第9回 : 情報誌『東京かわら版』(1999年6月20日)

寄席に行く機会がもっとあったらいいなと思うのですが、ついついコンサートのほうに行ってしまいます。でも、落語には四季折々に即した話がたくさんありますし、もちろん、季節を越えて聞いても笑える話も多いわけです。クラシックのコンサート会場では、あの静けさが大切な要素ですが、寄席は違います。可笑しければ笑う。大笑いしてもいいんです。ストレスの発散にもすごく効き目がありそうな気がします。
寄席の情報まで乏しくなると、ますます足が遠のいてしまうことでしょう。そんな私が毎月読んだり持ち歩いたりする情報誌のひとつ、『東京かわら版』を紹介しましょう。
内容は、東京とその近隣地区で行われる落語・講談・浪曲などの会の情報を中心に据えて、寄席芸人の人たちへのインタビュー、その他の記事が何本も用意されています。地味な情報誌で、(有)東京かわら版が月刊で発行し、価格は税込み300円。大手の書店で購入するか、都内にある寄席の常打ち小屋(浅草・木馬亭、浅草・演芸ホール、池袋演芸場、上野・鈴本演芸場、新宿末広亭、三宅坂・国立演芸場)などで扱っています。私は去年の途中から定期購読に切り替え、毎月の終わり頃に自宅に届くようになりました。
落語・講談・浪曲の会に関する情報は、見やすいリスト形式にまとめられて、巻末から見てくるように作られています。出演者と出し物も極力掲載するように努力しているようです。そこがまた、いいところです。ただ、主催者からの連絡のせいでしょうか、ときどき出し物がわからないときもあります。そう、こんなことがありました。

5年前の夏のこと。あるスポーツ新聞社主催の会をこの雑誌でみつけたのですが、出し物がわからない。連絡先の電話番号がリストに書いてあるので、さっそく電話して確かめました。
聞くと「青菜」「酢豆腐」「祇園会」など、いかにも夏の落語が目白押しですし、トリには「死神」が置かれていました。もちろん、よ〜し行くぞと決めました。でも、よくわからないのが一つ残りました。先方の担当者が「えーと、ホタルの油」というんですね。「??」と思った私でしたが、当日、会場で謎が解けました。と書いてありました。ホタルじゃなくて、ガマだったんですねぇ。「なーんだ」と思いましたが、確かにこの漢字は難しいです。若い担当者は読み間違えたんでしょう。この電話には、もう一つのオマケがありました。ある師匠の出し物について、「難しい漢字が書いてありますよ」と担当者。なんだろうと思ったら「扇に風に機械の機」。私は思わず言いました「そりゃ、センプーキ(扇風機)だよ」。
冗談は”ヨセ”というところですかね(ハハハハ)。

ああ、また寄席にも行きたくなってきました。何か面白い出し物をさがしてみよう。


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