阿佐ヶ谷の七夕             2005年8月7日     


 阿佐ヶ谷の七夕は夏の風物詩である。今年は8月5日から始まった。猛暑である。その暑い中、阿佐ヶ谷駅南口から青梅街道までの約700米が七夕飾りと見物人で大賑わいである。「パールセンター」と「すずらん通り」の二つの商店街にとってはこの時期、8月だというのに書き入れ時で、実は私の夏の衣類もこの季節に買ったものが多い。

商店街の人達は、7月に入ると、店を閉めてから七夕飾りの準備に入る。大きな人形は竹や針金、糸で骨格を作り、その上から紙を貼って、色塗りをする。その作業を家族ぐるみで夜の11時過ぎまでやっているのだ。この七夕飾りはきっと代々受け継がれてきたノウハウがあるのだと思うが、お年寄りが二人でやっている所もあって、跡継ぎはいるのかなとつい心配をしてしまう。

私の田舎でも七夕はあった。だがこんなににぎやかではない。そもそも当時は商店街として成り立っていたが、今では人通りがほとんどない。それでも七夕やお祭りが人を集めるためのイベントになってはいるが、あまり効果は上がっていない。買い物は大型スーパーにいってしまうのだ。地方都市はどこも似たり寄ったりだが、そんな中で今のところ阿佐ヶ谷はうまくいっているのだと思う。だが、昔からの八百屋さんとか魚屋さん、洋品店など日常生活を支える店がだんだん少なくなり、代わりにチェーン店の薬局、飲食・居酒屋系の店が増えてきたのも事実だ。

さて阿佐ヶ谷の七夕で必ず立ち寄るのは「吉澤肉店」である。店の前で焼いている自家製ソーセージや肉がとても美味しい。特に細い串で食べるチョリソーがいい。あつあつのチョリソーを店の脇で食べて初めて「今年も七夕が来たな」という実感に浸ることができる。
もう一店は中杉通りにある「鍋屋」のパック詰めの中華料理。カニのから揚げや、上海やきそば、にんにく茎炒めなど、どれをとっても量、質共に満足である。

駅前の広場ではアルトサックスの小菅敏明のグループがライブもやっていて、七夕を盛上げていた。ちょうど上野の西洋美術館へ行った帰りでフェルメールやティツアーノを見て(ドレスデン国立美術館展)気分は上々だったが、暑さには参っていた。木陰で聞くJAZZがこんなにいいとはしらなかった。
このようにして阿佐ヶ谷の夏は過ぎていく。そして10月になると、「阿佐ヶ谷JAZZ STREETS」今年も山下洋輔が神明宮の雅楽殿で弾くピアノが聞けそうだ。

2005年8月6日   oggi