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| P24 | 北朝鮮は飢餓状態にあり、愛想もなく破産寸前なのだが、そんな国が、 日本の信用組合をだましたという疑いをかけられている | squeeze : を絞る,締め付ける surly : 無愛想な,険悪な、 plunder : を略奪する,こっそり盗む、 credit union : クレジット・ユニオン,(消費者)信用組合、 |
| 1 | 日本に何千人といる北朝鮮人と同じく、パクイルホーは、北朝鮮がいつか 自分が帰るべき「地球の楽園」だと信じたときもあった。その大儀のため にお金を出すのは自然なことだった。パクの貿易会社は、紙からコンピュ ータチップまでありとあらゆるものを北朝鮮に発送しており、北朝鮮政府 が支払いをしようとしなくても彼は不平を言うこともなかった。「祖国の ためのお金だ」という理屈をつけていたのだ。こうして、1987年、北朝鮮 と関係のある地元の信用組合が、「お国のための活動」するので特別口座 に入金して欲しいと頼まれたときも断らなかった。このお金を投資し、利 益は北朝鮮に送金するが、元金は返還すると約束したのだ。だが、二度と その金は戻ってこなかった。その信用組合に対して日本で起こした訴訟で、 信用組合は彼の口座から1,700万ドルを北朝鮮に送金したと主張。「怒って 頭にきているのよ。北朝鮮を信じていたのに」とパク。 | ethnic : 民族の,人種の、 rationalize : 正当化する,理屈をこねる、 put money into : 〜に出資する、 special account : 特別会計、 principal :元金、 lawsuit : 訴訟,告訴、 filch :くすねる,盗む、 indignant : 怒った,憤慨した,憤然とした |
| 2 | 昨今のこの手の信用組合に怒っているのはパクだけではない。著名な在日朝 鮮人何人かが、この金融機関とそのやり方に公に非を唱えている。パクの訴 訟はその手始めといえるもので、もしこれがうまくいけば他の人も彼に続く だろうと彼は考えている。表面上は在日北朝鮮人(650,000在日朝鮮人のおよ そ3分の1が北朝鮮系)を援助するために設立されたのであるが、北朝鮮が世 界第二位の経済国からお金を巻き上げる手助けをしていると疑いをかけられ ている。今年始め、そのうち13行が倒産し、80億ドル近い回収不能債権を残 している。日本の国会議員のなかにはそれを憂慮して、北朝鮮政府はそのか なりの部分を流用したのではないかと考えるものもいる。 | denounce : 公然と非難する、 financial institution : 金融機関,金融法人、 tactics : 戦術,戦法、 ostensibly : 表向きは,表面上は、 tap :求める,巻き上げる、 bust : 破産する、 outstanding loan : 未償還公債,回収不能の債権、 lawmaker : 議員、 siphon off : つまみ食いをする,他に流用する、 chunk of : かなりの量,かなりの部分 |
| 3 | その資金がどうなったか正確に知るものはいないが、議員たちは北朝鮮の法 外な武器開発計画を指摘する:たとえその資金が直接それに回されなくとも、 他の資金が必要なくなれば、それが武器に回されることになるのだ。また、 北朝鮮はその計画に必要な技術のいくつかを日本で購入してきたのだが── それには円を含む外貨で支払わなくてはならない──消えてしまった円がこ の目的に使われた公算が高い。東京にある防衛研究所の北朝鮮専門家である Hideshi Takesadaはこう言っている:日本からの資金と技術がなければ、北 朝鮮は壊滅するでしょう」経済企画庁政務次官のYuriko Koikeは、こうした 資金が日本の安全を脅かす元凶となっていると考えている。「日本の資金と 技術を使って、日本を狙う武器の建設をしているのです」と。 | foreign currency : 外貨,外国通貨、 National Institute for Defense Studies :防衛研究所、 collapse : 破綻する、 economic planning : 経済計画 |
| 4 | だが日本政府は、信用組合の破産を調査するどころか、立て直しのために 何十億ドルという公的資金を投入する計画だ。Koikeなどこれに批判的な 人達は、こうした資金が実質的には北朝鮮の管理下にあり、規制があまり 効かない金融機関に流れる可能性に不安を感じている。 | shell out : 金を出す、 taxpayers' money : 公的資金、 refloat : 再び浮き上がらせる,引き揚げる、 prospect : 見込み,予想 |
| 5 | 懸念を抱いてないように思われる日本政府の対応は、最初1950年代初頭の朝 鮮戦争後に設立されたこの信用組合の複雑な経歴を反映している。当時、在 日朝鮮人──その多くが、朝鮮半島が日本の植民地であったとき強制労働を 強いられた──は広範囲に渡る差別に直面した。商売をやっていく上で銀行 融資を受けることができなかったので、自分たちで信用組合を設立したのだ。 現在、日本の金融当局が言うには、これらの組合も他の金融機関同様に税金 からの救済を受ける権利があるのだと。だが何十年もの間、政府はこの信用 組合の不適切な財政報告書に目をつぶってきた。見て見ぬふりをしてきたの は、朝鮮人社会に対して漠然とした罪意識を感じ、また日本における北朝鮮 を代表する準政治結社、総連からの非難を恐れてきたからだ。総連が与党自 民党との関係を深めてきたことも重要だ。 | tangle : もつれさせる,紛糾させる、 forced labor : 強制労働、 widespread discrimination : 広範囲に渡る差別、 bank loan : 銀行融資、 bailout : 企業救済、 turn a blind eye :見て見ぬふりをする、 indulgence : 欲しいままにさせること,免罪符、 sense of guilt : 罪の意識,罪悪感、 backlash : 非難,激しい反発、 Chongryun : 総連 |
| 6 | 長い間、日本にある朝鮮人社会は北朝鮮の重要な外貨獲得源であった。1950 年代後半に始まる北朝鮮への帰国で約90,000人の朝鮮人が帰っていったあと、 日本にいる縁者が彼らに送金を始めた。北朝鮮政府はその外貨を取っておい て、公営の店で使える金券を発行した。1970年代になると北朝鮮政府は在日 朝鮮人からもっと計画的にお金を求め出した。なかでも気を引くものとして、 1回につき20,000ドルで偉大な指導者金日成との写真撮影を提供するもの、 と、かつては北朝鮮の秘密エージェントとして活動していた在日北朝鮮人 チャン・リョン・ウン。革命に対して情熱を持ち、100万ドル以上寄付する ものは誰にでも特製キムメダルが与えられた。 | hard currency : 交換可能通貨、 remit money :送金する、 hand out : を配る,振りまく、 certificate : 株券,証券、 enticement :誘因,えさ、 photo-ops :photo opportunity:(米 カナダ)(政府高官 有名人などがカメラマンに与える) 写真撮影の機会[時間];通例,会議などの前後に設定される、 a pop :一回につき、 fervor : 情熱、 |
| 7 | 寄付は強制とまではいかなくとも強く奨励された:在日朝鮮人の多くが、それ でも北朝鮮が労働者の楽園を建設していると熱狂的に信じていた。だがその熱 も80年代から90年代にかけて冷めてきていた。明らかに北朝鮮政府の指示下に あると思われる総連が北朝鮮人事業家に対していくらいくらの「寄付」── 特にキムの誕生日に向けて──の割り当てを強要し始めたからだ。総連は、集 金に信用組合を利用。よくあるピンはねのテクニック:ローンを申し込む事業 家は必要な資金よりも20から30%多く借りるように言われる──余分なお金は 北朝鮮に送られるのだ。信用組合を利用していること、また組合のお金が北朝 鮮に流用されてきたことを総連は否定。 | coerce : 強制する,強要する、 quota : 割り当て、 shakedown : ゆすり,脅し,金を巻き上げること、 divert to : 流用する |
| 8 | 1990年代初めまでに、為替や現金の贈り物あるいは投資の形で毎年20億ドル もが日本から北朝鮮に流れていった、と元外務大臣の羽田孜は言う。こ の資金の流れは、日本の経済不振と、北朝鮮に対する幻想が打ち砕かれるに つれ急速に萎えていった。しかしこの資金源が枯渇するにつれ、信用組合へ の救済が日本から更なる資金を巻き上げる絶好のチャンスとなっている、と 語るのは、Hataru Nomura、信用組合問題についての本を近頃出版した著者 である。その救済策は、経営不振の組合を蘇生させ、他の不振な金融機関と 合併させるものであるが、これによって国民には100億ドルもの負担が強い られるとNomuraは見積もっている。「救済金は北朝鮮が最後の頼みとする 資金なのです」と彼は語る。 | remittance : (為替)送金,銀行振込、 economic slump : 経済不況,景気低迷、 disenchantment : 幻滅,(幻想・盲信が)打ち砕かれること、 dry up : 枯渇する、 bailout : 企業救済、 best chance : 絶好のチャンス、 squeeze : 強制する,脅しをかける、 refloat : 再び浮き上がる、 merge : 合併する |
| 9 | 信用組合の資金はどのようにして北朝鮮に送られるのか?この機関は自らを 秘密裏に閉ざしており、その活動はほとんど外部に公開していない。しかし パクの訴訟により、彼らが行ってきたと思われる強硬な手段のいくつかをの ぞきみることができた。パクの陳述では、パクの口座から金を引き出し、北 朝鮮に200万ドル送金したことを信用組合の上級職員が認めているという(信用 組合関係者は、その職員が勝手にやったことと主張)祖国にいる家族を守る ためにやったのだ、とこの職員は言っている。本当のことかもしれない:北 朝鮮というのは、在日北朝鮮人を身内を逮捕して脅迫することで知られてい るからだ。この信用組合と言うのは、北朝鮮政府が認める会長によって運営 されているのだが、借り手が支払能力がないと分かっていてもこうした「寄 付」ごまかすために大金を貸し付けてきた。 | cloak :おおい隠す、 disclose : 開示する、 behind-the-scenes : 秘密裡の,舞台裏の、 hardball : 厳しいやり方,強引な手段、 senior executive : 上級管理者、 blackmail : 脅迫する |
| 10 | パク同様チャンも北朝鮮共産主義を変わらず信奉していた。日本にいて北朝 鮮政府の命令に従っていた彼は、寄付するようにパチンコ店主や裕福な事業 家を急き立てた。長年に渡って6,000万ドルもかき集めたと言う。チャンは金日 成その人にプレゼントを贈っていた:ワイン、オーディオ装置、日本海(East Seaとしても知られている)の海図、下着までも。だが3年前、彼は北朝鮮と 公に決別した。在日北朝鮮人から金を巻き上げるのに詐欺を働いたと北朝鮮 政府を非難したのである。 | do ond's bidding :人の命令に従う、 hit up : せき立てる,人に頼む、 well-off : 裕福な、 rake in : (金を)かき集める、 marine chart : 海図、 underwear : 下着,肌着、 accusing : 《形》告発する,非難するような、 Pyongyang : 《地名》平壌,ピョンヤン、 fraud : 詐欺行為,詐欺、 extract money from : 〜から金を絞り取る |
| 11 | チャンは今、北朝鮮社会の政府の「略奪」と彼がいうものにたいする証拠固 めに時間をかけている。一抱えもある権利書を振りかざして、信用組合が常 に担保枠をはるかに超えて大金を貸し出していたことを来る人々に示すので ある。彼が引き合いに出すひとつの例が中部日本の学校だ:価値としては 200万ドルもないのだが、5,000万ドル以上の担保物件に設定されたのだ、彼は言う。 チャンに言わせれば:「気違いじみている」 | collect evidence : 証拠固めをする、 plunder : 略奪,略奪品、 brandish :振りかざす,振り回す、 armload : 腕に抱えられる量,腕一杯、 title deed : 権利書,権利証書、 far in excess : はるかに超過している、 collateral : 担保 |
| 12 | 2年前日本政府はこの問題を直に知る機会を得た。大阪にある大手北朝鮮系信 用組合が倒産したときのことだ。そこもまた北朝鮮に資金を回していた疑い があった。だが銀行業を監督している金融監督庁職員は、そうした疑いを調査 するのは自分たちの仕事ではないと言いきる。Koike Yurikoは10月に経済企 画庁の2番目のポストに就いたのであるが、彼女が言うには、倒産後のその金 融機関の記録を調査した府職員には、資金の流れを追跡する能力も権限もな かったのだと。関心はあるのだが、事が金融問題だけに調査する権限がない、 と防衛庁も警察も言っている。八方ふさがりの状態を回避するには政治的決 断が必要だと語るのは、関西大学経済学助教授Lee Young Hwa。だが政府は 調査結果を心配している。「これはパンドラの箱なんですよ」と彼は言う。 | first-hand : 直に、 belly-up : 倒産して、 siphon : を吸い上げる、 Financial Supervisory Agency : 金融監督庁、 banking industry : 銀行業、 allegation : (誰かが犯罪を犯したという十分な証拠のない)主張,陳述、 Economic Planning Agency : 経済企画庁、 prefectural official : 県庁の役人、 skills : 職務能力、 mandate : 委任統治,為政権、 law enforcement : 警察、 catch-22 : 八方ふさがりの状況、 assistant professor : 助教授 |
| 13 | 今年始め、北朝鮮が去年日本上空を飛行したロケットよりもさらに強力なミ サイル実験をしようとしたとき、この救済策は苦境に陥ったかにみえた。1回 目の打ち上げは多くの日本人の怒りを買った──もう一度打ち上げれば、北 朝鮮への感情はさらに硬化したであろう。だが、9月に2度目のミサイル試射 を延期して状況は変わった。11月始め、日本政府は北朝鮮に対するチャータ ー便の禁令を解く。今週、自民党、社民党などの重要人物が北朝鮮を訪問す る。日本人首脳級高官による訪問のうちの一例となる。 | bailout plan : 救済策、 test-fire : 試射する、 loft : 打ち上げる、 missile test : ミサイル試験、 charter flight : チャータ便 |
| 14 | 北朝鮮は日本をだましているのだ、欲しい物を手に入れるまでは良い子の振 りをするという古臭い手を使っているのだ、と北朝鮮専門家の多くが言って いる。今彼らが望んでいるのは、自分たちの銀行が日本で営業を続けられる ようにすること。「北朝鮮は、お金を手にいれるまではミサイル打ち上げの 危険は冒したくなかったのです」と著者のNomura。だが一旦それを手にすれ ば、日本に向けて使用されるのではないだろうかと、彼や他の北朝鮮評論家 は思いを巡らしている。 | dupe :かつぐ,だます、 in the bag : 確実で,確かに,手に入れて |
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