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| P20 | 北朝鮮の瀬戸際外交により対決姿勢が強まる | brinksmanship : 瀬戸際外交,瀬戸際政策、 confrontation : 対決 |
| 1 | 金正日が演説すると、誰もが。。。頭を掻く。スターリン主義政権首脳部内 部で何が起きているかを予測するのは常に困難である。ところが北朝鮮の、 「親愛なる指導者」金の頑固で孤立した政権はというと、垣間見ることすら できないのだ。だから北朝鮮が4隻の哨戒艇と3隻の魚雷艇を海域の非武装地 帯を越えて韓国の領海に送り出したときには、世界はこぞって頭を掻いた。 北朝鮮はその敵、つまり1950年代以降厳密に言えば戦争状態にある国を徴発 しようとしたのだろうか?北朝鮮と韓国の両国が、めったにすることのない 会談を北京で行おうとしたまさにその時に、北朝鮮は自国の軍事力を、いつ でも行使する用意があると世界に知らしめたのだろうか?それともその意図 はもっと単純なもの:単に、出漁期の最盛期に最上のカニを捕獲しようとし て艦隊を派遣したのだろうか? | Kim Jong Il : 金正日、 divine :占う,予知する、 nerve center : 首脳部,中枢部、 Stalinist regime : スターリン主義政権、 obstinate : 頑固な、 cloister : 隠遁生活、 impenetrable : 不可解な,理解できない、 noggin : 頭,ばか、 patrol boat : 巡視船,哨戒艇、 maritime : 海の、 demilitarize : 非軍事化する,非武装化する、 provoke : 挑発する、 technically : 技術的には,厳密に言うと、 at war : 交戦中で、 flex : 収縮する,曲げる、 military muscle : 軍事力、 prosaic : 詩趣に乏しい,平凡な,つまらない、 crab : カニ、 fishing season : 出漁期 |
| 2 | 動機がどうであれ、この事件は、外交的駆け引き──北朝鮮が自国の船を韓 国に沈めてもらいたかった、などということはないだろう──が如何に簡単 に対決に発展するかを如実に示している。韓国の哨戒艇が、南に進路を向け て突き進んで来た北朝鮮の船を押し戻したあと、6月11日には、黄海における 膠着状態は険悪なものとなった。領海侵犯自体は珍しいものではない。何十 年もの間北朝鮮の軍艦は韓国の領海を出入りする漁船を護衛してきたからだ。 特にカニ漁期にはそうだった。「初めのうちは、これを脅威とはみませんで した」と、韓国防衛庁スポークスマンで准将の車栄九。彼に よれば、こうした事件は年に20回ほど起きているという。彼は、この膠着状 態がいかに不安定なものか身を持って知ることとなった;海軍の争いを結婚 における言い争いになぞらえて表現した後の先週後半、解任されたのである。 しかし、北朝鮮の軍将校が板門店という国境近くの村で、国連軍司令部と海 域における紛争を討議するために会議を開こうと準備していたとき、北朝鮮 の哨戒艇が再び領海侵犯をした。韓国の話では、彼らは韓国の哨戒艇に激突 しようとしたという。韓国側もやり返した。そして、北朝鮮は35ミリ砲を発 砲したというのである。韓国も反撃し、40トンの魚雷艇を1隻沈め、5隻に損 害を与えた。ワシントンのアメリカ高官によれば、この14分間の交戦により 北朝鮮人30人が死亡したという──1953年に膠着状態のまま終結した戦争以 来、これは南北朝鮮間での始めての海戦である。 | motivation : 動機、 underline : 強調する、 gamesmanship :戦術,駆け引き、 evolve into : 進歩して〜になる、 standoff : 行き詰まり、 Yellow Sea : 黄海、 ram :激しくぶつける,突く、 veer : 脱線する,(向き・針路を)変える、 warship : 軍艦、 escort : 護衛する、 fishing boat : 漁船、 row : 口論,騒動、 marital : 結婚の、 Panmunjom :板門店(パンムンジヨム)《朝鮮中部の,非武装地帯にある村;朝鮮戦争 の休戦会談 (1951-53) 開催地; 現在も南北会談などが行なわれる》、 United Nations Command Military Armistice Commission :国連軍司令部軍事休戦 委員会、 open fire : 発砲する、 cannon : 大砲、 torpedo boat : 水雷艇,魚雷艇、 in stalemate : 膠着状態に陥って |
| 3 | かくして、長く不安を抱かれていた朝鮮半島での戦争再発が突如現実のもの となった。両陣営は完全に武装をしており戦闘体制を整えている。アメリカ は事態を憂慮すべきものと考え、誘導ミサイル搭載艦、U.S.S.ビンセンズと モービルベイ2隻を日本から黄海へ派遣。西海岸からは妨害電波装置搭載の EA-6B機を4機送り出した。日本政府は、去年8月北朝鮮が日本上空を超えて太 平洋に落下するロケットを発射して以来、北朝鮮に対して用心をしてきてい たのだが、北朝鮮は中距離ミサイル発射実験の発射台を準備しているという 情報報告を流した。この報告は、あとで防衛庁により(嫌々ながら)否定さ れたが、警戒態勢は続いている。「北朝鮮は100万人の軍隊をもち、多数の武 器を非武装地帯に配備している」と、米国国務省関係者は苛立ちを隠さない。 「平和な状態ではなく、しかも軍隊が配備されているところでは、誰かが間 違いを犯すと大変なことになる」 | to the teeth : 完全に,十分に、 poise to : 〜する態勢になっている、 dispatch : 急送する、 guided-missile :誘導ミサイル搭載の〈潜水艦など〉、 cruiser : 巡洋艦、 EA-6B :電子偵察・電波妨害機 EA-6B Prowler、 jamming :妨害電波、 wary : 慎重な、 intelligence report : 情報報告、 launch pad : 発射台、 medium-range missile : 中距離ミサイル、 fret : 心配する,苛立たせる、 State Department : 国務省 |
| 4 | 先週の末には、この危機は終わりを迎えたかに見えた。ソウルでは誰もパニッ クに陥りはしなかった;以前の危機の時とは異なり、今回はATMや食糧品店に 走ったりすることもなかった。株式市場は下がりはしたもののすぐに反発。 北朝鮮は、海軍軍事力を損ない体面を失ったものの、言葉で反発するだけだ。 いつものように、全てを解釈する仕事は分析家に任された。「これは何も今 に始まったことではありません」というのは、ワシントンの国策研究会の客 員教授であるニコラス・エバースタット。「これは46年前からある、戦術的 に緊張感を生み出そうとする北朝鮮のやり方です。自らに安全保障上の問題 を作り出すことが、自分達の生き残りに重要であると計算しているのです」 事実、この方法は北朝鮮政府が世界各国と対処する際の手段なのかもしれな い。飢饉と産業基盤が壊滅しているため北朝鮮は手足をもがれた状態になって いるため、その軍事力と、何をするか分らないと思われていることが交渉に おける最強の手札なのだ。 | flare-up : 激発,勃発、 ATM machine : 現金自動預け払い機、 grocery store : 食料品店、 stock market : 株価,株式市場、 rebound : 回復,跳ね返る、 humiliate : 屈辱を与える、 nothing more than : 〜にすぎない、 as ever : いつものように、 tactical : 戦術上の,駆け引き上手な、 strategy : 戦略,方法、 leverage : (目的を達成するための)力,手段、 cripple : 不自由にする、 famine : 飢饉、 demise : 終焉,消滅、 irrationality : 不合理 |
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折りしも、両国の次官が今週北京で会談の予定。14ヶ月ぶりの政治的接触と
なる。会談に先立って、北朝鮮が緊張状態を作り上げようとして海上におけ
る小競合いを演出したのだとは誰も実証できないものの、状況証拠は歴然と
している。国連司令部との会談が始まって9分、北朝鮮軍当局者は突如とし
て、韓国軍が北朝鮮の船籍に発砲したと発表。韓国側はみな、何を言ってい
るのか分らなかった。だが、その激しい非難は効果があった。「これが、戦
争は終わっていないということを知らしめる北朝鮮のやり方なのです」とワ
シントンにあるマンスフィールド太平洋問題センターの局長ゴードン・フレ
ーク。これはまた、今週の議題となるはずのテーマから注意を逸らすにも役
立った:そのテーマとは、40年以上もの間家族と離ればなれになった1,000万
人の韓国人に再会を許可すること。北朝鮮の強硬派は、この再会には反対し
ているようだ。「人の交流は[北朝鮮の]政治的かつ社会的構造の不安定化に
つながる可能性があります」と語るのは、ソウルにあるドングック大学の北
朝鮮研究教授、チョウイ・タイ・セオク。「今や、彼らは公海での事件を議
題にあげることができ、家族再会の件は陰が薄くなりました」 疑問 1 in what ここの用法ってのは何なんでしょう? |
vice minister : 事務次官,次官、 naval : 海軍の、 skirmish : 小戦闘,小ぜりあい、 in advance of : 〜に先んじて、 circumstantial evidence : 情況証拠,状況証拠、 abruptly : 不意に、 verbal : 言葉の,口頭の、 outburst : 爆発,噴出、 serve : 役目を果たす、 executive director : 常務取締役,専務取締役,事務局長,常任理事、 deflect : 歪める,反らせる、 hard-liner : 強硬論者、 social structure : 社会構造,社会組織、 dilute : 薄める |
| 6 | こうした考察により、北朝鮮の指導者達が海外との接触に依然としてどれほ どの恐怖を抱いているかが明らかとなる。ここに北朝鮮政府のジレンマがあ る:金、食物、肥料が欲しい;しかし紐付きは嫌だ。北朝鮮が海外との接触 を持つ時は、それがどれほどわずかなものであれまたそっと進めるものであ れ、これまでそうした動きには威嚇行為が先行してきた。例を挙げれば去年 の9月のこと。北朝鮮の外交官がアメリカの外交官との会談を準備している時、 政府は日本上空にミサイルを発射した。このミサイルは、宇宙から革命賛歌 を放送する人工衛星であり、それは無害で不発だったと北朝鮮は言っている が、多くの識者はそうではないと信じている。「北朝鮮人民にとり、危機は 厳然たる事実であり、交渉で用いられる手段なのです」と、アメリカ平和機 関の特別研究員スコット・スナイダー。 | speculation : 考察,推測、 dilemma : 板挟み、 fertilizer :(化学)肥料、 attach :くっ付ける,添える、 edge :ジワジワと進む、 engagement : 業務提携,ビジネス、 precede : 先立つ、 show of force : 威嚇行動、 counterpart : 同等の人、 innocent : 無害な、 misfire : 不発、 hymn : 賛美歌,聖歌、 fact of life : 巌然たる事実 |
| 7 | とは言うものの、今回のタイミングには特に困惑させられる。投資を必死に 求めて、この政権は資本主義へのほんのわずかな扉を開けてきていた。北朝 鮮政府は、韓国の巨大企業である現代や他の企業が直接北朝鮮に投資するこ とを認めてきたし、韓国からの旅行者が観光船で訪れることも許可している。 5月には、ビル・クリントン大統領の使節である元国防長官ウイリアム・ペリ ーが、戦争終結以来最高位のアメリカ高官として北朝鮮を訪れている。 | that said : ですから,とは言うものの、 befuddle : 混乱させる、 desperate : 捨て鉢の,死に物狂いの,自暴自棄の,絶望的な,命知らずの、 regime : 政体,体制、 capitalism : 資本主義、 conglomerate : 巨大企業,財閥,大企業、 cruise ship : 遊覧大型客船,観光船、 envoy : 外交使節,公使、 Defense Secretary : 国防長官 |
| 8 | 北朝鮮の相矛盾する動きは、韓国大統領金大中の「太陽政策」の厳しい試練 となっている。海上での小競合いのあとでも、観光客を満載した船が北に航 行しているし、韓国船は北朝鮮領海内を航海して、予定通り肥料を運んでい る。「忍耐と確信を持って、私たちは関与政策を続けなくてはなりません」 と、ソウルの統一化閣僚リム・ドン・ワンは先週国会で発言した。その一方 で、この衝突により金大中は、北に対してあまりに弱腰過ぎると非難してい る保守をなだめる機会を得た。「太陽政策は、いかなる軍事挑発も容認しな いと金は宣言した」と、米国の元韓国大使ドナルド・グレッグ。「韓国は奴 等のケツを蹴り上げたのです。金大中はこうした事件を容認しないでしょう」 | contradictory : 矛盾した、 sunshine policy :太陽政策〔朝鮮〕金大中政権のブレーンたちは、金泳三政 権の対北強硬政策を批判し、盧泰愚政権時代の「南北基本合意書」(や「非核 化共同宣言」を高く評価していた。政経分離原則を基本概念とした穏健な「積 極関与」政策は、イップ童話にちなんで「太陽政策」(the sunshine policy) と命名された、 Kim Dae Jung : 金大中、 on schedule : 予定どおりに、 continue with : 〜にこだわり続ける、 with patience : 気長に,根気よく、 unification : 統一、 clash : 衝突、 appease : なだめる、 conservatives : 保守派、 tolerate : 容認する、 military provocation : 軍事的挑発、 butt : けつ,しり、 put up with : 〜を我慢する,隠忍自重する |
| 9 | 韓国政府が、また世界の他の国が次に何をすべきかは定かではない。「この 危機の先を見通さなくてはなりません」と、韓国外相ホン・スン-ヤン。「最 終的には、北朝鮮は、経済及び外交上の必要性から嫌でも関係を持たざるを 得ないでしょうし、それによって彼らは変わるでしょう。苦痛というのは変 化に伴うものです」更なる対決は危険が伴う。しかし、断固として関与する 政策もまた危険だ。それは、北朝鮮の強硬論者の容赦ない反発を招くかもし れないから。第三の選択肢、すなわち見てみぬふりというのもこれまで北朝 鮮を挑発してきたと考える識者もいる。去年、アメリカが同意していた石油 の発送が遅れたとき、北朝鮮は突っかかってきた。それは不安定な地域での 微妙なバランスなのである。「北朝鮮は大惨事には至らない緊張を生み出す 専門家なのです」とエバースタッド。少なくとも当面は、小型砲艦の1隻を 失っても北朝鮮はやっていける。だが、謎に満ちた政権にはこの他のことで もそうなのだが、この北朝鮮のギリギリの限界点がどこにあるかは誰にも分 らない。 | necessity : 必要(性)、 agent :因子,物質、 stern : 容赦のない,のっぴきならない、 hard-liner : 強硬論者、 benign neglect : 善意の無視政策,見て見ぬふりをすること、 fall behind in :〜で遅れを取る、 shipment : 発送,輸送,出荷、 aggressive : 攻撃的な,挑戦的な、 unstable region : 不安定領域、 create tension : 緊張を生む、 catastrophic : 大惨事をもたらした,悲劇的な、 for now : 差し当たり,今のところ、 live with : 受け入れる,〜に甘んじる、 gunboat : 小型砲艦、 trigger point : 引き金点,発痛点 |
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