ライナーノーツ

初期のR・C・サクセション

RCサクセション

(1972.2)

 「初期のR・C・サクセション」は、RCはじめてのアルバムである。これがアコースティックか、と思うほどのものすごいパワー。35分足らずのアルバムだけれど、インパクトは十分だ。
 この時代の代表曲である「ぼくの好きな先生」や、「シュー」、「言論の自由」など、ストレートな曲が多い一方で、「国王ワノン一世の歌」や「この世は金さ」なんていう、彼女にフラレて負け惜しみでつくった曲かなぁ・・なーんて思われる、日頃の本音とは裏腹っぽい曲も入っている。
 高校時代、清志郎が部屋で歌っているのを聞いたお母さんは、思わず「お前な何をやっても上手だねぇ・・」と、言ったいう。「初期のR・Cサクセション」を聴いていると、音楽をやることをにあまり賛成でなかった清志郎のお母さんが、そう言わずにはいられなかったR・Cのパワーを感じるのである。

No. 曲 目 お気に入り度 作詞・作曲 コメント
1 2時間35分 作詞・忌野清志郎、作曲・肝沢幅一 今は昔となった黒電話(?)のダイヤルを回す音がして、次にリーンリーンと呼び出し音が鳴る。そして、♪うぉうー、君と話した 長い長い電話 2時間35分♪という清志郎の爆発するようなヴォーカル。いきなりの出だしである。曲の最後で、「冬休みなの?」「眠いよぉ・・ 何を言ってるんだ」「ちょっといい?」「早く眠らしてくれー」。ラブラブなんだなーって思わせる歌の内容とはいささかギャップのある、電話の会話が入っているのがちぐはぐでおかしい。♪君は素晴らしい♪なんて熱を上げているのは彼だけなのって感じ?? ところで、「早く眠らせてくれ」と女の子が言ったあとの言葉が、20年以上、ずーっと聞き取れないでいるんですけど、どなたか、何て言ってるのかわかる人、いますか?(←という、私の問いかけに、先日、しどさんからお返事があった。「(今切られるのは)こっちとしては辛いんだけどね」ではないかと」。確証はないとのことだったけど、うん、確かにそう言ってる気がします。いやぁ、言ってみるもんですね。しどさん、すっきりしました。ありがとー!!--2004.12.18)
2 ぼくの好きな先生 作詞・忌野清志郎、作曲・肝沢幅一 出だしの♪だばこを吸いなーがーら♪というゆったりした清志郎の歌い方が、のどかな晴れた日の学校の風景を思い描かせる。困ったような顔をして彼が遅刻の多いのを叱る先生、いつも美術部の部室にいるから、♪ぼくと同じなぁんだ 職員室が嫌いなのさ♪と彼が親しみを感じる先生。そんな先生に対する、清志郎の「好き」という気持ちがビシビシ感じられる曲。私もカラオケでよく歌っています。
3 国立市中区3-1(返事をおくれよ) 作詞・忌野清志郎、作曲・肝沢幅一 ♪君が 君が好きさー♪の繰り返しが印象的で、全編、ものすごく ストレートな曲。♪ぼくの手紙の漢字のまちがいなど 気にすることはないさ 読めるだろ♪だなんて、めちゃくちゃだなーって思うけど、♪たとえ君が ヘタクソな字を書いても 君への気持ちは変わりはしないのさ♪とくる。♪もしも もしも ぼくのこときらいでも 早くぼくに返事をおくれよ 冷たい手紙は 読みたくないけれど オーノー ぼくをきらいなら仕方がないさ♪。そうそう、ある意味、ズパッと言ってくれたほうがやさしいってことはある。やっぱ返事なしってーのはいけませんよねぇ・・。
4 シュー 作詞・忌野清志郎、作曲・肝沢幅一 ♪烏合の衆 烏合の衆♪で始まり、♪烏合の衆 シュー シュー シュー♪であっさり終わる。♪一人じゃ何にもできないくせに 一人じゃ何にも言えないくせに♪♪たまには一人で何かやってみろよ いつでもみんなと一緒なんだね♪って言ってやりたい人はたくさんいて、聞いていると、思わず一緒になって歌ってしまいます(笑)。適当にみんなに合わせてりゃーいいやーって人が多いなかで、清志郎には昔から、自分ってものがあったんだなーって思う。そのエネルギーをずーっと失わずに、今でも自分というものを持ち続けて、やりたいことをやり続けている清志郎はすごいっ!!
5 春が来たから 作詞・忌野清志郎、作曲・肝沢幅一 なんだか中国風のバックのメロディーと歌が妙にマッチしている不思議な曲。♪あの日のことはなかったことさ あの日のことはみんなウソさー♪♪花びらのなかを一人で泣くよ 君のすべてを忘れたい♪。ラストで、♪春が来たからって 君が言ったー♪という歌詞に、「三番目に大事なもの」の♪いちばん大事なのは自分なのよ その次に大事なものが勉強で 三番目に大事なものが恋人よ♪という部分が重なっている。春が来て、この歌みたいに言われてフラれて「春が来たから」が出来たのかな?
6 メッセージ 作詞・忌野清志郎、作曲・肝沢幅一 ♪ぼく達の歌を聞きに来て下さい ♪と言ってすぐに、♪たとえお客がいやな奴ばかりでも ぼく達はいつも いっしょうけんめい歌っています ホントです♪って続くとこが、絶対媚びない清志郎って感じがしてすごいっ!
7 国王ワノン一世の歌 作詞・忌野清志郎、作曲・肝沢幅一 ♪あの娘に会えない時はぁー♪という強烈な清志郎のヴォーカルで始まる。♪女なんてどうせ どれでも同じさ 女なんてどうせ くだらない奴等さ♪とか、♪恋人がたくさんいると いつも幸福♪だなんて、女性には、かなり失礼な曲かも。でも、この曲を聴きだしたティーンエイジャーのころは、これは清志郎の思っていることとは裏腹なんだわーって信じていた。ま、時には本音かもしれないけどね(笑)。♪あの娘は女のくせに自転車こぐのがじょうず〜♪と、「日隅くんの自転車のうしろに乗りなよ」の一節で終わるところがまた不思議。
8 この世は金さ 作詞・忌野清志郎、作曲・肝沢幅一 ♪何よりも大事だなんて 思った事が おれにもあったさ でも今じゃばからしくて 恋人なんか欲しくない オーイエス オーイエス この世は金さ この世は金さ♪♪幸福だって女だって 金で買えない物はない♪、なーんて歌詞を聞いてると、きっとこの曲って、彼女にフラレたあとに、金さえあれば何だってできるさー、なんて気分になってつくった曲なんだろうなぁ・・って思う。なんか、蓄音機から聞こえてくる声みたいなとこが、ちょっと非現実的な感じを醸し出してて、ちょっとユーモラス。
9 金もうけのために生れたんじゃないぜ 作詞・忌野清志郎、作曲・肝沢幅一 1曲前で、「この世は金さ」と歌っていたのが一転、♪金もうけのために生まれたんじゃないぜー♪ときた。♪金もうけのために したくない仕事に 金もうけのために 一生かけるなんて それで人間かよ ロボットと同じさ♪♪やりたいことをやって うえ死にするのなら 満足なのさ♪。絶対、こっちのほうが清志郎の本音。
10 言論の自由 作詞・忌野清志郎、作曲・肝沢幅一 ♪本当の事なんか言えない 本当の事なんか言えない 言えば殺される〜♪♪そんもの嘘さ そんなものでたらめさ それは不自由なもの それは不自由なもの♪。これも、「シュー」と同じで、こう言ってやりたいことがたくさんあって、聞いていると、思わず一緒に歌いたくなってしまう歌です
11 ベイビーもう泣かないで 作詞・忌野清志郎、作曲・肝沢幅一 ♪ぼくの胸は ぼくの胸は はりさけそうさ♪の部分のメロディーと、♪笑って 笑って 昨日のように 笑って笑って いつものように♪♪いつものように♪のとこのメロディーが好き。♪ベイベー もう泣かないで ベイべー 笑ってみせて♪♪ベイベー 君の悲しみを僕におくれよ ぼくにだって 君のために何かができるさー♪、なーんて、言われてみたい。ベイベーの連発と、ベイベーの掛け合い、そしてヴォーカルが入れ替わるとこもいい。
12 寝床の中で 作詞・忌野清志郎、作曲・肝沢幅一 ♪腹がへっても 金もない あの娘にふられても 涙も出ない 情けない 情けない たずねててくれる 人もない 出かけて行くにも服がない♪。ないないづくしの現実が重くて、なんだかすごく暗い曲だけど、若さゆえのどうしようもなさが漂っていて好きですねぇ。♪情けない 情けない♪の連発から、なんとかしてこの状況から脱却したいというもがきがビシビシ伝わってくる。とにかく清志郎のヴォーカルのインパクトがすごい。♪心はまるで 老いぼれさー 心はまるで 老いぼーれーさぁー♪というフレーズも好き。

※各アルバムから、何曲か、お気に入りの曲を選んでマークをつけています。
:大、大、大好き;:大好き;:好き

(2004.2.7)


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