クックにすべきか、アメックスにすべきか? それが問題だ!!、の巻。
今やどこに行っても、クレジットカードが使える時代ではある。が、私は、イギリスにでかける前、1日あたり5000円から1万円ぐらいの概算で、トラベラーズチェック(TC)に換金していく。直行便を利用すれば、イギリスに到着するのは夕方か夜。翌日になって、まず入り用になるのは枕銭である。まさか枕の下にクレジットカードをしのばせておくわけにはいかないでしょ(笑)? そして、誰かと旅行するのであれば、食事代を割り勘にする場合はキャッシュのほうが便利である。また、たとえば、雑貨店でペットボトルの水を買うにしても、少額ゆえ、キャッシュのほうがよい。
というわけで、必要経費分についてはTCを持参する。人によっては、円をポンドに換金する際、キャッシュに換えていく人も多いだろう。が、私は、TCオンリー。なぜなら、TCのほうがキャッシュよりも換金レートが有利だし、紛失した場合も再発行ができるので安心だから。ヒースロー空港に着けば、両替所はすぐみつかる。そこで、今日、明日、必要になりそうな分だけをまずは換金すればよい。
そんな私が、この2,3年、頭を悩ませているのが、トマスクックのTCにすべきか、アメックスのTCにすべきか?、ということである。
はるか昔の初めての海外旅行で、旅行会社から、「トラベラーズチェックはトマスクックがいちばん!」と太鼓判を押されて以来ずっと、私は、トマスクックのTCにこだわり続けてきた。
TCをそのままお店で使うのであれば問題はないが、キャッシュがほしいというときもある。たとえば、50ポンドが入用な場合、お店で買い物をして、50ポンドのおつりを手にするのはちょっと難しい。というのも、私は大きな買い物はクレジットカードで、という主義なので、TCを換金する際、高額の100ポンドのTCに換金したことはない。50ポンドと20ポンドのTCで合計金額になるように調整する。となると、50ポンドのキャッシュを手にするためには、少なくとも2回、買い物をしなければならないことになる。欲しいものがない場合、これは至極困ったことである。つまり、キャッシュがほしいのなら、両替所で換金すればよい、ということになる。
ロンドンでは、至る所で、トマスクックの両替所を目にする。その数たるや、アメックスの比ではない。50ポンド相当のTCを両替所で換金する場合、アメックスのTCをトマスクックの両替所で換金すれば、ここでも手数料が必要になる。が、当然、トマスクックのTCなら、トマスクックの両替所で換金すれば、手数料なしで、50ポンドはそのまま50ポンドに換わる。
もちろん、ロンドン以外では、必ずしもトマスクックの両替所をみかけるとは限らない。友のAkikoさんなんぞは、(今もあるかどうかは知らないけれど)VISAのTCを愛用していた。というのも、VISAは、イギリスでよくみかけるBarclay銀行と提携していたので、この銀行を利用すれば、TCを手数料なしで換金できるのが魅力だったらしい。
が、私は断然クック派だった。営業時間の限られた銀行よりも、夜でも開いている両替所で換金するほうが便利である。地方には、トマスクックの両替所があるとは限らないので、ロンドンを出る前に当座のお金は換金すべし!、を心がけ、トマスクックのTCにこだわり続けてきた。東京では、トマスクックを扱う銀行は次第に減っていったが、イギリスを旅するならトマスクックと信じ、旅行のたびに会社を半日休んで換金しに行くのが私の旅の準備のワンステップだった。
が、ここ数年、ちょっと事情が違ってきたように思う。以前はロンドンの至る所で目にしたトマスクックの両替所のサインが減ってきている気がするのだ。現に、私の知るかぎり、かつて、ヴィクトリア駅周辺には、3か所、トマスクックの両替所があった。しかし、いちばんメジャーと思われたツーリストインフォメーションセンター( i )前のトマスクックは消えうせてしまった。ピカデリーサーカスに大きなインフォメーションセンターができ、ビクトリアの
i が縮小され、利用者が減ったせいかもしれない。が、ここに限らず、クックのサインが減ったように思うのだ。
「うーん。もうトマスクックに固執する必要はないのかもしれない」。そんな風に思い始めていながらも、トマスクックを使い続けてきた私に、2003年、遂に転機が訪れた。前の年まで、渋谷支店の窓口ではトマスクックを扱っていたはずの東京三菱銀行が、とうとうアメックスオンリーになってしまったのだった。
「ま、いっかー」。この2,3年の悶々とした問題に終止符を打つときがきたようだ。ないものは手に入らないのだから仕方がない。初めて、アメックスのTCを利用することにした。
が、唖然としたのは、同行の友、Tsukasaさんが成田空港でTCに換金したところ、何も言わないのにトマスクックのTCが差し出されたことだった。「うーん。東京では手に入りにくいトマスクックのTCが、成田ではいとも簡単に手に入るとは・・」、と、ちょっと腑に落ちない気がしたが、クックにすべきか、アメックスにすべきか?、と、悩んだこの数年の問題に決着をつけるべく、アメックスの使い勝手を試してみようぞ!、と、ちょっと意気込んだ私であった。
さて、結果はというと・・。クックさん、ごめんなさーい、もう浮気しませーん!って感じ。2003年の旅では、リバプールから足を伸ばし、サウスポートという小さな町を訪れたのだが、ここには、トマスクックの両替所しかなく、驚くなかれ、トマスクックのTCしか使えなかったのだ。というか、キャッシュか小切手しか受けつけず、TCはおろか、クレジットカードも使えない店すらあり、たまにTCが使えたとしても、クックオンリーだったというべきか。いまどき、クレジットカードが使えない店があるなんて、とても信じられない思いがしたことよ*。
この勢力図は、そのうち、塗り替えられることになるかもしれない。が、今のところは、イギリスでは、やはりトマスクックのTCが便利、という結論に至った私であった。
以前、当サイトに何度かメッセージを残してくださっていたオスオさんによると、彼の住む九州では、トマスクックのTCがメジャーなのだという。なんて、うらやましい話! 「アメリカに行くならともかく、イギリスのポンドにアメックスってーのははいんじゃないのぉ?」、と、東京の銀行に私は言いたい。顧客の使い勝手を考えたサービスこそが、今望まれているものなんじゃないかなぁ・・。今の状況が改善されることを切に望む私である。
最後に、私流換金術をご紹介しよう。前述したように、日本でTCを換金する際には、20ポンドと50ポンドで合計金額に達するように調整する。高額のものはクレジットカードで買うことにしているので、TCをそのまま使用するとしたら、たいていは地方の小さなお店である。こういうお店で、「TCが使えますか?」と尋ねると、たいてい「イギリスのポンドのTCならオッケーですよ」という答えが返ってくる。「だけど、何ポンドのTCですか? あんまり高額だとおつりがないんですけど・・」、と付け加えられることもままある。10ポンドに満たない品物を50ポンドのTCで買おうとしてアウトだったこともあるので、こういう場合は、できるだけ20ポンドのTCを使用するようにしている。20ポンドのTCの場合、持参する枚数やサインする回数は増えることになってやや面倒だが、小さなお店では、すこぶる有用だ。
そして、TCを両替所で換金する場合には、「10ポンドと20ポンドでください」とお願いするのが2つ目のコツ。50ポンド紙幣を店で使おうしたとき、「これって本物?」と言わんばかりに、目の前でお札を透かしてチェックされたことが何度かある。それだけ偽札が流通していた、ということかもしれないし、私があやしげに見えたのかもしれないが、高額の紙幣だとこんな風にチェックされることがまま。ま、何もやましいことはないので何てことはないのだが、何だかドキドキする瞬間である。そんな思いをするぐらいなら、最初から高額の紙幣は持たないに越したことはない、というのが私流の考えである。
とまぁ、何が正解なのかはわからないけど、ヨーコ流のTC術はこんな感じ。
みなさんが、自分に合ったTC術をみつける、何かのお役に立てば・・と思う次第です。
* サウスポートの一角にあるチャーチタウンのとあるお店で、さんざん店が開くのを待ったあげく、グリーティングカードや絵を買おうとした際、お店の人から、「キャッシュか小切手オンリー」と言われた事の顛末についてはこちらをどうぞ。
(2004.8.21)
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