Music:FIRE AND RAIN/JAMES TAYLOY
[1970年の名盤]
1970年の出来事へ
Eric Clapton/Eric Clapton
1970年
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エリック・クラプトン・ソロ
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このアルバムの評価が低いのは、このアルバムの出来にあるのではなく、ファンがクラプトンに求めるものとクラプトンが本当にやりたい音楽のずれによるものだと思います。クリーム的ブリテイッシュ・ハード・ロックのギタリストとして期待されながらも、クラプトンが選択したのは、ブルースの母国アメリカの土臭い南部系の音楽でした。
デラニー&ボニー
のデラニー・ブラムレットのプロデュースとなるこのアルバムは、当然のごとくバックもデラニー&ボニー・ファミリーで固められ、クラプトンのスワンプ・ロック入門ってな感じで、ちょっと初々しい?クラプトンのヴォーカルを聞くことができます。もちろんギターもギンギンじゃないけどちゃんと弾いていますよ。
結構佳曲も多く、アップ・テンポにアレンジされた
J.J.ケール
の「アフター・ミッドナイト」は、今後のクラプトンの方向性を決定づけるナンバーといえます。またしなやかなポップ・センスのある「イージー・ナウ」、「レット・イット・レイン」などのナンバーもデラニー色の強いこのアルバムの中で、クラプトンらしいものとなっています。習作と決めつけるわけにはいかないなぁ!次作『レイラ』を聞いてしまうと習作に聞こえてしまうけど、『レイラ』は別格ですからね。
Magic Christian Music/
Badfinger
1970年
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マジック・クリスチャン・
ミュージック
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アイヴィーズを前身とするバッドフィンガーのデヴュー・アルバムは、「明日の風」、「メイビー・トゥモロー」やポール・マッカートニー作のシングル「カム・アンド・ゲット・イット」(映画『マジック・クリスチャン』のテーマ曲)など後期ビートルズ・フレイバー(特にポール的)たっぷりのビートルズ・ジュニアって感じで仕上がっています。
このアルバムは、アイヴィーズ時代の録音、新曲、映画『マジック・クリスチャン』用の録音などで構成されており、ちょっと寄せ集め的感じでもありますが、個々の曲は皆メロディアスでいいですよ。
バッド・フィンガーといえば、ニルソンでヒットした「ウィズアウト・ユー」のオリジナル・アーティストであることでも有名ですが、それは次作「ノー・ダイス」に収録されています。なお、中心メンバーは、トム・エヴァンスとピート・ハムですが、すでに亡くなっています。
All Thing Must Pass/George Harrison
1970年
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オール・シング・マスト・パス
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ビートルズ解散後のメンバーのソロとしては最も早く大ヒットしました。 ビートルズ時代の抑圧された環境から解放されたジョージがその才能を一挙に開花させた作品です。エリック・クラプトン、デイヴ・メイスン、デレク&ザ・ドミノス、バッド・フィンガーらをゲストに迎え、一人のアーティストとして立派に自立できることを見せつけたLP3枚組は、フィル・スペクターとの共同プロデュースで生まれた必聴の大作です。「マイ・スィート・ロード」、「美しき人生」のヒット曲や「イズント・イット・ア・ピティ」、レオン・ラッセルも取り上げた「ビウェア・オヴ・ダークネス」などの数々の名曲、そしてエリック・クラプトン、デイヴ・メイスンらとのジャム・セッションとジョージはすべてを出し切っていて好感がもてます。非常に幅広く奥深い世界を築いています。
Sweet Baby James/
James Taylor
1970年
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スウィート・ベイビー・ジェイムス
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60年代が終り、70年代前半のロックの通奏低音としてのテーマがヒーリングとすれば、 このアルバムはまさにその幕開けにふさわしいものでしょう。ブルースやカントリーを背景としたアコースティックなサウンドながらフォーク・ソングとは一線を画すポップな都会的センスが随所にちりばめられています。
Let It Be/The Beatles
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レット・イット・ビー
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ビートルズ最終アルバムで同名記録映画のサントラ盤。ただし録音は'69年発表の傑作「アビーロード」の前。映画を見た人はわかると思いますが、かなりメンバーの精神状態は悪い状況での録音です。そのわりにはいい曲もかなりあります。
John Lennon/Plastic Ono Band
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ジョンの魂
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ジョンのソロ・デヴュー作。ビートルズとの決別そしてより内省的なメッセージを切実に歌います。
Bridge Over Troubled Water/Simon&Garfunkel
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明日に架ける橋
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オリジナル・アルバムとしては5作目にしての最終作。もはやフォーク・デュオではなくポピュラー音楽界最高のデュオでありました。グラミー賞では最優秀アルバムを含む6部門を獲得しました。
Atom Heart Mother/Pink Floyd
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原子心母
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直訳だが絶妙の邦題です。実験的でサイケデリックなロックをつくり続けていた彼等が、プログレッシヴ・ロックとして見事に昇華した名作。A面全部で展開したタイトル曲は、クラシカルなオーケストラとバンドが自然に融合して、リリカルな演奏となっています。B面にはアコースティックな曲を並べていますが、メロディアスで魅力的な曲ばかりです。
Deja Vu/Crosby,Stills,Nash&Young
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デジャ・ヴ
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C,S&Nにニール・ヤングが加わった、バッファロー・スプリングフィールド、バーズの流れを組むウエスト・コーストのスーパー・グループ。C,S,N&Yとしては70年代唯一のスタジオ録音(80年代になって「アメリカン・ドリーム」というアルバムを発表)。カントリー、フォーク、ロックのバランスを保ちながらヴァラエティ豊かな作品となっています。
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