Music:WONDERFUL TONIGHT/ERIC CLAPTON

[1977年の名盤]
1977年の出来事へ


Simple Dreams/Linda Ronstadt
1977年
夢はひとつだけ
ウエスト・コーストの歌姫、リンダの代表作の一つです。オールディーズのカヴァーでヒットした「イッツ・ソー・イージー」で快調に幕をあけますが、このアルバムの本質はこの曲ではなく大半を占めるカントリー・バラードを含むスロー・ナンバーにあると思います。ウォーレン・ジヴォン、J.D.サウザー、エリック・カズといったシンガーの曲を素直な声で歌いあげるリンダは、女らしく可愛らく、心暖まる作品となっています。 プロデューサーはジェイムス・テイラーなどでお馴染みのピーター・アッシャーです。


Just A Stone's Throw Away/Valerie Carter
1977年
愛はすぐそばに
もとフィフス・アヴェニュー・バンドのジョン・リンドらとハウディ・ムーンというグループを結成したり、リンダ・ロンシュタットやジャクソン・ブラウンなどのバック・ヴォーカルでお馴染みのヴァレリーのファースト・アルバムです。ハウディ・ムーンからの縁なのか、ローウェル・ジョージが2曲コ・プロデュースしてリトル・フィートのメンバーたちとレイド・バックしたサウンドを聞くことができます。またE,W&Fのモーリス・ホワイトも2曲コ・プロデュースしており、こちらは当然E,W&F的ファンキー・サウンドということになりますが、全体としては透明感のあるヴァレリーの歌とともに非常に洗練されたウエスト・コーストらしさのある都会的なサウンドを聞くことができます。


JT/James Taylor
1977年
JT
ワーナーからCBSに移籍し、プロデューサーも初期のピーター・アッシャーを再び迎え髪も短く髭も剃り落としたカバーにもうかがえる心気一転の作品。サウンド的には セクション、アティテュードのダニー・クーチを中心として、ワーナー後期のコンテンポラリー・サウンドを継承しながらも、全体としては初期の頃を彷彿させるメローな仕上がりになっています。軽快なポップ・ナンバーから、カントリー・バラードまで聞かせどころもたくさんあり充実してます。


Slowhand/Eric Clapton
1977年
スローハンド
 『スローハンド』という意味ありげなタイトル、ジャケットのデザイン、そして1曲目のギター・リフからして、クラプトンのかつてのギター弾きまくりを期待してしまいますが、そのスローハンド的雰囲気もJ.J.ケール作の1曲目「コケイン」のイントロ及びギター・リフにとどめるという小憎らしい演出?により、従来のレイド・バックしたプレイを引き立たせる効果を発揮しています。
 このアルバムから、プロデューサーはイーグルスの初期2作で有名なグリン・ジョーンズになりました。そのせいかどうかブルース・ナンバーが取りあげられず、全体に軽いカントリー・タッチに仕上がっています。2曲目の「ワンダフル・トゥナイト」は、レイラこと妻パティのことを歌った甘いバラードですが、クラプトンの名曲のひとつと言えます。前作あたりから、前面に出るようになったマーシーですが、クラプトンの共作となるポップなカントリー・ナンバー「レイ・ダウン・サリー」はシングル・カットされかなりヒットしました。またタイトなナンバー「ザ・コア」もマーシーの瑞々しいヴォーカルによってハイライト・ナンバーとなっています。
 美しいインストルメンタル・ナンバー「ピーチズ・アンド・ディーゼル」で締めくくるわけですが、どちらかというと全体にバンド・サウンドは控えめに、よりヴォーカルを聞かせる1枚になっています。


Rumours/Fleetwood Mac

前作「ファンタスティック・マック」に続いて、4曲のヒット・シングルを生み出した脅威のベスト・セラー・アルバム。けだるいグルーブとでもいえそうな独特の個性があります。'77年グラミー賞最優秀アルバム。


The Stranger/Billy Joel
ストレンジャー
ウエスト・コーストばかりがアメリカではないとばかりに、都会ニューヨークを歌うビリー。名曲「素顔のままで」、「ストレンジャー」を収録。'78年のグラミー賞レコード・オブ・ジ・イヤー、ソング・オブ・ジ・イヤーを獲得し、一躍メジャーになりました。


All'n All/Earth Wind&Fire
太陽神
絶頂期の会心作。大ヒット曲「宇宙のファンタジー」を収録してますが、曲間を短いインタールードでつなぎコンセプト・アルバム調にしているせいか全体の中でなじんでいます。ディスコ・ブームではありましたが、ブラック・ミュージックなどというジャンルを超越した完成度をほこる音です。


Aja/Steely Dan
彩(エイジャ)
スティーリー・ダンの最高傑作。メンバーの脱退などで後期はドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーのふたりのユニットに一流のスタジオ・ミュージシャンを交えて、完璧なスタジオ・ワークでアルバムづくりをしていました。フュージョン系のミュージシャンを起用し音もジャジーになっています。とくに、スティーヴ・ガッドのドラムは素晴しい出来です。

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