「東福寺」
洗玉澗ごしに通天橋を臨む
 仕事で、たまたまこの東福寺の通天橋のことを書く機会があり、ぜひ行ってみたくなり、矢もたてもたまらなくなって、無理矢理スケジュールの都合をつけて駆けつけたのが、この11月の京都旅行でした。しかし‥早朝から、観光客が押すな押すな状態なのには、びっくりしました。開門後20分ぐらいしか経っていないのにこの人手でした。
「東福寺」
通天橋の上からの洗玉澗の眺望
 東山の最南部の山腹の20万平方mの広大な寺域に、25の塔頭を従える大寺院の東福寺は、京都五山の1つに数えられる臨済宗東福寺派の大本山です。
 嘉禎2年(1236)に、摂政九条道家が、20年の歳月をかけて建立しました。 境内は、地形を生かした、山あり、谷あり、橋ありの変化に富んだ景観が、数々の伽藍と見事に調和しています。
ことに、本堂と開山堂を結んでいる通天橋から眺める渓谷、洗玉澗は、名高い紅葉の名所です。
 今回は、この東福寺の通天橋と洗玉澗を見るための寄り道だったので、とにかく、これだけの風景を見ることができて満足しています。これほどまでの紅葉を一生のうち、何回見ることができるかわかりません。 
「東福寺」
通天橋の上から
 とにかく、ドラマティックな1日でした。1人で見るのがもったいないほどの紅葉でした。
このとき、旅ですれ違った人が、紅葉の美しさは、どこか魔性すら帯びている‥と言っていましたが、確かに歌舞伎の「紅葉狩」にしても、源氏物語の「紅葉賀」にしても、どこかスリリングだったりサスペンションを内側に秘めています。
「東福寺」
回廊
 通天橋からは長い回廊をめぐって、方丈庭園へとつづきます。静かな森に包まれた早朝の長い回廊をしずしずと歩んでいると、なんだか、平安絵巻の中にいるような気分になりました。
「東福寺」
庭園
vol.1
 東福寺の、見所のひとつは、庭園にあります。この見事な植え込みと苔の織りなす築山が印象的な庭園の反対側には、砂だけで碁盤の目のように表現された石庭があるのですが、そちらは砂の表情がうまくファインダーに収まってくれませんでした。‥というか、人が多すぎて、1時間近く粘っても、人波が途切れずシャッターが切れなかったのです。
「東福寺」
庭園
vol.2
 石の一つ一つにさえ、涅槃の世界の奥行きを感じます。でもすごく観光客が多くてざわめいているのが残念でした。やはり、ほんとうに禅の世界と向き合いたかったら、人のいない時間に行かなくてはいけませんね。あるいは、ある特定のエリアしか立ち入ってはいけない‥というように決めないと。人のざわめきが、せっかくの芸術的な美しさの庭を壊していました。ファインダーには収まっていないけど。
「東福寺」 この花頭窓の載った禅堂は、開山堂という名前です。たくさん、伽藍があったので、迷子になりながらの散策でしたが、とくにここはひときわ美しい建築。上層にある伝衣閣という楼閣はエキゾチックな美しい造りで、庭園を見下ろす作りになっています。
「東福寺」
金堂遠望
この寺の伽藍の美しさは、地形の複雑さとあいまってさらに趣を増しています。色づく木々の向こうに見えているのは金堂の屋根。どの堂宇も、禅様を踏襲しながらもどこか風雅さが漂います。国際観光地京都のなかでも、5本の指に入る紅葉の名所と言い切ってかまわない‥そう思います。
「萬福寺」
境内
 萬福寺は、インゲン豆を伝えたことで知られる明の僧、隠元が開いた黄檗宗総本山の寺院です。伽藍配置や建築などすべてに中国禅宗様式を残しています。それだけではなく、中で交わされる僧同志の会話も明の時代の中国語だ‥とか。
 寺内では予約すれば、隠元が伝えた「普茶料理」を食することができます。いわば精進料理の中華版で、冬は中華風しゃぶしゃぶなどが着いたコースも選べます。できるだけ3人以上での申込みがベストですが、お弁当形式もあり、この日私と友人は、料金3000円のお弁当コースを選びました。なかなか色とりどりで、可愛いので絶対お薦め‥とくに女の子には、ゼッタイお薦めです。 
「萬福寺」 萬福寺は明の様式による異国的な建築が特徴で、女流俳人の菊舎が、"山門を出れば日本ぞ茶摘みうた"と詠み上げたほどの、エキゾチシズム漂う禅の寺院です。承応3年(1654)に来朝した隠元が、中国の黄檗山萬福寺にならって建立。14世竜統が日本人初の住持となるまでは13代までずっと明僧が住持をつとめ、建築、経、日常語まで今も明の様式が色濃く残ります。伽藍配置が三門、天王殿、仏殿、法堂(すべて国重文)が一直線上に並ぶという構造も意匠も中国的。先日訪ねたばかりの紫禁城を連想しました。この祭壇の雰囲気もまさに中国ですね。
「萬福寺」 あまりにも、中国‥チャイニーズな雰囲気に出会い、とにかく嬉しくなってしまい、訪中旅行で知り合った人たちへの年賀状へは、ここの写真をつかいました。ああ。また中国行きたい。7月と9月に行くことがほぼ決まっているけど、できるものならば明日荷物をまとめて中国の春を見に、成田から飛び立ちたい‥でも、中国は外国人の出入国にとても厳しいのです。女1人旅だとビザの取得がややこしいのです(涙)
今朝、4hもある中国の菜の花畑の映像がテレビで紹介されていました。ああ。いいなぁ(溜息)









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いつも風まかせ、お天気まかせのライターyoyoko
気まぐれ写真館、第2弾は京都を2回にわけて‥
錦秋に彩られた古都のあでやかさを、
私なりの心の目線で撮ってみました
§京都  編  その2§ 2000..nov. 撮影
                  文・写真 yoyoko


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東福寺境内