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| HP | この雇用されていない物理学者が最初にヒトのクローンをつくることになるの だろうか? | unemployed : 失業している、 physicist : 物理学者 |
| 1 | ドリー羊の誕生に対する即座の反応はその同じ技術を使い人間のクローンをつ くるという想念への激しい憎悪だった。だがこの知らせは奇矯な科学者リチャー ド・シードにはそれとは正反対の結果をもたらした。彼は、薄気味悪い空威張り で、1990年代が終わりを迎える前に、 '半ダースの元気いっぱいの赤ちゃ ん、幸せなにこにこしたクローン' をつくると宣言した。 | revulsion : 嫌悪,憎悪,激変、 opposite effect : 逆効果、 eccentric : 一風変わった,奇抜な、 eerie : 気味の悪い、 bravado : 空威張り |
| 2 | ほとんどの科学者は彼の計画を気違いじみていると斥けた。アメリカの数州と ヨーロッパの19カ国は、ヒトのクローン化を禁止した。しかしそれから1年が 過ぎ、シードは阻止されていないと主張する。産婦人科医の協力者を得たとも言 い張る。だがその産婦人科医や彼の研究チームに入っているとされる他の3人の 科学者の名は明かそうとしない。うるさく返答を求められ、彼の仲間たちはこの 計画に週に10時間も使ってはいないとシードは認める。つまるところ、仲間た ちには昼の仕事があるのだ。 | dismiss : 退ける、 kooky : 変人の,狂人の、 outlaw : 禁止する、 undeterred : 阻止されていない、 obstetrician :産科医、 gynecologist :婦人科医、 day job : 本業 |
| 3 | だがシードは違う。この、人に雇われていない物理学者は、ずっとかけみたい な事業に手を出しては不運な目に会ってきた。だが今彼は後援をとりつけ金を集 めようとしている。シードによればもう80万ドルの約束をとりつけたという。 もし本当なら手始めとしては見事だ。だが、2000年になる前にヒトのクロー ン第1号を作るには250万ドルが必要だとシードは考えているが、それにはま だまだ遠い。 | physicist : 物理学者、 dabble in : 〜に手を出す,〜に首を突っこむ、 ill-fated : 不運な,失敗に終わった、 commitment : 取引契約,約束 |
| 4 | イリノイ州リバーサイドにあるきちんと片づけてある小さな家で妻のグローリ アと暮らし、安楽いすに深々と腰をおろしている彼からは、クローンレースに勝 利しようとしている夢想家を伺い知ることはできない。「退屈な暮らしをしてい るんですよ。」とシードはいう。実際、人間のクローン作りよりもテレビをみて 過ごす時間の方が長いようだ。安楽いすから手をのばせばすぐにとれるところに 今読んでいるものがある。それは、ゲノム分析の原則という本と、1週間のテレ ビ番組表だ。 | immaculate : 清浄な、 riverside : 川辺の,川辺、 bungalow : バンガロー、 visionary : 夢想家、 boring life : 退屈な生活、 within easy reach : すぐ手の届く所に、 reading matter : 記事,読物、 genome : 生物の生活機能を維持するための最小限の遺伝子群を含む染色体の一組 |
| 5 | 彼がたびたび出す声明も彼の信憑性を全く高めてはいない。初めは、赤ちゃん のできない夫婦のためにクローン赤ちゃんを作るのだといった。次いで昨年9月、 最初は、自分自身のクローンをつくると発表した。彼の言葉を借りれば、「絶望 的になった女性につけ込んでいるという批判をかわすため」、だ。そして今は、 シカゴの繁華街にあるフォーチュン500に数えられる大企業で働いている妻の グローリアのクローンを最初はつくるという。「妻は私ほどわくわくはしていま せんが、喜んで協力してくれます。」と真顔でシードはいう。 | announcement : 声明、 bolster : 強める,支持する、 credibility : 信憑性、 infertile : 不妊の、 defuse : 和らげる、 criticism : 批判,非難、 take advantage of : 利用する、 desperate : 捨て鉢の,自暴自棄の、 downtown Chicago : シカゴの繁華街 |
| 6 | シードが本当に成功するだろうと思っている正当派の科学者はいないが、この ひげを生やした骨格のがっちりした異端者が視界にぬっと現れてきて以来、科学 者たちの態度には微妙な変化がみられる。シードは多くの科学者が考えているこ とを言葉にしたのだ。韓国の研究チームがすでにヒトのクローン化にとりかかっ ており、4細胞の胚をつくることにさえ成功したという先月の発表をきいても、 それに驚く科学者はあまりいなかった。 | virtually : 事実上、 mainstream : 主流(の)、 subtle : わずかな、 big-boned : 骨格のがっちりした,骨太の、 maverick : 異端者,一匹狼、 loom : ぼんやり現れる、 put into words : 言葉に言い表わす、 work on : に取り組む、 embryo : 胎芽 |
| 7 | シードは納得していない。「'韓国の'結果は非常に疑わしいですね。」とシー ドはいう。だが彼は世界が彼を待ってはくれないことは知っている。「誰かが先 にやってしまったら、がっくりくるでしょうね。でもそれは乗り越えられます。 誰もやらないよりは誰かがやるのをみる方がましですよ。」このようにして、少 なくとも、シードは次の計画へと突き進む。それはDNAを組み替え、永遠の生命 をもたらすことだ。クローン化の次は永遠の生命が非常に重要な問題になるとシ ードはみている。では謎かけをしよう。クローンによりシードがいっぱいいる世 界と永遠の生命を得、シードが消えることのない世界とでは、どちらの方がより 異様になるだろうか? | unconvinced : 納得していない、 devastate : 打ちのめす、 get over : 克服する、 all-important : 極めて重要な、 successor to : 〜に継ぐもの,〜の継承者、 conundrum : 難問 |
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