|
| |
| P22 | 全訳 パキスタン侵入者によってとられた領地の返還要求を推し進めながら, インドの兵士達は激しい発砲に果敢に立ち向かう。 | |
| 1 | 列を成して大量に連なるトラックに続くトラック,タンク車に続くタン ク車は,一団で100台を超え,カルギルから約20キロのドゥラス河に沿って走る ほこりの舞い散る道路に止められている。これらの明るく色塗られた運搬車は 民間の運送業者が所有するものであり,フロントガラスに貼られた小さな紙の 標識は「軍用」と書いてある。運転する民間人は,カシミールの立ち入り禁止 の山岳地帯に駐留するインド攻撃軍のもとへ,兵器,弾薬,燃料や食料を輸送 するのに,一晩中ライトをつけず運転してきたのだ。トラックはちょうど夜明 けを向えて,(地形によって)守られた坂のきつい高台に集結した。トラック毎, あるいはそれぞれの部隊毎に,パキスタン側の重砲が狙いを定める川谷の広く 開けた方へ,大きな音を立てて進む前の警報解除の合図を待っているのだ。 | 語彙 line up: 整列する by the score: 多数で in a convoy of: 〜の一団で vehicle: 乗り物 hauling company: 運送業者(= moving company) display: 掲げる windshield: フロントガラス ON MILITARY BISINRSS: 軍用;ここでは運搬が 軍事関連であることを示している civilian: 民間人 be behind the wheel: 運転 する ferry: (車などで)運ぶ arm: 兵器 ammunition: 弾薬,攻撃の手段 fuel: 燃料 forbidding: 近づきがたい gather: 集まる dawn: 夜明け protective: 保 護した;ここでは地形によって守られていることを意味している height: 高地 steep slope: 急勾配の坂 all-clear signal: 警報解除の合図 roar off: 大きな音を 立てて進む broken group: 分散された地上部隊 section: 地区 river valley: 川 谷,川の流域 target: 目標にする heavy gun: 重砲 |
| 2 | 以前ほど火砲砲撃は頻繁に起こらなくなったのは,インドの戦いで鍛え ぬかれた兵士達が労苦に耐え,パキスタン侵入者が包囲する上方を徐々に浄化 し,前方展望哨を与えずにいるからだ,と軍関係者達は言う。護衛団の背後に は,カルギルからカシミール谷入り口に通じる全長3,400メートルのゾージ山道まで 150キロあり,その途切れることなく広がりを見せる場所へ満遍なくインド軍は駐 留し始め,何百という最前線兵士を標高の高い場所に慣らし,川岸に沿うある いは崖下のシェルターに身を潜める砲兵隊へ,さらに多く射程距離の長い銃器 を供給している。彼らは皆,ほぼ垂直に狙いを定めた銃身から発砲しているの だ。 | 語彙 frequently: しばしば now that: 今や〜なので battle-hardened: 戦いで鍛 えられた with great difficulty: 大変な困難を伴って surround: 包囲する Pakistani: パキスタンの intruder: 侵入者 deny A B: AをBに与えることを拒 絶する forward: 前方の observation post: (敵の動静を見張る)展望哨 military official: 軍関係者 convoy: 護衛団 a stretch: (途切れのない)広がり pass: 山道 settle in: 落ち着く acclimatize: 新風土に慣らす frontline soldier: 最前線の兵 士 high altitude: 標高の高い所 add: 加える long-ranged: 射程距離の長い bevy: 集まり artillery: 大砲 battery: 砲兵中隊 river bank: 川岸 tuck: 引っ 込める shelter: 避難所 cliff: 崖 barrel: 銃身,砲身 vertically: 垂直に |
| 3 | パキスタン軍の砲撃射程から離れたところで,新たに建てられたテント が高原の牧草地に点在している。インドの「ホワイトデビルズ」という山岳地 帯や高原にたけた闘争集団出身の奇襲部隊は,兵士達に岩登りの訓練をしてい る。徴収された市民のトラックや軍の輸送トラックは狭い道を,もうもうとし た排気ガスを吐き出しながら,ガタガタと音を立てて進む。この場面は,絶え 間なく続く営みの一つなのだ。ようやく数週間の不安定,誤算,不決断の時期 を終えて,インド軍の巨大な破壊力が動き始めている。 | 語彙 range: 範囲 Pakistan: パキスタンの artillery: 大砲 erect: 建てる dot: 点在する upland: 高地の meadow: 牧草地 commando: 奇襲部隊 elite: 選り 抜きの warfare group: 闘争集団 train: 訓練する rock climbing: 岩登り commandeer: 徴収する civilian: 民間人の military transporter: 軍の輸送トラッ ク rumble: ガタガタ音を立てて進む narrow: 狭い spew: 噴出する clouds of exhaust: もうもうとした排気ガス unending: 果てしない uncertainty: 不安 定 miscalculation: 計算違い indecision: 不決断 juggernaut:(戦争など)巨大な 破壊力 roll: 進んでいく |
| 4 | この争いでは,あらゆるものが誇張されており,周囲の環境は目を見張 らせるものがある。戦いは,夜を中心に起こるので,辛く凄まじいものだ。荷 物運搬人に,標高5,000メートルの高さのほぼ垂直に近い岩肌を,命取りになる交差 射撃にさらされながら,重荷を背負い這い上がらせる必要があるので,接近や 補給は危険なのだ。パキスタン人が一番深いところで(約6キロほど),インドへの 領地侵犯を行った高地―今現在,最も激しい戦闘の幾つかが繰り広げられてい るところ―で,地元の人間はそこを世界で2番目に寒い地域と呼んでいる。誰 一人一番寒い場所は知らないようである。 | 語彙 conflict: 争い hyperbole: 誇張 setting: 周囲の環境 spectacular: 目を見 張らせる brutal: 厳しい,ひどい access: 接近 resupply: 補給 hazardous: 危 険な require: 要求する porter: 荷物運搬人 load: 積荷 near-vertical: ほとん ど垂直に近い rock face: 岩肌 expose: さらす deadly crossfire: 命取りになる 交差射撃 Pakistan: パキスタン人 penetrate: (相手の領域に)入りこむ,潜入す る Indian-held territory: インド領 the locals: その土地の住民 |
| 5 | 気候だけで判断すれば,インドは雪がゾージ山道をふさぎ,戦闘地域へ の道を閉ざす前の10月の半ばまでには山頂を取り戻さなければならない。「こ の任務の70%はゆうに終わらせたとはいうものの,残りの30%が一番大変であ ると認めることになるだろう」と言うのは,アバター・シン大佐で,カルギル のインド軍スポークスマンである。ドゥラス近くの軍基地で,アバター・シン・ チャバワル大佐―前線におけるその区域のインド軍作戦本部長―は,その地域 を一掃するには「もう数ヶ月」かかると予測する。「10月までに終わることを本 当に願っていますが」と彼は言い,もし必要であれば,軍隊は冬場の戦争を戦 うこともできるが,と付け加えている。 | 語彙 go by: 〜で判断する climate: 気候 win back: 取り戻す cut off: 〜を 孤立させる battle zone: 戦闘地域 admit: 認める colonel: 大佐 base camp: 前進基地,ベースキャンプ operations chief: 作戦本部長 predict: 予測する hopeful: 望みをかけている add: 〜と言い足す |
| 6 | きれいな言葉で表された軍の発表といえども,カルギル周辺での戦いと いう汚れて不道徳な現実を覆い隠すことはできない。これは戦争なのだ。それ は,停戦ラインの両側にいる政治家達が唱えているような「小規模で限定的な」 戦闘でない。それはどちらか一方が勝ち,どちらか一方が負けるまで続けられ るのもなのだ。意図されたものであれ,連絡上のミスであれ,両国は犠牲者の 数を控えめに伝えているように思える。ニューデリーとイスラマバードで発表 された数は,カルギルやドゥラス―両国の兵士が,近づきにくい渓谷や岩が露 出したような場所にそのまま放置してある死体についてジャーナリスト達に話 した場所―の戦闘部隊による報告と一致しないのだ。インドの若い士官部隊は, 自分達の部隊を率いて第1次大戦型の襲撃で,敵の銃の中へと飛び込んで行き, 特に多数の死者が出している。先週,小戦闘で,3人の士官が,パキスタン領の 山頂2箇所で死んだ。これにより,26人のインド人が死んだ。囚人を捕られる ことはない。「パキスタン人は降伏するよりは,最後まで戦い抜くことを望んで いるのです」とシンフ大佐は言う。インド人も容赦なく攻撃する,と言うのは 戦線から戻ったばかりの兵士や荷物運搬人である。争いの大半は接戦で,銃剣 は固定され,ライフルは腰からじかに撃てるようになっている。侵入者は当初, 昼夜途切れのないインド側の大砲や空襲に戦力を弱められていた。山腹の部隊 は夜中に少しずつ進み,しばしば,100メートルほどしか進まないこともあるのだ。 | 語彙 sanitize: 浄化する pronouncement: 表明 military command: 軍隊命令 mask: 隠す vicious: 不道徳な limited: 限定的な,小規模な conflict: 戦闘 give way: 屈する design: 意図 miscommunication: 誤った伝達[連絡] understate: 控えめに述べる casualty: 犠牲者 issue: 発する tally: 一致する fighting unit: 戦闘部隊 body: 死体 lie abandoned: 放置されている inaccessible: 近づきにくい ravine: 峡谷 rocky outcrop: 岩の露出 corps: 軍隊, 部隊 in particular: 特に decimate: 多くを殺す assault: 襲撃 skirmish: 小戦 闘,小ぜりあい Pakistani-held: パキスタン領の peak: 山頂 prisoner: 捕虜 Pakistani: パキスタン人 prefer to: 〜を好む fight it out: 最後まで戦い抜く rather than: 〜よりは surrender: 降伏する colonel: 大佐 give no quarter to: 〜 を容赦なく攻撃する battlefront: 戦線 close-quarter combat: 接戦 bayonet: 銃 剣 fix: 固定する intruder: 侵入者 soften up: (敵の戦力)を弱める round-the- clock: 一日中絶え間なく artillery: 大砲 bombardment: 砲撃 air attack: 空襲 unit: 部隊 mountainside: 山腹 inch one's way: 少しづつ動く cover: 〜に渡る |
| 7 | カルギルの町―ラダクに仏教徒の高地があり,かつてそこへ旅する人の 中間宿場であった町―で,仕事の合間に休息を取っているのはネパール移民達 で,インド軍に仕える運搬人が彼らの新しい仕事だ。金は良い,と彼らは言う ―18キロの荷物あたり7ドルである。時折,40ドルも稼ぐことがあるという。通 常,インド人の死体を運んで帰ったり,パキスタン人の死体を浅い石のベッド に寝かせて埋めてくるのは,彼らなのだ。カルギル30,000人の住民の大半は, 逃げてしまった。家は軒並み雨戸が閉められ,ほんの数件の店だけがいまだに 営まれているだけだ。地元の医者は,この町がパキスタンの大砲の攻撃目標と なってまもなく,カルギルの女性の間で,流産の数が増えたと報告していた。 | 語彙 halfway: 中間の Buddhist upland: 仏教徒の高地 Ladakh:ラダク;インド Jammu and Kashmir 州東部の Leh を中心都市とする地域; Ladakh 山脈, Karakoram 山脈が走る; 1949 年停戦協定後, 南部地方がインドに, 残りがパキ スタンに分轄領有された; インド・中国間で, 北東部国境線の未確定地域の領有 が争われている immigrant: 移民 Nepal: ネパール take a break: 休息する load: 積荷 some days: 時々(= sometimes) as much as: 〜も body: 死体 bury: 埋葬する shallow: 浅い inhabitant: 住民 flee: 逃げる shutter: 〜の雨戸を 閉める miscarriage: 流産 Pakistani: パキスタンの artillery: 大砲 target: 攻 撃目標 |
| 8 | 標高4,000メートルの高さにあるハンボティング山道―カルギルの北東地方 ―から,10キロ先の停戦ラインをはっきり示す,雪で覆われた山脈が見える。更 に手前,バタリク村近くに,パキスタン軍が占領しているとインド人が言う尾 根が連なっている。ここで,先週,激しい戦闘が新たに繰り広げられた。天に は目が眩むほどの青空が広がり,小さな雲が漂う。それは,見たところ,手を 伸ばせば捕まえられるような近さなのだ。長年,戦争の兆しすらなかった。(目 の前に広がる)景観には人影はなく,静寂さや雄大さを持つ。この静けさもイン ドのヘリコプターが遠くに現れると台無しにされ,近くの尾根に潜む銃から一 斉射撃が起きる。これが,この戦争を特徴付けている。時折,それはほとんど 架空のもののように感じられ,そして惨事があなたを襲うのだ。 | 語彙 pass: 山道 snow-covered mountain chain: 雪で覆われた山脈 mark: 印を 付ける a series of: 一続きの ridge: 尾根 Pakistani forces: パキスタン軍 occupy: 占領する heavy fighting: 激しい戦闘 site: 場所 another round: もう 一勝負 dazzling: 目も眩むほどの above: 頭上に float: 漂う seemingly: 見 たところ arm's length: 手を伸ばすと届く距離 period: 期間 landscape: 景色 sublime: 雄大[壮大]な calm: 静けさ shatter: 台無しにする in the distance: 遠 くに volley: 一斉射撃 erupt: 勃発する nearby: すぐ近くの ridge: 尾根 sum up: = characterize at times: 時々 unreal: 非現実的な horror: 惨事 |
感想などがありましたら、メールを下さいね!!