法改正・その他の情報 030425改訂


 

030404  NEW!! 名古屋でも・・「地域に外から参入する場合は地域の伝統やルールを遵守すべき!」
 江戸時代の武家屋敷の町並みが残る名古屋市東区の白壁地区で、高さ三十メートルの高層マンションを建築している積水ハウス(大阪市)に対し、地区住民が、都市景観を破壊するとして高さ二十メートルを超える部分の建設禁止の仮処分を申請していた問題で、名古屋地裁の早川真一裁判官は一日までに住民側の申請を全面的に認める決定を出した。
 住民側代理人の弁護士は「(高さ二十メートルを超える部分のマンション撤去を命じた)昨年の国立マンション訴訟判決と流れを同じにしており、画期的な決定だ」と評価している。積水ハウスは一日、決定を不服として異議を申し立てた。
 決定によると、白壁地区は近代洋風建築物と武家屋敷の門や塀が残る閑静な住宅地で、名古屋市から町並み保存地区に指定されている。住民らは高さ二十メートルを超える建物の建築を自主規制してきた。
 早川裁判官は「地域に外から参入する場合は、地域の伝統や重要なルールを尊重することは当然の要請」とした上で、「落ち着いた町並みや景観とは、低層の建物であることが最も中核的な要素」と述べた。
 また「町並みや景観は高層マンションの引き立て役ではない。一度建てられてしまうと、業者による開発の歯止めがなくなる恐れが高い」と指摘した。
 ・「撤去」までの判決という部分が国立と同様でいかがかとは思う
 ・しかしながら、立て続けにこうした判決が出ている以上、事業者に一定の歯止めが掛かることも間違いないだろう
 ・他の紛争地区でも大いに参考にすべきだが、問題はこうした判決の後、住民が本当に自身の努力によって地域のガイドラインを作り上げることが出来るかどうかであろう
 ・「外からの参入者」が地域のルールを守ることは当然として、このルールは外からの参入者にも分かり易い必要がある

030410  NEW!! (以下、小泉首相のメールマガジンより抜粋)
● 電線類地中化への取組について(内閣官房副長官 上野公成)
 先日、都市再生戦略チームの伊藤滋座長が「緑陰道路を造ろう」と「街から電線を無くそう。」という寄稿をされましたが、国民の関心が高く、反響が大きかったので、早速副大臣会議で取り上げました。緑陰道路については、既にこのメルマガでお知らせしましたとおり、住民の方々と協力して豊かな街路樹を育んでいく取組を始めており、早速仙台市など13件を第1次モデル地区に指定しました。
 電線類地中化については、私と、この問題に関係する中馬国土交通副大臣、加藤総務副大臣、西川経済産業副大臣で検討を進めてきましたが、この度、「電線類地中化の着実な推進に向けた基本方針」をとりまとめました。電線類の地中化は、昭和61年度から平成10年度までに全国で約3,400kmが実施されました。現在は、平成11〜15年度の「新電線類地中化計画」に基づき、さらに3,000kmを目標に、従来の倍以上のペースで鋭意推進しています。ただ、まちなかの幹線道路については整備が進んできているものの、非幹線道路などは欧米に大きく立ち遅れているのが現状です。「基本方針」では、平成15年度は、現在の計画に基づき事業を行う中で、直ちに都市防災等の新たなニーズを踏まえた4つのモデル地区(※)を指定し、具体的な事業を実施しつつ、コスト縮減や費用負担、支援制度のあり方について検討を進めることとしました。その結果を踏まえ、平成16年度概算要求に反映するとともに、平成16年度からの新たな「電線類地中化計画」を今年度中に策定することとしています。この新たな「電線類地中化計画」では、
 (1) まちなかの幹線道路については引き続き重点的に整備すること
 (2) 都市景観に加え、防災対策(緊急輸送道路・避難路の確保)、バリアフリ−化等の観点からも整備すること
 (3) 良好な都市環境・住環境の形成や歴史的街並みの保全等が特に必要な地区においては、主要な非幹線道路も含め面的に整備す     ることを基本的な推進方針としたいと考えています。
 国・地方公共団体の財政事情も悪化しており、電力・通信分野の自由化の進展等で電線管理者の経営環境も厳しさを増している状況ですが、制度の見直し、コストの縮減等に一層の工夫を行い、国民の要望に応えていきたいと思います。緑陰道路の普及等とあわせて、緑豊かで住みよい街づくりが進むよう、地域住民の皆様のご理解、ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
※ 4つのモデル地区(東京都環状七号線、大阪府堺市、島根県津和野町、東京都文京区千駄木)

030203 公団の説明義務違反を認定 マンション値下げ訴訟
 都市基盤整備公団の賃貸マンションに入居していた住民58人(41世帯)が、購入したマンションの販売価格が高すぎたとして、公団にその後の値下げ販売との差額など計約5億7500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は3日、公団の説明義務違反を認め、計6700万円余りの支払いを命じた。
 今回は賃貸時から公団マンションに住んでいた購入者が訴えた特殊なケースだったが、公団マンションの値下げ販売をめぐる一連の訴訟で、住民側の賠償請求が一部認められたのは初めて。判決理由で芝田俊文裁判長は「値下げ販売した一般公募までは相当長期間が経過しており、公募価格を低く設定してはならないという義務までは負わない」と判断し、値下げ分が損害になることは否定。
 しかし公団がすぐに一般公募をしなかったことは「住民らへの販売価格がやや高額に過ぎ、その価格で一般公募をしても買い手がつかないことを認識していた」と指摘、「公団は信義則上、売買契約時点で、一般公募をすぐに行う考えがないことを説明すべきだった。住民らは適切な判断ができず、精神的苦痛を被った」と一戸当たり150万円の慰謝料を認めた。
 判決によると、千葉県柏市や横浜市港北区などの公団賃貸マンションに住んでいた58人は「一般公募に先立ち優先入居させる」という公団の説明を受け、1994−95年に、建て替え後の分譲マンションを3300万円台−5900万円台で購入。しかし公団は98年7月、未入居住戸について、柏市で平均約850万円、横浜市で同1630万円値下げして、一般に販売した。

030125  NEW!! マンション建築禁止 同一業者が隣接地着工 鹿児島地裁仮処分決定
 
鹿児島市の八階建てマンションの住民が、マンションの売り主で隣接地に別の十階建てマンションを建築中の福岡市の不動産会社を相手に「建設されると、日照が著しく阻害される」などとして建築禁止を求めた仮処分申請について、鹿児島地裁(平田豊裁判官)は二十四日、マンション建築を禁止する仮処分を決定した。
 決定は「日影時間が最大三時間四十七分にも及び、被害は相当大きい。原告の日照に配慮して適切な設計をしたとは到底認められない」と判断。「売り主自身が隣接地に(日照で)加害可能性のあるマンションを建築するという特殊事情は、受忍限度の判断の際に当然考慮される」と指摘、複数棟の大規模マンション開発を手がける業者側に日照権への配慮を求めた。
 訴えていたのは、鹿児島市原良町の「エイルヴィラリベルシティ城西」(四十戸)に住む三十三世帯四十五人。原告らのマンションは一九九九年十一月に完成し、被告の不動産会社から分譲を受けた。ところが、昨年になって同社が幅九メートルの道路を挟んだ南側隣接地にマンションを計画していることが判明。
 原告側が「分譲時、将来の日照に心配はないと説明された」として高さ変更を求めたが、同社は応じないまま昨年十一月に着工。現在、基礎工事をほぼ完了し、今年九月に完成予定。不動産会社は「決定を詳細に検討し、しかるべき時期に対応を表明したい」とコメントした。

030404  加筆
◆国立マンションで部分撤去命令 
20m超す高層部分に撤去命令 国立マンション訴訟
 東京都国立市の「大学通り」沿いに建設された高層マンションが「建築基準法に違反する建築物で、景観や日照に影響がある」として約50人の周辺住民らが、マンション4棟を建築した明和地所や入居者113人などを相手に、高さ20メートルを超える部分の撤去を求めた訴訟の判決が18日、東京地裁であった。宮岡章裁判長は「特定地域で独特の街並みが形成された場合、この景観利益は法的保護に値する」と述べ、大学通りに面する14階建て1棟について、7階以上にあたる高さ20メートルを超える部分の撤去を命じた。
 判決は、一定の自己規制を長期間にわたり継続した結果、独特の都市景観が形成され、広く一般社会でも良好な景観と認められ、所有する土地に付加価値が生まれている場合には、地権者に「景観利益」が認められるとの一般判断を示した。
 そのうえで具体的には、国立市の大学通り沿いは、広い幅で直線道路が続き、建物の高さは並木の20メートルを超えない、良好な都市景観が形成されたと認定。景勝地などに景観利益を認めた判決は過去にもあったが、都市景観をめぐっては初めて。
 また、判決は明和地所に対して、撤去するまでの間、マンション付近の住民3人に対して1カ月1万円と、弁護士費用900万円の支払いを命じた。
 マンションは14階建てで、高さ約44メートル。JR国立駅からのびる「大学通り」に面している。昨年3月の提訴時には建築中だったが、すでに完成、住民が入居している。
 建築計画が持ち上がった時点で反対運動が起こり、明和地所側が掘削工事に着手した00年1月、高さを制限する市条例が成立した。この裁判では、同条例の規制が及ぶかどうかと、景観保全が権利として認められるのかどうかが争われていた。
 判決はまず、条例施行時点でマンションはすでに建築中だったと認定し、「建築基準法に違反しない」と判断したが、同時に「同法は最低基準に過ぎない」と指摘した。明和地所側が地権者らとの協議は必要ないとして建築を強行した点を重視。「社会的使命を忘れて自己の利益の追求のみに走った」と企業姿勢を批判した。
 この問題をめぐっては本裁判の前に、建築差し止めの仮処分が申請された。東京高裁は00年12月、マンションには条例の規制が及び、違法建築だと認めつつ、「景観阻害は差し止めの根拠とはならず、日照被害は受忍限度内」として住民側の申し立てを退けていた。

 多くの問い合わせに対し、コメントが遅れましたこと、最初にお詫びいたします

 ・錯誤があるかも知れないが、まず問題を整理する
 ・当初、明和地所は確かに住民の意見等を無視、44mの建物を建設した
 ・しかしこの時点で住民側にも20m制限を明確に唱う基準のようなものはなかった
 ・また少なくともこの20mを超える建物を、この時点で住民も建設することになんら法的な障害はなかった
 ・その後本件は、①建築確認(44m建設可能)、②地区計画策定(20m制限)、③訴訟という流れで経緯
 ・当初、住民側が地区計画の合法性について勝訴した(大いに賛同する!)
 ・これに対し、事業者側は行政への損害賠償請求権を獲得した(これにも賛同する!)
 ・当会としても、
ここまでの判決には一定の合理性があるし、自信が用いる手法(一定の協定によって建物を制限)でもあり賛同できる
 ・しかし、
今回の撤去命令には大きな疑問がある
 
○地区計画の策定過程についての疑問
 ・国立の住民活動に対しては当然、一定の敬意を払うものの、しかしながら本当に地区計画策定は住民の大多数の合意とか、意見交換の後になされた手続きなのだろうか?
 ・ご存じのように地区計画は住民の合意が無くても市長の決裁で手続き上は策定が可能である
 ・この手法の盲点は、実質的な住民参加や民意の反映がされにくい部分である
 ・例えば当会で支援した住民協定の策定には
40回以上もの協議を重ねた末に成果を上げた地区もある
 ・アメリカのある街ではマスタープランの策定に
200回以上の会合を開催している
 ・回数だけの問題ではないが、本件でこうした手続きがどこまでなされたのか、また、高さ制限以外の地区計画の項目に対して充分な説明や議論がなされたのか、今後、このHP上でも大いに議論して行きたいと考えている
 仮に本当に十分な理解なくして法的制限を設けたのだとすれば大問題としか言いようがない

○手続きの順序と解体の合理性
 ・仮にこの撤去義務が本当に事業者にあるとして、では何を信頼して事業者は建設行為を行えばよいのだろうか?
 ・この問題では一貫して時期の問題、すなわち「建物着工と地区計画」の前後が論じられている
 ・しかしながら、本件に限らず建設行為は基本的には
建築確認時点を持って公になっているというべきである
 ・つまり、大変申し訳ない言い方になるが、ことがこうなるまで我が国の不備な用途規制を、放置してきた
市民の責任が忘れられているように思えてならない
 ・いかに悪質とはいえ一方的に事業者に全てを押し付けるのはいかがなものだろう
 ・またこの事例がむしろ他地区の住民に対しては、逆説的な安心感を与えたという見方もできる
 ・私見として、大変大きな問題を内包する判決であり、住民の喜びに水を掛けるようだが、事業者の住民無視という姿勢に一定の歯止めを掛けたという部分以外に、この撤去命令には
賛同できない

021219   <滋賀>豊郷小学校取壊し中止仮処分決定
 滋賀県豊郷町の町立豊郷小学校の校舎解体問題で、大津地裁はきょう、町に対 し解体工事差し止める仮処分を決定しました。豊郷小学校の解体を巡っては、アールデコ様式の校舎の保存を求める一部住民 と、耐震性などを理由に取り壊して改築したい町との間で対立が起こっています。住民らは、これまでに工事の差し止めを求める仮処分を裁判所に申請したほか、町長をリコールして解体の是非を問うための署名運動をしています。そ してきょう大津地裁は、「校舎の文化的価値や耐震性について十分な調査・検討がなされていない」などとして、取り壊しを差し止める仮処分を決定しました。しかし、町は当初から、「裁判所の決定に関係なく解体する」という強硬姿勢をとっていてすでに工事の準備を始めています。

【住民会見】『町は裁判所の命令にしたがうべきだ』 豊郷町は、「裁判所に対して速やかに異議申立てをして行い、校舎取り壊しは予定通り22日に着手する」としています。

■020605 小泉内閣諮問機関中間取りまとめについて
 ・中間報告として以下が報告されました。規制緩和が続く中、朗報であると考えます。
     ・不動産鑑定手法で収益性を重視した手法の定着促進を平成14年度中に図る
     ・容積率の根拠について説明責任をはたす

■020502 第20回住宅街づくりフォーラムが地区計画を特集・・当会HPの開設は99年なので
       ・・「三年遅れています」が、ようやくここまで来たかというのが実感です!!

  ・表記フォーラムが(財)住宅都市工額研究所主催 平成14年6月11日(火)10:30から16:20の日程で開催
  ・会場は、文京区行楽1-4-10 住宅金融公庫すまい・るホール 定員150名 です
  ・当日の講演題目Ⅱは「横浜市における
住民発意の街づくりの事例」
  ・講演題目Ⅲは「
地区計画によるマンション建設の整序」 です
  ・当会では99年よりこれら手法について提起、実践を行ってきました
  ・ようやく公にこうした活動が評価されることとなりそうです

020220 来年度法改正のポイント
○マンション建替の取り組みに朗報!!
 これまでのマンション建替は①建て替え議決の取得、②建て替え議決後の建て替え事業推進に大きな制度上の弱点を持っていた。今回の法改正によって、①については
建て替え議決以前からの専門家派遣への助成が可能(ただし管理組合内部に「建て替え研究会」等の設置は必要)となり、②についても今秋に区分所有法の整理が進む見通し(本件についてはまだ未確定段階)。②についての問題は「(建て替え費用の)過分性」と「老朽化」という文言の定義についての争いがあげられるが、この点について整理のための協議が進められている。
○民間団体(NPO法人を含む)による都市計画提案の制度化
 土地所有者等の2/3以上の合意を得た
民間団体が都市計画を提案できるようになる都市計画法改正案の概要を国土交通省が固めた。これにより当会が数年前より主張してきた「住民主導街づくり」が一気に推進されることとなる。今回の改正で①マンションの進出抑制、②用途制限、③公園・道路等の公共施設についても住民から行政へ提案できるようになる。提案がなされると行政にはこれを審議し、不採用の場合でもその理由を通知する義務を負う。昨年6月の地区計画の住民提案については既報の通りだが、都市行政への市民参加に新たに大変大きな一歩が開かれた。
○上記情報提供に対する各地の反応020221

 都市計画の大きな進展に対して、各地からの反響が伝えられました。以下、匿名にて掲載させていただきます。
ご無沙汰しています。このように、少しずつでも良いからみんなが住みやすい街づくりができるようになると良いですね。私も、その後どっぷりと建築問題にはまり、各地の手助けなどをしております。
・先日は遠いところご足労いただきありがとうございました。今週は議会の陳情と集会準備と、あさから真夜中までパソコン、チラシ配布、コンビニコピーとか、めまぐるしいので、ご連絡はなかなかむずかしいので、お許しください。わたしは、前向きに考えております。集会後、先生の話を打ち合わせすることになりました。その後、ご連絡します。
・拝見しました。早く、そして凄い進展ですね。地権者へのアピールなどを控えている本地区にとっては非常に助かる行政意向です。この波にうまく乗っていき続けたいものです。協定主旨の説明や区域拡大(町内会など)にうまく利用したいと考えます。
・【お電話】 良かったですね。数年前に河川法が改正されて、こうした流れが少しずつ出てきはじめていました。今後ともどうぞ頑張って下さい。(弁護士)

■法務省が区分所有法の改正を検討 010216
・法務省は平成13年2月16日、法制審議会にマンションの建替を円滑に進めるため、区分所有法の改正に係る諮問を行った。
・現在の法定議決4/5の要件となる老朽化や損害の基準が明確でないため、これらについて検討を進めている。
・こうした研究自体は国土交通省建築研究所により以前より進められていた(建設相当時)。

■密集市街地の再生・再構築の推進
○概要
・国土交通省はこれまで駅前に偏りがちだった市街地再開発事業の施行を、密集市街地にも拡大すべく、平成13年度予算概要において以下のようなガイドラインを提示した。
・密集市街地での市街地再開発事業の施行とはすなわち、密集市街地への国費を含めた助成金の投入を意味することであり、「低層住宅市街地でのマンション問題解決・・・街づくり」等に関して大きな効果が期待できる。
・平成9年以来、建築・都市よろず問題相談所が一貫して主張してきた事業手法が、規制緩和と共に推奨されたことは喜ぶべきことであるが、遅きに失した感もある。
○平成13年度予算概要 「密集市街地の再生・再構築の推進のための要件緩和策」
・第一種市街地再開発事業の補助採択基準における施行区域面積要件を0.2ha以上(重要な公共施設整備を伴わない場合は0.1ha以上)に引き下げる(現行:一般会計0.5ha以上、道路特別会計1ha以上)

■30年振りの都市計画法大改正の概要
○はじめに

・平成12年5月の参議院本会議において、30年振りの都市計画法大幅改正が可決された
これまでの都市計画行政の流れは ①都市マスタープランの創設(及び策定への住民参加)
 ②住居地域の用途指定の細分化 と、環境保全の方向を向いてはいた(事実)。
・しかしこの方向性と、現実の運用に大きな隔たりがあったことも事実である。
・したがって今回の改正も、「実効性を伴わない法文だけのこと」と見る向きもある。
・当会としてはこの賛否論争に参加するつもりはない。
・なぜならば、今あるものを使って目の前の問題を、しかも本質的に解決することが当会存続の目的だからである。
・改正都市計画法の施行は平成13年6月くらいからであり、しかも内容によっては施行までの暫定期間が定められている。
・しかし、これは住民として理解する必要のない行政側の事情であろう。
・法の趣旨と公開された法文に基づいて、主張すべきを主張していく事が大切であると思う。
・以下に改正のポイントを概説する。

○地区計画の住民提案方法の明文化について

・地区整備計画については以前より関係権利者の100%の同意による策定の提起が可能であった。
・この種の問題の本質的な解決には地区計画が必要となることは説明の通りである。
・今回の改正により、地区計画の「決定」及び「内容の提案方法」について、市町村が条例で住民提案の方法を定めることが出来るようになった(都市計画法第16条第3項(新設))。
大変影響の大きい変更点であり、一層住民協定の重要性が高まったと言える。

○開発許可手続きへの地域性の容認について

・これまでの開発許可制度には、全国一律の規定が適用されてきた。
・行政としても、この基準以上の規制を行おうとすれば指導要綱レベルの行政指導(単なるお願い)となり、事業者対応は困難を極めた。
・しかし今回の改正により、開発許可の基準を地方公共団体が「強化及び緩和」出来ることとなった。
・この改正により、これまで以上に地方公共団体の事業者誘導に幅が出ることは間違いない(一長一短はありそう)。地方の重要性が高まっている。
○都市マスタープランについて

これまでの都市マスタープラン(街づくりの方向性)は、人口10万人以上の都市に限って策定が義務づけられていた。
・しかし、今回の改正で三大都市圏等以外の市町村に策定の判断が委ねられた【地方分権】。
・更に、この位置づけが都市計画の最上位計画(整備・開発・保全の方針)と同等まで引き上げられた(建設省提供資料)。
・すなわち、これまで以上に都市政策の場における都市マスタープランの影響力が高まることとなる(無視しづらくなった)。

○環境保全系メニューの拡充について

・準都市計画区域が創設され、その指定権限が市町村に与えられた。
用途地域の指定のない区域で、乱開発を防止できるような規制内容が選択可能となった【環境保全】。
○まとめ

・地方分権とか環境保全という概念は確実に都市計画行政の中に浸透しつつある。 
・問題はこれら法文の趣旨と、運用のされ方の乖離にある。
・しかし、これらの整合をただ待っていれば、その間に余りにも多くの大切なものが失われていくだろう。
・これを、どれだけ現行の制度の中でくい止められるか、上手に対応できるか、まだまだ住民が知恵を絞らなければならない時間は永く続くであろう。

■連絡先と費用負担
 相談は建築・都市よろず問題相談所まで。当初のEメールによる相談は無料(メールはトップ頁からお願いします)。


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