ライナーノーツ

楽しい夕に

RCサクセション

(1972.12)

 3人編成のRCサクセション、つまり、忌野清志郎、林小和生、破廉ケンチというオリジナルメンバーで作成された2枚目のアルバム。フォークが全盛期の時代で、RCもとりあえず、異色フォークとして扱われていたらしい。
 「プリーズ」、「ブルー」という2枚のアルバムを聞いてすっかりRCファンになった私は、忌野清志郎その人が、ほかにどんな曲をつくっているのか知りたくて知りたくて、立て続けに彼らのアルバムを借りた。まだ、「BEAT POPS」は発売されていなくて、「RHAPSODY」、「シンブルマン」に続けて、最後に借りたのが、この「楽しい夕に」と「初期のRC・サクセション」だったと思う。借りるときには、編成も曲調も違うようだし、どうかなーと思ったのだけれど、やはりこのアルバムも根底にあるものは同じだったのでしょうね。違和感を感じるもことなく、私は、この時代のRCも大好きになった。
 歌詞カードをよくよく見ると、このアルバムでは、リンコさん(林小和生)がけっこう曲をつくっている。しかも私がかなり好きな曲ばかりだ。うーん、リンコさん、今、どこで何しているんですか? どうかまた、どこかで、「エミちゃん おめでとう」を歌ってくれませんか? お願いしまーす!

No. 曲 目 お気に入り度 作詞・作曲 コメント
1 ラー・ラー・ラ・ラ・ラ・ 作詞・忌野清志郎、作曲・破簾ケンチ・肝沢幅一 ♪ラー・ラー・ラ・ラ・ラ♪って、仲のいい仲間たちが、うまく歌おうっていうんではなく、何気に歌っているふうの曲。今日もどこかでこんなふうに仲間たちが集まって、♪ラー・ラー・ラ・ラ・ラ♪って歌っていそう。ありきたりだけど、あとで思い返すとかなり幸せだったなーって思える、そんなある日の風景かな。
2 エミちゃんおめでとう 林小和生 ♪君が一つ 年をとっても ぼくには何も関係ないさ だって君は どうせバカで どうせ子供なんだから♪。どうせバカで、だなんてかなり失礼だなーって思ったけど、♪そのままの君の心が そのままの君のくちびるが そのままの君のひとみが そのままの君の全部が とても 好きだから♪だって。そんなこと言ってくれるだなんて、なんて素敵! この曲は、このアルバムで一等、好きかも。
3 忙しすぎたから 作詞・林小和生、作曲・肝沢幅一 ♪楽しい夕に ぼくの友達は ゴキブリと いっしょに昼寝をするのさ 夏が攻めて来て むし暑い毎日でも 夕方になれば とても涼しい♪♪このごろはだれも口をきいてくれないから ぼくはさみしくて気が狂いそう♪。いんやぁ、メロディーといい歌詞といい、妙に好きです。派手な曲じゃないけど、地味にひたひたといいだろう、いいだろう、って迫ってくる、味のある曲だと思います。
4 あの娘の悪い噂 作詞・忌野清志郎、作曲・肝沢幅一 ♪あの娘の悪い噂 聞かされる 聞きたくないのに♪♪噂を信じるよりも あの娘にだまされたい 噂を立てる君よりも あの娘の方が きれいだから♪♪あの娘の次にこのぼくが あの娘を知っている 噂を立てる君よりも ぼくの方が知ってるのさ♪。これって、「君が僕を知ってる」につながるものがありますよね? 世界でたったひとり、こんなことを言ってくれる人がいたらそれでいいんだって思える歌です。
5 九月になったのに 作詞・忌野清志郎、作曲・肝沢幅一 ♪九月になったのに いい事なんかありゃしない 九月になったのに 何も変りゃしないのさ 相変らずむし暑いし 相変らず夜は眠れない 相変らずだよ♪♪そちらはどうですかぁー 君はどうですかぁー そちらも九月になりましたかー 九月はまだですかー♪。暗い曲調だけど、このメロディーライン、かなり好きです。清志郎のボーカルもよいですねー。九月になったら、帰ってくるから、なんて、口先だけの約束をして、恋人がどっかに行っちゃったのかなぁ・・。♪相変わらず冷たいね 相変わらず嘘つきだね 相変わらずだね♪っていう終わり方も余韻を残します。
6 ねむい 作詞・忌野清志郎、作曲・肝沢幅一 ♪ぼくのために 電話は鳴らないでおくれ ぼくのために 朝は来ないでくれ ぼくは疲れてるのさ ぼくは疲れてるのさ。「九月になったのに」とは打って変わった唄い方。同じ人が歌ってるとは思えないくらい、ほんと眠そう・・。だけど、どんな歌い方をしても、やっぱ清志郎ってとこがかなりすごい!
7 もっとおちついて 作詞・忌野清志郎、作曲・林小和生・肝沢幅一 ♪出かける途中のバスの中で あの娘は手紙を書いている バスを降りて近くのポストにあの娘は手紙を放りこむのさ そんな手紙がいつも(いつも)来る♪。こんな感じの物語調で、歌はゆっくり展開していく。あの娘が手紙を投函している姿や、家出して悲しくなって電話をかけている姿が浮かんでくる。年をとって振り返ると何でもなくなってしまうような、なんでもないことに悩んでいる。苦しいよー、さみしいよーってもがいてる、青春の声が聞こえてきそうな感じの曲。
8 君もおいで 作詞・忌野清志郎、作曲・肝沢幅一 ♪ぼくのまわりにかわいそうな人が おおぜい集まった 君もおいで 君だけじゃないんだよ♪。1分ちょっとの曲だけど、とっても不思議なメロディーライン。次の「去年の今頃」が始まると、なんだかすっかり気分が陽気になっちゃいますけど・・。
9 去年の今頃 作詞・忌野清志郎、作曲・肝沢幅一 ♪ぼくのうちにおいでよ♪♪去年のように去年の今頃のようにだよ♪。このフレーズは、♪僕の家においでよ ほら去年の今頃のように♪って形になって、GO GO 2・3'Sの中の「あの娘が結婚してしまう パート2」にも出てきますよね。清志郎にとっては、去年の今頃っていうのは、何気に意味深いのかなぁ・・って。でも、去年の今頃のことって、なんだか不思議に想い出しちゃいません? とくに、去年の今頃のほうが幸せだったりするとね・・。で、あぁ、もう1年も経つのか。あのときに戻りたいなーって考えちゃう。
10 日隅くんの自転車のうしろに乗りなよ 作詞・忌野清志郎、作曲・林小和生・破簾ケンチ ♪日隅くんは今日から 一人で自転車に乗るのに いつもはぼくが うしろに乗っていたのに♪。この曲って、かなり凝ったつくりになってるから、コピーするのにはまってるって、バンドをやってるメル友さんが前に言ってました。最近、ライブに一緒に言っているyanさんも、かなりこの曲が好きらしい。私的には、「ぼlくの自転車のうしろに乗りなよ」のほうが断然好きです。この歌は清志郎の歌い方も影響してか、なんだかとってものどかそうだけど、ここに登場する日隅くんって自殺しちゃったんですよね。「GOTTA! 忌野清志郎」(連野城太郎、角川文庫)でそのくだりを読んだときは衝撃でしたね。うそって思った。でも、歌の中では、いつまでも日隅くんは自転車に乗ってる。歌ってほんと不思議です。
11 ぼくの自転車のうしろに乗りなよ 忌野清志郎 ♪ぼくの自転車のうしろに乗りなよ 二人乗りで 二人乗りで遊びに行こうよ♪♪ぼくの自転車のうしろに乗りなよ 坂を下って 坂を下って 国立に行こうか♪♪ぼくの自転車のうしろに乗りなよ 大学通りを 大学通りを 二人乗りしようよ♪。国立には、大昔に一度、行ったっきりだけど、この歌って、本当に国立の風景に合うなぁ・・って思います。♪君はいつもぼくを愛してる 君だけがぼくの味方だった時もあった♪。ここだけちょっとほかと違う曲調。「君が僕を知ってる」の世界ですよねぇ・・。

※各アルバムから、何曲か、お気に入りの曲を選んでマークをつけています。
:大、大、大好き;:大好き;:好き

(2002.3.9)


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