Will We Still Need to Have Sex?

Will We Still Need to Have Sex?
(11.8.P46.1999)

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今回は VISION 21 から
  特に目新しい論点ではないけれど、まとめとして読むのにはいいですね。

セックスってまだ必要なの?


語彙は主に『英辞郎』Ver.28から抜粋

by MATT RIDLEY
 

大意

語彙

P46 鳥はやってる。蜂もやってる。だけど人間はもうやらなくてもいいかも ──楽しみという点を別にすれば except for : 除いて
1 まずは良いニュースから:2025年の段階では依然人間はセックスをしている だろう。もっとも、その頃には恋のくどき文句が違っていればいいのだが。 さて、次にあげるのは革命的(進化的といったらいいかも)なニュース: セックスは今よりはるかに必要ではなくなっているかもしれない。セックス は面白くて止められないものなのだが、宗教的信念を別にすれば、それは生 殖のためというより娯楽のためのものとなろう。人類の多くは、特に金持ち とか虚栄心の強い者、野心的な人たちは、試験管を使うことになるだろう─ ─不妊のためとか、自分に合った相手がいないからというだけではなく、自 分たちのクローンを作ったり、自分の遺伝子をいじったりするためにである。 pickup : 行きずりの恋の相手,一夜の女、 conviction : 信念,有罪の判決、 recreation : 娯楽、 procreation : 生殖、 vain : 虚栄心の強い、 test tube : 試験管、 get around : 〜を避けて通る、 infertility : 不妊症、 suitable partner : 適当な相手、 tinker :いじくりまわす
2 多くの生き物が既にセックスをすることなく子孫を産んでいる:トカゲとか アブラムシ、タンポポ、非常に小さいクルマムシなどだ。無論、それには人間 も入っている。1978年、初の体外受精児であるルイス・ブラウンの誕生以来、 何十万人もの人がベッドでではなく実験室のガラス器具の中で妊娠してきた。 whiptail lizard :ハシリトカゲ属のトカゲ《北米・南米産》、 aphid : アブラムシ、 dandelion : タンポポ、 rotifer : クルマムシ、 test-tube baby : 試験管ベビー,体外受精児、 conceive : 妊娠する、 laboratory glassware : 実験用ガラス器具,実験室のガラス器具
3 もし人のクローンが可能となれば──ドリーと名づけられた羊の誕生以来、 2025年までに人のクローンが可能ではないと疑う人は少ない──生殖器官と 生殖との結びつきさえ壊れてしまう。そうなれば、体の一部を切り取って、 ヤナギと同じようにして新しい人間を育てることができることとなる。また、 胎児を「改良」するために選別したり遺伝子を組替えたりできるようになれ ば、体外受精とかクローンとかは、それをできる経済的余裕のある人だけの 特殊なものではなくごく普通のこととなるかもしれない。 Dolly : 霊長類初のクローン羊、 feasible : 実現可能な,可能な、 sex organ : 性器,生殖器官、 willow tree : ヤナギ、 embryo : 胎児,胚芽、 become the rule : 通例になってくる
4 ある意味、私たちはもう生殖とセックスとを分けている。1960年代に、経口 避妊薬によって女性は解放され、セックスそれ自身を楽しむようになった。 同時に、同性愛に対してより寛容になってきたことは、社会がもう一つの種 類の生殖を伴わないセックスを容認するようになってきたことを示す。こう した変化は、恐らくは百万年前から始まった傾向の、単に延長上にあるだけ のこと。ハーバード大学の人類学教授、リチャード・ランガムが指摘するよ うに、「ほとんどの哺乳類は決まった交尾期間以外ではセックスに興味をも たない。メスのチンパンジーを例にとってみると、交尾はメスのお尻がピン クに腫れている期間に限られている。その期間以外ではメスはオスを誘惑し ようとは決してしないし、オスの方もそれを考えるだけで怖気を振るうであ ろう。だが人間は、人という種に進化してからだろうが、絶えずセックスの 可能性を求めてきた。 contraceptive pill : 避妊剤,避妊薬,経口避妊薬,ピル、 tolerance : 寛容,容認、 homosexuality : 同性愛(者),同性愛関係、 anthropology : 人類学、 mammal : 哺乳動物、 copulation : 交尾、 rump : 動物の尻、 lusty : 性的に興奮した,ムラムラした、 seduce : 誘惑する、 persistent : 永続性の、 evolve : 進化する
5 こういった生殖に関係のない、付き合いの上だけのセックスについては、他 のいくつかの種と関心を同じくする:イルカやピグミーチンパンジーやある 種の鳥などである。しかしセックスが人間にとって捨て去るには忍びがたい ほど良いものであるにしても、これからはますます多くの人が生殖の手段と してのセックスを放棄するだろう。体外受精で産まれてきた人の多くが不妊 症である──遺伝的両親から不妊症を受け継いでいるのだ。つまり、不妊症 は間違いなく増加し、それに伴って体外受精への需要も増える。これに加え て、同性愛者の男女からの需要、個人的な優生学上の動機を持つ人たち── 遺伝病を伝えたくないというものから、背が高いとか頭がいいとか可愛い子 供が欲しいといったものまで──それにセックスをせずに子供を産みたい人 たちの需要が広がるのは確実である。 infertile : 不妊の,不妊症、 dolphin : イルカ、 bonobo : pygmy chimpanzee,ピグミーチンパンジー、 in-vitro : 体外受精の,人工授精の、 be bound to :きっと〜する、 gay : 同性愛の、 eugenic : 優生学的な、 motive : 動機,目的、 pass on :伝える、 inherited disease : 遺伝病
6 今の世では、セックスもでき親になることもでき、しかもその間の妊娠の苦 しみすら避けることができる。ハリウッドの女優の中には、母親になりたい という願望を、子供を産んで容姿を損なう(彼女たちの考えだが)よりは養 子をもらうことにして満足した人がいるかもしれない。こうした美人には、 クローン(他人の子宮で育てられた)を養子にするという誘惑は、そのうち 抵抗し難いものとなるだろう。 parenthood : 親であること,親の立場、 childbearing : 出産,分娩、 temptation : 誘惑、 surrogate : 代理,代理人、 womb :子宮,母胎、 irresistible : 抵抗できない
7 一旦クローンに対する悪い印象がなくなれば、子供の遺伝子を操作したいと い欲求はすぐそこにある。ケンブリッジ大学の分子生物学者であるグレイム・ ミッチソンはこう言っている、「誰もが美しくなれるのです──はげ頭もい ないし、メガネをかけた弱虫も、骨ばった膝の人もいません」近刊書 Dr. Tatiana's Sex Advice for All Creationの著者であるオリビア・ジャド ソン残念ながら反対意見である:「遺伝子操作された大豆に対する敵意がこれ ほどあるとすれば、遺伝子操作された人間にとっていい兆候とは言えません」 stigma : 汚点,不名誉、 offspring : 子,子孫、 molecular biologist : 分子生物学者、 baldness : はげ,はげ頭、 wimp : 弱虫,意気地なし、 knobby knees :骨張った膝、 forthcoming :近刊予定の、 differ :意見が合わない、 hostility : 対立,敵意,敵性、 genetically modified : 遺伝子組み換えの,遺伝子操作された、 bode well for : 〜にとって良い前兆である
8 人クローンとか遺伝子操作された子供というのはまだまだ差し迫った問題で はない。家畜において、その処置が安全であり効果的であると思われたとし ても、それすらまだ遠い先の話なのだが、人に対しては多くの国の政府によっ て禁止されないまでも厳しく締めつけられるであろう。 imminent :差し迫った,目前に迫った、 farm animal : 家畜
9 しかしながら、生物界の多くの種ではクローンはありふれたものだ、という ことは注目に値する。タンポポやある種のトカゲなど、クローンしか生殖の 手段がない種もいれば、アブラムシとかイチゴなど、セックスとクローンを 簡単に切り替えることのできる種もたくさんある。生物学の学会では次のよ うな議論が激しくなされている。なぜそうした種は世界を席巻しなかったの か:効率良く子供を作ることができ、オスと呼ばれる無駄な生き物を生み出 すなどといったエネルギーの無駄遣いをしないのに。 old hat :ありふれた,平凡な、 dandelion : タンポポ、 whiptail lizard :ハシリトカゲ属のトカゲ《北米・南米産》、 aphid : アブラムシ、 effortlessly : 楽々と、 fierce argument : 激しい議論、 take over :支配する,前のものに代わって優勢になる、 waste energy : 廃熱、 futile : 無駄な,役に立たない
10 これまで考え得る解答として2つあげられてきた。ひとつは、オスというのは 病気に対抗するために必要だというもの:有性生殖をしないクローン型の種で は、絶えず増加する寄生虫病には弱いのである。もうひとつの理論というのは、 セックスというのは、各世代ごとに遺伝子を混ぜ合わせることで遺伝変種を取 り除くのに役立つというもの。 sexual reproduction : 有性生殖、 vulnerable to : 〜に弱い、 parasitic : 寄生する、 purge : 取り除く、 genetic mutation : 遺伝子突然変異,遺伝変種、 shuffle : を混ぜる,シャッフルする、 gene : 遺伝子
11 どちらの説明も悩むほどのものではない。1固体から次世代すべてをクローン 化しようというわけではないのだから(1930年代には、体外受精ができるよう になれば、多くの人が、父親にレーニンのような卓越した人をもとうとして殺 到するだろうと考える著名な遺伝学者が何人かいた──これ自体、将来に関し て、遺伝学者が如何に間違うかを示している)それに、遺伝的変種というのは 蓄積するのが極めて緩やかなので心配することもないのである。 eminent : 著名な、 geneticist : 遺伝学者、 prominent : 卓越した,有名な、 accumulate : 蓄積する,累積する
12 また、セックスが遺伝的に必要はないと判明したとしても、全くの無駄骨と いうわけでもない。結局のところ、現実に美的な感動を与えるものは性によ るところが多い。セックスがなければ花が咲くこともなければ鳥が歌うこと もないのだ。夜明けに鳥たちが一斉にさえずる、花が一面に咲き乱れる草原 は、実のところ激しい性の競演である。ロンドンユニヴァーシティーカレッ ジの進化心理学者、ジェフリー・ミラーはこう指摘する。人間の生活におけ る過度なものはすべて、それが詩であろうと速い車であろうと、性的に一歩 先んじたいという欲求に基づいている。 aesthetically : 美的に,美学的に、 appealing : 心を動かす,魅力的な、 in nature : 現実には,事実上、 meadow : 草地,牧草地、 resound : 反響する,こだまする、 frenzied : 熱狂的な,逆上した、 university college :ユニヴァーシティーカレッジ《自身で学位授与資格のない 大学;もと学生に London 大学の学外学位 (external degree) を取得させたが, 今日そのほとんどが正式の大学の資格を有する》,[University College] ユニ ヴァーシティーカレッジ 《(1) Oxford 大学のカレッジの一; 1249 年創設; 略 U.C. (2) London 大学のカレッジの一で, 同大学最大のカレッジ; 1827 年創設 (=Univrsity Cllege, Lndon); 略 U.C.L.》、 psychologist : 心理学者、 extravagant : 過度の,法外な、 fast car : 高速車、 one-upmanship : 一枚上手に出る術,人を出し抜く術
13 「女性がいなければ、世界中の富は意味を失ってしまうだろう」と言ったの は、アリストテレス・オナシスであり、彼にはよく分かっていたのだ。また、 ヘンリー・キッシンジャーはこう言った、「権力は大いなる媚薬だ」と。 では、セックスなければ、人類は──そして人類の文明は──どこにいくの か?恐らくは、アブラムシとタンポポと共に退化し、楽々と子供は作れるが 帝国も大聖堂も作ることはできないだろう。 aphrodisiac : 催淫薬,媚薬、 aphid : アブラムシ、 dandelion : タンポポ、 procreate : 繁殖する,産む、 cathedral : 大聖堂,教会
14 マッド・リドリーは、「赤の女王:性と人類の進化」の著者である。その彼 の新刊書、「ゲノム:23章に渡るある種の物語」が2月出版予定。 new book : 新刊書,最新刊、 genome : 生物の生活機能を維持するための最小限の遺伝子群を含む染色体の一組, ゲノム、 autobiography : 自叙伝,自伝、 due out : 出庫予定


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