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| P39 | 現代科学の基礎──爆弾、宇宙旅行、電子工学、量子論──はすべて彼が 関与したもの | touchstone : 基準,試金石、 electronics :電子工学、 imprint : 押印 |
| 1 | その名は会話の中で繰り返し語られる:アインシュタインはいらないよ。ア インシュタインの低級版だね。彼はとってもアインシュタインとは言え ないね。他の世紀とは異なり、科学に特徴づけられたこのめくりめく世紀、 ──人間の美徳の中でも、とりわけ脳の素晴らしさ、IQ、純粋たる知性の理想 を賞賛する世紀──において、彼は、頭脳の象徴として他に並ぶものがいない。 私たちはまるで人間が2つのグループに分けられるかのように話すの:アイン シュタインとその他。 | echo : 反響する、 poor man's :お徳用の,小型版の,代用となる、 exalt : 賞賛する、 braininess :頭のいい、 stand alone : 並ぶものがない、 emblem : 象徴、 intellectual power : 知能,頭脳、 humanity : 人間(性)、 be divided into : 分けられる |
| 2 | 思考のみで彼は宇宙の基本構造を発見した。現代科学の基礎──爆弾、宇宙 旅行、電子工学──は、彼が手がけたもの。 | essential : 必須の、 cosmos :宇宙、 fingerprint : 指紋 |
| 3 | 1905年の彼に焦点を合わせてみよう。このときの彼はスイス、ベルンで特許 局の事務員であった──多くの写真に見られる後光のさす尊敬すべき肖像画 のようではなく、黒髪が波打ち愛敬ある目はとろんとしている自信家の26歳 の青年だ。この年、余暇を利用して『物理学年報』という一級の雑誌 の一冊(今は値段がつけられないほど高い)に、世界を震撼させた3つの論 文をすべて載せた。この3つの論文はルイ・ドブロイに言わせれば、「暗闇 の中で、膨大な未知の領域に短期間ではあるが強力な光を投げかける輝くロ ケット」のようだと。 | may as well do :〜したがよろしい、 patent office :特許庁,特許局、 office clerk : 事務員、 Bern : ベルン,スイス、 revere : 尊敬する、 halo :後光,光輪、 icon : 偶像,聖像、 confident : 自信がある、 droll : ひょうきんな,滑稽な、 wide eyes : もうろうとした目、 spare time : 暇,空き時間、 shattering :打ち砕くような、 volume :巻,冊、 premier : 第1位の,最も古い、 blazing : 赤々と燃え上がる、 cast : 投げかける、 illumination : 照明、 physicist : 物理学者 |
| 4 | その一つは驚くべき考えを示すもの。光は波であると同時に粒子でもあると いうのだ──物理学者が考えるエネルギーと物質に関して、それが断続的な ものか連続的なものか、何世代にも渡る議論を巻き起こすこととなった。第 二の論文では、思考実験で、液体中の分子の微少運動を発見した──これに より分子の正確な大きさを計算することが可能となり、分子が現実に存在す ることを証明した(20世紀の初めには、原子の存在を疑う科学者も多かった) そして第三の論文──そう、アインシュタインが友人への手紙の中で言って いたように、これは「時空間の理論を修正するもの」ああ、その通り、相対 性理論。 | startle : ぎょっとさせる、 as much : 等しく、 particle : 粒子、 granularity : 粒度、 smoothness : 滑らかさ、 microscopic : 微視的な、 molecule : 分子、 incidentally : 偶然に,付随的に、 reality : 実態,現実、 relativity : 相対論,相対性原理 |
| 5 | 革新の時がやってきた。ニュートンの世界はその端の方でほころびていたの だ。時空間を理解する点では、19世紀は限界にきていた。誰もがエーテルと いう全宇宙に広がる謎の物質の存在を信じていた。そのエーテルの中を光が 伝わると考えられていたのだ。だがそれを証明する実験はあったのか?アイ ンシュタインが自覚したように、そんなものはどこにもない。それよりも、 完全に抽象的な座標系──この座標系は、移動する観測者と共に移動する── で考える方が有益であると彼は考えた。そうこうする間も、時間を4次元と して既に捉えている、想像力に富む人達も何人かはいた。 | world view : 世界観、 fray : 擦り切れる、 ether : エーテル,宇宙空間に存在し光を伝える働きをする化学物質、 mysterious : 神秘的な,不可解な、 substance : 物質、 experimental : 実験的な、 utterly : 完全に、 abstract : 抽象的な,理論的な、 frame of reference :座標系、 fourth dimension : 四次元 |
| 6 | それを考えたのはアインシュタイン。つまり、空間と時間は、りんごとオレ ンジのように全く別のものではなく、同類──くっついたもの、同族 なもの、分離できないもの──と彼は認識したのだ。「これからは、空間だ けとか時間だけというのは消えていく運命にあり、単なる影にすぎなくなり ます。ある種これら2つが合わさったものだけが、独自の現実を保つのです」 と、アインシュタインの教師であり、相対性理論を最初に支持したハーマン・ ミンコフスキー。今では誰もがこれを知っています。「時空間」と私たちは わざわざいうのですが。エネルギーと物質の関係も同じです:一つの現象の 2つの顔です。アインシュタインが発表した忘れられない式、E=mc2なのです。 | apples and oranges : 比較できないもの、 homologous : 同族の、 inseparable : 分けられない、 henceforth : これからは、 doom : 運命づける、 fade away : 姿を消す,消え失せる、 space-time : 時空,時空四次元の世界、 knowingly : わざと、 memorably : 顕著に,忘れられないほど |
| 7 | こうしたもの全てが衝撃的であり革新的なのですが、不思議と惹きつけれる ものがあるのです。科学者には無論ですが、普通の人々にとってもそうなの です。光の速さ;観測者の移動──それは自慢してもいいものだった。 1919年に日食があり、英国の天文学者アーサー・エディントンはこの 日食を使って相対性理論から予測される重要な現象を証明する機会を得た: 星の光は、大きな重力を持つ太陽の側を通り過ぎるとき観測可能なほど曲が るということ、つまり宇宙空間の歪みである。光は質量を持つ。新聞も大衆 雑誌も狂喜した。1年しないうちに相対性理論に関する100冊以上の本が 出版された。この騒ぎの中で、3,000語で書かれたベストサマリーに与えら れる"Scientific American"賞の5,000ドルをもらおうと考えてないのは自分 だけですとアインシュタインは主張(自分にできるとは思わない) | shocking : 衝撃的な、 revolutionary : 革命の、 and yet : そのくせ、 attractive : 魅力のある、 shift : を移す、 perspective : 見方、 heady : 陶酔させる,頑固な、 fare :乗客,運賃,料金、 eclipse : (日)食、 astronomer : 天文学者、 starlight : 星明かり、 swerve : (急に)方向を変える,それさせる、 measurably : 測定できるほどに、 gravity : 重力、 dimple : えくぼ、 fabric : 布,布地、 popular magazine : 大衆雑誌、 go wild :狂喜する |
| 8 | 相対性という名前そのものが騒ぎに拍車をかけた。偶然でもあり、全く科学 とは無縁の理由からなのですが。この新しい時代、恐ろしい戦争から立ち直 ろうとしている時代、独創性や新奇さそれに現代的なものをどこにでも求め ていた人々は、絶対論はよくないと考えたのでしょう。あらゆるものが他の 全てに対して相対的に評価されるべきだったのです。あらゆるもの──とい うのも、人間の視野は急速に外に広がっていたのです。惑星へ、星へ、そし て銀河へと。 | fuel : を煽る,〜を刺激する、 fervor : 情熱、 accidental : 偶然の、 wholly : 完全に、 unscientific : 非科学的な、 horrible war : 恐ろしい戦争、 originality : オリジナリティー,独創性、 novelty : 目新しさ、 modernity : 現代性、 absolutism : 専制政治 |
| 9 | アインシュタインは全てを魔法で呼び出した、そんな風に思えます。「思考 実験」は彼が発明したのではないのですが、彼はそれを芸術にまで高めまし た:区別のつかない時計をしている双子を考えてみよう;一人は家におり、 もう片方は光に近いスピードで飛ぶ宇宙船に乗っている...1919年からという もの、アインシュタインが当時──今日でも──世界で一番有名な科学者で あったのも不思議ではない。 | conjure : 魔法で呼び出す、 whole business : 厄介なこと、 invent : 考案する,創案する、 thought experiment : 思考実験、 high art : 高級芸術、 identical : 同一の,瓜2つの |
| 10 | 母国ドイツでは彼は憎しみの対象となった。ユダヤ人であり、自由主義者で あり、人間主義者であり、国際主義者であった彼は、国家主義者や反ユダヤ 主義者の敵意の的となり、アインシュタインを妬む物理学者によってその敵 意はさらに煽られた──アインシュタインはあまりにも精力的なこのグルー プを、"反相対性理論株式会社"と呼び、いまだに面白く思っている。彼の影 響力は大きくなり、意見は広く聞かれることとなり、彼は常に招待された。 アメリカに移住してからは特にそうであった。その影響力を使って、シオニ ズムや平和主義、また、フランクリンD.ルーズベルトへの1939年に書かれた 秘密の文書ではウラン爆弾製造を促進した。 | hatred : 憎悪、 Jew : ユダヤ人、 liberal : 自由主義者、 humanist : 人間主義者、 internationalist : 国際主義者、 enmity : 敵意,悪意、 nationalist : 国家主義者、 anti-Semite : 反ユダヤ主義者、 abet :煽動する、 vigorous : 精力的な、 Zionism : シオニズム、 pacifism : 平和主義、 uranium bomb : ウラン爆弾 |
| 11 | 一方で神格化された英雄につきものの伝説を彼も持っていた:学校では数学 で落第した(嘘)とか。本を開いてみるとしおりに使っていた未使用の1,500 ドル小切手が見つかった(有り得る──彼は日常のこまごましたことには上の 空だ)とか。ソックスとか襟とかスリッパなどには無頓着とか、バスを正し く乗り換えられないとか、住所を覚えておけないとか:住所はニュージャー ジー州プリンストン、マーシー通り112番地。ここに最終的に落ち着いた。そ のため町には、最新の研究をする大学や研究機関には、輝かしい科学のオーラ が覆っているようだ。 | demigod : 神格化された英雄、 accrete : 融合する、 legend : 伝説,伝説的人物、 flunk math : 数学で落第する、 uncashed : 現金化されていない、 bookmark : しおり、 absent-minded :上の空の,ぼんやりしている、 careless : 無頓着な,頓着しない、 work out : 成し遂げる、 confer :贈る,授与する、 aura : 雰囲気,霊気 |
| 12 | 1955年彼はその町で亡くなった。量子力学における奇妙な矛盾を決して受け 入れることもなかった。自分には「我慢できない」、原子より小さな粒子が 因果の法則に従わないとか、一つの粒子を観測すると宇宙のかなたの別の 粒子の性質を同時に決定するという考えにはね、と彼はいうのである。自分 が考えるところの、完全な統一場理論を作り上げることはなかった。実のと ころ、科学の最も強力でかつお金のかかる分野として、物理学のこの統一場 理論が生まれ確立していくのを彼は少し距離を置いて何年間か見守ってきた。 「若いときには苦痛だが熟年になると味わい深い孤独のなかで」生きていま した、と彼は言った。 | quantum mechanics :量子力学、 paradox : 逆説,矛盾、 intolerable : 我慢できない、 subatomic particle : 亜原子粒子、 cause and effect : 因果,原因と結果、 halfway : 中間にある、 unified field theory : 統一場理論、 burgeon : 新芽,若枝、 remove :距離,隔たり、 solitude : 孤独,人里離れた場所、 delicious : おいしい |
| 13 | アインシュタインが火葬されたときにもその脳は保存された。何十年もの間 ホルマリンの瓶に入れられたその脳は、プリンストン病院の神経生物学者ト ーマス・ハーベイ博士が所有。フロイドやストラビンスキー、ジョイスの脳 を誰も解剖しようとは思わなかったが、1980年代になって、アインシュタイ ンの脳の一部が神経生物学者の間で巡回していた。彼らが知ったことは... 何にもない。それはただの脳だった──創造的な4次元を夢み、エーテルを 排除し、私たちが固執していた絶対空間と絶対時間を解放し、神がサイコロ を振るという考えを拒否し、最後には自ら「生命の永遠についての謎、存在と いう素晴らしい構造への知識と知覚に満足している」と述べた脳。 | cremate :火葬にする、 soak : 浸る、 formaldehyde : ホルムアルデヒド、 pathologist : 病理学者、 bother to : わざわざ〜する、 dissect : 解剖する,切り裂く、 gray matter : 脳みそ、 make the rounds : 巡回する、 neurobiologist :神経生物学者、 absolutely nothing : 何ひとつない、 plastic : 創造的な、 fourth dimension : 四次元,第4次元、 banish : 払いのける,追い払う、 absolute space : 絶対空間、 play dice : さいを振る、 eternity : 永遠 |
| 14 | アインシュタインを受け入れるに際し、私たちの世紀は以前の宇宙といにし えの神に別れを告げた。新しい宇宙と神は古いニュートンの世界ほど厳格で も決定論的なものでもなかった。アインシュタインの神は時を刻むのではな い。自然の理性を具現化するものだった──「捉えどころはないが悪意があ るわけではない」この神は、私たちの行動を制限したりもしないし、その行 動に裁定を下すことすらしないのである。(「アインシュタインよ、神にあ あせいこうせいと言うのは止めなさい」と遂にはニール・ボーアは反論した。 実際、この神はけっこう思いやりがあるしボーッとしているようだ。アイン シュタインの宇宙では物理学は以前より自由であり、私たちも自由である。 その宇宙に私たちは住んでいるのである。 | embrace : 受け入れる,採用する、 take leave of : に別れを告げる、 prior : 前の、 erstwhile : 昔の,いにしえの、 version : 見解、 deterministic : 決定論の,決定論的な、 clockmaker : 時計工,時計師、 embodiment : 化身、 subtle :微妙な,不思議な,捕らえにくい、 malicious : 悪意のある、 sit in judgment : 裁く,判断を下す、 retort :に反論する、 absentminded :うわのそらの,放心状態の |
第7段落
Einstein claimed to be the only person in his circle not trying to win
a $5,000 Scientific American prize for the best 3,000-word summary
("I don't believe I could do it").
第13段落
life's eternity
第14段落
subtle but malicious he is not
subtle but he is not maliciousかな?
God is subtle but he is not malicious.
らしい。Websterの引用辞典から。
By つくちゃん
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