 芸術的といえば、やはりこの人も...。ギタリストとしても、もちろん素晴らしいのですが、パットの魅力はやはりその独特の音空間にあります。ジャンルなどという言葉が虚しくなってしまう、まさに人類あるいは生命のための音楽といえるでしょう。ヒット・ナンバー「ラスト・トレイン・ホーム」も収録されていますので、電車で帰省される方はこれで泣いてください。名曲です。ちなみにアルバム原題は『静かな暮らし(物語)』とでも訳すのでしょうかね?


ROGER NICHOLS and A CIRCLE OF FRIENDS / BE GENTLE WITH MY HEART
ビー・ジェントル・ウィズ・マイ・ハート
1995年
 ここらでちょいと一息ポップなアルバムを...。ロジャー・ニコルスといえば67年の『ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オヴ・フレンズ』というソフト・ロックの傑作で有名ですが、本作は28年振りの2ndアルバムです。カーペンターズでヒットした作品などのリメイクと新曲からなる穏やかなMOR作品ですが、やはり「ドリフター」(1stにボーナスで収録)はいい曲ですね。オリジナルの新曲クリスマスナンバーも入ってます。


NICK DeCARO / LOVE STORM
ラヴ・ストーム
1990年
 ロジャニコとくれば、この人も...。サブタイトルが『ニック・デカロ シングス 山下達朗』ということでバブル時代の立派な企画ものなのですが、今聞き返してみるとこれがなかなかいいです。ニック・デカロのオリジナル・アルバムみたいに聞こえてくるから不思議。オリジナルも2曲収録されており、「クリスマス・イヴ」もちゃんと入っております。デヴィド・T・ウォーカーのギターも聞けるし、悪くない。


CAMEL / THE SNOW GOOSE
スノー・グース(白雁)
1975年
 おっと忘れちゃいけないブリテッシュ勢!まずは、プログレを代表してこの一枚。キャメル初期の傑作として、叙情派プログレの代表作とも言えるこの作品は実に美しいトータルアルバムです。ギター、フルートのアンディ・ラティマーとキーボードのピート・バーデンスの織りなすリリカルなアンサンブルは、けっしてテクニックをひけらかすことなく、コンポーズとアレンジの素晴らしさが良く伝わってきます。ロック室内楽なんて...?


CHRIS REA / AUBERGE
ヘヴン
1991年
 続いておなじみのクリス・レアさんです。比較的ゆったりした曲が多いこのアルバムですが、私の場合、冬の早朝まだ薄暗い時間に車でどこかへ出かける時は、必ずこれ聞いてる時期がありました。例によってスライド・ギターがフィーチュアされていますが、米南部風にはならず、しっとり哀愁感溢れる音になるのはやはり国民性なのでしょうか?ハードボイルドな冬休みのドライヴのお供にお薦めします。きっと景色も変わって見えることでしょう。


DANNY HATHAWAY / LIVE
ライヴ
1972年
 寒い季節ですのでこのアルバムで70年代初頭のホットなライヴ・ハウスにタイムスリップでもして頂きましょう。LAとNYで収録されたこのアルバム、「ホワッツ・ゴーイン・オン」、「ユーヴ・ガット・ア・フレンド」、「ジェラス・ガイ」などお馴染みの曲の他、「ゲットー」、「エヴリシング・エヴリシング」等のソウルフルな代表作を取りあげ、まさに観客と一体化した熱演と言えます。コーネル・デュープリーらの職人的なプレイにも注目です。

WINTER COLLECTION '97-'98

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