第23回 : 国立国会図書館の「近代デジタルライブラリー」

国立国会図書館では、このところいくつかの目立った動きがあります。一つは関西館がオープンしたこと、二つめはWeb上に「近代デジタルライブラリー」をスタートさせ明治期に刊行された約30000冊の図書が"読める"ようになったこと、そしてHPに従来から公開されていた「WebOPAC」にくわえて「NDL-OPAC」もスタートしたことなどが挙げられます。「WebOPAC」と「NDL-OPAC」の違いは? そしてなぜ併存しているのか? なども興味深々です。さて一度にあれこれ取り上げて書くことは避け、今回は「近代デジタルライブラリー」を取り上げることにしましょう。
(1)キーワードから探す
さて問題のHPを開いてみましょう(→ 「近代デジタルライブラリー」トップページ)。

キーワードを入力するボックスが画面上部に用意されていますね。まずは、これを使ってみましょう(ほかにも「簡易検索」「詳細検索」も用意されています)。「キーワード」の箇所には入力例が「文明、福沢諭吉等」と示されています。ここでは、これを少し変形して<学問>と<福沢諭吉>で検証してみましょう。ボックスの中は「学問 福沢諭吉」という具合に、2つの語のあいだはスペースを空けます。この入力例での私の意図は、もちろん福沢諭吉が書いた『学問のすすめ』が出てきてくれることを期待しているわけです。

さて検索ボタンをクリックして少し待つと、検索結果が表示されます。現在は8件です。じっくり見ていくと、「あれれ?」というレコードも含まれています。そうですね、入力した検索語は<学問>と<福沢諭吉>の2語でしたから、私個人の期待とは別に(つまりもっと客観的に)レコードが含まれているのでした。たとえば『学問之独立』という福沢自身の別の著作が表示されているなどというのは、まさしくその一つの典型です。

では『近世偉人百話』というのはどうして表示されたのでしょうか? さっそく書名の部分をクリックしてみましょう。詳細表示の画面が出てきます。そこを見ていくと、この図書は全2冊で構成されていて、今回の検索では第1冊の「目次」部分に少なくとも検索語のどちらかが見出せる(「ヒットする」といいます。そして画面では「HIT!」と赤い文字で強調されています)のです。ここでは福沢諭吉の『学問のすすめ』や『学問之独立』などは出てきませんでした。このデジタル・ライブラリーの凄いところは、目次がある資料は目次からも検索ができるようにしたことです。感服、の一語に尽きます。
(2)分類から探す
ところで「近代デジタルライブラリー」に公開された各分野の図書は、どんな内容なのか興味がありますね。ここでは「簡易目録」の中にあるNDC分類ディレクトリ検索(第1階層)を使います。このほかに「詳細検索」にもNDC分類があるのですが、こちらは件名や目次中の語を組み合わせて、よりきめ細かい検索ができるわけです。

さて、簡易目録中の分類目録に戻りましょう。次に示すのは、あくまでも私の選択例です。

    ◆分類「7.芸術・体育」を選び、次に「76.音楽.舞踊」を選びます
    ◆次の画面で「760.音楽.舞踊」を選びます
    ◆表示された一覧から北村李晴の『オトギ歌劇ドンブラコ:桃太郎』を選択しました

この資料は、以前「私のCD棚」でご紹介した『浅草オペラ 華ひらく大正浪漫』というCDに一部分が収められていた作品です。こうしたものが自宅にいながらにして読めるとは、思ってもいませんでした。

さて読みたい資料が見つかったならば、高圧縮形式のビューワをインストールするか、GIF形式を選択するかして読むのです。私自身はGIFで読んでいるのですが、目次や本文がモニター画面に表示されるまでにちょっと時間がかかります(私がISDNでつないでいることにも関係しているかもしれませんね)。高圧縮形式のビューワは、それに輪をかけて待たされる気がして、GIFを使っているというところでしょうか(倍率の調整はビューワの方がはるかにやりやすいです)。マニュアルもWeb上に用意されていますし、一度ためしてみてはいかがでしょうか。
【2002年10月10日】


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