ピカデリーサーカス

Piccadilly Circus


 くらもちふさこの「おしゃべり階段」に登場するマーシーが、「おれはこの下にねそべり 1日中 この街を抱いていることが 夢だった」と言いながら、エロスの像の前の階段で寝そべっているシーンを見て以来、ピカデリーサーカスは私のあこがれスポットだった。
 エロスの像は、1893年、博愛主義者のShaftesbury伯爵の記念としてつくられたのだという。彫刻家のAlfred Gilbertがデザインしたもので、その当時は珍しい素材だったアルミニウムでつくられた。彼は、魚や貝殻などといった種々雑多なものをデザインに盛り込むための言い訳に、噴水というアイデアを採用したのだが、実際の像は、彼の構想とは違った形で製作されたため、彼はつむじを曲げてしまったとかいう話をどこかで聞いたように思う。
 もともとは、つくられた由来から、Shaftesbury Monumentと呼ばれていたが、いつしかエロスの像の名で親しまれるようになったらしい。エロスというのは、私たちが、「エロス」と聞いて想像する、ギリシャ神話の恋愛の神様のエロスではなく、聖書に登場する博愛の天使である。はっはっはー。なーんだ、そうだったのか、って感じでしょ?
 オリジナルの像は、すでに破壊されてしまった。1994年にも、酔っ払いがよじ登り、像を折って壊してしまった。そんなこんなで修復されたり、はたまた100歳を迎える年にはお色直しで修復されたりしているせいか、かなり長いこと、像は、右の写真のような囲いで覆われていた。なーんだ、これじゃ、寝そべれないじゃんって心の中で思ったことよ。
 幸いにも、今は、囲いは取り払われ、勇気さえあれば、マーシーみたく寝そべることができるようになったけれど、もうそんなことできる年じゃないかもなぁ・・。

 ピカデリーサーカスでは、像を中心にして、いくつもの道が交差している。ある道をちょっと歩けばレスタースクエアで、別の道をちょっと歩けば、もうそこはトラファルガースクエア。チャイナタウンやオクスフォードサーカスに続く道もある。オクスフォードサーカスまではかなり遠いですけどねぇ・・。
 エロス像の付近は、本当に車の通りが激しくて、歩行者用の信号もたくさん設置されているのだが、歩行者用信号の青の時間はかなり短い。というわけで、というか、イギリスでは、どこでもそうなのか、人々は、赤信号でも、車の通行が途絶えたちょっとした瞬間に、堂々と道を渡っていく。郷に入れば郷に従え。私もここでは、ロンドンっ子を気どって、つかつか歩く。だって、ピカデリー界隈には行きたい所がいっぱいなんですもの。のんびり信号が変わってるのを待っちゃいられない。
 というわけで、みなさまお馴染みの場所であり、今さらながらではありますが、ここで、ピカデリー界隈にある私の行きつけの(?)スポットをちょっとご紹介いたしましょうか。
 

Tower Records
 初めてロンドンに上陸して以来、数年間は、ピカデリーに行くとまず足を運んでいたのがTower Recordsである。本当にピカデリーサーカスのど真ん中にある。レコードやCDのジャケットを眺めるのが大好きだったから、1つ手にとってはまた別のを手にとって・・といった感じにあっという間に時が過ぎた。最近は、日本にもたくさんのTower Recordsがあって、物品税が高いせいか、チェックしてみると、実は日本で買ったほうが安かったりするもので、ほとんど足を向けなくなったけれど、私がいちばん最初にはまったのはここ! ピカデリーといえばタワレコだった。

Boots
 いわずと知れたドラッグストア。日本でいえばマツキヨ。数年前には、銀座や吉祥寺にもお目見えしてたけど、日本では、あまりブームを巻き起こさなかったようですねぇ・・。ピカデリーには数軒のBootsがあって、私は、ここで、薬や化粧品というよりも、もっぱらアルバムを買ったり、撮ったばかりの写真を現像して焼いたりしていました。ここ最近、売られているアルバムの種類が減ったこともあり、ロンドンで写真を焼いてしまっては重たい私の荷物がますます重たくなるなぁ・・と悟ったこともあり、最近はあまり写真関係では足を運ばなくなったけれど、今でもペットボトルのお水を買ったりしている。私にとって、ピカデリーにあるお店にかぎらず、やはりBootsは欠かせません。

Fortnum & Mason(左)
 最近、ピカデリーサーカスで、私がまず訪れるのはFortnum & Masonである。地下の売り場におりていき、決まって、日本まで紅茶を22缶送ってもらうよう手配している。Fornum & Masonといえば、有名なのは紅茶だが、食料品はもちろん、地下売り場ではマグカップなどの食器類も売られている。
 ヨーロッパツアーで初めて訪れたときは、上のほうの売り場で、結婚して子供が生まれたばかりだという添乗員さんにプレゼントしようと、みんなでぬいぐるみを買ったこともある。途中には、教会があって、出店が数軒、いつも出ている(右の写真)。私は入ったことがないけれど、友の話によると、ここのキャフェはけっこういいらしい。

三越
 一頃は、ピカデリーサーカス付近には、日本のデパートがいくつもあった。三越、そごう、伊勢丹、高島屋。なかでも、エロスの像の近くにあるそごうデパートは、三越よりも営業時間が長く、入りやすい雰囲気があり、よくトイレタイムに利用させていただいていたのだが、1つ消え、また1つ消え・・。でも、三越デパートは、今でも健在である。というわけで、ピカデリー付近に行くときは、何も買わなくても三越に立ち寄り、申し訳ないけどトイレを使わせていただいている。バーバリーのマフラーやフェラガモなどのブランド物、ジャムや紅茶などの食料品、ウェッジウッドなどの食器類などが扱われている。私が三越で買うのは、せいぜいジャムやクッキーなどのおみやげグッズなのだが、友と別行動をして、待ち合わせるときのミーティングポイントとしてはよく利用させていただいている。
 そもそも、ヨーロッパのパックツアーで初めてロンドンを訪れたとき、添乗員さんに連れて行ってもらったのが三越だった。かなり長いおつきあいかな。

プラネット・ハリウッド
 私のお気に入りのブルース・ウイリスをはじめとするハリウッドスターがオーナーのレストラン。10年近く前、ピカデリーサーカスにプラネット・ハリウッドができたころは、レストランの前には、長い行列があってなかなか中に入れないという噂だった。そのころ、私は今よりも熱心なブルース・ウィルスファンだったので、ぜひとも中に入りたかった。ランチタイムの開始時間直後に行けば、なんとか中に入れるだろうと考えトライして、見事成功したのだが、お味のほうはうーん、やっぱアメリカン?、って感じで、量がやたらと多いだけでいただけなかった。最近では、外から見ると閑古鳥がないているように見えるけど、実はそうでもないのかなぁ?? とはいえ、ブルースファンの私としては、グッズ売り場だけは、今でも、とりあえずのぞくようにしているのであった。

左:プラネット・ハリウッドで食べたパスタ
右:「ダイハード」という名のついたカクテル。これはまずますだった。

Theatre Royal Haymarket
 私の大好きなオスカー・ワイルドのお芝居は、この劇場でかかることが多い。昔のロンドンの香りを漂わせる、素敵な劇場である。道路の向かい側には、「オペラ座の怪人」をやっている劇場があったり、ミュージカルをやっている劇場があったりと、ピカデリー界隈には、かなりの数の劇場がある。かなり前に、ウォータールーにある劇場に足を運んだことがあるのだが、そこはちょっと駅から離れていて人通りもなく、帰り道がかなり淋しかったのを記憶している。でも、ピカデリー付近にある劇場なら、人通りが途切れることがないからとっても安心。

リバティー
 私の場合、ピカデリーサーカスから歩いていくことが多いのだけれど、断然、オクスフォードサーカスからのほうが近い!! 滞在中、とりあえず1回はでかけ、ポーチなどの小物類を見に行っている。


 そのほか、いつもというわけではないけれど、バーバリーやウェッジウッドにも時折足を運ぶ。ピーターラビットのお皿をスーツケースに詰めて、重たい荷物をますます重くして、えっちらこっちら日本に戻ってきたこともある。
 あとはパブですねー。私が、ロンドンで、テイクアウトじゃなくてフィシュ&チプスを食べるとしたら、ピカデリー界隈にあるパブのランチ。あつあつ揚げたてのフィシュ&チプスはすっごくおいしー。あーぁ、また食べたくなってきました。
 そして、私のお次のターゲットはこちら・・。


じゃーん! カフェロワイヤルでーす。

 オスカー・ワイルドが通っていたというカフェで、ぜひぜひお茶をいただいてみたい。そのうちトライできるかなぁ・・。

(2003.9.29)
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