Designer Babies

Designer Babies
(1.11.HP.1999)

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今回は The Future Of Medicine から
  金野さんによる1月11日号に載っている一連の遺伝子関連記事のサマリーのひとつです。
雑誌は3月22日号P44です

デザイナーベービー


語彙は主に『英辞郎』Ver.17から抜粋

 

大意

語彙

HP 今や、親たちは子供の性別を選んだり、遺伝病を避けたりできる。いつかは、 脳や容姿も選ぶのだろうか? genetic :遺伝子の
1 ほんの2、3年前までは、男の子、女の子の産み分け方というのはとてもいいか げんなものだった。だが今は違う。最新の遺伝子診断技術を用いれば、非常に高 い精度で産まれてくる赤ちゃんの性別を予め決めることができる。2年前、コリ ンズ夫妻(スコットとモニーク)は、バージニア州フェアファックスの産院で、 事前に遺伝子を選別し、長い間欲しかった娘、ジェシカを産み喜んだ。 baby boy : 男の子,男の赤ちゃん、 baby girl : 女の子,女の赤ちゃん、 hit-or-miss : 行き当たりばったりの、 have access to : 利用する、 testing technique : 検査技術、 predetermine : 〜を予定する、 prescreen : 前もって選別する
2 そしてジェシカ赤ちゃんは始まりにすぎない。10年か20年以内には、ほ とんど妊娠前に生まれてくる赤ちゃんの特性を信じられないほど広範囲に選 択できるようになるだろう。背丈、体型、髪の色、目の色、どんな病気に対 して抵抗力を持った子供を選ぶか?そしておそらくはIQや人格の型まで選べ るようになるだろう。 conception :妊娠,受胎、 attribute : 属性,特性、 body type : 体型,体格、 resistant : 抵抗力のある、 conceivably : 考えられるところでは、 personality type : 性格特徴
3 実際、もし遺伝子治療がその約束を果たせば、親たちは、好ましくない特性を 取り去るだけにとどまらず、欲しい遺伝子を挿入し始めるかも知れない。たぶん 実験室で作られた遺伝子をさえだ。21世紀の早い時期に、車を買う時、オプシ ョンで、エアコンやクロム合金のタイヤのキャップをつけるように、親たちは産 婦人科に行きオプションリストから赤ちゃんの特性を選ぶようになるかも知れな い。「これは究極の買い物です。自分の赤ちゃんを設計するということなんです。 でも、美容外科や精神薬理学に慣れた社会では、これは大きな一歩ではありませ ん。」と、生命工学評論家ジェレミー・リフキンは、将来の見通しにぞっとして いう。 gene therapy : 遺伝子治療、 live up to : (期待)にこたえる、 weed out : 除去する、 undesirable trait : 望ましくない特性、 craft : 巧妙に作る、 lab : 実験室、 new millennium : 新世紀、 car buyer : 車の買い手、 chrome :クロム、 alloy :合金、 biotechnology : 人間工学,生命工学、 appall : ゾッとさせる、 prospect : 見込み、 cosmetic surgery : 美容整形外科、 psychopharmacology : 精神薬理学
4 赤ちゃんを設計できるようになるだろうという見通しは、遺伝子革命によって もたらされた他の難問同様、その問題性が急速に顕在化しつつある。医師、倫理 学者、宗教界の指導者、政治家たちは、この問題の意味するところを検討し、そ れに対する見解を作り始めたばかりだ。 ethical : 倫理の、 conundrum : 難問、 pose : (問題などを)引き起こす、 genetic revolution : 遺伝子工学の革命、 ethicist : 倫理学者、 religious leader : ある宗教の指導者、 grapple with : 〜に取り組む
5 彼らには多少時間がある。胚の発生の初期の段階で、現在特定できる特性は、 性別を除けば、10あまりのもっとも重篤な遺伝病だけだ。胚の遺伝子治療 にはもう2、3年かかる。さらに、身体的特性や精神的特性に関与する遺伝 子や遺伝子の組み合わせはほとんどまだ確認されていない。胎児の遺伝子を 足したり引いたりするという考えはまだ純理論上のものだ。その上、たとえ 赤ちゃんを設計通りにつくる技術が、10年以内に完成したとしても、それ は病気の予防に使われるべきなのであって、赤ちゃんを改良するために使わ れるべきではない、と臨床医たちはいう。 aside from : 〜はさておき、 gender :性、 genetic disease : 遺伝病、 gene therapy : 遺伝子治療、 embryo : 胎児、 responsible for : 〜の原因である、 attribute : 属性,特質、 moot : 議題に載せる,議論の余地がある、 fetus : (妊娠3ヶ月以後の)胎児、 disease prevention : 病気の予防
6 だが医師たちの思うように物事が運ぶとは必ずしも限らない。実際、コリンズ 夫妻に男女の産みわけを可能にした技術は、もともとは健康な赤ちゃんを産むた めに使われるものであって、男女の選択それ自体のためのものではなかった。フ ェアファックスの遺伝子並びに IVF 研究所は、家畜で使われていた技術をヒト に適合させた。それは、女の性染色体はXXで、男は XYであるという生物学の単 純な法則を利用したものだった。母親にはXしかないのだから、 男女の決定権は 父親の側にある。もっとはっきりいえば、受精卵にXか Y のどちらかを持ち込む 父親の精子だ。 gender : 性、 per se :《ラテン語》本来、 livestock : 家畜、 biology : 生物学、 chromosome : 染色体、 lie with : 次第である、 sperm : 精子、 fertilization : 受精
7 たまたま、Y染色体はX染色体よりも多少DNAが少ない。それで、精子のDNAを毒 性のない感光染料で染色することにより、バージニアの科学者たちは、高い成功 率で男になるか女になるかを区別した上で、人工受精にその精子を使うことがで きた。この技術を最初に利用したのは、 X染色体に関係しほとんど男だけに現れ る不治の病、水頭症を避けようとした夫婦だった。 as it happens : あいにく,たまたま、 stain : 染色する、 nontoxic : 毒のない、 dye :染料,色素、 sort : 分類する、 artificial insemination : 人工受精、 deadly disease : 命にかかわる病気、 x-linked : X染色体に連鎖した、 hydrocephalus : 水頭
8 この技術は、血友病、デュセンヌ型筋ジストロフィ症、クラインフェルター症 候群など多くのX染色体に関連した病気をさけるには理想的なのだが、遺伝子 IVF 科で治療を受けている患者の大多数は、医学的見地からというよりは、ライ フスタイルの観点から家族を選択することさえ望んでいる。フェアファックス病 院はこれに手を貸してきた。だが、この潮流を受け入れない医師たちもいる。 「この技術は病気を避けるために使われるべきであって、男女の産み分けのため に使われるべきではないというのが、現時点での私たちの見解です。」と、ニュ ーヨーク市のコーネルメディカルセンター・産不妊科部長、ゼフ・ローゼンワッ クス博士はいう。 weed out : 除去する,淘汰する、 X-linked disorder : X連鎖遺伝病、 hemophilia : 血友病、 Duchenne muscular dystrophy : デュシェンヌ型筋ジストロフィー、 fragile X chromosome :ぜい弱X染色体、 even out : 平等にする、 life-style : ライフスタイル,生活様式、 sit well with : 合う,調和する、 practitioner : 開業医
9 だが、今では、親たちはもうこの技術のあることを知っており、医学的な理由 がなくても男女の産み分けをさせてくれる病院のあることも知っている。もう後 戻りするには遅すぎるかも知れない。プリンストン大学の生物学者リー・シルバ ーは、男女の選択は比較的短い間で問題にならなくなるだろうと示唆している。 彼はその著書'エデンの園再構'でこれと全く同じ様な問題をとりあげたことが ある。彼の根拠は、試験管ベービーを作るのに使われる技術、IVF(体外受精) にある。彼はいう。「20年前、初めて IVF が世界に登場した時、 ほとんどの人 々は恐れおののきました。そしてたとえ、自分が不妊であってもその技術は使わ ないといったものでした。しかし需要が増すに従い社会に受け入れられてきまし た。そして今では不妊の人は皆、IVFを求めているのです。」 Princeton University : プリンストン大学、 biologist : 生物学者、 sex selection : 男女の産み分け,男女の選択、 in vitro fertilization : 体外受精、 test-tube : 試験管で作り出した,(体外)人工受精の、 horrify : おぞけを振るう,慄然とする、 infertile : 不妊の、 growing demand : 高まる需要
10 確かに、体外受精はそれに固有の倫理問題も生み出している。使用されなかっ た冷凍受精卵の保護管理権をめぐる争い、妊娠に成功した後に残った人工受精卵 の処理の問題、多子産により健康が害される危険性が高くなるという問題など。 だが体外受精は止めるべきだというものはいない。断じて不妊の夫婦はそのよう な考えには賛成しないだろう。 ethical problem : 倫理的問題、 custody : 保護監督,後見、 fertilize : 受精させる、 embryo : 胎児,胚芽,胚子、 left over : 使い残しの、 pregnancy : 妊娠、 health risk : 健康上のリスク、 multiple birth : 多胎,多生児、 stand for : 〜を支持する
11 性の選択も難問を提起するだろう。中国やインドなどのように、女子より男子 を高くみる社会では、すでに男女比の均衡は崩れているのだが、その傾向にいっ そう拍車がかかるだろう。ある世論調査によるとアメリカでは男の子をほしがる 親の数と女の子をほしがる親の数は同じなのだから、そのようなことは起こりそ うにない。だが、その同じ世論調査によると、第1子としては男の子をもつのが 理想的な家族だと考えられているという。最終的には、女子よりも男子の方が、 強引で支配的になることがよくある。そして第1子も強引で支配的な場合が多い このように2重の意味で支配的な長男を、一人目の子として選ぶという傾向にア メリカ社会が向かっていくならば、社会から男性優位の考え方を取り除くことは 一層困難になってしまうかも知れない。 knotty : ややこしい,込み入った、 out of balance : 不均衡、 tip : に先をつける,傾ける、 assertive : 自己主張する、 dominant : 支配する,主要な、 skew : 歪曲する、 stereotype : 固定観念
12 遺伝学実験室から現れる科学技術により提起される倫理問題は一層複雑そうだ。 もし、親たちが、着床前受精卵遺伝子診断を使い、注意欠陥障害の子、背の低 い子、とろい子、同性愛の子などが生まれるのを避けれるようになればどうな るだろうか?親たちは親戚や友達からそうせざるをえないようなプレッシャー を感じはしないだろうか?またそのような子が生を許されたとしても、今その ような人たちが感じているよりももっと強く自分たちは2級市民だと感じはし ないだろうか? ethical : 倫理の、 emerge from : 〜から現れる、 lab : 実験室、 preimplantation : 着床前の、 diagnosis : 診断、 attention deficit disorder :注意欠陥障害《学習・行動障害を示す症候群; 重度の肉体的・精神的障害に起因するものではないが,注意散漫・衝動行為・多 動などを特徴とする》、 predestine : 運命づける、 dull-witted person :悟りの鈍い人、 predispose : に傾かせる、 homosexuality : ホモ,同性愛
13 もっと厄介なのは、親たちが、既に健康な子どもをさらに良くするためにどの ような種類の遺伝子操作をしたがるかという問題だ。遺伝子治療を利用して、 HIV抗性遺伝子とか長寿遺伝子とか高IQ遺伝子を付加して欲しいとか、子どもの 精神的苦痛を避けるため顔立ちを良くしたり人好きのする性格にして欲しいと か言ってくる場合はどうすればいいだろう?このような技術がいつできるのか は誰にも分からないし、多くの専門家たちは、そのような技術を完成すること には関心がないともいう。「もちろん、理論的には、そういうことは可能です。 でも実際にそんなことを研究している人は一人も知りませんけどね。」とベー ラー大学生殖学専門医ラリー・リプシュルツ は言う。 thorny :厄介な,困難な、 tinkering : いじり回すこと、 elect to : 〜に選出する、 gene therapy : 遺伝子治療,遺伝子療法、 HIV : エイズ・ウイルス,human immunodeficiency virus、 resistance : 抵抗性,抵抗力、 longevity : 長寿,長生き、 high IQ : 高い知能指数、 stave off : かろうじて避ける,かろうじて防ぐ、 psychological : 心理的,精神的な、 doable : 〜することのできる
14 しかし遅かれ速かれ、誰かが完成させるだろう。カナダやイギリスのように国 家医療制度のある国においては、遺伝子操作の許容範囲を明確に決定するのは比 較的容易だろう。だが米国には、管理医療制度の成長にも関わらず、欲しいもの に対しては金で支払うゆとりのある人たちがいつもいる。プリンストンのシルバ ーはいう、「医学研究者というのは、病気をより効果的に治したいという動機に 動かされているのが典型的なんです。生殖遺伝学(シルバーの造語)は、子供の ために何かを求める親や将来の親の需要によって押し進められているのです。 そしてその需要は爆発するかも知れません。」 health service : 公共医療、 dictate : 指示する,決定する、 managed care : 総合的健康管理、 medical researcher : 医学の研究者
15 シルバーは、社会が二つの陣営に別れるという筋書きを考えている。遺伝子富 裕と遺伝子貧乏、つまり遺伝子操作を受けた人たちと受けなかった人たちに二分 される。この予想は不穏だが、それを止めようとすればもっと不穏な選択を余儀 なくされる。「確かに問題は多いのですが、私たちが、これから生まれてくる家 族についての決定権を国家に与えるようなことはあり得ないと私は信じています。」 と、1953年の DNA構造の共同発見により、現在に道を開いたジェームズ・ワ トソンはいう。 contemplate : じっくり考える、 disturb : 困惑させる,平和を乱す、 entail : 必然的に伴う


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