The Clinton Doctrine

The Clinton Doctrine
(4.5.P60.1999)

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今回は ESSAY から
  久しぶりにエッセイです。雑誌とWebに共通にエッセイが載ることは珍しいですね。 これからも両方に載ればエッセイに挑戦していこうと思います。

クリントン主義


語彙は主に『英辞郎』Ver.17から抜粋

 

大意

語彙

P60 私はこんな世界に住みたい。お互い仲良く、違いは違いとしてやっていける 世界。今後40年間民族浄化といった悪夢がどこかで起こっていると心配しな くていい世界。 ──1999年3月23日、クリントン大統領 ethnic cleansing : 民族浄化
1 遂に聞くことができた。90年代のクリントン外交を簡潔に表したもの:クリ ントン主義。大統領がソマリアで「国家を設立」しようとしたこと、ハイチ に侵略したこと、アイルランドや中東の和平協議に外交的に関与してきたこ と、ボスニアを占有し、コソボを守るために今やむなくセルビアを爆撃して いること、こうした事柄に関して、クリントン政権が世界をどのように見、 それについてアメリカがどう関与していくかということの本質を知ることが できる。 concise : 簡潔な,簡明な、 summation : 要約、 foreign policy : 外交政策、 doctrine : 基本外交政策,主義、 escalation : 段階的拡大,エスカレーション、 invasion : 侵入、 occupation : 占有,占領、 Serbia : セルビア,旧ユーゴスラビアの一共和国、 in defense of : 〜を守るため、 Kosovo : コソボ,ユーゴスラビア
2 政策でもまた爆撃に際しても、クリントン主義というのは冷戦後の世界にど う対処していくかを述べたものである。外交問題評議会議長レスリー・ゲル ブが公表したものであり、恐らくもっともよく表したものだろう。1994 年、ゲルブはこう書いている。世界におけるアメリカの「主たる戦略的役割」 は、もはやロシアや中国、ドイツ、それに貿易とか核流出などを扱うもので はなくなった。世界の「ティーカップ・ウォー」を処理するものとなった。 ティーカップ・ウォーとは、「国家の弱体化に伴う戦争、国内不和による内 戦が絶え間なく引き起こされ、そのために脆弱だが機能はしている国家が分 断される戦争」 post-cold war : ポスト冷戦、 enunciate : 明確に述べる,宣言する,公表する、 Council on Foreign Relations :外交評議会,外交問題評議会、 strategic : 戦略(上)の、 loose nukes : 流出核、 managing : 運営する,支配する、 teacup : 【変化】《複》teacups,茶碗、 debilitation :衰弱, 虚弱(化)、 uncivil : 人間の融和に役立たない,不作法な、 civil war : 内戦,内乱、 sunder : 切断する,分ける、 fragile : 壊れやすい、 nation-state : 民族国家
3 クリントンの言動はまさにこうした考えを表明したもの。コソボ関してセル ビアへの爆撃を正当化するために、あらゆる機会を利用して彼はこう訴えて いる。アメリカは絶対に「民族浄化や罪なき人々の虐殺」に反対しなくては ならないと。 embodiment : 化身、 justify : 正当化する、 reiterate : 繰り返す、 imperative : やむを得ない,絶対に必要な、 slaughter : 大虐殺,大量殺戮、 innocent people : 罪なき人々
4 クリントン主義には道徳的にはなるほどとうなずけるものがあるのだが、問 題はそれがあまりにも道徳的であり誰にも当てはまる、ということだ。つま りはアメリカの政策とはなり得ない。クリントンを支持する人達でさえもこ れを語るときには信じることはできないのである。何故かと言えば、クラジ ナのことを思い出すから。 for all : 〜にもかかわらず、 ring : の音がする,打ち鳴らす、 moral : 道徳的な、 impossibly : ありそうにもなく,極端に,途方もなく、 moralistic : 教訓的な,道徳主義の、 universal : 普遍的な
5 1995年8月、セルビア人が500年間住んでいたクロアチアの一地域クラジナを クロアチアが猛撃し始めた。4日経たないうちにクロアチア人は15,000人の セルビア人を追い出した。バルカン戦争の中で最大の民族浄化であった。ハ ーグにある戦犯法廷の審査官が下した結論によると、残忍かつ理不尽な殺戮、 市民への無差別な砲撃をもってこの軍事行為はなされたという。クロアチア 高官に対し、ハーグ裁判所は戦犯の告発を提起している。 savage attack : 猛烈な攻撃、 Serb : セルビア人の、 inhabit : 居住する、 Investigator : 審査官、 tribunal : 裁判所,法廷、 campaign : 軍事行動,作戦行動、 brutality : 残忍性,蛮行、 wanton : 抑制できない,理不尽な、 indiscriminate : 無差別の、 shell :砲撃する、 civilian : 民間人、 indictment : 告訴,告発
6 クラジナのケースは拡大したコソボの場合と同じ。しかし当時アメリカは クロアチアの行為を止めようとも抗議しようとさえもしなかった。クリント ン政権はそれとなく奨励したのだ。クロアチアは正体不明のアメリカ退役軍 人グループの忠告に従っており、彼らはセルビアと戦うクロアチアを支援す るために送り出されていた。 writ large :拡大して,大規模で、 tacitly : それとなく、 shadowy : あいまいな,(正体の)はっきりしない、 retire : 引退する,退職する
7 非難もな。制裁措置もない。爆撃することもなかった。民族浄化や罪なき人 の殺戮に対して憤然と怒りをぶつける演説もなかった。実のところ、現在の セルビア爆撃を正当化する際、セルビアに「反撃」し、「戦争終結のために 働いた」ボスニアとクロアチアの「勇敢な人々」と褒め称えることで、クリ ントンはこのクロアチアの軍事行動にそれとなく言及した。事実、彼らは戦 争を終わらせたのだ。クロアチアの残虐な民族浄化がセルビア人の意気をあ まりにも阻喪させたため、まもなくして1995年のデイトン平和協定を結ぶこ とに合意した。 denunciation : 非難,告発,弾劾、 sanction : 制裁,制裁措置、 indignant : 怒った,憤慨した,憤然とした、 slaughter : 大虐殺,大量殺戮、 indirect : 間接的な、 reference : 言及、 savage : 残忍な、 demoralize : やる気を喪失させる,混乱させる、 Dayton : デートン,デイトン,アメリカ、 peace accord : 和平合意,平和協定
8 高慢な道徳律が外交政策の基準となりえないことの簡単な証明。道徳を 説くのは最悪の場合は偽善;せいぜいのところが世間知らず。結局のところ、 アメリカが「民族浄化と罪なき民の虐殺」に立ち向かうのであれば──これ こそがクリントン主義の本質であり、アメリカ人、同盟国やセルビア人の生 命がコソボで今危険にされされている理由である──なぜティーカップの中 のような内戦に全く無関心であり沈黙を守っているのか?シエラレオネ、コ ンゴ、スーダン、それにスリランカで荒れ狂っている内戦は、はるかに悲惨、 残虐かつ終わることしらないのだ。 highfalutin : 偉そうな,尊大な,高慢な、 moral principle : 道義,人の道、 at worst : 最悪の場合は,いくら悪くても、 hypocrisy : 偽善、 at best : せいぜい,よくて(も)、 naivete : 素朴,単純、 stand against : 〜に立ち向かう、 allied : 同盟した,連合国の、 utter : 全くの,徹底的な、 indifference : 無関心,無頓着、 deadly : 致命的な,ひどい,執念深い、 brutal : 残忍な,むごい、 endure : 苦痛に耐える,〜を我慢する、 rage :猛威を振るう、 Sierra Leone : シエラレオネ
9 クリントン主義は道徳と普遍性を説く。しかし外交政策というのは計算をす るものであり、その時々のものであるべきだ。クリントンはこう主張する。 節度ある社会は民族浄化と罪なき民の殺戮には耐えられないのだ、という原 則をもって戦いに赴くのだと。だが彼が見守る中、50万人の罪なき人々がル ワンダで虐殺された。ホロコースト以来唯一の、本当の意味での大量殺戮で ある。それを阻止するために、彼は指一本あげようとはしなかった。 aspire to : 〜を希望する、 universality : 普遍性、 calculate : を計算する,見積もる、 proclaim : を宣言する、 go into battle : 戦いに出る、 tolerate : 許容する、 massacre : 大虐殺、 genocide : 大量殺戮、 Holocaust : 大量殺戮
10 国務省の監査官は高い地位にあるアメリカの外交官を議会に偽証したかどで 告発した。アメリカはハイチに政権を設立したのだが、その政権に敵対する 著名人の殺害について彼が知っていること、それに関する偽証である。前政 権の暗殺部隊による殺害というのは、アメリカの侵略を正当化する有力な状 況のひとつだった。暗殺部隊全般に我々は反対しないのか? State Department :国務省、 inspector general : 監査官,査察官、 high-ranking : 高い階級の,高位の、 concerning : 〜に対して,〜について、 prominent : 重要な,著名な、 opponent : 敵,反対者、 regime : 政権、 death squad :ラテンアメリカなどの軍事政権下で軽犯罪者や左派などに対する 暗殺隊,暗殺団、 justification : 正当化
11 しかしハイチが独裁政権となり、政権に反対するものが殺されてもそのまま にされ、殺害が続いても、クリントン政権は何もしようとはしない。実際は、 その恐怖の現状を隠蔽したいように思われるのである。なぜだろうか?アメ リカが後押しする政権が不正行為を働いているからである。カリブ海にいた もう一人別の独裁者に関して、フランクリン・ルーズベルトがこう言ってい た。「あいつは糞ったれかもしれんが、仲間なんだよ」 dictatorial : 独裁的な、 unsolved : 未解決の、 uncurbed :拘束されていない、 unmoved : 動じない、 incline : 〜したいと思う、 cover up :覆い隠す,隠蔽する、 dirty work : 嫌な仕事,不正行為、 son of a bitch :くそっ,嫌な奴,最低な人
12 外交の真髄というのはろくでなしの中から支持するものと支持しないものと を選り分けること──1941年ではヒットラーかスターリンか;1972 年だとブレジネフか毛沢東か;1979年だとソモサを選ぶかオルテガを選 ぶかであった。選択しなくてはならないのだ。完全なろくでなし外交という のは、徹底的な反民族浄化政策同様に虚栄心をくすぐり満足をもたらすが無 意味なもの。それは政策などというものではなく、全くの自己欺瞞なのであ る。 Mao Zedong :毛沢東、 Somoza:(1925-80) 《ニカラグアの政治家; Anastasio の次男; 大統領(1967-79); 1979 年, Sandinista 民族解放戦線勢力が首都を制圧するに及び, 大統領を辞任 してパラグアイに亡命, 翌年亡命先で暗殺された》、 Ortega :オルテガ (サーベドラ) (Jos) Daniel 〜 (1945- ) 《ニカラグアの民 族解放運動家・政治家; 初の民選大統領 (1985-90); ソ連・キューバの支援で米国 が支援する Contra と対立したが, 大統領選で Chamorro に破れた》、 blanket : 包括的な,全面的な、 soothe :和らげる,落ち着かせる、 righteous : 正当な,当然な,最高の,本物の.独善的な、 self-delusion : 自己欺瞞


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