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プロバイダーの技術者が発見してくれた欠陥 この上はプロバイダーに直接聞くしかないと、何度も電話をかけてやっとAネットに繋がった。 以前、一度だけ電話して、とても的確なアドバイスをくれた人を覚えていたので、Tさんというその人に代わってもらう。 おおかた40分ものあいだ、電話で指示を受けながら、言われたことを全部クリアーしてみる。 「分かりました」受話器の中から難しい数式が解けたときのような明るい声が聞こえてきた。 56000ppmとか30000ppmとか私のメモ帖には、Tさんの話すほとんど宇宙語に近いメモが並んでいた。 回線の接続スピードのことらしい。その接続スピードに私のパソコンが対応できていないことがわかったという。 だけどそんなことをいわれても・・・途方にくれかかっていると 「こんな専門用語を使っても分かりませんよね。でも簡単なことですよ。 メーカーか販売店に連絡すれば解決しますから。 モデムの機能的な問題と限定してもいいですから・・・」 うやむやにしたり、責任を逃れたりする多くの人間をみたり聞いたりして来た中で、Tさんの言葉は、技術者としての誇りと自信が感じられて爽やかだった。 時計を見ると6時30分だった。もうサラリーマンの帰宅時間は過ぎている。 少し申し訳ない気がしたが忘れないうちにと思い販売店のFさんの携帯に電話する。 いきさつを話し始めると、Fさんは皆まで聞かず、といった急き込んだ調子で、「Aネットのその人の名前を聞いてくれましたか」という。 Tさんに迷惑がかかるのでは、瞬間頭を掠めた。 1020015403というテスト用の数字。 30000PPM位の図線に乗せると、より早いスピードに対応できない、ETC・・ その大方は頭の中をすり抜けていってしまっていたが。 でも私の年になって分かることだってある。 Tさんが素人の私にもはっきりと誠意を持って対応してくれたこと。 技術者として多分優秀な人だろうということが分かったこと。 Tさんの名前を言う。「分かりました。後ほど」 8月30日(水) 朝10時、初めて販売店のFさんの方から電話がかかってきた。 「パソコンを交換します」という。あれから直ぐAネットのTさんに電話したらしい。 「私では専門的なことが分かりませんからNECの方から電話してもらいましたが・・・」と後で聞いた。 その結果がめずらしく朝からの電話なのだから、おおよその内容の予測がつく。 久しぶりに深呼吸したい気分になった。 器械音痴のおばさんに、誠実に対応してくれたプロバイダーの技術者に、心から感謝した。有難うTさん。 爽やかな秋 9月1日(金) 爽やかな秋の日だった。 Fさんがパソコンを持ってきてセットアップしてくれる。 見ている私は、時間さえかけたらもう自分にも出来そうな気がした。 都合3回のセットアップに立ち会ったことになる。この1ヶ月の間に、私もかなり、メカには強くなっていた。 欠陥パソコンを持って来て、同じ様に時間をかけて、セットアップしてくれてから、中1日しか過ぎていない。 Fさんも気の毒だと思った。欠陥パソコンに振り回されたのはこの人も同じだ。 それにしてもこんなにも時間をかけなくてならなかったものだろうか。 あとがき |