緑地・環境・歴史に関する保全問題


■基本的な問題の整理
 地元の住民であれば、誰でもが知っており、しかも大切にしている街の緑あるいは樹木・歴史的遺産、しかしこれらは少しでも多くの利潤を追求する事業者にとっては、あまり価値を見いだせないものである場合も多々ある。
以下、この様な開発問題の本質を整理する。
 ①制度上の問題(基本的に保全区域の保全・維持・管理は所有者の負担)
 ②事業者の認識(不動産という業態は目先の営利最優先という傾向が強い)
 ③資金計画(資金計画上、環境保全概念は不採算要素となる)

■所有権を持たない土地に対するお願いという発想
 所有者あるいは近隣住民に、保全対象となる区域を購入・維持管理するだけの資力が無い場合、環境協調という概念を理解する事業者の存在は欠くことができない。
 しかし、事業者とて無尽蔵に不採算要素を事業計画に組み入れることは不可能で、ここに双方が歩み寄る必要性が出てくる。
 事業費は大別すれば土地代と建物代である。一般的に用意されている助成制度の多くはその対象を建物代とするため、環境協調を前提に事業計画を組む場合には、特に 土地代を如何に圧縮できるか が本質的な問題となる。

■とるべき行動
 とるべき行動は、近隣が
 ①既存の助成制度等を有効活用し、営利最優先の事業者でも容認しうる 代案を提示する。
 ②平行して周辺住民が協定等を締結、街づくりの方向性を 住民がコントロールする。
以上により、事業者・住民の双方に利点のある代案を、住民主導で策定する。

■進行事業に対する計画案の紹介
<地区>    K市O地区
<事業目的> 樹齢50年の桜並木と隣接河川の蛍の保全。
<事業者案> 樹木については、敷地内全面伐採。
<計画内容>
・問題地区を含む近隣住民200世帯が住民協定を策定(現在進行中)。
・一団地認定あるいは連担建築物設計制度による土地代の実質的な圧縮。
・上記に併せて地区計画あるいは住民協定を根拠に山林部分の容積移転による土地有効活用(実質的な土地代の圧縮)。
・特定優良賃貸住宅制度による建物助成金の導入と継続的家賃補助による賃貸需要の向上。
<結論>
 以上の事業手法導入と関係者の利益低減により、 分譲住宅を市内相場より安価に 、また賃貸住宅部分の 投資利回り(単純利回りの初年度)5%に設定。

■連絡先と費用負担
 相談は建築・都市よろず問題相談所まで。当初のEメールによる相談は無料(メールはトップ頁からお願いします)。
 ①住民協定締結や代案作成は、街づくりの一貫であり、 財団や市町村、中小企業事業団等の住民に対する助成制度が 適用される可能性がある。
 ②住民協定作成費については、市町村に専門家派遣に関する助成制度がある場合が多いが、助成が受けられない場合、委託費として30万円程度の住民負担が必要。(ただし、地区計画の策定を前提とする場合に限る。)
 ③代案作成費については、財団等の助成制度が有効だが、助成を受けられない場合、委託費として10万円程度の住民負担が必要。

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