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| P58 | 3月4日、エリック・ハリスとディラン・クレボルドはこのクラス写真をみん なと一緒に撮った。4月17日、二人ともプロム (特に米国の高校、大学などで 学年末に公式に行う舞踏会)にいった。二人が次に行ったことは彼らの学校を悲 しみと驚きに突き落とした | prom : 【変化】《複》proms,(高校・大学などの)ダンスパーテイー,舞踏会 |
| 1 | 4月の高校には物の怪が現れ、卒業が近づいた最上級生にとりつき彼らを普通 でなくする。学校ぎらいの生徒でさえ、いざ卒業する、となると未知の苦難より 分かっている苦難のほうがまだましなので、学校を離れがたく思う。そして学校 を愛する子供たちにとっては別れは考えるのも辛い。2週間前、サラ・マーチン はコロンバイン高校で卒業スピーチをする役に選ばれた。サラは原稿と苦闘して いた。合唱団や聖書クラブの大好きな人たちみんなのことを書きたかった。駐車 場で右側車線から左折する嫌な人たちのことさえも今では思い出で、書きたいと 思った。 | haunt :に取り付かれる,〜の脳裏にしっかり刻み込む、 act up : 暴れる,ふざける,過激な行動をする、 choir : 合唱団,聖歌、 parking lot : 駐車場 |
| 2 | 「私は朝7時に教員休憩室でルッツ先生と食べる牡蠣や腐ったイースターエッ グのような臭いのする廊下が大好きでした。」とサラは書いた、「私は火災避難 訓練やクリッター先生の哲学の授業で芝生の上で太極拳の話しを聞いたりするの が大好きでした。みんなのことが大好きで一緒に馬鹿げたことをするのも大好き でした・・・。私たちはみんな、人生の中で熱くなれるものを探し、また何にで も熱中していきたいのです。」そしてサラはコロンバイン高魂をどうとらえるの か思案した、そして書いた、'廊下を歩く人間性と誠実'。 | oyster : カキ、 teachers' lounge : 職員室、 fire drill : 火災避難訓練、 folly : 愚行、 passion for : 熱い思い、 humanity : 人間らしさ、 integrity : 誠実 |
| 3 | 先週の水曜、サラが合唱室にいた時、廊下を常ならぬものが歩いていた。その 陰惨な一日が終わるまでに、15人が死んだ。その中にはサラの友達もいた。サ ラの人間性と誠実さへの原稿は血で裏書きされた。ディラン・クレボルドとエリ ック・ハリスが、銃と爆弾をもって学校を徘徊した時、生徒たちのとった行動は 次のようだった。ある男子は、妹と妹の友達を弾丸から守るため二人の上にかぶ さった。脚に10発の弾丸を受けた男子が、近くに着弾した爆弾を拾い、他の負 傷した生徒のいる所から遠くへ放り投げた。ついに、特別機動隊がやってきた時、 別の生徒たちは、死に瀕している先生を放っておきたくなく、先生を折りたたみ テーブルで運べないでしょうか?と尋ねた。ある少女は銃をもった男に神の存在 を信じるかと問われた。安全な答えは十分よく知っていたが、「神様はおられま すよ。あなたは神様の教えに従う必要があるわ。」と静かにいった。銃を持った 男は少女を見下ろした、「神などいやしない。」といい、少女の頭を撃ち抜いた。 | gruesome : ぞっとする、 yearbook : 卒業記念アルバム、 prowl : うろつく、 drape oneself : 布をまとう、 bullet wound : 射創,弾傷、 explosive : 爆発物、 hurl : 投げる |
| 4 | 計り知れないこの凶悪事件について詳しく考察する前に、コロンバイン高校の 生徒たちが反射的にとった行動を考えてみよう。彼らは幸福で幸運に恵まれた子 供たちで、犠牲というものについて何も知らないと考えられる世代に生まれた。 彼らは何を問われるのか知る由もなかったし、彼らに何ができるのか知る術もな かった。死んだ生徒や死にかけている生徒の中、生徒たちは居残り、ドアを開け たり、友達を助けたり、避難路をつくったり、小室にバリケードを張ったり、急 行してきた特別機動隊を暗闇へと導いたりしたのだった。 | fathom : 推測する,理解する、 reflex : 行動様式、 sacrifice : 犠牲、 stay behind : あとに残る、 escape route : 逃げ道、 descend : 急襲する |
| 5 | コロンバイ高校の虐殺事件で、何が二人の魂を毒に変えたのかという悲しい話 し合いが全米で始まった。それは人前でも内々でも、何故頭の良い金持ちの子供 たちが内側から腐るのかということについての長く困難な話し合いになりそうだ。 親のせいなのか?彼らの聞く獰猛な音楽のせいなのか?銃が簡単に手にはいる せいなのか?これほどまでに致死的だったことは1度もなかったのだが、高校生 活にはつきものの冷酷さと排他的な小集団主義の作用のせいなのか?先週を生き 延びられなかった多くのものの一つは、親たちがニュースのヘッドラインを乗り 越えて、我が子を学校へ送り出す時に心の中で無意識に歌う賛美歌だった。主よ、 ここではそのようなことは起こりませぬように、そのようなことはここでは決し て起こりませぬように。 | slaughter : 大虐殺,大量殺戮、 in public : 公に、 in private : 人目を避けて,内々で、 privileged : 特権のある、 rot : 腐敗する、 savage : 獰猛な,荒涼とした、 stockpile : 貯蔵、 arsenal : 兵器、 cruelty : 残虐な行為,残酷、 clique : 小集団、 hymn : 賛美歌,聖歌、 unconsciously : 無意識に、 headline : 見出し、 |
| 6 | だがそれは間違いなく起こり得る。リトルトンのような田舎町でさえ起こり得 るのだ。リトルトンはデンバーの南西に位置し、ロッキー山脈のふもとのくすんだ 黄褐色の丘陵地帯の近くにある人口35、000の町だ。かつては、ゴールドラッ シュで一攫千金を夢見る者たちや商人たちの大草原の小さな町だった。そこでは、 最大の恐怖といえばプレーリードッグに襲われることだった。今ではデンバーの ベッドタウンだ。ドアにカギをかけない家族が住み、コベントリー、ラクーンク リーク、ベルフラワーという名の少数民族の居住地がある。低木地は、ゴルフ場 や、75、000ドルあたりから百万ドルくらいまでに渡る家々に変わった。コロ ンバイン高校の正面玄関の広間の上にはアーチがあり、そこには学校のモットー が刻まれている、'アメリカで最良の生徒がここの廊下を通り抜ける'。 | foothill : 山麓の丘陵地帯、 prairie : 大草原、 prairie dog : プレーリードッグ、 stretch : 広がる、 aspiring : 抱負[野心]のある、 enclave : 飛び地、 scrubland : 低木地帯、 hallway : 玄関,廊下、 engrave : 彫り込む |
| 7 | その日は前兆とともに始まった。 教室のビデオモニターの上の'今日の言葉' はラルフ・ウォルドー・エマソンの言葉そのままではなかった。それをみた生徒 によると、その代わりに、'諸君はここにいたくないと思う。' という意味の言 葉が何かあったという。その下の日付はいつも通りの書き方の4月20日ではな く、肉太の文字で4/20 とあった。伝えようとしているメッセージの解読は容易 だ。「マリファナをやる日という意味ですよ。」とある生徒は説明して語った、 4/20がマリファナをやるという意味になるのは、マリファナには420種の化学 物質が含まれるとされており、ロサンゼルス警察の麻薬取り締まりのコード番号 も420だからだという。 | omen : 前兆、 decode : 暗号を解読する、 stoned : 酔って、 marijuana : マリファナ、 chemical : 化学薬品 |
| 8 | そしてそれはまた、今となれば私たちにもよく分かることなのだが、アドルフ・ ヒトラーの誕生日だったのだ。警察によると、容疑者の一人の手書きの日記に、 その記念日は、'ロックンロール'の時としてはっきりとマークされていたという。 ハリスとクレボルドグループの何人かのメンバーは、クラスメートがぎょっとす るほどナチ神話を信奉していたため、2、3年前、馬鹿にされてトレンチコート マフィアとレッテルを貼られた。彼らは黒シャツの上に卍をつけ、廊下でドイツ 語を話し、第2次世界大戦の戦闘を再演し、最も凶悪なテレビゲームをし、彼ら の憎む者たちのことを語り、殺したいと思う者たちのことを語った。ハリスとク レボルドはボーリングが好きだった。ハリスはナイスショットをすると、腕をあ げ、'ハイルヒトラー!'といったものだ。 | handwritten : 手書きの、 anniversary : 記念日、 in derision : ばかにして、 mythology : 神話、 spook : 驚かす、 swastika : かぎ十字、 vicious : 凶暴な、 video game : テレビゲーム,ビデオゲーム,ファミコン、 Heil Hitler : ヒトラー万歳,ドイツナチス時代に使われた |
| 9 | だが彼らは本当には危険ではなかったのではないだろうか?どこの学校にも反 逆者、黒いマニュキアと口紅をつけた暴れ者、麻薬常用者、怠け者、はいる。ま た時には、今回のように非常に賢いコンピュータお宅が、他から疎外されつつ、 仲間意識を保っていることもある。アレジャンドラ・マーシュ(16)はいう、 「私たちはよく連れだって遊んだわ。一緒に音楽聞いたり、誰かの家へいってマ ンガみてたりしてたわ。ピンキーやザブレインやアニマニアックスが大好きだっ たわ。」学友たちは、彼らを、見捨てられた不必要な「おきまりのゲス」と称し た。運動選手や進学組のお坊っちゃんのように学校のカフェテリアに仲間同士が 集まる決まったテーブルがあり、卒業アルバムの彼らのグループの写真には、 「我々は違うというのは誰だ?狂気は健全なり。生きていよ、異なっていよ、狂 気でいよ。」との言葉が添えてあった。 | rebel : 反抗者、 nail polish : マニキュア液、 lipstick : 口紅、 stoner : 麻薬常用者、 deadbeat : 怠け者、 solidarity : 結束、 exclusion : 排除,排他、 animaniac : アニメおたく、 discard : 捨てる、 unwanted : 不必要な、 stereotype : 類型的な、 geek : ばか,あほ,まぬけ、 jock : 頭は弱いがスポーツだけは得意な人、 preppie : 金持ちそうな,私立学校の生徒、 caption : 短い説明文 |
| 10 | 「彼らは注目を集めるためにそんなことをしていたのです。」とグレッグ・モ ントゴメリー(19)はいう。「それは私たちに対する一種の競争心だったんで す。」とホッケー選手チップ・ダンリーブ(17)はいう。「彼らは私たちを憎 んでいました。私たちはある意味で学校における社会的エリートだからです。」 | rivalry : 競争,対抗、 hockey player : ホッケー選手 |
| 11 | その競争心は何ヶ月もくすぶっていたのだ。生徒の中には、先生たちでさえト レンチコートをいじめていたという者もいる。トレンチコートに対しては彼らの やっていないことでも責め、運動選手に対しては皇太子ということで何をしても 大目にみていたというのだ。ある運動選手は特に彼らを嘲るのが好きだった。 「汚らしいやつ」とよくいったし、また「イカス戦闘服などと愚弄したのかも知 れない。他の者たちは彼らを「ホモ野郎」と呼び、それは運動選手仲間内に広が り、トレンチコートを悩ませた、いじめは走っている車から石や瓶を彼らに 投げつけるところまでエスカレートした。「この1年、ワシントンと同じくらい 嘘や噂、策略があったってことをわかっておく必要があるのよ。」とマーシュは いう。「10代というのは、自分と同じでない者に対してはとても残酷なのよ。 それはほぼ10代の定義みたいなものなんだわ。あの人たちは認めたがらないけ ど、噂や嘘を一番ひどく広めたのは運動選手やチアリーダーなのよ。小動物を私 たちが殺し回っているという噂もたてられたし、乱交パーティーをしてるって噂 もあったわ。」とマーシュはいう。 | smolder : くすぶる、 pick on : いじめる,いびる、 get away with : (悪いことをしたのに)何の罰も受けないで済む、 crown prince : 皇太子、 athlete : スポーツ選手,競技者、 taunt : あざける,なじる、 dirtbag : 最低の人間,人間のクズ、 faggot : ゲイ,ホモ、 inbreed : 近親交配する、 harass : 攻撃する,困らせる、 spread rumors : 噂を振りまく |
| 12 | トレンチコートマフィヤの中にはそんないじめを無視しようとする者もいたが、 仕返しに出る者もいた。ある者は公園でいじめる者たちにショットガンをちらつ かせたという。彼らは授業の課題でトレンチコートをまとった者たちが、ショッ トガンで敵を追いつめるという筋立てのビデオを作った。男子用トイレの落書き は警告していた、いつかコロンバイン高校を爆破してやる、運動選手は皆殺しだ、 運動選手皆死ぬべし。 | haze : いたずらをしてからかう、 snarl : 歯を剥いてうなる、 hunt down : 追い詰める、 graffiti : 壁画 |
| 13 | 事件の前兆は全く公然たるもので、毒針の脅威がとぐろを巻いているのは誰の 目にも明らかだった。だが約2000人の生徒が意欲的に忙しく動き回る高校に あっては、その静かな邪悪な気配は背後に押しやられ、土曜の夜のプロムに誰と 誰が一緒にいくという噂にかき消されていた。4年生はおきまりの The Way You Look Tonight を口ずさんでいた。そしてついに、いつも通りの火曜の朝がやっ てきた。生物のクラスは、消化器系のテストで悩んでいた。合唱のクラスは午後 のコンサートのリハーサルをしていた。そしてとうとう、外はショートパンツで ちょうどよいくらいに暖かくなっった。 | all out : すっかり、 in the open : 周知の状態に,明るみに、 hiss : シューと音を立てる、 background noise : バックグラウンドノイズ,雑音、 drown out : かき消す、 digestive system : 消化器官,消化器系 |
| 14 | その日はカフェテリアは'クッキー無料サービスの日'で、お昼時間は何百人も の生徒でごった返し、テーブルは満席で多くの生徒が順番待ちで並んでいた。 11時30分、外で発射音がした。トレンチコートを着、マスクをした二人組が 生徒たちを銃撃しているのが見えた。片方の男が学校の屋根めがけて何かを投げ、 それは閃光を放って爆発した。長く待たされた4年生のたちの悪い冗談だと思っ た生徒もいた。あれはシェービングクリームをつめた風船なんだろう、きっとあ の音は爆竹だったんだろう。きっとあの銃はにせものなんだろう。そう思いたか った。だが、あの血は偽物だろうか?偽物の爆弾で壁が揺れるだろうか? そして生徒たちは叫び、走り出していた。ある男子生徒は頭の上を弾丸が飛び去 るのを感じた。 | in line : 列をなして、 erupt : 噴出する、 toss : をぽいと投げる、 prank : 悪ふざけ、 balloon : 風船、 firecracker : 爆竹、 fake : 偽物、 bullet : 弾丸 |
| 15 | 「ふせろ。」用務員が叫んだ、「テーブルの下にもぐれ。」生徒たちは身を守 ろうと潜り込んだ。それから這い始めた、家具の下を這い、バックパックを越え、 階段に向かって這って進んだ。そしてまた弾が飛んできたので走り出した。「私 たちは次から次へと爆発音がとどろくのを聞きました。」と2年生のジョディー・ クラウシーはいう。「床は爆発音で揺れていました。」金属製のロッカーにぶつ かり跳ね返される弾はガチンガチン音をたてていた。図書室に避難所を求めて階 上に駆け上がる者もいた。だが一面煙に覆われ、火災報知器が鳴り、スプリンク ラー設備が作動したために、学校は視界のきかない深い霧に包まれた迷路となっ てきた。そこで、彼らは図書室を離れ、1階へと逆戻りした。図書室はこの無差 別の暴力が終わった時には、墓場と化していたのだった。 | janitor : 用務員、 furniture : 備品、 slither : (蛇のように)滑るように進む、 sophomore : 2年生、 clang : ガチャンと鳴らす、 bounce off : 〜に当って跳ね返る、 fire alarm : 火災警報、 blind : 見えなくする、 misty : かすんだ,霧の、 retreat : 撤退する、 mayhem : 暴力,騒乱 |
| 16 | カフェテリアの従業員カレン・ニールセンは、血を流している生徒を急いで助 けていた時、銃撃者たちをみた。弾が部屋の中を飛んでいく音を聞き、カレンは 生徒たちをトイレに押し込んだ。警察に電話をしようと電話機も一緒に引っ張っ てきた。だがその時、カレンは心配になった、「犯人たちが電話線に気づいたら、 私たちはのっぴきならない状態になってしまうわ。」 | rush to : 殺到する、 bleeding : 出血する、 shove : を突っ込む |
| 17 | 治安のためにコロンバイン高校に配属されたニール・ガードナー保安官代理は 銃撃を聞き、カフェテリアにかけつけた。保安官代理は銃撃者を見つけだした時、 砲火を交え、物陰に身を隠し、支援を求めた。この時までには、すでに警察に通 報が入っており、20分もしないうちに特別機動隊の車が現場に現れた。だが、 爆弾は依然として爆発していたし、特別機動隊は、銃撃者が何人いるのか、また どの生徒が殺人者なのか、どの生徒が標的になっているのか全く分からなかった。 「彼らは発砲しながらそこへ入っていき、犯人じゃない生徒を殺すようなこと はしたくなかったのよ。」と難を逃れた二人の生徒の母親のキャシー・スコッ トはいう。それで警察はなす術がなく、爆弾はあちらこちらで爆発し続けた。 | deputy : 副、 for security : 安全保護のため、 exchange fire : 砲火を交える、 duck : かわす、 call for backup : 応援を頼む、 on the scene : 現場に、 go off : 爆発する、 hunker down : うずくまる |
| 18 | 2階の理科のクラスでは、ディック・ウィル先生は、「また連中化学の実験で 何かを爆発させているな、仕方のない奴らだ。」と思った。だが、火災報知器が 鳴り、ウィル先生はそれ以上のことが起きていることを知った。彼の生徒の一団 が1階の様子をみにいき、泣き叫びながら戻ってきた、「銃撃だ!」ウィル先生 は生徒たちを部屋の奥の隅に集め、電気を消し、椅子や机をひっくり返し戸口 に積み上げ始めた。 | science teacher : 理科の先生、 chemistry : 化学、 fire alarm : 火災警報、 yell : 大声を上げる、 herd : 集める、 turn over : 積み重ねる |
| 19 | 他の先生たちも同じく本能的に生徒を守ろうとした。ビジネスのデーブサンダ ース先生は、銃声を聞いたとき、教員休憩室にいたが、すぐカフェテリアに急行 し、渦中に飛び込んだ。「サンダース先生は、私たちに向かって、大声でかがめ、 しゃべるな、って叫びました」と1年生のキャシー・カールストンはいう。「私 たちは床をはって階段の所までいきました。」銃撃が再開した時、彼らは立ち上 がり走りだした。サンダース先生はその場に、腹這いで両肘で体を支えた姿勢の まま、生徒たちに安全な逃げ道を指示していた、そしてそこへ犯人たちが現れた。 キャシーは恐怖のあまり振り返ることもできず、犯人をみたわけではなかったが、 彼らが近くに、それもとても近くにいることを感じ取っていた。キャシーは立て ば6フィート以上も背丈があり、自分が格好の攻撃目標になってしまうと知って いた。それで、他の生徒が1階の廊下を走り去っていったので、キャシーは2階 への階段を駆け上がった。ある化学室のドアを開けようとしたが、そこは既にカ ギがかけられていた。逃げ場を求め、がむしゃらに廊下を走った。そしてついに、 第3科学室にいきついた。そこでは二人の先生が生徒たちを教室の中に入れてい るところだった。 | instinct : 本能、 faculty : 教授団、 crawl : 這う、 direct : 指揮する、 hallway : 玄関,廊下、 furiously : 猛烈に |
| 20 | 爆音がした時、生物のクラスでは長くて嫌な試験の最中だった。レクシス・コ フェーバーグ(16)は、サンダース先生が教室の方に向かって走ってくるのを みた。サンダースが2度背中を撃たれ、彼の体が揺れ痙攣するのをみた。「弾が あたったときの衝撃が見えました。衝撃が先生の体を走るのが見えました。そし て先生は血反吐をはいたのよ。」と彼女はいう、サンダース先生はよろよろと教 室の中に入ってきた、胸からは血が流れていた、机の上に崩れ、歯が折れ飛び 散った。 | nasty : 嫌な、 biology : 生物学、 jolt : 衝撃、 spasm : 痙攣、 spitting up : 吐出、 stumble : つまづく |
| 21 | 一人の先生が電話で救急隊に連絡をとった。教室は野営病院に変わった。エア ロン・ハンシー(4年生)は、 応急手当の心得があった。 救急隊は生徒たちに (電話で)基礎救命治療方を教えてやらせた。男子生徒たちは自分のシャツをひ きちぎり、サンダース先生の頭の下に敷くあてものや、胴体の出血箇所を覆うた めの包帯を作った。生徒たちは教室の中を探し、防災道具と一緒に非常用毛布が しまってあるのをみつけ、毛布でサンダース先生の体をくるんだが、先生の体温 は下がり始めた。生徒たちはサンダース先生を失ってしまうと分かった。 | paramedic : 救急隊員、 on the phone : 電話で、 trauma ward : 重傷者を集めた病棟、 first-aid training : 応急処置訓練、 bandage : 包帯、 torso : 胴、 stash : しまう,しまっておく、 gear : 道具 |
| 22 | 「息ができない。」サンダースの口から微かに声がもれた、「天国にいく時 がきた。」だが生徒たちは彼に語りかけ続けた、彼のポケットから財布を取り出 し、娘たちの写真を目の前に出し、先生、お子さんの話しを聞かせて下さい、と いった。「先生は息があり、最後まで意識がありました。」ジョディー・クラウ スはいう、「きっと痛みはすごかったと思います」生徒たちは黒板で看板を作り、 救援隊が見えるよう窓に掲げた、「助けて、出血で死にかけています。」生徒た ちの祈りの中、サンダースは時々何とか咳をし、肺につまったものをはきだそ うとして血を吐いた。 だが時が過ぎても誰も来なかった。 「もう手遅れだと思 う。」とサンダースはいった。 | rescuer : 救助者、 cough : 咳をする、 spit out : プッと吹き出す、 lung : 肺、 make it : うまくやり遂げる |
| 23 | バリケードを築いて教室にこもった生徒たちは、教室のテレビをみることがで きた。特別機動隊が集結し、ニュース用ヘリコプターが空を舞い、ついには親た ちが集まり始めるのをみた。彼らとそして国中がコロンバイン高校の包囲を見守 っていたのだ。「'特別機動隊' は、銃撃者がどこにいるのか、爆弾がどこにあ るのか分からなかったのよ。」とレキシスはいう、「それですぐに私たちの救助 にこれなかったの。」レキシスの友達は親たちに手紙を書き始めていた、両親を 愛していること、自分たちはもうすぐ死ぬと思っていることなどを書いた。誰も が祈っていた。「宗教は違っても、みんな同じように祈っていたわ。とレキシス はいう。ある友達は誓いをたてた、「もし助かれば、弟に優しくします。」 | chopper : ヘリコプター、 hover : 空中に舞う、 siege : 包囲攻撃、 take hold of : 制する,捕らえる、 praying : 祈り、 vow : 誓う |
| 24 | 他のところでも、廊下沿いの物置や教室のあちらこちらに生徒たちがカギをか けて隠れた。彼らもまた携帯電話で助けを叫び求めた。警察に電話をした、親に 電話をし、助けにきてくれそうな人皆に助けを求めた。廊下の笑い声が聞こえた 者もいた、煙の中襲撃者たちが獲物を求めて歩き回っていたのだ。ひやかしの言 葉が聞こえた、「やあ、クソったれのぐずの君たち、今夜は、死ぬにはいい夜だ ね。」4年生のニック・フォスと友達は、トイレに逃げ込み、天井の羽目板をぶ ち破り通風管沿いにふらふらしながら逃げた。突然、通気口の一つが折れ、フォ スは15フィート下の教員休憩室のテーブルの上に落ちた。どういうわけかけが はなかった。立ち上がり全速力でドアの外へ、自由へと向かって走った。彼の後 ろでは銃撃が続いていた。「奴らはどこここなく撃ちまくっていました。目に入 るものすべてを殺したがっているようでした。」とフォスはいう、「これまでに こんなに怖かったことはなかったですよ。生きるために走るか、死ぬかだったん ですからね。」 | cell phone : 携帯電話、 sound of laughing : 笑い声、 prowl : うろつく、 jeer : 嘲る,やじる、 nerd : うすのろ,ガリ勉野郎、 duck into : 〜の中に素早く身を隠す、 ventilation shaft : 通気坑、 vent : 通気孔,通風孔、 teachers' lounge : 職員室 |
| 25 | その間、フォスの双子のアダムは、廊下の向こうで窮地に陥っていた。アダム はその日の午後の小学校でのコンサートに備え合唱の練習をしていた。銃撃が始 まった時、アダムと約60人の生徒が合唱室の教員室に逃げ込みぎゅうぎゅうづ めになった。だが爆発はぐんぐん近づいてくるようだった。彼らは書類整理棚と 逆さにした机2脚をドアに押しつけた。暑くよどんだ空気の中、数人の生徒が喉 がつまり咳をした。シー、静かに、他の生徒たちはいった、ちょっとでも音がも れれば犯人に気づかれてしまうことを恐れた。みんな犯人が部屋のちょうど外側 にいるということを知っていたのだ。合唱室は、階段の上がりきったところの近 くにあり殺戮の始まった場所に近かった。そしてまたついには殺戮の終わった場 所、図書室にも非常に近かった。 | twin brother : 双子の弟,双子の兄、 down the hall : 廊下の向こうで(つまり,同じ階で)、 choir practice : 聖歌隊の練習、 upend : 〜を逆さまに置く[立てる]、 stagnant air : 淀んだ空気、 lure : 誘い込む、 carnage : 殺戮,大虐殺 |
| 26 | 合唱室で小さな声がした、「この中に神様を信じる方はいらっしゃいますか? おられましたら一緒にいのりましょう。縮こまっていた生徒たちは祈り始めた、 そしてその祈りはとてもとても静かだった。「外面では怖かったわ」クレイグ・ ネイソン(3年生)はいう、「でも、内面では神様が安らぎを下さっていました。 学校の外では多くの」人々が私たちのために祈って下さっていると感じていまし た。」教員室の壁は銃撃と爆発の度に震え続けた。苦痛に満ちた20分かそこら が過ぎ、事態は静かになった。生徒たちは待った。生徒たちは電話で警察に連絡 をとり救助を求めたが、爆弾がしかけてあるのかも知れないので警察はゆっくり としか進めないのだといわれた。喘息の生徒の呼吸が乱れ始めたので他の生徒た ちは壁を登り天井タイルを何枚か引き抜き、喘息の生徒たちをその空気の新鮮な ところへ持ち上げた。教員室の静寂を破って電話がなった。コンサートが遅れて いることへの小学校からの問い合わせの電話だった。 | religious : 信心深い、 huddle : やたらに詰め込む、 pray for : 〜のために祈る、 shudder : 揺れる、 agonizing : 苦痛の、 rescue : 救出、 booby trap : 仕掛け爆弾、 asthma : ぜん息,喘息、 have trouble : 苦労する、 ceiling tile : 天井タイル |
| 27 | 出口から逃げた生徒の多くは駐車場へと走った。警察は銃撃者が生徒と服を取 り替えているという噂を聞いていた。それで警察は生徒一人一人のボディーチェ ックをして、逃げてきた犠牲者であって、殺人者ではないということを確認しな ければならなかった。近所の人たちは毛布や包帯やガーゼを持ってやってきた。そ して生徒たちを彼らの家に送ってあげた。この地域を通りがかっていたある看護 婦は気がついてみると玄関先の芝生でトリアージをしていた。救急車が負傷者-- 自力でこの建物から脱出できた者たち-- の地域病院へのピストン輸送を始めた。 ドン・クレーマー特別機動隊長は窓に一人の男子生徒をみた、その生徒はよろめ き血を流し逃げようと必至だった。「その生徒は私たちをみました、でも私た ちだとは分からなかったのです。」クレーマーはいった、「彼は頭から外に出よ うとしました。」クレーマーともう一人の隊員は、彼を捕まえ引っ張り難を逃 れた。その男子生徒は頭と足に弾を受け、ひどい循環血液量減少性ショックのた め自分の名前もほとんどいえなかった。クレーマーたちはリックかリッチといっ たのだと思った。彼の名前はパトリック・アイルランドだった。彼は頭に2発く らっていた。先週、この17歳の少年は、重体だった。言語障害と右片側麻痺が あった。 | parking lot : 駐車場、 rumor : 噂、 gauze : ガーゼ、 triage : トリアージ(方式),負傷程度に応じて治療優先順位を決めること、 ambulance : 救急車、 shuttle : 往復する、 on one's own :自力で、 gunshot wound : 銃創、 in serious condition : 重態で、 impair : 損なう、 motor skill : 運動技能、 |
| 28 | 包囲の最中になされた無数の助力の申し出の中に、警察の受け取らなかった一 つの申し出があった。容疑者の名前が公表されるずっと前に、クレボルドの父親 は警察に連絡をとり、自分の息子が絡んでいると思うから犯人に銃撃をやめるよ う呼びかけてみようと申し出たのだった。特別機動隊の幹部は彼は役にたたない だろうと判断したのだった。 | countless : 無数の、 offer to help : 援助の申し出、 surrender : 降伏,自首 |
| 29 | その間もずっと、犯人たちは校内でせっせと彼らの仕事を片づけていた。そし てついに、学校の中の静かな場所で、彼らの最も凶悪な行為を行った。そこは、 嫌な期末試験が近くなり、誰もが期末のレポートを期限内に仕上げられるか心配 になってくるような時期には、学校で一番生徒をみつけやすいところだった。 | all the while : その間じゅう、 loom : ぼんやり現れる,巨大な姿を現す、 term paper : 学期末レポート、 on time : 時間どおりに |
| 30 | 一人の先生(警察はペギーとしか身元を明かさなかった)が犯人より数歩先に 図書室に入った。すぐに警察に電話をかけた。そして電話越しに彼女が必至で生 徒たちに危険を伝えようとする叫び声が聞こえた、「銃をもった男がいるのよ!」 血を流しながら叫んだ、「みんな、テーブルの下にもぐるのよ!みんな、ふせて! あー、神様、あー、神様。みんな、かがむのよ!」最初クレイグ・スコットは、 ただの悪ふざけだと思った。多分あの先生は悪ふざけに一枚かんでるんだな。だ が喧噪は本物で、恐怖も本物だった。クレイグと友達のマット・ケクター、それ とコロンバインでは少ない黒人の一人で4年生のイザヤ・シュールズは、テーブ ルの下に隠れた。そして銃撃者が入ってくるのが聞こえた。 | ahead of : 前に、 desperately : 死に物狂いに、 yell : 大声を上げる、 prank : 悪ふざけ,いたずら、 duck : かがむ |
| 31 | 犯人たちは興奮しながら笑っていた。「次に死ぬのは誰の番かな?」二人組は 図書室を進みながら叫んだ、「運動選手はみな立て、てめえらはみんなぶっ殺し てやる。」セス・ハウイは、図書室に妹や友達と話しをしにきていた。3人はテ ーブルの下に潜った。セスは撃たれるのが自分だけになるよう二人の上に被さっ た。「心底本当に、神様が私たちを犯人の目からかくしてくださったのだと思い ます。私たちは今までにないほど激しく祈りました。それで神様が私たちの周り に見えなくするバリアを張られたのです。」とセスはデンバーポスト紙に語った。 | jock : 頭は弱いがスポーツだけは得意な人、 hang out with : 〜と一緒に時間を過ごす、 invisible : 目に見えないもの |
| 32 | 犯人たちは図書室を歩き回りながら尋ねた、どうして俺たちが君らを生かして おかなきゃならないのかね?一人の少女が命ごいをする声に続き銃声が聞こえた。 そして静寂。犯人たちは負傷した生徒たちに泣くのを止めるよういった、もうす ぐ全て終わるからね、みんな死ぬんだよ。犯人たちは別の少女に近づき、テーブ ルの下にかがみ、「いないいないばー」と叫び、彼女の首を撃った。泣いたりう めいたりするものは再び撃たれた。 | plead for : 〜のために弁論する、 wounded : 負傷した、 cower : かがむ、 peekaboo : いないいないバー、 moan : うめき声を出す |
| 33 | この殺人鬼たちは哀れみなど全く持ち合わせていなかった。生き延びた者たち によると、犯人たちはこの凶悪行為をテレビゲームのようにやったという。犯人 たちはいった、「俺たちはこいつをずっとやりたかったのさ。」ある時点では、 犯人の一人がある生徒を認めいった、「やあー、君は知ってるよ、いっていいよ。 そして、「弾薬切れだ。詰め直さなきゃ。君たち3人をやりに戻ってくるか らね。」 | utterly : 徹底的に、 at one point : 一時,あるとき、 ammo : 弾薬、 reload : 再び〜に弾丸を込める |
| 34 | クレイグは白い野球帽をぬぎ隠した。犯人たちが近づき、イザヤをみ、「黒ん ぼめ」といった。イザヤは撃たないでくれと懇願した、家に返してくれ、母親に 合いたいと頼んだ。犯人たちは引き金を引いた。そして次にマットを撃った。ク レイグは友達の血にまみれ横たわっていた。身動き一つしなかった。二日後の朝、 クレイグがカティー・クーリクに語った話は、ほとんど聞くに耐えないような場 面だった。クレイグは勇気を求めて祈り始めた。「神様はそこから逃げだしなさ い、といわれました。」とクレイグは語った。それで立ち上がり、他の者たちに 一緒に逃げるよう叫びながら走りだした。一人の少女が助けを求めた。「彼女の 肩は大きくショットガンでえぐられていました。それで私は彼女が逃げるのを助 けました。彼女は一面に血を流していて、そして彼女の・・・彼女の骨は見えて いたのです。」彼らは図書室から逃げ、出口をで、警察のもとへ走った。そして クレイグは警官に犯人たちがどういう外見だったか、どこにいたかを話した。 | nigger : 黒んぼ,黒人、 plead : 嘆願する、 pull the trigger : 引き金を引く、 unbearable : 耐えられない、 pray for : 〜のために祈る、 chunk of : 大きな塊,かなりの部分 |
| 35 | そして、クレイグは他の生徒たちに学校の中に兄弟姉妹が残っているかどうか 尋ねた。そして皆、彼らのために祈り始めた。祈りの中10分、20分と時が流 れた。「30分後、僕の祈っていた人たち、みんなの兄弟姉妹が現れました。僕 はみんなにいってやったんです。ほら、いった通りでしょ、祈りはきくっていっ たよね、みんなの姉妹が無事に出てこれるっていったよね、いった通りだよね、 って。みんな感謝してくれて、僕の妹のために祈りを続けてくれたんです。」だ がクレイグには妹のレイチェルは無事ではないだろうとの虫の知らせがあった。 レイチェルの死を正式に知ったのは翌日になってからのことだったが、クレイグ にはすでに分かっていたのだ。 | prayer : 祈り |
| 36 | その間、科学室ではサンダース先生は死の間際だった。生徒たちは警察を科学 室に導こうとしていたが、そのあたりはとても混乱しており、徒に時間だけが過 ぎた。サンダース先生は電話で救助隊がつくまでにはもう10分か15分かかる と聞かされた。「サンダース先生は応えていった、そんなにはもたないと思いま す。娘たちに伝えて下さい、愛していると・・・、妻には・・・・」 | specific : 明確な,具体的な、 confusion : 混乱状態、 via : 〜によって |
| 37 | 2階の科学室が救出されるまでには全部で3時間半かかった。生徒たちはサン ダース先生を台に乗せて運び出す手伝いをしたいといった。特別機動隊は、駄目 だ、といい、生徒たちを群にしてスプリンクラーの水で6インチも水浸しになっ た廊下を導いていった。死体や撒き散らされた血のそばを通過した。カフェテリ アのテーブルの上には、食べかけの食事がずぶぬれになっていた。「何もなかっ たように全てがそのままでした。」とレキシスはいう。また警察が(出口で)叫 んだのを思い出していう、「頭から手を話したら、そいつは直ちに引き離すぞ。 立って頭に手をおけ。走れ!走れ!」 | in all : 全部で、 rescue : 救助する、 herd : 集める、 sprinkler : スプリンクラー、 spray : を吹き掛ける,スプレーする、 soak : びしょ濡れになる |
| 38 | サンダースには遅すぎた。だんだん息が弱くなり、顔は青白くなった。サンダ ースは救助隊がついて数分後には息をひきとった。「救助を待つ時間はとっても 長かったです。起きたこと全てが本当のこととは思えませんでした。」とジョデ ィー・クラウスはいう。 | breathing : 呼吸、 pale : 青ざめる、 paramedic : 救急隊員 |
| 39 | その間ずっと親たちはリアルタイムでことの進展を心配しながらみていた。ニ ュースが広がり親たちは学校に向かった。道が混み、途中で車を乗り捨てる者も いた。警官とおぼしき人には誰彼なく近づき、子供たちの安否を尋ねた。どうし て警察はいつまでも待ったままなんだ?そこに子供がいてわっと駆け出してくる こともあった。だがほとんどの子供たちの消息は依然として不明のままだった。 子供たちはどこにいるのか?誰か救助にいっているのか?やがて、親たちは近く のリーウッド小学校で子供たちに会えると伝えられ、そちらに移動した。親たち は待った、そして黄色いバスが何台か1度に1台ずつやって来、40人かそこ らの子供たちが現れ、家族や友達との再会を喜んだ。とてつもなく大きな宝くじ にあたったかのようだった。 | all the while : その間じゅう、 unfold : 展開する、 campus : 構内、 gush : 噴出、 pull in : 停車する、 dispense : 免除する、 reunion : 再会、 lottery : 宝くじ |
| 40 | 非常に多くの名簿が回覧されていた。それが生存者名簿という点を除けばまる で戦没者名簿の回覧のようだった。そこに名前があれば、生きているのだ。親た ちは必至で何でもよいから手がかりとなるものをみたい、聞きたいと思った。子 供の名前を叫び求め、子供の友達なら何か知っているのではと子供の友達を探し た。自宅に電話した。病院に電話した。思いつくところすべてに電話した。早く に学校から逃げた生徒たちは、友達の家で隠れていた。ショックがあまりにも 大きく何時間かしてからやっと親元へ連絡をとったのだった。 | circulate : 回覧する、 war dead : 戦没者、 desperate to : 〜しようと必死の、 early on : 早い時期に |
| 41 | 「私はとっても幸せなのよ。」と二人の生徒の母親のキャシー・スコットは語 った、「そしてとっても悲しいのよ。うちの子たちはしばらくは学校に行けない と思うわ。」 | |
| 42 | ブルース・ベックはまま娘のローレン・タウンゼンドを探し求め校舎から出て くる子供たち一人一人の顔をみた。彼はロッキーマウンテンニューズに語った、 「誰だって、校舎から出てきた者のうちのどれかがきっと自分の子供だと思うで しょうよ。」ローレンの母親は、電話で無事の知らせがくるのをずっと待ってい た。だがそれはこなかった。日が暮れ夕闇となるにつれ、とうとう人混みは小さ くなっていき、残された親たちはいよいよ絶望的になっていった。いつの間にか、 残っている親たちよりも牧師やカウンセラーの数の方が多くなった。バスケット ボールのリングの上にはピンク色の表示があり、そこには、祈りのコーナー、一 緒に祈って下さい、と書かれていた。この頃には、警察は高校をすでに確保して いたが、保安官たちは、死体の間にはまだ爆弾が隠されていて危険なので、中に 入っていき死体を移動することができないのだと説明した。そして親たちに明朝、 子供の歯の検査記録をもってまた来るようにといった。母親が二人、建物から駆 け出し外で吐いた。 | stepdaughter : 継娘、 desperate : 絶望的な、 pastor : 牧師、 counselor : 相談役,弁護士、 hoop : バスケットボールのリング、 stash : を隠す、 dental : 歯の |
| 43 | この虐殺の目録を作るのには数時間を要した。「特別機動隊にはベトナム戦争 に従軍した者たちもいましたが、彼らもこの惨劇には涙を流していました。」と デーブ・トーマス地区検事長は語った。だが犯人たちがどれだけすさまじい破壊 行為を考えていたのかが本当に分かったのは木曜になってからのことだった。警 察はカフェテリアの厨房で雑嚢を発見した。その中には、プロパンタンク、ガソ リン缶、釘、BB弾、ガラスの詰まった小包爆弾が入っていた。それには、混でい るカフェテリアでなら数十人の命を奪うだけの破壊力があったのだ。「犯人たち は学校を破壊するつもりだったのだ。」とジョン・ストーン保安官は語った。 | catalog : 目録を作る、 carnage : 殺戮,大虐殺、 district attorney : 地区検事、 weep over : 〜を嘆き悲しむ、 mayhem : 暴力、 duffel bag : ズック製雑嚢、 sinister : 邪悪な,悪意のある、 parcel : 小包,包み、 propane : プロパン,プロパンガス |
| 44 | 犯人たちは最後には自分の頭に銃弾を撃ちこんだが、その前に2丁の先端を切 り詰めた散弾銃、9-mm 半自動カービン銃と TEC-DC 9 半自動拳銃 から撃った 弾の数は推計900ラウンド(1ラウンドは25発)にも及ぶ。警察は煙がひい てから合計30以上の爆弾を発見した。校舎内で数個の鉄パイプ爆弾が発見され、 他は、駐車場の車からみつかった。使われた武器弾薬があまりにも多いので、本 当にハリスとクレボルドの二人だけでこれだけのことが出来ただろうかという疑 念が直ちに持ち上がった。 | fire off : 発射する、 sawed-off shotgun : 銃身の短い散弾銃、 semiautomatic : 半自動小銃、 carbine : カービン銃、 handgun : ピストル,拳銃、 in all : 全部で、 pipe bomb : 鉄パイプ爆弾,パイプ爆弾、 arsenal : 兵器 |
| 45 | この事件を解明するための調査で最も難しいことは、その原因がないかもしれ ないということであり、その不安はつのってきている。犯人たちが浸かっていた 毒のある文化についての話しはたくさんあるだろう。だが多くの子供はその同じ 毒のある文化につかっていても、大量殺人者になったりはしない。家庭の深刻な 崩壊が取りざたされるかも知れない、過去か現在において何かあったのではない だろうかと。しかしながら最初の数日の捜査ではこの惨劇を説明できるようなき ちんとした原因は全くつかめなかった。犯人の親たちは子供の野球やサッカーの 全部の試合を応援にいった。練習をみにさえいったのだ。 | growing fear : 募りゆく恐怖心、 venomous : 悪意に満ちた、 soak : 浸る、 mass murderer : 大量殺人者、 dysfunction : 機能障害、 archaeology : 考古学、 tidy : きちんとした |
| 46 | ジラン・クレボルドは二人の中では気の弱い方だったという。おとなしく控え めで、自分を強く引っ張っていってくれる者を探していた。そしてエリック・ハ リスがニューヨーク州プラッツバーグからリトルトンに引っ越してきた時、クレ ボルドはハリスにそれをみつけたのだった。クレボルドの父親トーマスはモーゲ ッジ管理業に身を転じた元地球物理学者だ。母親のスーザンは、地元のコミュニ ティカレッジで盲学生や障害を持った学生の世話をしている。クレボルドの家 は木とガラスでできていて、ディアークリークキャニオンと呼ばれる地域の赤岩 礁のとても美しい露出層の下にひっそりとたっている。銃撃事件の前日、ハリス の家の近所の人たちは、クレボルドの黒塗りのBMW がハリスの家の外にとめ てあるのをみた。ハリスの父親のウェーンは勲章をもらったことのある空軍パイ ロットだ。ある近所の人は、片方がもう一方に、金属バットをもってないかとい うのを聞いた。ガレージからトンカチでトントンたたく音やガラスを壊す音が聞 こえた。「エリック・ハリスはいつもドアを締めてあそこにいたよ。」と近所に 住む小学5年生はいう。警察によると、金物屋や運道具店で簡単に手に入る材料 200ドル分もあれば、たった1日の午後だけで30個の爆弾を作ることも可能 なのだという。 | geophysicist : 地球物理学者、 disabled : 身体障害者になった、 local community : 地域会社、 community college : コミュニティ・カレッジ,地域短期大学,専門学校、 tuck : を押し込む、 stunning : とても魅力的な、 red rock : 赤色岩、 decorate : 勲章を授ける、 Air Force : 空軍、 baseball bat : 野球用バット、 sporting-goods store : スポーツ用品店 |
| 47 | 爆弾の作り方についてはどうかといえば、これはコンピュータに強い若者なら こともなくみつけられる。掲載された後に閉鎖されたが、 ハリスはAOLの個人の ホームページで、鉄パイプ爆弾の作り方について事細かなアドバイスを書いてい た「俺は町中に爆弾をしかけてやる。死のうが生きようがかまいやしないさ。」 とも書いた。また別のページでは、「鉄パイプ爆弾は一塊になった奴らを手っ取 り早く完璧に殺す最高の方法さ。」と書いた。さらに榴散弾についてのアドバイ スもした、「あらゆる種類のねじ、BB弾、くぎも使えるよ・・・」トーマス地区 検事長の持っている内部情報メモによると、ハリスは銃撃事件を起こす前に精神 科医にみてもらっていた。医者は抗鬱性剤の服用を始めるよう勧めた。ハリスを みた医者は、ハリスは世界に対して怒りを露にしました、と語った。 | as for : はどうかと言えば、 recipe : 手法,手段、 pipe bomb : 鉄パイプ爆弾,パイプ爆弾、 rig : 装備する、 shrapnel : 榴散弾,銃弾の破片、 screw : ネジ,ビス、 internal information : 内部情報,内部資料、 psychiatrist : 精神科医、 recommend that : 提言する、 antidepressant : 抗鬱薬、 express anger : 怒りを表わす |
| 48 | クレボルドとハリスはうまく魔法のように法制度の中をくぐり抜けていた。二 人は1998年1月、車を壊し中に入り400ドル相当の電子機器を盗んだとい う重罪のかどで有罪を言い渡された。そして少年裁判所更正プログラムに入った。 地域奉仕プログラムや怒りの自己管理セミナーに参加することにより犯罪歴を消 してしまうことが出来るというプログラムだ。今年2月3日、二人とも模範生と いうことで予定よりも早くこのプログラムの終了を認められた。ハリスの結果報 告書には、「エリックは人生で成功をおさめそうなとても聡明な若者だ。」とあ った。クレボルドに関しては、彼もまた「どんな夢でも実現できるほど知能は高 い。だが夢を実現するには努力も必要だということを理解する必要がある。」と 書いてあった。 | charmed : 幸運の,魔法で守られた、 convict : 〜を有罪と宣告する、 felony : 重罪、 electronic equipment : 電子機器、 participate in : 参加する、 participant : 参加者、 termination : 終了 |
| 49 | 専門家でさえ警告信号を見抜けなかったとすれば、毎日彼らをみていた人たち がそれに気づかなかったとしても無理はない。彼らが働いていたピザパーラーの オーナーは、二人は模範従業員だったという。彼らは猛烈な人種差別主義者との 話しだが、プラッツバーグにいた頃は、ハリスはみんなに好かれていて、地方紙 プレス・リパブリカンによると、当時のハリスの親友は黒人やアジア系だったと いう。ネオナチのクレボルドについていえば、彼の曾祖父はオハイオの著名なユ ダヤ人の慈善家だった。 | warning sign : 警告表示,危険信号、 pizza parlor : ピザの店、 for all : 〜にもかかわらず、 fierce : 熱烈な、 racism : 人種差別主義、 great-grandfather : 曾祖父、 prominent : 著名な,有名な、 Jewish : ユダヤ人の、 philanthropist : 慈善家 |
| 50 | しかし、警察の発表によると、発見された手書きの日記はナチへの偏愛であふ れていた。そこにはヒトラーの110回目の誕生日に決行する1年をかけて練っ た銃撃の綿密な計画がドイツ語で明記されていた。注釈をつけた学校の地図もあ った。その地図は隠れ場所になりそうなところや、何時どこにほとんどの生徒が 集まっているかを示していたのだ。運動選手に対する憎しみが何度も何度も繰り 返し書かれていた。ストーン保安官は語った、「犯人たちは出来うる限りの損傷 を与え、出来る限り多くの子供を殺しそして、自らも炎の中で死ぬことを願った のです。」保安官は準備をしていたことを示す痕跡がはっきりあったともいう、 家宅捜査により一人の犯人のドレッサーの上から銃の砲身がみつかったのだ。 | disclose : 暴露する,開示する、 handwritten : 手書きの、 diary : 日記、 drench : 浸す、 meticulous : 細部まで正確な、 annotate : 注釈をつける、 hatred : 憎悪、 jock : 頭は弱いがスポーツだけは得意な人、 evident : 歴然とした |
| 51 | この事件の前兆や意図がどうであったにせよ、結局のところ全くの無差別殺人 が行われたのだ。犯人たちは数学の天才、女優、レスリング選手、デベートの名 手、運動選手、優等生、バンドのメンバー、1年生、4年生を狙撃した。アメリ カンフットボールのヘッドコーチを狙撃し、理科の先生を狙撃した。「奴らは、 大学進学組や運動選手やアバークロンビーアンドフィッチの服を着ている者たち だけじゃなく、みんなを狙って撃ったんです。もっともそういう人たちだけを選 び出そうとしてもそれはとても難しいでしょうけどね。この学校じゃみんなそん な風にみえますからね。つまりその、私たちは白人の郊外居住者だということで す。うちの学校は金持ち学校なんですよ。駐車場にいってそこにある車をみて下 さい。みんな金持ちですよ。それなのにこんな事件が起こるとは思いもよりませ んでした。」とニック・ズパンシク(4年生)はいう。 | threat : 兆し、 blindly : 盲目的に、 indiscriminate : 見境のない,無差別の、 whiz : 名人,才能のある人、 actress : 女優、 debater : 論客、 science teacher : 理科の先生、 suburbia : 郊外居住者 |
| 52 | 追悼ミサがとり行われ、駐車場の春の柔らかなユキの中に献花がうず高く積 もった頃には、数々の非難が飛び交っていた。ガレージが爆弾工場になって いたことを親たちが知らなかったなんてあり得るだろうか?廊下での憎悪が 高校生にありがちな仲違い以上のものだったことを学校は本当に知らなかっ たのだろうか?人々がとらえられ出血死しようとしている時どうして特別機 動隊はあんなにも用心深かったのか?もし捕まっているのが彼らの子供だっ たらどうしただろう? | memorial service : 追悼式、 pile up : 山積する、 spring snow : 春雪、 recrimination : 非難し返すこと,逆襲、 under way : 進行中で、 alienation : 疎遠,疎外、 bleed to death : 出血多量で死ぬ |
| 53 | 学校としては他にやりようがなかったのだとコロンバイン高校長フランクリン・ アンジェリスは主張する、「州兵軍を警戒体制に置くこともできたかも知れませ んが、そうしたとしても今回の事件を防ぐことはできなかっただろうと思いま す。」金属探知器では今回のような凶暴な行為を戸口でくい止めることはできな かったでしょう。また犯人たちが事前に武器を校内に持ち込んで隠し持っていた ということはないでしょう。だがこの弁明は、視聴覚プログラムの一員としてハ リスは学校のカギを持っていたかも知れないということが明らかになり、正当化 しがたいものとなった。校長は語った、毎日駐車場の車を全部調べれば良かった のかも知れません。でもそれは現実的ではなかったのです。」デアンジェリス校 長はその責務を生徒たちに振って語った。「ちょっとでも前兆があればそれを報 告するのは生徒たちの責任です。生徒たちは大人たちに話さなければならないの です。そしてそれを調べるのは私たちの仕事です。」それでは、ハリスのホーム ページにあったという、他の生徒を殺してやるとの脅しとか暴力的な創作物語や ビデオのような明白な前兆がどうして見過ごされたのか?校長は何も答えなかっ た。 | principal : 校長、 National Guard : 州兵、 on alert : 油断なく警戒して、 detector : 検出器、 rampage : 狂暴な行為、 stash : を隠す、 audio-visual : 視聴覚、 practical : 実際的な、 responsibility : 責任、 idle threat : ただの脅し,効果のない脅迫、 omen : 前兆,予感 |
| 54 | 一方コロンバインの生存者は恐怖と悲しみの中にとり残されている。食料雑貨 店では花を包むセロファンは品切れだ。プロムの写真は祭壇の写真になってしま った。木曜の夜、一団の生徒がアップルビーズに食事に出かけた。みんなじろじ ろみるんです。「僕たちがコロンバイン高校の生徒だって知ってたんです。」と スコット・シュルテ(3年生)はいう、「誰も何もいいませんでした。そしてウ ェイトレスは手にもっていた子供用の補助椅子を落としたんです。僕たちはみな 飛び上がりましたよ。」 | in the meantime : 一方、 grief : 悲嘆、 grocery store : 食料雑貨店、 cellophane : セロファン、 prom : (高校・大学などの)ダンスパーテイー,舞踏会、 obituary : 死亡告示,死亡告知、 bunch of : 一団の |
| 55 | サラ・マーチンは彼女自身の結論に達した。今は卒業式でスピーチをする必要 が全くなくなればよいと思っている。「犯人たちがトレンチコートに身をまとい 銃と爆弾を持って廊下にやってきた時、恐怖と憎しみを持ち込みそれ以外のもの は全て押し出したのです。命のひとかけらまでも。」 | come to : 〜に達する、 graduation : 卒業 |
| 56 | コロンバイン高校の敷地に生徒たちは十字架をたてた。女の子のためのピンク の十字架を四つ、男の子のための青い十字架を九つ、そしてそれとは離して黒い 十字架を二つ ──犯人のために。 | set apart : 離す |
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