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| P20 | 銀行の貸し出しが渋くなると、困り果てた経営者は問題の−−時には違法の −−高利貸に走る | skid row :どや街,場末、 credit :貸出限度額,貸付金額、 desperate : 自暴自棄の,絶望的な、 unsavory :良くない,芳しくない、 shark : 高利貸し |
| 1 | 定期的にダイレクトメールで送られてくる迅速で手軽なローンの広告を、光 州はいつも一蹴していたものだ。だが1年半前取引銀行が大口の借金を突然回 収したとき、このレストランと本屋のオーナー(匿名を希望)はこの広告を 見直してみた。他には借りる当てがさしてなかったのだ。他の銀行には借金 を断られたし、小さな金融会社に頼むのは論外であった:彼の住む北日本の この中小都市では、取引銀行とうまくいってない、つまり経営難の兆しなの だが、そういったうわさはあっという間に広がるものなのである。やむを得 ず急場のしのぎとして−−不動産が売れるまでのちょっとの間−−迅速ロー ンの申し込み用紙に書き込みファックスで送った。数字間後には口座に8,500 ドルが振り込まれた。ただ問題は馬鹿高い料金:月に49.5%の利子で、法定限 度額の15倍ほどにもなる。 | scoff at : 〜を一蹴する、 fuss :不平,苦情、 one's bank : 取引銀行、 unexpectedly : 思いがけなく,突然に、 call in : 回収する,(金を)取り立てる、 restaurateur : 料理店主,料理屋の主人、 bookstore : 本屋、 alias :偽名,別名、 source of funding : 資金源、 loan company : 金融会社、 small town : 小さな町,中小都市、 on the outs : 仲違いして、 stopgap : 急場しのぎの、 property :財産,不動産、 bank account : 銀行預金口座、 sky-high : 空まで高く,天まで高く,非常に,とてつもなく高い、 catch :落とし穴,罠,問題点 |
| 2 | 光州が短期的だと考えた計画は、借金、返済、さらに多くの借金という風に 悪夢のようなサイクルに膨れ上がった。そこの会社に返済ができなくなった とき、別のある人物からもっとお金を貸しますよ−−同じく法外な利子で− −という電話があった。気がついてみると光州は債権者への返済に毎月60 枚の小切手を書いており、ますます借金の深みに沈んでいた。去年の夏、彼 は利払いに合計で100,000ドルを払い音をあげた。レストランも書店も、高級 な自宅も失い、メルセデスも妻も自分のもとを去っていった。現在光州は、 東京郊外のアパートに一人住み、生活をもとに戻そうとしている:「あいつ らは私を骨までしゃぶり尽くした」 | short-term : 短期の、 mushroom : 急成長する、 nightmarish : 悪夢のような[夢魔]のような、 repayment : 返済、 pay back : に返済する、 exorbitant : ばか高い,法外な、 creditor : 貸方,債権者、 debt : 借金,負債、 shell out : 金を出す,支払う、 interest payment : 利子支払い,利息支払い、 fancy : 極上の,高級な、 piece :繕う,継ぎはぎする、 suck : をしゃぶる,吸う |
| 3 | 「あいつら」とはサラ金業者で、問題となっている新しい金融悪徳業に手を 出している業者。これは「システム金融」として知られているものだ。昔か らの高利貸同様に、システム金融の悪人どもは冷酷で残虐になることもある。 おまけに彼らはこの仕事にハイテクを持ち込んだ。現代のサラ金業者はコン ピュータを使い事務所の奥で仕事をする。膨大な金融データーベースから赤 字の会社を丹念に探し出すのである。コンピュータが赤字会社の名を割り出 すと、迅速で手軽なローンといったダイレクトメールを次々と送りつける。 彼らは携帯電話とファックスを使って仕事をし、決して顧客と顔を合わすこ とはない。そのために彼らを逮捕することはほとんど不可能ですと、警察は いう。 | loan shark : サラ金,サラ金業者、 racket : 不正な商売、 usurious : 高利の、 ruthless : 冷酷な,無慈悲な、 brutal : 残虐な,むごい、 high-tech : ハイテクの,高度技術の、 twist:特別な工夫、 comb : 徹底的に探す,しらみつぶしに探す、 in the red : 赤字を出して,財政的に困難で、 spit out : プッと吹き出す、 barrage :激しく攻める、 direct mail advertising : ダイレクトメール広告、 cell phone : 携帯電話 |
| 4 | 日本の信用危機の更なる悪化がこの問題に拍車をかける。6,000億ドル以上 の不良債権を抱え、日本の銀行は貸し出しを削減して必死に資金の補強をは かろうとしている−−そしてまず切り捨てられるのは力の弱いもの。中小企 業の倒産件数はうなぎ上りで、経営者はますます自爆的になる。最近の調査 によれば、中小企業の経営者の5人に1人が高利貸から借金をしたことがある という。システム金融の罠に陥った犠牲者は100,000人にものぼるだろうと語 るのは、フリーランスの記者北田明子で、去年この問題をスクープした最初 の人だ。サラ金に手を出した人は、「棺桶に片足を既に突っ込んでいるので す」とこの記者は言う。「これはまさに不景気のなせるわざです」 | credit crunch : 信用危機,クレジット・クランチ、 hobble :困らせる,妨げる、 bad loan : 不良債権、 furiously : 極端に、 slash : 削減する、 shore up : 補強する、 little guy : 平凡な男、 soar : 急上昇する、 increasingly : ますます、 resort to : 手段として〜に訴える,〜の手段を取る、 as many as : と同数のもの,ほど(も)、 scheme : 企み、 expose : 暴露する、 turn to : に救いを求める、 recession : 景気後退、 wrought : 《古・文》WORK の過去・過去分詞 |
| 5 | 日本では、高利貸は目新しいものではない。昔から銀行は会社には金を貸し たが個人には貸さなかった。だから、怪しげな金融業者が何十年もの間、金 融部門の周辺で栄えてきたのだ。70年代になると、借金を抱えた「サラリー マン」が自殺をしたり、返済を執拗に迫るヤクザの業者の話がニュースとな り、重大な社会問題となってきた。国民の声に応じて、政府はノンバンクの 規制を開始し、40%を利息の上限と設定。だが、この業界の低俗なイメー ジや犯罪社会との結びつきを払拭できてはいない。 | shady : 疑わしい,日陰の、 money lender : 貸金業、 thrive on : で栄える、 fringe : 周辺,外れ、 financial sector : 金融部門、 debt-ridden : 借金に苦しんで,負債に苦しむ、 gangster : やくざ,暴力団、 hound :しつこく追いかける、 debtor : 債務者,借主、 public outcry : 一般大衆の抗議、 regulate : 制限する,規制する、 non-bank : 銀行ではない金融機関の、 cap :の上限を定める、 sleazy : 安っぽい,薄っぺらな、 underworld : 犯罪社会 |
| 6 | 低俗であろうとなかろうと、ここ半世紀で最悪の不景気のなか、消費者金融 と小規模な金融会社は繁盛している。現金がなくなるというのは中小企業に とり致命的なのだ−−日本では、3ヶ月の間に2度不渡りを出すか約束手形が 落ちなければ、その会社は破産したとみなされる。一度でも不渡りを出すと 手を引く銀行もある。だからこそ、少ない資本で遣り繰りしている一般的な 中小企業は、顧客の延べ払いが遅れると金繰りが悪くなり金融会社に頼るこ ととなる。しかし、ほとんとの者は信用限度ぎりぎりまですでに借りている のである。高金利とはいえ、システム金融からお金を融通してもらうのが破 産を免れる唯一の方法のようにさえ思われるのだろう−−かくして大勢がそ の一筋の藁をつかむのである。日本では、破産というのは極めて恥じなこと なのでさらにプレッシャーがかかってくる。「面目」に重きを置く社会では、 金銭的な破滅は家族や友人、さらに社会から疎外されることなのだ。また、 中小企業の経営者は銀行ローンの保証人として親類縁者を立てることが多い ため、恥−−それと金銭的な損害−−は一族全体のものとなる。ほとんどの 人は自己破産の申告がどうにもならない負債の重荷から逃れるひとつの方法 だ、ということを知らないのです、と井出勧之助。彼は元市場調査会社社長 で、自分も破産を経験し、今は破産をした中小企業家の相談に乗っている。 「誰しも、すべてが終わってから自分が馬鹿だったと気づくのです」と井出。 「だけどもそのときには、破産だけは避けたいと思っているのです」 | flourish : 繁栄する、 run short of cash :現金がなくなる、 bankrupt : 破産者,倒産者、 bounce : (小切手を)不渡りにする、 promissory note : 手形,約束手形、 pull the plug : 中止する,手を引く、 turn to : に頼る、 late payment : 延べ払い、 cash-flow : 企業内の現金流動,資金繰り、 tap out :有り金を残らずすってしまう,(供給を)断つ、 credit line : クレジットライン,信用供与水準,信用限度(額)、 stave off : かろうじて避ける,かろうじて防ぐ、 straw : 麦わら,一縷の望み、 stigma : 汚名,不名誉、 premium : 賞与,賞与金、 financial failure : 財政上の失敗、 estrangement : 疎外,疎遠、 bank loan : 銀行ローン,銀行借入れ、 encompass : 含む,包含する、 clan : 一族、 personal bankruptcy : 個人破産,自己破産、 cripple : 不具にする,不自由にする、 debt : 借金,負債、 go bust :破産する、 avoid bankruptcy : 倒産を回避する、 at any cost : どんな犠牲を払っても,何が何でも |
| 7 | この恥の意識は極めて強く、借金を抱えている者の多くが夜逃げをする−− もしくは自殺を選ぶ。姓の公表は止めて欲しいといっている出版社経営の弘 の場合をみてみよう。借金の利払いの遣り繰りがどうにもならなくなったと き、彼はシステム金融に頼ってしまった。すぐに彼の生活はローンの借入れ のためにファックスを送り、サラ金への返済金を郵送することに追われるよ うになった。お金を使わないように、彼と妻が食べるのは野菜と玄米のみ。 自殺も考えた。保険金180万ドルを妻が受け取れるのではないかと思って。駅 のプラットフォームに立っているとき自殺をじっと考え、保険を解約しまし た。そのお陰で死なずにすんだと彼は思っている。「本当に自殺しようか と考えました。そのお金があれば借金が全部片付いたのですから」 | flee :から逃げる、 book publisher : 本の出版社、 full name : フルネーム,氏名,完全姓名、 spin :紡ぐ,疾走する,〈ある状態に〉落ち込む、 out of control : 手に負えない、 operator : 経営者、 loan shark : サラ金,サラ金業者、 unpolished rice : 玄米、 insurance policy : 保険金、 contemplate : 熟考する |
| 8 | 弘同様に、経営者の多くは自分がどういう状況下にあるかほとんど分ってい ない。システム金融の郵便物では、利子が一桁というローンをよく広告して いる:ローンを借りようかという人は、自分の財政状態が非情に悪いためは るかに高利を要求されることを電話して始めて知ることとなる。これに一旦 嵌まると抜け出すことは難しい。システム金融組織は一般的に小さなグルー プから成っており、それらが共同して借り主からできる限り長く絞り取るの です、と辻井昌弘。元トラック運転手で、彼は鹿児島の南の港町の地方新聞 に掲載された広告をみてこの業界に入ったのである。コンピュータが標的を 特定すると、ひとつのグループがローン提供のファックスとか郵便物を送る。 一旦「顧客」が借り始めると、センターのデータベースを通じてそのローン 状況は他のグループと共有される。借り手が最初の借金の返済に困ると次の グループが電話をし、更なるローンを提供する。システム金融会社はローン の保証に約束手形を要求するので、借りては支払いを猶予してもらうことは できない。つまり、事業から現金を絞り出すことができなくなるまで徹底的 にタライ回しにされるのである。 | mailing : 郵便物、 single-digit : 1桁の、 would-be : 〜のつもりの,将来の、 financial situation : 金融界の状況,金融情勢、 bleak : (見通しなどが)暗い、 bite :いんちきにひっかかる、 syndicate : 企業連合,犯罪組織、 squeeze : を絞る,締め付ける、 local newspaper : 地方紙、 port city : 港市,港湾都市、 pinpoint :特定する、 promissory note : 手形,約束手形、 can't afford to : (経済的または時間的に)〜する余裕がない、 down the line : 最後まで,徹底的に、 wring :絞り出す |
| 9 | 人好きのする、きちんとした身なりの辻井は、3年近く鹿児島のとあるシステ ム金融を率いていた。現在は冠婚葬祭の手配をする会社に勤めている辻井が、 元いたグループの比較的穏やかなやり口を話してくれる。彼が言うには、確 かに金利は高いが、銀行のやり方があまりにひどいので経営者にはローンが 必要なのだと。銀行というのは、金回りの悪い大のお得意の発行した小切手 の現金化は控えるものだが、小口の借り手に何の特典も与えないものです。 辻井はこう言っている:「私らはあの人達を助けているんですよ。結果的に は切り抜けた会社も知っていますよ」とはいえ、システム金融の悪人達が、 公共の団体と見なされることはまずない。辻井の見積もりでは、システム金 融に金を借りて切り抜けたものは恐らく「わずかに1%」だという。不正な 商売において組織犯罪がどのような役割を果たしているか、それが何らかの 役割を果たしているとしてだが、それは明らかではない。その一方で、シス テム金融のサラ金業者は、金の無くなった顧客の在庫品を差し押さえるため に時々ごろつきを雇ったりする。辻井は、自分のグループでは暴力団を雇わ なかったというが、自分で借り主の自転車からトイレットペーパーまで回収 したことがあるという。時には、顧客の両親を訪ねていって、息子の名前が 新聞に載るより金を払ったほうがいいんじゃないかねと説得することも必要 だという。「脅迫するのは、これの悪い点ですね」と、辻井は認める。 | affable : もの柔らかな,人好きのする,優しい、 well-groomed : 身なりのきちんとした、 benevolent : 慈悲深い,情けのある、 hold off :避ける、 issue :発行する,支給する、 big customer : 大のお得意、 short of money : 金回りが悪い、 slack :不振,ゆるみ、 qualify : 資格を得る、 calculate : 見積もる、 racket : 不正な商売,いかがわしい商売,儲かる商売[仕事]、 muscle :腕っぷしの強い男,ごろつき、 seize : 差し押さえる、 inventory : 在庫品、 mob : 暴力団、 concede : 真実と認める |
| 10 | 警察はこの問題に取り組み始めたところである。システム金融サラ金業者の 初の逮捕は去年の秋のことで、先月の一斉手入れでさらに12人が逮捕された。 これはほんの氷山の一角にすぎないのかもしれない。北田の見積もりでは、 全国に800の組織が活動しているという。経営者が名乗り出てこなくては こちらではどうすることもできないのです、とは警察の弁。日本ではまずそ れは有り得ない。 | first-ever : 史上初の,初めての、 crackdown : (違法行為の)取り締まり,手入れ,弾圧、 tip : 先,先端、 iceberg : 氷山、 syndicate : 犯罪組織、 one's hands are tied :自由にならない,なにもできないでいる、 come forward : 名のり出る |
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