Racing To Map Our DNA

Racing To Map Our DNA
(1.11.HP.1999)

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今回は The Future Of Medicine から
  金野さんのサマリーです。お楽しみ下さい。尚、記事はTIMEのUS版からとっています。
雑誌は3月22日号P32です

DNA地図作成に奔走


語彙は主に『英辞郎』Ver.17から抜粋

 

大意

語彙

HP 私設の研究所から始まった競争が、ヒトゲノム解析計画を狂気じみた競争へと 追いこんだ lab : 実験室、 Human Genome Project : ヒトゲノム解析計画、 frantic : 狂気じみた、 rush to : 殺到する
1 10年足らず前にヒトゲノム解析計画が打ち上げられた時、熱狂的支持者たち は、マンハッタン計画や人間を月に送る計画と比較した。とても複雑で広範囲に 渡る計画なので、成功させるためには政府の財源と官僚資源を使うしかなかった。 だが、その計り知れない成果を考えれば、資源を惜しんではいけない。 Manhattan Project : マンハッタン計画、 complex : 複雑な、 resource : 財源、 payoff : 利益、 virtually : 事実上
2 ゲノム計画の擁護者たちは言う。この計画が完成する頃には、科学はついに生 命の書−−おおむね人体全ての肉体的特徴を決定づけている10万程度の遺伝子 一つ一つの性格な生化学的暗号−−を手に入れていることだろう。ひとたびそ れを知れば、研究者たちは、一つ一つの遺伝子の働きを性格に理解できるように なるだろう。そしてさらに重要なことには、どの遺伝子の機能不全のために、心 臓病からガンに至るまでの不治の病が引き起こされているのかも理解できるよう になるだろう。 advocate : 支持者,主張者、 have access to : 利用する、 biochemical : 生化学的な、 code for : 〜に相当する暗号、 gene : 遺伝子、 physical characteristic : 身体特性、 figure out : 理解する、 malfunction : 機能不全、 heart disease : 心疾患,心臓疾患,心臓病
3 その重要性は認識されていたが、時間はかかりそうだった。原子爆弾や宇宙開 発競争の時とは異なり、最初に成功を納めなければならないという脅威を与える ヒトラーもフルシチョフもいなかった。最大限の努力を強いるような外患はなか ったので、国際的なゲノム計画の科学者たちは、自分たちのペースで進められる と考えた。2005年くらいに終了するつもりだったのだ。 take some time : ある程度時間がかかる、 atom bomb : 原子爆弾、 space race : 宇宙開発競争、 pull out : 全力を尽くす
4 科学者たちは目算を誤った。ナチスと共産主義は過去のものとなったかも知れ ないが、それよりもっとぎょっとするような力が現れ、ゲノム計画をひどく驚か せた。それは利潤動機だ。薬品会社が、ゲノム研究から数しれぬ病気の治療薬を 作り巨万の富を得ようとしているのだ。そして最初にその知見を得、特許をとる 会社が一番もうかることになる。 electrify : あっと驚かせる、 fear of God : 敬虔の念,神を畏れる心、 profit motive : 利潤動機、 Pharmaceutical companies : 薬の会社、 incalculable : 数え切れない、 treatment : 治療、 array of : たくさんの
5 だから、民間企業が独自のヒトゲノム解析計画を始めたのは当然だし、民間プ ロジェクトの科学者たちが暗号解読をスピードアップする方法を発見したのも、 彼らが成功したときに得る報酬を考えれば、驚くには当たらない。実際、そのよ うな会社の一つ−−一匹狼の科学者クレイグ・ベンター率いるセレラ・ゲノミッ クス --は、昨春、この仕事は3年以内に実質的に終えられるだろうと宣言した。 plunge into : 急に〜し始める,に突入する、 of one's own : 独自の、 decoding : 解読,逆符号化、 maverick : 一匹狼、 substantially : 実質的には
6 ベンターの驚くべき発表に虚を突かれて、国際的なゲノム計画−−アメリカの 大学や政府機関の研究室、イングランド、ケンブリッジ近郊のサンガーセンター、 ドイツや日本で行われている−−の指導者たちは、昨夏、予定を再検討した。そ してその結果を昨秋発表した。それによると、2005年ではなく2003年ま でに計画を完了し、2001年までに概略の中間報告書を発行するとのことだ。 announcement : 発表、 facilities : 施設、 finish up : 完了する、 working draft : 設計図
7 一言でいえば、ゲノム解読にむけた整然とした行進が、一挙に激しい鍔迫り合 いの競争へと変わっていったのだ。そのやりあいはいつも品が良いとは限らない。 国際ゲノム計画はひどい失敗をしており、全く展望に欠けていると内々に評論家 たちは批判する。この批判に対し、民間プロジェクトは、神のつくられたゲノム の決定的な部分を特許により我が物にしようとする海賊行為だと国際プロジェク ト側は応酬する。さらには、発見のスピードをあげれば、がむしゃらでいいかげ んな不完全な結果になるだろうとも批判する。「仮にもこれが'生命の書'である 以上、私たちは多くの誤謬や欠陥に甘んじてはいけないのです。」と、メリーラ ンド、ベセスダにある国立ゲノム研究所長であり国際ゲノム計画の指導者の一人 であるフランシス・コリンズは嘲笑していう。 measured : 整然とした、 decode : 暗号を解読する、 human genome : ヒト遺伝子、 headlong : まっ逆さまに,向こう見ずに、 carp : 口やかましくとがめだてをする、 mismanage : の処置を誤る、 sorely : ひどく、 vision : 先見の明、 pirate : を略奪する,著作権を侵害する、 patent :特許、 slapdash : 〜をぞんざいにする、 incomplete : 不完全な、 book of life : 生命の書、 sniff : 鼻であしらう
8 完全さと正確さは、1990年にヒトゲノム解析計画が正式にスタートした時 からの二つのマントラだった。遺伝子は青写真として働くもので、一つ一つの遺 伝子からの情報によって細胞は特定の蛋白質を合成するのだが、その当時すでに 研究者たちは苦労を重ね、人間の遺伝子10万のうち4000以上についてその 正体を明らかにしていた。科学者たちは、おおざっぱではあるが、46本の染色 体(人間の細胞全ての中心部にある、 蛋白質に支えられたDNA連鎖の長い螺旋状 構造物)上の約1500の遺伝子の座をつきとめていた。だが一つ一つの遺伝子 の表す数百語からなる暗号文のうち、一握りしか解読できていなかった。この暗 号分は、A(アデニン)、T(チミン)、C(シトシン)G(グアニン)という4種 類の分子文字からつくられる3文字単語で書かれている。 completeness : 完全、 accuracy : 正確,精度、 mantra : 呪文,マントラ,真言、 at that point : あの時、 painstakingly : きめ細かに、 blueprint : 青写真,設計図、 protein : 蛋白質、 twisted : ねじれた、 strand : ,より糸、 DNA : デオキシリボ核酸、 decipher : 解読する、 sequence : ひと続きのもの、 handful of : ほんの一握りの
9 国際ゲノム計画の30億ドルをかけての指令、それはゲノムに書き込まれてい る全30億文字のシーケンスを高い精度で決定することだ。そしてそれは、一つ 一つの遺伝子が何の遺伝子を合成しているのか、またその目的は何なのかを明ら かにする序曲となるべきものだった。その課程は、サンフランシスコからニュー ヨークまでの全行程を歩いていきながら、山や谷を全て書き留めて地図をつくる ようなものなのだ。それは遅いが正確だ。8年後には、ゲノムの約7パーセント のシーケンスが百科事典的な詳細にまでわたって決定された。 mandate : 委任統治,指令、 high precision : 高精度、 precision : 精密な,正確,精密,細心,几帳面さ,絶対精度、 prelude to : 〜への序曲、 figure out : 理解する、 protein : 蛋白質、 liken : たとえる,なぞらえる、 mapping : 地図作製、 encyclopedic : 百科事典的な
10 だが国際ゲノム計画が、人間の細胞−−全体の97%にものぼる、遺伝子とし ては全く役割を持たない、DNA の延々と続く領域を含んでいる−−の詳細を書き 留めている間に、民間プロジェクトの方は全く別の方法をとっていた。その地図 は衛生写真のように、道全体を写しだしてはいるが、最重要点だけに集中してい る。「人々が非常に関心をもっているのは、全都市がどこにあるのかということ なのです。木や下水や水路全てを詳細に記述する必要はないのです。」と、ラン ダル・スコットはいう。彼は、遺伝子地図作りゲームに参加している民間企業の 一つでカリフォルニア州パロアルトに本社をおくインサイト薬品の社長兼化学主 任だ。それらの道標が割り出されれば、そこに焦点を合わせもっともっと細かな 点まで明らかにできると科学者たちは考えている。 methodically : 丹念に、 chronicle : 記録にとどめる、 satellite photograph : 衛星写真、 ditch : 溝,排水溝、 landmark : 目印,目標
11 スコットのライバルであるフランスの Gensetの研究者たちも、同様の方法を とっている。2000年の早い時期に完成予定の彼らの地図は、約1000万あ るヒトゲノムの生化学的'道標' のうち6万に焦点が絞られている。それらの道 標の内部とその周囲を、多数のヒトのDNAで比較し、病気の原因となる遺伝子を 選び出そうとしている。そしてそれは既にうまくいき始めている。この技術を用 いて、 前立腺ガンに関係する二つの遺伝子を発見したと Gensetのゲノム主任の ダニエル・コーエン博士は語る。彼はまた次のように指摘する。人工の80パー セントの死因となっている20の病気に関係しているのは、10万ある遺伝子の うち約200だ。まずはその遺伝子から調べるのが道理にかなっている。 biochemical : 生化学的な、 beacon : 航路標識、 signpost : 道標、 malfunction : 機能不全、 cause disease : 病気を引き起こす、 prostate cancer : 前立腺ガン、 common disease : ありふれた病気、 make sense : 道理に適う
12 コーエンとスコットはどちらも、限定された部分にだけ焦点を当てているが、 基本的には国際ゲノム計画とさして変わらない遺伝子地図作製法を使っている。 だが一方、クレイグ・ベンターは根本的に異なる手法を採用した。それは地図を 作るというよりも紙を切れ切れに裂くのに似ている。 radical : 過激な,極端な、 resemble : に似ている、 shredding : 細かく裂くこと
13 ベンターはすでに1980年代後半には独創的な思索家として評判を得ていた。 国立衛生研究所で遺伝子の研究をしている時、「彼は、人間を見劣りさせるほど の細胞の認識力に気づいた。生化学の巨匠たちでさえ、遺伝子の位置を効率よ く解明する方法をみつけられないでいるが、細胞は、いつも遺伝子の位置を知っ ており、しかも、必要な遺伝子のみを利用しそれ以外は無視している。 reputation : 評判,好評、 creative thinker : 独創的にものを考える人、 locate : 捜し出す、 tap into : と接触する,を利用する
14 それはベンターにとっては好都合だった。あるタンパク質をつくる青写真とし て実際に使われているDNAの断片が、 そのタンパク質の種類決定の場ということ になるからだ。それでベンターはこの DNAの活動的な部分にのみ集中することに した。 また彼は伝令RNA(mRNA)に注目した。mRNA は DNA からの指令を細胞の タンパク質合成機構へ伝える。これが遺伝子の実体であり、この切れ切れにした 遺伝司令書-- cDNA として知られる M-RNAよりも安定した形の司令書-- をベン ターは、自分の研究室に設置した遺伝子自動シーケンサーで分析したのだった。 strip : 細長い一片、 messenger RNA : メッセンジャーRNA、 instruction : 指令、 machinery : 機構、 stripped-down : 必要最低限のものだけを装備した
15 cDNAの解読結果がシーケンサーから次々と出始めた。解読した領域の一部はタ グとして使われた。ベンターはそれを expressed sequence tags (ESTs)と呼び、 それは、科学者たちが一つの遺伝子を他の遺伝子と区別するためのタグとして使 われたり、時には他の種の類似遺伝子の発見のためのタグとしてさえ使われた。 「彼の ESTsの発明は卓越したものでした。」 ジョンズ・ホプキンス大学の遺伝 学者であり、遺伝医学の父と呼ばれるビクター・マックシックは絶賛する。 1991年6月、ベンターがこの業績についての初めての論文を発表した時、す でに解明されていた遺伝子は4000程度にすぎなかった。そしてその一つ一つ の発見の裏には数年におよぶ科学者たちの苦労があった。ベンターは1日で、そ の表に347の新しい遺伝子を付け加えたのだった。 そしてやがて彼は1日に 25の遺伝子を発見していくのだった。 tumble : 投げる,ひっくり返す、 tag : 荷札、 species : 種、 inspired : 霊感を受けた、 victor : 【変化】《複》victors,勝利者,征服者、 geneticist : 遺伝学者、 painstaking : 骨の折れる
16 国立衛生研究所の研究者たちは同僚の一人が主脈を掘り当てたので非常に喜び、 彼らはベンターの遺伝子から特許をとることに専心した。だが国立衛生研究所の 向こうでは、ジェームス・ワトソンが憤激した。彼は、かつてはDNAの2重螺旋 構造の共同発見でノーベル賞を得、当時は国立衛生研究所のヒトゲノム解析計画を 主宰していた。彼は、これは科学ではないと主張した。こんなことは'事実上ど んな猿'にだってできる、 とワトソンは怒気を発した。それは数ヶ月におよぶ戦 いの開始ののろしだった。そして今日までくすぶっている。「そのような短縮さ れた遺伝物質に特許を与えるのは'全くの狂気'だ。そんなことを許せば、遺伝子 研究が法律問題に巻き込まれ、研究は遅々として進まなくなってしまう。」とワ トソンはいった。戦いが終わった時、国立衛生所は特許申請をすでに引っ込めて いた。またワトソンはもはやゲノム計画の長ではなかった。ベンターと彼の妻 と共同研究者クレイル・フレイザーも国立衛生研究所を去った。 lode : 鉱床,鉱脈、 rush to : 殺到する、 patent : の特許権をとる、 outrage : 憤慨させる、 fume : 怒気を発する,いきりたつ、 salvo : 連続射撃、 rage : 猛威を振るう、 smolder : くすぶる、 to this day : 今日に至るまで、 abbreviate : 短縮する、 genetic material : 遺伝物質,遺伝形質、 lunacy : 狂気、 entangle : に巻き込む、 crawl : 徐行,のろのろ進む、 collaborator : 協力者
17 国立衛生研究所の限界から解放され、ベンターは、自分自身の研究所をやって みないかというベンチャー企業家からの申し出を受けた。ベンターはその研究所 を The Institute for Genomic Research(TIGRまたはtiger)と名付けた。その 民間企業は彼が出来るだけ早く遺伝子を発見できるような財源を与えた。 confine : 限界、 venture capitalist : 投資家,ベンチャー・キャピタリスト、 private sector : 私営企業
18 だが、1994年、ジョンズ・ホプキンス大学のノーベル賞受賞者ハミルトン・ スミスがベンターにそれまで以上のことをするよう要請した。その頃ベンターは ショットガニング(手あたり次第)という手法を使っていた。本質においてショ ットガニングは DNAを化学物質用フードプロセッサーに入れるのと等しい。高周 波の音波が長い糸状の分子を小さな断片に破砕する。その断片を細菌の中でクロ ーンとして発生させる。その後は、標準的な遺伝子地図作製法に従い、細菌を引 き裂き、そのDNAを遺伝子シーケンサーにかける。 nobelist : ノーベル賞受賞者、 in essence : 本質において、 amount to : 要するに〜ということになる、 high-frequency sound waves : 短波、 shred : 細長い薄片におろす、 bacteria : 細菌,バクテリア
19 だが、 元のDNAがでたらめに破砕されその遺伝情報がちんぷんかんぷんになっ てしまうので、(これは、遺伝子切断酵素で切断した場合予測できるのとは対照 的だ)、断片がどこで重なり合うのかを決定するためには強力なコンピュータが 必要となる。この作業は、染色体のほんの一部のシーケンスを決定するだけでも とても大変だ。だがスミスはベンターにやってみるよう勧めた。しかもそれは、 DNAの一片だけと いうのではなく、ゲノム全体をということだった。スミスは、 インフルエンザ菌を提案した。耳の感染症や髄膜炎を引き起こす細菌だ。当時は まだ、ゲノム全体が解読されていたのはいくつかの小ウイルスだけだった。それ らのゲノムは何万もの遺伝文字で書かれていたのだが、インフルエンザ菌となると、 180万文字にもなる。 gibberish : ちんぷんかんぷん、 powerful computer : 強力なコンピュータ、 overlap : 重なり合う、 chromosome : 染色体、 Haemophilus influenzae : インフルエンザ菌、 bacterium : バクテリウム属,細菌,バクテリア、 infection : 伝染病、 meningitis : 髄(脳)膜炎、 virus : ウイルス
20 この不適な計画はすぐに政府の資金援助を断られた。しかしともかくもベンタ ーとスミスは計画を進め、1年以内には成功をみた。サイエンスに発表した彼ら の1995年論文は非常に画期的なもので、研究者たちに電撃的ショックを与え た。初めて、生物1個体丸ごとの遺伝の秘密が露にされたのだった。 audacious : 向こう見ずな,大それた、 funding : 資金調達、 push ahead : 強引にことを進める、 landmark : 画期的な出来事、 galvanize : 奮い立たせる、 living organism : 生体,生物、 expose : 暴露する
21 それから4年、今日では、 総計20のゲノムが完全に解読された。 そのうち 10はTIGRによるものだった。12月には、ワシントン大学(セントルイス、ミ ズーリー州)とサンガーセンターの科学者たちが新たな歴史的重大時点を通過し た。彼らは初めて動物(ちっぽけな線形動物、Caenorhabditis elegans)のゲノ ムを解読した。これは9700万文字で書かれており、これまでシーケンスが決 定されたものの中では最も複雑なものだ。だが、もしベンターが新しく創設した セレラ (Celera、敏速の意の celerityに由来)が3年でショットガニングを 用いて30億文字のヒトゲノム全てを解読するという計画をうまくやれれば、線 形動物のDNAは全くとるに足りないものになってしまうだろう。 decode : 暗号を解読する、 milestone : 画期的事件、 roundworm : 蛔虫、 downright : 全くの,徹底的な、 puny : 取るに足りない
22 ベンターは、ゲノム丸ごとショットガニングは切片が完全に合わない所では間 隙を生じてしまうことを認める。だがベンターの指摘するように、伝統的シーケ ンス法でも穴は生じる。政府のシーケンス法でできた間隙が後で埋められるよう に、ベンターの間隙も後で埋めることができる。しかも速やかに。「平均83文 字の穴が5万あるとして、私たちがその計算でDNAを増殖しシーケンスを決定し ようとすれば、その穴は1日で埋められるのです。」とベンターは語る。 gap : 隙間
23 だが多くの科学者はベンターがゲノムの再組立に成功するとは信じていない。 タイム1年分の各ページを行ごとに切り落とし、それを集めて一つの間違いもな く元へ戻すようなものだと言う。それだけでも気が遠くなりそうな話しだが、そ の上全文書の30パーセントは、7000文字にも及ぶほとんど同一の文字列か ら出来ている。「これらの '反復シーケンス'を決定するのは、 ショットガニン グでない場合でも '非常に大変な仕事'なのです。」とゲノム計画のフランシス・ コリンズはいう。 liken : たとえる,なぞらえる、 typo : タイプミス、 daunting : おじけづづかせる、 identical : 同一の、 string : 文字列、 bite-size : 一口サイズの,非常に小さい
24 ベンターがばらばらにしたゲノムの再組立に成功しようがしまいが、彼の基本 前提、−−Gensetやインサイトも同じ前提に立って競争をした−−は力をもつ。 大きな漸進をするためにゲノム全体の正確な地図を作る必要はないという前提だ。 コーエンの前立腺ガン遺伝子の発見はその1例だ。同様に、国立衛生研究所付設 国立医学図書館の一部である国立バイオテクノロジー情報センターは、パーキン ソン病のような疾患において異常タンパク質を作る遺伝子に的を絞った遺伝子シ ーケンスのデータベースを使っている。 whether or not : かどうか、 basic premise : 根本的な前提、 compelling : 従わざるを得ない、 high precision : 高精度、 zero in on : 〜に焦点を絞る,〜に的を絞る、 aberrant : 異常な、 ailment : 病気
25 一方、ベンターに出し抜かれるという脅威は、ヒトゲノム計画にはすさまじい 圧力となった。予め予定されていた昨夏の計画の再検討の際、手順を徹底的に再 評価するため、実際に地図を作っている科学者たちにも助言を求めた。そしてそ の答えは明白だった。「我々の現在の正確さは必要ないという声をこの成果の利 用者たちから聞きました。」とコリンズはいう。」 Human Genome Project : ヒトゲノム解析計画、 previously : 前もって、 project review : プロジェクト審査、 solicit advice : 忠告を求める
26 それでヒトゲノム解析計画は、鋳直された。完了の時期は2005年から 2003年へと早められた。これまでゲノム計画の科学者たちは、はっきりする まではデータを公表したがらなかった。だが、ゲノム計画の管理者たちは、 2001年までに、 完璧とまではいかないがそこそこの精度をもった'中間報告 書'を出すと発表した。「中間報告書のデータは非常に豊かで、そこからは間違 いなく多くの価値を引き出せます。」と国立衛生研究所附属国立ヒトゲノム研究 所副長官マーク・ガイヤーはいう。「しかし、セレラの発表がなければこのよう なことは起こらなかったでしょう。」とも認める。 recast : 鋳直す、 completion : 完全さ,終了、 offer up : 捧げる、 extract : 抽出する
27 だがベンターはまだ用済みではなかった。先月、エネルギー省−−その研究室は ゲノム計画に参画している−−がベンターにその仕事の一部をさせようと交渉し ていたことが明らかになった。政府の払わなければならない代償は何もない。だ が、この提案はゲノム計画の指導者たちにより棚上げとなった。おそらくは、エ ネルギー省が他のゲノム計画のメンバーに問い合わせることなく、ベンターと契 約したためだろう。または、情報公開が遅れることを恐れてのことかも知れない。 非公式には、最新のベンターの勝利に対するすっぱい葡萄の論理がこの決定に一 役買ったことは明らかだ。 reveal that : 明らかになる、 lab : 研究室,実験室、 on ice : 棚上げして、 supposedly : おそらく、 check with : に問い合わせる、 play role : 〜の役割を果たす
28 この仕事を最終的に仕上げるのがベンターであれ国であれ、はたまたある種の 国と民間の共同作業であろうと、遺伝子シーケンスが終了すれば、次なる段階は 遺伝子の個体間の変異の研究だと、ゲノム地図作製に取り組んでいる学者たちは 皆いう。ほとんどの疾患において、病気や死が引き起こされるのは、おそらくは 数個の遺伝子と環境因子の相乗作用によるのだ。国立衛生研究所は、遺伝子個体 間変異研究プロジェクトにより、特定の病気を引き起こす遺伝子群の解明をしよ うとしている。 partnership : 共同、 mapper : 地図製作者、 look into : 〜を調べる、 conspiracy : 共謀、 environmental factor : 環境要因、 nudge : 軽く突く
29 「これは私たちのもっとも協力な道具になるでしょう。弱罹患性遺伝子を見 つけることはその病気にかかる危険性を予測するのにもそこそこ役立つでしょう が、それよりも遥かに大事な点は、病気に対して本当の分子の基盤を与えてく れることにあります。多発生硬化症であれ、脳腫瘍であれ、糖尿病であれ何であ れ、全ての病気に対してなのです。」とコリンズはいう。真実なのは、誰もヒト ゲノムの解析からどんな大発見がもたらされるかを正確に予測することはできな いということだ。ベンターがいうように、電気以前の時代のようなものなのだ。 当時パソコンのことなど想像できるヒトは誰もいなかった。」 powerful tool : 強力な道具、 sclerosis : 硬化(症)、 brain tumor : 脳腫瘍、 diabetes : 糖尿病、 breakthrough : 躍進、 decipher : 解読する、 envision : 心に描く,想像する
30 それだから、国の研究と民間の研究が平行して進行していくのはむしろ良いこ とだろう。「国の研究部門はどうすれば非常に品質の高い基礎資料をつくれるの かを研究していますが、そのようなことをしようとする民間企業は現れないでし ょう。」と国のプロジェクトの一翼を担うワシントン大学ゲノムセンター長官、 メイナード・オルソンはいう。民間企業が先ずはもっとも魅力的な遺伝子に焦点 をあてるにしても、一方で国の科学者がのこりの遺伝子のシーケンスを決定して いけば、結局は誰もが益することになるだろう。 for that reason : そういう訳で,その理由で,そんな訳で、 just as well :かえって好都合だ、 in parallel : 並行して、 high-quality : 質の高い、 intriguing : 興味をそそる、


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