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| P20 | 粗野な雰囲気を呈し,尽きることのないゾクゾク感追い求めながら,日本の若者達はこの国の民族そのものの本質を変えようとしている。 | in-your-face :人を人とも思わぬ,傍若無人な、 thirst for : 渇望する、 |
| 1 | 刻まれるビート,きらめくネオンは,大学生ホンダ・ミライを東京・渋谷にあるゲームセンターへと誘う。渋谷は夜に日本の若者文化が色づく派手な繁華街で,その手の繁華街の中心的な存在と言える。100円玉(約85セント)を2枚投入口へ入れ,表示パネルを選び,音楽が始まるのを待つ。スクリーンの前にある小さな壇上に立ち,19歳の少年は画面に現れるデジタル化されたダンサーの動きに合わせて踊るのだ。ホンダが4枚の大きな四角いネオンを必死になって踏むたびに,「パーフェクト!」とスクリーンメッセージが告げ,「グレート!」と彼を褒め称えるのだ。 | 語彙 pulsate: 波打つ lure: 誘惑する palace: 大きな娯楽場 glitzy: けばけばしい entertainment: 娯楽,気晴らし hub: 中心地 youth: 若者 come alive: 生き生きとする plop: ポトンと落とす slot: 料金投入口 platform: 壇 digitize: デジタル化する furiously: 激しく assure: 保証する |
| 2 | ダンス・ダンス・レボルーション―全身で踊るラップミュージックで高められた双方向性のゲーム―は,21世紀の日本を担う世代について多くのことを語ってくれる。現実逃避について話そう。ホンダ―名前はミライ,「将来」を意味する―は,わざわざクラブやディスコへは行かない。機械と踊ることの方が好きなのだ。彼は額の汗を袖の部分で拭いながら言う。「競い合うのがいいんだよ。普通のクラブじゃ,そんなことはできないからね」 | 語彙 revolution: 革命 rap-enhanced: ラップ音楽でさらに効果を高めた interactive: 対話方の speak volume : 多くのことを語る escapism: 現実逃避 bother: わざわざ〜する prefer: より好む competition: 競争,競争相手 perspiration: 汗 brow: まゆ,額 shirtsleeve: シャツの袖 |
| 3 | 日本の若者はスリルを求め,親世代のスーツ姿のサラリーマン的な生き方を取り除き,社会というダンスフロアに踊り出ている。自らのライフスタイルを作り上げ,これから行うことは今までにはないことと,はっきりとした意識を持たずに語る。それは礼節を敬う日本を揺るがすぶしつけさを伴ってである。彼らは,茶,赤,黄,青,紫といった色合いで髪を染め,カルフォルニアのライフガードの様相を呈するまで肌を焼く。彼らは人前で,やかましく電話をかける。ぶしつけに振る舞う。さらには問題を起こす―未成年者の犯罪の波は日本中をかけぬけているのだ。中流階級の家庭に生まれ育った女子高生は,中年男性に体を売る。以前,厳格さと規律さが売りであった教育機関は,生徒が教師に肉体的暴行を加えることすらある混沌とした場所へと変貌したのだ。 | 語彙 youth: 若者 be out for 〜: 〜を得ようと努める step clear of 〜: 〜を取り除く buttoned-down: 保守的な,サラリーマンの uniformed: 制服を着た unforcused: 定まらない,まとまらない commitment: 約束,言質,責任 dye: 染める shade: (色の明暗の)度合い,(濃淡の)色合い tan: 日焼けさせる complexion: 顔色,様相 resemble: 似る jabber: ぺちゃくちゃしゃべる rude: 無礼な,乱暴な juvenile: 未成年者の spread: 広がる prostitute: 金のために体を売る middle-aged: 中年の rigidity: 厳格さ discipline: 規律 chaotic: 混沌とした physically: 肉体的に assault: 暴行を加える |
| 4 | 和を持って尊しとなすこの国で不和を声高に叫びながら,この世代の若者は革命を語るのだ。起こしつつある。「日本を変えたいのです」と言うのは,東京近郊ベッドタウンの若き市長。「日本を変えたいのです」と言うのは,29歳の起業家。「日本を変えたいのです」と言うのは,高校でイジメにあった経験を持つ24歳の学生。彼らはみな,国民の声の感覚とは,ズレているように思われる政府を本格的に見直したいと考えている。それは,何を行ったかよりもいかに長く勤め上げるかに重きが置かれるビジネス体質の改善や,想像性よりも誰もがみな同じであることに価値を見出す教育哲学の改善が求められているのだ。 | 語彙 advocate: 提唱する disharmony: 不調和 venerate: 敬う revolution: 革命 mayor: 市長 suburb: 近郊 entrepreneur: 起業家 victim: 犠牲者 bully: いじめる overhaul: 分解修理する,詳しく調べる out of touch with 〜: 〜に理解のない climate: 風潮,傾向 reward: 報酬を与える longevity: 長命 performance: 実行,出来映え philosophy: 哲学,主義 value: 価値を与える conformity: 服従,画一化 creativity: 想像性 |
| 5 | それは,まさに彼らがやろうとしていることである。しかし,この激しやすい世代が日本を変えるために一致団結することなど可能なのであろうか。本当にこれはこの国を根底から揺るがす個人主義の反乱なのだろうか。すべてに渡って親に頼りきっている裕福な子供達が変化を助長するためにすべてを捨て去る決意があるのだろうか。ゲームセンターで汗をかきながら体を動かすその若者は,両親の目には何か未来の国からやってきたものとして映っている。彼は本当に体制破壊を企てる人間であろうか。彼の強い思いに耳を傾けてみよう。「これが好きなのは,どうしたらいいのかを教えてくれる機械だからさ」とホンダ。これは確かにダンスで,まるで軍隊指導を行う軍曹のようにあれしろこれしろと求めるリズムで襲いかかってくる。感情もなければ,愛情もない。しかしながら,ホンダは洒落た男がたくさん並ぶ中で,この機械の一番のお気に入りだ。 | 語彙 agenda: 実践すべき義務,予定表 passionate: 激しやすい unite: 一致団結する transform: 一変させる revolt: 反乱 individualism: 個人主義 core: 核 affluent: 豊かな foment: 助長する arcade: アーケード anarchist: 体制破壊主義者 obsession: 取りつかれること drill sergeant: 軍隊の指導教官,鬼軍曹 beau: 洒落た格好の男 dance card: ダンスを踊る順番が書かれたリスト;普通は頭の中で思い浮かべる想像上のリストカードのこと。 |
| 6 | 1970年以降に生まれ4,400万人を数えるこの気短な世代は,今やこの国の約1/3の人口を占めている。彼らの中で一番年上に当たる年代は,来年30歳を超えるが,日本の「第2期ベビーブーム」を作り上げている。彼らは戦後のベビーブーマー達の子供なのだ。彼らが生まれ育ち,彼らを前の世代と区別する目安となるものは,まさにその日本である。両親や祖父母と異なり,30歳未満のこの世代は裕福さの中で育ち苦しみをあまり体感したことがない。戦争の期間,戦後復興時の苦難,アメリカに追いつこうとする純真な衝動を経験していないのだ。彼らが幼稚園に向う時期までに,日本は世界レベルに追いつき,追い越した。それも,新幹線並みの信じられないようなスピードを有してである。統計的には,世界第2位の経済となり,精神と名声においては,一番となった。日本の経営者や労働者は,現代史の中で並ぶもののない経済的驚異を生み出した。もっとも,その子供達が社会を運営する機会を得る前に,すべてを台無しにしてしまうかもしれないが。 | 語彙 impatient: 気短な strong: 人員が〜の turn: (年齢)を超える make up: 構成する junior: 後進の,後順位の postwar: 戦後の S distinguish A from B: SによってAはBと区別される目安となる previous: 前の affluence: 裕福 endure: 耐える hardship: 苦難 miss: (機会)を逸する rigor: 厳しい状況 reconstruction: 再建 single-minded: 純真な 推進力,衝動 catch up to[with/on]〜: 〜に追いつく head off: 向う kindergarten: 幼稚園 startling: 驚くべき bullet train: 新幹線 statically: 統計的に reputation: 名声 marvel: 驚異 unparalleled: 並ぶものがない screw up: 台無しにする yet: やがて,そのうち |
| 7 | 子供達よ,君達は何でも簡単に手に入れているのだ,。親達は彼らを大切にしようと,自分たちが持てなくていつも欲しかったものは何でも与えるよう努めた。しかし,彼らはある種の空虚感を有している。タカヤマ・ヒデオ―1960年代初期から日本の若者を研究している人物―はこれまでの研究結果をそう語る。タカヤマはフォーカスグループに子供達を集め,彼らの夢や不安についてたずね,彼らの振る舞いを観察している。何年にも渡って彼は子供達に,何を求め,何を熱望しているかをたずねている。1960年代初期,子供達ははっきりしていた。テレビ!冷蔵庫!洗濯機!10年後,彼らの欲しいものは大きくなった。カラーテレビ!車!1980年代までに,家族の必需品から個人の持ちたい物へと移り変わった。グローブ!ウォークマン!テレビゲーム! | 語彙 coddle: 大切に扱う long: 思いこがれる certain: ある種,確かな emptiness: 空虚 assemble: 集める focus group: 【市場調査】フォーカスグループ;番組・コマーシャル・製品などの開発に有用な情報を得るため,司会者のもとに集団で討議(group interview)してもらう数人の消費者グループ. fear: 不安 observe: 観察する behavior: 振る舞い yearn: 熱望する refrigerator: 冷蔵庫 decade: 10年間 desire: 願望 grand: 大きい response: 反応 shift: 移り変わる |
| 8 | しかし今年,タカヤマがいつもの質問を投げかけたとき,今までの中で最も当惑させられる返答を得た。別に何も欲しくはないというのである。突ついてみても,名前すら出てこなかったのだ。つまり彼らは,すべてを有する世代なのだ。不幸にも,これから彼らはショックを受けることになる。成人する年齢が近くなり,学校を卒業する時期が近づき,就職活動をするようになる頃,この子供達は初めて苦しみを伴いながら感じ始める。日本経済の現実はもはや,彼らが生まれ育った好景気の時代とは似ても似つかないものとなったということを。一流大学の卒業生ですら,手に入れられると考え、一生勤められると考えていた会社に簡単には就職できないのだ。子供達が社会のルールを改める前に,ルールそのものが変化しつつある。革命は選択ではなく,必然と言えるかもしれない。 | 語彙 pose: (問題・質問などを)提出する disturbing: 当惑する prod: 突つく unfortunately: 不幸にも,あいにく be in for〜: (ショックなどを)受けることになる come of age: 成人に達する hit the job market: 仕事を探す painful: 苦しい,骨の折れる first-hand: 直接の,じかの graduate: 大学の卒業生 elite: 選り抜きの waltz: 軽やかに動く lifetime: 生涯 rewrite: 改める |
| 9 | この世代が苦難に陥った最初の兆候が見られたのは,2年前に遡る。とはいえ,誰一人耳を傾けるものはなかった。神戸の10代の若者が11歳の少年の首をはね,校庭の門柱にその頭を置いたのだ。数週間の間,誰もがその恐ろしい犯罪に大きな衝撃を受けた。さらに国中を挙げて,ちょっとした犯罪動機に関する自己分析を行うことになるのだが,それはこの大人しい社会には珍しいことであった。しかし,その後人々は分析をやめることとなる。この事件は異例なものであるがゆえに,この事実を超える教訓は得られないという安心感を自らに与えたのだ。「その少年は精神的な障害を受けており,起きたことは自分たちには関係のないことであると信じたいのです」。こう語るのは,トリヤマ・トシオ。彼は小学校の元教師で「子供たちの声が聞こえますか」という本を最近出版した人物である。「ところが,子供達は大人に問題を抱えているとことに気づいて欲しいと思い,行動を起こしているのです。私はこれよりももっと残忍な事件が起こることを確信していますよ」。今年の3月,14歳の神戸小学生殺人事件の両親が,(犯罪の起きた家庭では)よく見られる嘆き―どうしたら,こんなごく平凡な家庭からあのように病んだ子供が生まれるのだろうか―を社会への弁明とし,人々の感情に訴える本を出版した。「どうして,息子が抱えていた問題にほんの少しでも気づいてやれなかったのだろうか」彼らはこうも綴る。「どうして,彼を理解してやれなかったのだろうか」 | 語彙 sign: 兆候 decapitate: 首をはねる schoolyard: 校庭 appropriately: 相応しく gruesome: 恐ろしい engage: 従事する soul-searching: (動機・真意などに関する)自己分析,徹底的自己省察 out-of-character: (=not typical)あまりない reserved: 大人しい,控えめな retreat: 退く reassure: 安心させる case: 事件 anomaly: 異例なもの lesson: 教訓 mentally: 精神的に former: 前〜,元〜 assume: 当然と思う appalling: ぞっとするような incident: 事件 publish: 出版する emotional: 感情に訴える plead: 弁明する,言い訳にする lament: 悲嘆,後悔 |
| 10 | 今日,日本における世代間の隔たりは,親と子供がつなぎをかけられないくらい大きなものとなっている。1996年,調査を受けた16歳から18歳までの85%が,親に対して反抗する自由を持つと言い,アメリカでのそれと比較すると,アメリカではたった16%であった。親達は日本の経済的復興の最中,誰もが皆中流階級の夢を追いかけ長い時間働き子供達におもちゃやその関連商品をどっさり与えた。ところが,ますます子供達と過ごす時間がなくなり子供達を遠ざけ孤独感を味合わせる結果となったのだ。このことは彼らの多くを反抗心へと導くのである。「この世代は人との関わり方を知らないのです」こう語るのはマリコ・クノ・フジワラ―若者文化の専門家―である。「この手の集団は,お互いに干渉し合うことがずっと少ないですね。彼らには,深く付き合うよりもうまくやっていくことの方がはるかに重要なのです」 | 語彙 nearly: ほとんど bridge: 橋渡しをする survey: 全体的に調べる freedom: 自由 rebel: 反抗する,ひどく嫌う compare: 比べる single-mindedly: 共通目標を有して rebirth: 復活 shower: どっさり与える gadget: 付属物 alienate: 遠ざける relate: うまくやる be committed: 関わる |
| 11 | カワセ・トシオ(24歳)は,浮いている,つまり周りの人間とつながりを持てないでいる感覚といったものを理解している。彼は小学校にいた初めの頃から,イジメという,醜く、暴力的で時に重大な結果を招くほどのあざけりや嘲笑の常習的な行為を受けるようになった。イジメをしかけてくる少年達は,よくカワセを取り囲み,蹴りを入れたり殴ったりした。それは,彼が「違っている」からである。例えば,彼は色がついた靴下を履くのに,周りでは黒を好んで履くといった具合にである。彼には友と呼べる人間がいなかった。生きているのが辛く,彼は自殺まで考えた。ついに彼は,17歳の時に退学したのだ。彼は,ウェイター,調理人,新聞配達といったいくつか中途半端な仕事を繰り返した。彼はテレホンセックス回線の話を,一時間25ドルでテープに録音することすらあった。つまり,彼はなんとか暮らしていたのだ。英語が堪能で,賢く,創造性に富んでいたので,カワセは同等の資格が得られる試験(大学入学資格検定)を受け,高校卒業の資格を得た。今現在,彼は東京の大学で最終学年に所属している。「日本の会社に入るつもりは全くありません」と彼は断言する。「前にように束縛されることは決してないですよ。自由が欲しいだけなんです。学校では,誰もが規則に従わなければならないこの社会に住んでいました。そこでは,私もどうもうまく順応できていなかったようなのです」 | 語彙 float: 浮く,漂う disconnect: 関係を絶つ,分離する victim: 犠牲者 bully: いじめる all-too common: あまりにも知られたpractice: (常習的)行為 taunt: あざけり tease: からかう ugly: みにくい violent: 暴力による grave: 深刻な extreme: 極端な行為 gang: (悪さをする人間の)一味 surround: 取り囲む bleak: 冷酷な consider: 考える suicide: 自殺 drop out: 中退する odd: 中途半端な delivery: 配達 get by: なんとかやっていく fluent: 堪能な obtain: 手に入れる diploma: 卒業証書 equivalency: 同等の swear: 断言する restrict: 制限する adapt: (努力して)順応する |
| 12 | 東京と名古屋に,環境にうまく適応できない子や,ただ話し相手が欲しい子供向けに相談電話が開設されている。朝日出版によると,ある日の夕方,カウンセラー,ニシダ・ハチダイは新高1になる生徒からの一本の電話を受けた。「何か話さないとだめですか」とその少年はためらいがちに言い,「ごめんなさい,切らないで」と付け加えた。ニシダは電話を切らないと彼に告げた。「誰かと一緒にいる気持ちになりたいんです。それでもいいですか」少年はたずねた。ニシダは話す必要はないと告げ安心させると,「ありがとう」と少年は言い静かになった。3分後彼は再び話し始め,「まだ,切れていないませんね。いますよね?」とたずねるのだった。ニシダは彼に何を考えているのかたずねた。すると彼は「僕みたいな者のために無駄な時間を費やしてくれる人間がいるということがとてもうれしいんです」と言い,「もう一度電話をしてもいいですか」と告げると回線は切れた。 | 語彙 hotline: 相談電話 fit: うまくとけこむ companion: 仲間 publication: 出版 counselor: カウンセラー freshman: 新入生 tentatively: ためらいがちに hang up: 電話を切る assure: 確信させる reassure: 安心させる |
| 13 | 人々とつながりを持つこと難しいことと言えよう。それができないものはしばしば不安の深みに陥る。「誰も信じれなかったね。特に,大人は」と言うのは九州から来た15歳の学生。彼は,国立武蔵野学院―埼玉県にある児童自立支援施設―に入ることとなった。「やつら,自分の都合に合わせてコロコロ言ってることを変えてちゃうからね」と匿名希望のその少年は言う。「教師?あいつら,ウソをついたからなあ。父親は遅く帰宅するので話す時間はないし。母親はあまり好きじゃないから,あまり話をしなかったね」その少年は,施設の小さな農場にサツマイモの苗を植えて戻ってきたばかりだったので,服は泥だらけだった。万引きで捕まった後,彼はここへやってくる羽目になった。国内57箇所ある少年犯罪者の施設の一つへである。起訴される少年犯罪者の数は,1996年から1997年にかけて14%の大いなる伸びを示し,少年犯罪は日本でちょっとした疫病のようなものとなっている。 | 語彙 connection: つながり,関係 disturbing: 心配[不安]を生じさせる depth: どん底 wind up(=end up): 結局〜する羽目となる prefecture: 県 reformatory: 少年院,感化院 troubled: 荒れた suit: 合わせる convenience: 都合 cutting: (ここでは根が切られた)苗 juvenile: 少年少女の delinquent: 非行少年 something of a〜: ちょっとした〜 epidemic: 伝染病,流行 prosecute: 起訴する offender: 犯罪者 |
| 14 | 問題点があまりにも速く雪だるま式に膨れ上がっているので,日本は非行に走る少年たちを対処する準備が整えきれていない。児童自立支援施設は,殺人,強姦,暴行傷害のような凶悪な少年犯罪(昨年,教師を刺し殺した中学生はまだ13歳なのでこの手の学校へ送られることとなった)の階層を含むのだが,高い壁やフェンスのない比較的快適な寮のような場所である。少年達は簡単に逃げ出すことができ,捕まっても厳しく罰せられることはない。九州から来た少年も3回脱走したが,彼の処罰は縄跳びを何度も繰り返すことや寮の床を丹念に掃除することなどであった。「少年達に矯正する機会を与えるのが私達の仕事なのです」と言うのは,イタガキ・タツヒコ―教育部の部門長である。しかし,埼玉にある彼の学校を出て行く1/3強の人間が,さらに困った情況に陥って戻って来ざるを得ないのが現状である。 | 語彙 snowball: どんどん膨れ上がる cope: 扱う reform school: 少年院 rank: 階層 hard-core: 中核の,凶悪な fatally: 致命的に stab: 突き刺す severely: 厳しく discipline: 罰する break out: 脱走する punishment: 処罰 scrub: ごしごしこする get back on the right track: 正しい方向へ導く instruction: 教育 section: 部門 |
| 15 | 突然暴力的になり自制心を失う少年達を表す日本語に「キレル」というものがある。これは,文字通りに解釈するならば,ぷつんと切れることを意味している。「彼らは怒りをあらわにする際,感情表現できないのです」と言うのはイタガキ。このキレルという行為は予期せぬ衝動であり,日本人に警鐘を鳴らすものである。というのも,この私達の社会は個性よりも集団倫理を重んじることに価値を見出す機能を持つが,彼らの行為はその規則性を有する予測可能な社会的機能から大きく切り離されたものであるからである。 | 語彙 term: 言葉 fly off the handle: 自制心を失う literally: 文字通りに snap: ぷつんと切れる piss off: 怒らせる alarm: 危険を知らせる remove: 取り除く predictable: 予想できる value: 価値を与える group ethic: 集団倫理 individuality: 個人 |
| 16 | コイケ・リュウタがキレタのは16歳の時であった。都内の高校に通っていた彼は,授業中居眠りをしながらウォークマンを聞き,教師の話には耳を傾けることはなかった。ある日,一人の教師が彼を校長室へ呼び出した。リュータは拒んだ。彼が言うにはその教師が彼を押したと言うのである。リュータも押し返した。「えらくむかついて,その教師の胸倉をつかんで揺さぶったんだ」。これで彼は退学処分となったが,リュータにはあまり気にならないようだ。「実社会の方がずっといいね」と彼は言う。今現在18歳の彼は,未だに母親の元で暮らしているが,母親に毎月の小遣いをカットされたので今,アルバイトをしている。彼の夢は「自らの完全な自由を表現するために」俳優になることであると彼は言う。「世の中で最悪のことは,サラリーマンになることだね」 | 語彙 prone: 傾向がある doze off: 居眠りをする ignore: 無視する principal: 校長 refuse: 拒む shove: ぐいっと押す grab: 引っつかむ expel: 除名する bother: 悩ます allowance: 小遣い |
| 17 | このような姿勢は,多くの日本の若者にとって自分を守るよろいを表しているのかもしれない。仕事を見つけることは―どんなものでも―次第に難しくなってきているからである。ソニーやNECを含む大会社の数社は,今年度の新入社員募集枠を大幅にカットした。意欲万点のコンピュータ技師ミネムラ・タダシ(22歳)は,1年前面接した22社のソフトウェア会社の1社からも採用通知がなかった時に,いかに就職事情が厳しいかを肌で感じたという。銀行から1つだけ採用通知があった。とはいえ,週末にゴーカートに行き,インターネットのホームページに自分の写真を張り付けることに関心がある若者に訴える仕事ではなかった。「興味が持てる仕事に関われるまでに10年やそこらはATMやつまらない仕事につかなければならないんですよ」とミネムラは言う。「時間を無駄にしたくはないですからね」 | 語彙 attitude: 姿勢 represent: 表す,相当する self-protective: 自己防衛の armor: よろい announce: 発表する recruit: 新人募集する aspiring: 向上心に燃えている firm: 会社 interview: 面接する offer: 申し出 appeal: 気に入る ATM: 自動現金預け入れ引き出し機 boring: つまらない waste: 無駄にする |
| 18 | すぐに得られる満足感は理想である。「彼らのモットーは,今楽しんで後のことは後で考えるなのです」と社会学者フジワラは言う。それは,彼らの親達を動機付けた倫理とは全く異なるものだ。しかし,ミネムラは弁解しようとはしない。「どんな会社で働こうとも,楽しめないことはしたくないんです」と彼は言う。彼は捜し求めるものが見つからないくても,アルバイトをし,増加の一途をたどるフリーター(英語のfreeとドイツ語で労働者を表すarbeiterを組み合わせて新たに作り出された言葉)に加われてうれしいのだ。この言葉は昇進の可能性がほとんどない短期の仕事と引き換えに,昔ながらの経歴を積む行為をあえて避ける日本人を表している。過去において,この手の仕事はウェイトレスからトラックの運転,さらには窓拭きに至るすべてのことを含むのだが,高校中退者や大学へ進学しない者達の領域であった。経済が縮小傾向にあり,若者が追い求めるものが移り変わってきているので,今やその手の仕事は大学を卒業した人間の間でも人気がある。「友人を見ると,みんなスーツを着ているんです」と言うのはヨダ・チサト(24歳),コーヒースタンドのレジ係である。「みんな自分のやりたい夢があったのに,妥協してしまったんです。私,紺のスーツを着てうそつきながら仕事を探す日本の就職活動は,したくないんです」彼女は昨年の夏,コーヒースタンドでの仕事を始めてから,インテリアデザインの学校を途中で辞めてしまった。「今はこれだけなんですよ」とヨダは言う。彼女は早く辞めて,インテリアデザインをもう一度始めようかと考えている。いや,料理かもしれないし,また別のものかもしれない。「好きなことがしたいの」と彼女はそう言うのだ。 | 語彙 instant: 即座の gratification: 喜び ideal: 理想 reversal: 逆にすること motivate: 動機を与える unapologetic: 弁解しない deliberately: 故意に ladder: はしご promotion: 昇進 domain: 領域 dropout: 中退者 shrink: 縮まる ambition: 熱望するもの compromise: 妥協する coffee joint: (安い)コーヒースタンド quit: やめる take up: 始める |
| 19 | せっかちというのは、無論美徳となることもある。その精神が,多くの起業家達に自らの発想を法人に変えさせ,発明家達には更なる新製品開発を可能にさせてきているのだ。とはいえ,日本で美徳と見なされるものは忍耐そのものであり,そのことはなぜこの国にはシリコンヴァレーのような創造性のメッカに住む人間が少ないかを説明している。オガワ・リョウとシンドウ・ヨウスケは,カルフォルニアで金を掘り当てた人間の,まさにコンピュター版と言える。5年前10代の頃,シンドウの小さな寝室にEqual Incという法人をスタートした。ビデオカメラやデジタル処理のできるソフトウェアをあれこれ弄くりながら,素人版ながらコンピュター編集された映画を作り上げたのだ。さらにウェブサイトを作り上げるにまで発展させて行き,そのうちコンピューターデザインによる広告産業に関わるようになった。今日彼らは4人の従業員を雇い,一日16時間働き,会社の小部屋で仮眠を取ることもしばしばだと言う。数年間で彼らは資金を使い果たしさらに25,000ドルの借金を抱えた。そして近頃やっと軌道に乗り始めてきたと言う。 | 語彙 impatient: 切望する virtue: 徳 entrepreneur: 起業家 inventor: 発明家 mousetrap: (消費者の心を引き付ける)新製品 patience: 忍耐 regard A as B: AをBとみなす dearth: 欠乏 populate: 〜に住む mecca: 憧れの場所 Silicon Valley: 高度のエレクトロニクス産業が集中している San Francisco Bay 南方の広大な盆地の俗称 prototype: 原型 geek: 〜狂 tiny: ごく小さな fiddle: いじくる edit: 編集する amateurish: 素人くさい evolve: 発展させる -generated: ―によって生成される advertisement: 広告 cubicle: 個室 rack up: (お金を)集める debt: 借金 profit: 利益 |
| 20 | オガワ(24歳)は,会社の独創力である。色の抜き銀髪に銀のリングを2つ左耳に付け,仕事服にはその日の気分に合わせ,スーツから着物,ヒップホップ系の服に至るまであらゆる物を着こなす。彼は夢を持つ人間で,話の要点をうまく捉えて熱心に思いを描いている。「独創性が極めて重要なのです」と彼は言う。「私はコンピューター,コマーシャルデザイン,建築物を目にして,そこで何を弄れるかわかっています。ありきたりのものは不要なのです」シンドウ(23歳)は幾分控えめだが,熱い思いは引けを取らない。オガワは大学を中退したが,シンドウは来年には経営の学位を得て卒業するつもりである。彼は,いつの日か大金持ちになりたいと考えている。それは,彼の尊敬する人物ソニー盛田昭夫や大投資家ジョージ・ソロスのようにである。「飛行機を買って,社員を乗せるんです。そうすればいつでも色々な国へ行けるでしょう」と彼は言う。「こんなことがあってもいいじゃないですか。私にできないことなんてありませんよ」 | 語彙 bleach: 色を抜く hoop: リング threads: 衣服 feverishly: 熱狂的に illustrate: 説明する vital: きわめて重要な architecture: 建築様式 improve: 進歩させる abandon: 捨てる mundane: ありきたりの conservative: 保守的な,控えめな where: 〜であるのに対し set: 〜するように努める management: 経営,管理 degree: 学位 strike it rich: 突然大金持ちになる,思わぬもうけものをする financier: 大投資家 |
| 21 | この手の自信は,日本が再び軌道に乗るためには必要なものだ。モリタ・ヒデアキは,若者の大胆不敵さを大いに発揮することで,新たな日本人像を作り上げている。今現在29歳のモリタは,いわゆる,周りが引き寄せられるようなかっこ良くて粋な高校生だった。自分のルックスの良さ,魅力,知性といったものを重要視し,自分の人気をうまく利用していたのだ。マーケティング会社が彼や仲間達に若者の嗜好をたずねるてくることもあった。モリタはその任務をうまく利用してテレビのトークショーに出演し,10代の若者にターゲットを絞った雑誌の原型を作り上げたりもした。そして,彼はシルバーのBMWを手に入れられるほどの収入を得たのである。 | 語彙 confidence: 自信 represent: 象徴している strain: 種族,傾向,素質 bravado: (=daring,very brave) 大胆不敵 hip: 粋な gravitate: 引き寄せられる make the most of〜: 〜を最大限に生かす,重要視する charm: 魅力 cash in on 〜: 〜につけこんでいる popularity: 人気 figure out: 見つけ出す parlay: (資金・才能)などを(富・成功を得るために)利用する assignment: 任務 |
| 22 | しかし,モリタはただルックスがいいだけの少年ではないことがわかった。19歳の時,彼と彼の大学の友人は自分達のコンサルタント会社を設立したのだ。彼らは高校からの友人関係を利用し,すぐに流行りものを調査するネットワークを築き上げた。広告会社は興味を示した。10年経った今日,モリタはTeens' Network Shipという年商170万ドル(昨年)を稼ぎ出す従業員10人の会社のトップとなっている。常にモリタは3,000人の10代の若者を自由にできるという。彼らの多くは,彼の会社―若者の街・東京原宿―に集まり,音楽や映画,ファッションに至る話をしながら午後の時間を過ごすのだ。「このようなことを10年間続けて,日本の若者すべてとつながりが持てるようになりました」と彼は豪語する。「10代の世界は実に狭いのです。一人を知れば100人のことがわかるようになります」これが彼の力―若者への理解と彼らとの関係性―である。例えばこういう話がある。ある家電メーカーがポータブルCDプレーヤーの新しいパッケージの市場調査に彼のメンバーを使った。その会社は若者にはピンク色でいけると考えていたのである。ところがそうではなく,代わりに内部の部品やメカニズムが見える透明なケースを,その若者達は提案したのだ。そして,それはヒットとなった。 | 語彙 turn out: 結果〜となる buddy: 仲間 tap into〜: 〜を利用する stable: (目的を一つにする)集まり spotter: 新しいものを探すもの head: 率いる at one's disposal: 自由になる youth-centric: 若者の集まる chat: (飲み食いしながら)しゃべる boast: 豪語する strength: 強さ relate: 関係を持つ manufacturer: 製造業者 crew: 仲間 go gaga over〜: 〜に興味を持つ instead: その代わりに transparent: 透明の show off: 見せる,引き立たせる internal: 内部の gear: 装置 |
| 23 | モリタは将来への大きな夢がある。彼は自分の影響下にある会社を作り上げたいのだ。ファッションデザインの会社,高校へのケーブルテレビ配信業務,レストラン,バー,若者向けの商品を販売するカタログ販売会社であり,彼はそれを作り上げた後で売却しようと考えているのである。また,彼は誇りを持って回顧している。「私は会社の社長になりたかったのですが,60歳までは待てなかったのです」と彼は言う。「私ができることは,自分で会社を起こすことでした」モリタは,確かに成功をおさめているが,日本のビジネス文化の限界でいくつか打ち勝つことができないでいることがある。彼は若さゆえに,しばしば真剣に受け止めてもらえないことがあるのだ。会社を起こす際に必要なお金も手に入れることはほとんど不可能に近かった。アメリカで法人を起こす場合と異なり,日本の投機家達は年齢が20いくつなどというの事業家に資金を供給したがらないのだ。これまでも時折,大企業の下請けとしての仕事を作り上げなければならなかったことがある。「私のようにリスクを負うことを恐れないものでさえ,日本式のビジネスには戦わなければらないのです」とモリタは言う。 | 語彙 satellite: 他の勢力下にある house: 会社 youth-focused: 若者にターゲットを絞った merchandise: 商品 meanwhile: 一方で own: 持つ overcome: 打ち勝つ limitation: 限界,制限 start-up: 始めるための counterpart: 同等のもの venture: 投機の capitalist: 資本家 reluctant: 気の進まない drum up: 創り出す subcontractor: 下請け業者 established: 確立した,既成の risk: 危険 |
| 24 | 伝統をよりどころにすることは,この世代ではあまり行われない。しかし先祖との文化的な結びつきの中から,さらには先輩の世代とのつながりの中から学ぶことを発見した若者達がいる。彼らは学ぶ一方で昔からの習慣へ新たな活力をも注入しているのだ。ツチヤ・サクラコ(29歳)は日本における数少ない女性酒造労働者である。長年の間,女性はこの仕事に関わることすら禁じられてきた。彼女の実家は1873年創業の酒蔵で,今日男性の後継者がいないため,コンピュタープログラムを学んだこの学士は家業を継ぐことを決心したのだ。「4世代にも渡って続いてきた火を絶やしたくはなかったのです」とツチヤは言う。彼女は先輩労働者達そして仕事の長(杜氏)と並んで仕事についている。ある日,彼らは大きなざるが必要になり作ることにした。苦労して竹の茎を切り,削って作り上げたのである。「若い人達は自分で物を作ることなんて考えたこともないと思いますよ」とツチヤ。「何でもお金で買おうと思っていますから」 | 語彙 fall back on〜: 〜に頼る tradition: 伝統 typical: 典型的な elder: 年長者 inject: 導入する pursue: 追い求める brewery: 醸造所 lack: 欠いている heir: 後継者 extinguish: 失わせる last: 続く alongside: 〜に並んで craft: 職業 painstakingly: 苦心して bamboo: 竹 stalk: 茎 |
| 25 | 日本社会の中で若者に対し特に敵対心を燃やす領域があるとするならば,政治組織である。幅を利かせる派閥や政治的人間関係は政治生命を確かなものにし,政治的な人とのつながりは時に,その本人から数えて数世代前まで遡ることもあるのだ。それゆえに若い成り上り者がその門を壊しにかかったとき,人々は注目した。ナガシマ・カズヨシのような人間が成り上るときには特に注目を集めた。彼はウィンドサーフィンやスノーボードを趣味とする32歳,元テレビレポーーターで,神奈川県逗子市の市長選に踊り出た。公約の中で彼は市長の交際費をゼロにすることを掲げ,彼は勝利をおさめた。「若い世代の後押しがあったのです」とナガシマは言う。顔立ちが良く,真剣さが感じられる若者だ。「この景気後退の中で,有権者達は変化を求めているのです。彼らは若い世代の人間ならば何か新しく今までと違ったことをしてくれると考えているのです」 | 語彙 hostile: 敵対する political: 政治の pervade: 幅を利かせる,勢力を振るう oldboy's network: 学閥,縁故主義 longevity: 長命 relationship: 関係,人間関係 upstart: 成り上り者 notice: 注目する,好意的な心配りをする campaign: 選挙運動をする prefecture: 県 populist: 人民主義者 platform: 公約 demeanor: 振る舞い recession: 景気後退 voter: 有権者 |
| 26 | ナガシマが初めて日本の議会―衆議院―に踊り出たのは3年前のことで,その当時彼は無所属であった。その後敗北を喫することとなるのだが,その結果は彼を厨子からそれほど遠くない鎌倉で,地方議会への道を考えさせるきっかけとなったのである。彼は市議会の席を得,2年後の1998年12月,厨子市長選に出た。更なる高い地位を求めて鎌倉という土地を捨てたという憤りめいたものは存在したが,よそ者としてのナガシマの役目が彼を助けたようである。厨子には,近隣のアメリカ兵に森一部を切り開いて住宅を作り上げるという計画があり,長年に渡り政治的論争が繰り広げられてきた。ナガシマはその問題には触れていない唯一の政治家であったので,その問題に飽き飽きしていた有権者達は,自分達よりどころにできる新人を見つけ出したといえよう。 | 語彙 lower house: 下院,衆議院 diet: 国会 parliament: 議会 independent: 無所属議員 result: 結果 encourage: 勇気付ける city assembly: 市議会 mayor: 市長 resentment: 憤慨 abandon: 捨て去る role: 役割 debate: 討論 serviceman: 軍人 weary: 疲れた flock: 群がる |
| 27 | 「私がテレビで国会報道を担当していたとき,政治家達の言動には本当にイライラさせられました」と彼は言う。「討論の結果は国民が求めているものとはかけ離れているのです」1988年日本国内におけるウィンドサーフィンのチャンピオンであるナガシマは,その経歴から受ける印象とは異なる。彼には考えがあるのだ。厨子は57,000人の裕福な人々が集まるベッドタウンであるが,この不景気は税収への痛手となり昨年8%減収した。そこで彼は市の予算を削減する方法を考えているのだ。日本中どこでも同じことが言えるが,厨子もまた多くの高齢者を抱えている。ナガシマが考え出したのは高齢者への福祉に関するシステムで,人々が健康管理やその他の補助を受けられるためには彼らもしくは配偶者達がかけた時間に応じて健康管理やその他の補助を受けられるというものである。彼は市議会の官僚的な体質を批判せぬように気配りながら,各省庁における交流をさらに活性化させることを強く望んでいる。「まず,厨子から変えたいのです」と彼は言う。「それから,日本全体を変えたいのです」 | 語彙 cover: 担当する irritated: いらいらした politician: 政治家 preoccupy: 先入観を持たせる image: 印象 wealthy: 裕福な community: 共同社会 hurt: 妨げる revenue: 税収入 decline: 下に傾く budget: 予算 elderly: かなり年配の resident: 居住者 devise: 工夫する welfare: 福祉 the aged: 御年寄り spouse: 配偶者 bureaucracy: 官僚政治 improve: 改善させる department: 部,省 |
| 28 | ナガシマは夢をみる人間である。モリタ―実業家―やシンドウ,オガワ―コンピュターデザイナー―と同様,より良い日本を作り上げる夢を見ているのだ。彼の世代の他の人間と同じく,彼は変革を望んでいる。しかもそれは「今」なのである。「日本では夢を見れる人間はほとんどいません」とナガシマは言う。「というのも,日本ではとても長い間,幼い頃から自分の将来というものが見えていたからです。将来は決定済みで,自分の身に起きることを変える手立てはなく,夢を語ることなど,時間の無駄だったのです」 | 語彙 determine: 決める waste: 無駄 |
| 29 | 東京渋谷の騒々しいゲームセンターに戻る。そこでホンダ・ミライはほぼ毎日,夜半に見かけられる。彼は足を踏み鳴らしたり回ったりしながらダンス・ダンス・レヴォルーションを踊っているのだ。順番を待って列になって並んでいるのは,同じ世代の仲間達で,画面に合わせてうまく踊り,同時に目立とうとしている。ロボットのような動きでビデオスクリーンに映し出されるステップに従うのだ。機械がステップを示し,ホンダがそれを受け入れる。「自分なりのステップで踏んでいる人もいるよ」と彼は言う。「人それぞれ,スタイルがあるからね。一人の人間に駄目でも,もう一人の人間には生きてくることもあるからさ。自分に合った動きを見つけ出すまで練習する必要があるんだ」。 | 語彙 rollick: はしゃぎまわる district: 地区 stomp: 足を踏み鳴らす spin: 回る desperately: 死に物狂いで robotic: ロボットのような fashion: やり方 establish: 設定する concede: 承認する interpret: 演じる experiment: 試みる |
| 30 | これは社会を変えるための小さな一歩にすぎないかもしれない。しかし日本の若者は変革を口ずさんでいるだけでなく,それを実験してもいるのだ。もちろん,髪の色を染めるなどどうでもいいようなことも一部には存在する。しかし,サトウ・マナブ―東京大学教育学教授―は,彼らの粗野な振る舞い,非行,10代の売春行為,暴力,ビデオスクリーンの前で熱狂的に踊る行為などの中により深い意義を見出している。これらは通過点として存在する儀式のようなものであり,昔ながらの伝統を満たすものであると彼は解釈している。中世の時代,サムライの階級は若者に対し大人への手ほどきをした。それは,少年の頭をまげの部分だけを残し剃りあげるというものである。今日の若者の祖父母や両親の世代は戦争や戦後の経済復興という儀式を受けた。「現代社会には大人になる儀式というものはないのです」とサトウは言う。「それゆえに若者達は自分達独自のものを作り上げてきているのです。これは,自らを将来へ導くものを探す一つの手立てと言えるでしょう」それは非常に興味深い探求ではあるが,まだ始まったばかりである。この国は,世界の他の国々と同様,日本の若者が探し当てるものを心から待ち望んでいるのである。 | 語彙 baby-step: 小さな一歩 transform: 一変させる experiment: 実験する amount to〜: 総計〜になる dabble:道楽半分にやる frivolous: 軽薄な,つまらない significance: 意義,重要性 rude: 乱暴な delinquency: 非行 prostitution: 売春 frenzy: 熱狂させる rite: 儀式 fulfil: 果たす,かなえる medieval: 中世の initiate: 手ほどきをする topknot: まげ contemporary: 現代の initiation: 手ほどき unite: 結合させる anxious: 切望して |
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