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| P111 | 彼はソニーを世界中で信頼できるブランドにした人。なぜかと言えば、国境の ない会社は限りなく発展するからだ | guru : 教祖,神様,第一人者、 gadget : 小さな機械装置、 |
| 1 | ほぼ5年前、Akio Morita--ミスターソニー−−はテニスの試合中倒れた。ソニ ーの共同創立者であり会長の彼は脳卒中で倒れたのだ。それ以来車椅子の生 活である。本当に悲しむべきことである。というのもMoritaはこれまでじっと 座っていたりリラックスしたことがなかったから。72歳の彼は毎週火曜日の 午前7時にテニスをしてた。こういったことをよく知っているのも、彼の隣の コートで私も練習していたからだ。だが私のテニスは彼のとは全然違う。私は インストラクターとプレーをし、疲れたら休憩する。彼はそうではない。誰と でも、若い選手とも試合をしたものだ。 | co-founder : 共同創立者、 stroke : (脳)卒中、 wheelchair : 車椅子、 athlete : スポーツ選手,競技者 |
| 2 | これは初の世界規模の会社を創設した人間に相応しい。彼は同時代の人達と は違い、早くから、狭くなっていく世界というのは、物理的にも心理的にも 国境を越えて考えることのできる会社には桁外れの機会を提供すると予測し ていた。そして、この考えを、あらゆる市場、殊にアメリカにおいて、彼独 自の凄まじいエネルギーでもって推し進めてきた。今年、ハリスの調査でソ ニーがコカコーラやジェネラルエレクトリックを抜いてアメリカ人ブランド 名第一位になったのは注目に値する。 | in keeping with : と調和して,調和して、 contemporary :同時代の,同年輩、 physically and psychologically : 肉体的かつ心理的に、 strategy : 戦略,方法、 relentless : 容赦のない,冷酷な、 notable : 注目に値する、 Coca-Cola : コカコーラ、 General Electric : ゼネラル・エレクトリック社 |
| 3 | Moritaの恐るべきエネルギーを示すのに、脳卒中に罹る前の2ヶ月間のスケジュ ールを見てみるのがいいだろう。東京を基点として、ニュージャージー、ワシ ントン、シカゴ、サンフランシスコ、ロサンジェルス、サンアントニオ、ダラ ス、イギリス、バルセロナ、パリを訪れている。その間に彼が会見したのは、 女王エリザベス2世、ジェネラルエレクトリック社長ジャック・ウェルチ、フ ランス大統領となるジャック・シラク、アイザック・スターン、それに多くの 政治家や官僚、実業家。彼はコンサートを2回聞きに行き、映画を1回見てい る;国内旅行が4回;歓迎会には8回出席;ゴルフは9ラウンド;結婚式に主 賓として招待され;いつもどおりソニー本社には17日間出社していた。少し でも暇があると、知り合いになりたい人、しばらく会ってない人と会えるよう にすぐにうまく調整したものである。企業のトップになると企業内では他の人 と関わりを持たなくなる人が多いが、彼はいつも活動の中心にいた。 | scan : ザッと目を通す、 preceding : 〜に先行する、 bureaucrat : 官僚、 business associate : 仕事上の協力者,同僚、 reception : 歓迎会,接待、 round of golf : ゴルフの1ラウンド、 guest of honor : 主賓,正客、 headquarters : 本社、 in advance : 前もって、 become acquainted : 交際を結ぶ,知り合いになる、 catch up with : (動いている人・ものに)追いつく、 executives : 幹部社員 |
| 4 | Moritaは小学校3年のときから14代続く家業(名古屋の有名な酒造業)の 後継者となるべく仕込まれていた。しかし、真の意味での企業家精神を持つ 彼は、戦後の日本の瓦礫の中で、快適な恵まれた環境を捨てTokyo Telecommunications Engineering, Inc.と言う行く末のわからない新会社を 起こした。 | groom :仕込む,訓練する、 successor : 後継者、 family business : 家業、 prominent : 有名な、 entrepreneurial spirit : 企業心、 privilege : 恩恵、 start-up : 起動,新興企業、 rubble : 瓦礫,破片、 postwar Japan : 戦後の日本 |
| 5 | Moritaの商売のやり方は、当初から、ブランド名を確立しそれに相応しい製品 を作る事であった:すなわち、名前をみれば、すぐに優れた製品とわかること。 これは今の企業で使われるマーケティングの概念である。だが、当時、日本で は他のブランド名の下で商品を作っている会社が多かった。例えば、ペンタッ クスは、ハニーウェルの名の下で、リコーはサビンの、サンヨーはシアーズの 名の下で製品を作っていた。 | outset : 手始め,発端、 marketing concept : マーケティング志向、 brand-name : 名の通った、 identification : 身分証明書、 communicate : 知らせる、 product quality : 製品品質 |
| 6 | Moritaの異常なほどの商品名へのこだわりは、共同創立者Masaru Ibukaという ソニーの発明品の陰にいる、技術と製品デザインを担当する才能ある人間によ り完璧なものとなった。この組み合わせはうまくいった。二人は、消費者に現 在手に入り得る最高の技術と品質を提供しようとした。ソニーの製品第一号は トランジスターラジオで、1955年に生産された。トランジスターはベル研究所 で開発されウエスタン・エレクトリックで生産されたのであるが、1957年、 それを使ってポケットラジオを始めて作り、新市場を開拓したのはソニーで あった。 | complement :補足する、 talent : 才能、 co-founder : 共同創立者、 engineering : 工業技術、 invention : 発明品、 pocket radio : ポケットラジオ、 new market : 新市場,新販路、 in the bargain : おまけに,その上 |
| 7 | ラジオの成功のあと、トランジスター製品では続々と一番乗りをした。8-イン チテレビとかビデオレコーダなどである。製品設計、生産それに販売における ソニーの技術的成功により、日本製のイメージが安っぽい模造品から高品質を 連想させるものに変わった。Moritaの言葉を借りれば、彼らはソニーを電子機 器のキャデラックにしたのである。 | transistorize : トランジスタを使用する,トランジスタ化する、 technological achievement : 科学技術上の業績、 product design : 製品設計、 notion : 考え、 imitation : 模倣、 associate with : 連想する、 superior quality : 優秀品 |
| 8 | ソニーという名前の由来からして、世界で勝負するMoritaの洞察力と決断力を 明らかにしている。彼はどこででも通用する名前が欲しかったのだ:創造的で、 ローマ字で、短くかつ覚えやすいもの。MoritaとIbukaは辞書という辞書を引 きsonusという語を見つけた。ラテン語でsoundを意味するもの。おまけに、sonny という語は当時のアメリカでよく使われていた言葉の一部であったので、それ がエネルギー溢れる若者が作る会社を指していると彼らは考えた。この二つの 言葉からSonyができたのである。 | highlight :強調する,際立たせる、 intuition : 洞察、 determination : 決断力、 roman letter :ローマン体の活字,ローマ字、 catchy : 覚えやすい、 pore over : 熟読する,詳しく調べる、 pop :大衆[通俗]的な、 vernacular : 土地の言葉,方言、 at the time : あの時,その頃,当時は、 abundant : 豊富な |
| 9 | ソニーの国際化はアメリカで始まった。1963年にMoritaは家族全員でアメリカ に引っ越したのである。こういう風にして彼は、アメリカ人を、その市場を、 慣習を、規制を理解し、会社が成功する機会を増やしていったのである。その 決意は素晴らしかった。当時の企業家でこれほどの情熱と確固たる経営方針を 持っている人はいなかった。アメリカでMoritaが住んだのはマンハッタン5番 街の大きなマンション。彼は絶えず人と付き合い1週間のうちに何回もパーティ を開き、確かで価値のあるネットワークを築き上げた。この習慣は生きている 間中続いた。 | globalization : 世界化,世界的拡大、 regulation : 規則,条例、 thereby : その結果、 brilliant : 見事な、 passionate : 熱烈な、 continually : 頻繁に |
| 10 | Moritaは仕事熱心であると同時に遊ぶのにも熱中した。美術や音楽にも関心 があり、スポーツは殊のほか好きだった。60代でウインドサーフィンやスキュ ーバダイビングを始め、冬のいいスポーツだといってスキーを始めた。また 水上スキーが好きで、握りのところに耐水性のマイクを取りつけ、スキーの ロープに線を這わせてボートのスピーカーとつないだ。妻のYoshikoに指示を 送れるようにだ。この発明を彼は自慢にしていた。楽しく時を過ごすためだけ に、彼は製品を発明しそれを完璧なものとしたものである。 | workaholic : 仕事中毒者、 fanatic : マニア,熱狂的信者、 take up :始める、 scuba diving : スキューバダイビング、 ensure : 〜を確保する、 water-ski : 水上スキーをする、 craft : 巧妙に作る、 water-resistant : 耐水(性)の、 instruction : 指示 |
| 11 | ウォークマンはまさにそうした発明品である。Moritaは子供たちやその友達 が朝から晩まで音楽を演奏するのをみていた。人々が車の中で音楽を聴き。 ビーチや公園に大きなステレオを持っていくのにも気づいた。ソニーの技術部 は、記録できない(後で付加されたが)プレーヤーというのに反対はしたもの のMoritaの考えは否定はされなかった。彼の言う製品とは、高品質のカーステ レオ並みの音質を持ち、携帯用であり、何かをやりながら聞く事ができるもの −−つまりウォークマンの名前となる。 | invention : 発明品、 engineering department : 技術部、 oppose :に反対する、 recording function : 記録機能、 high-quality : 質の高い、 portable : 携帯用の |
| 12 | ソニーアメリカはこの名前はよくないと思い、アメリカではSoundabout、 スウェーデンではFreestyle、イギリスではStowawayという名前にした。 Moritaは国別に異なる名前を使うのは気に入らず、売り上げが思ったほどで なかったので、彼が名前をソニーウォークマンと共通なものに変更した。そ の結果、ウォークマンは世界中でヒットし、今では大きな辞書にも取り上げ られている。 | freestyle : フリースタイルの、 stowaway : 無賃乗客,密航者、 leery : 警戒している,用心深い、 change the name : 改称する、 subsequently : その後,続いて、 worldwide hit : 世界的なヒット、 feature : 特集する |
| 13 | ソニーを世界に先駆ける会社にした男には国家主義の面があった。この性格 は矛盾しているようだが補完的にも働いていた。彼と話すか、または彼の書 いたベストセラー、「Made in Japan」を読めばこのことがわかる。この2面 性について文句を言うと、ニヤッと笑ってこういったものだ、「大前さん、 世代が違いますよ。」海軍軍人だった彼は兵役を終えると戦争で打ちのめさ れた日本経済に戻って来た。つまり長い間彼の心には日本第一主義があった のである。最初の気持ちは、戦争のために灰塵にきした日本再建に何らかの 貢献をしたいというだけのものだった。 | nationalist : 国家主義の、 contradictory : 矛盾した、 complementary : 補完的な、 ambivalence : 矛盾する2つのもの,双価性、 grin : ニャッと笑う、 generation gap : 世代の断絶、 navy : 海軍,海軍軍人、 veteran : 退役軍人、 frame of mind : 気持ち,考え方、 contribution : 貢献 |
| 14 | だが結局はより国際的な考え方を身につける事となり、1960年代には、関税を 引き下げたり他の障壁を無くして自由貿易を奨励するといった問題について 考えを述べ始めた。こうした問題は、それまで何十年もの間日本の企業家が 話題にしたがらなかったことであった。1970年代に世界第二位の経済大国と なり、もはや世界経済の担い手として無視できない国日本の企業家を彼は代 表したし、またはっきりと考えを述べていた。1989年にある本−−「ノーと 言える日本」−−の共著者になったときには論争が起こったりした。その 本では、外国は日本の輸出に不平を述べるのを止め、自国の企業の改革に努 めよと示唆していた。彼の本当の意見は出版社によって若干捻じ曲げられて いた:他の国では意見の違いや議論は相手を侮辱するものではないこと、日 本人は友情を損なわずに外国の仕事のパートナーと論争できるのだ、という ことを合議制をよしとする日本人に伝えたかったのだ。 | point of view : 考え方、 tariff : 関税、 barrier : 障壁、 vocally : 声に出して、 business community : 経済界,財界、 controversy : 議論,討論,論争、 misrepresent : 誤り伝える、 disagreement : 不一致、 insult : 侮辱する、 business partner : 仕事のパートナー |
| 15 | しかし、ソニーが国際的に成長するにつれ、Moritaは考えをさらに推し進め た。今やその考えは、「地球規模で考え、地元に根ざせ」−−つまり、国家 目標を越えた共通の価値体系を持つこと;本来企業がどこの国だったかに関 わりなく、世界の消費者、株主、従業員に仕えよということ。私は仕事にお ける彼のこうした言葉が大変気に入っているので、国際化の最終段階にある 企業を表すのに、私の本「国境のない世界」でそれを用いている。 | value system : 価値システム,価値体系、 transcend : を超越する、 national objectives : 国家目標、 shareholder : 株主、 regardless of : 〜に関係なく、 reference : 言及,紹介 |
| 16 | 1993年、Moritaは経団連会長のGaishi Hiraiwaに後を継ぐよう要請された。 経団連というのは日本で最も誉れある経済団体であり、日本では会社の社長 は誰でもそこでの重要な地位に就きたいと考えているのだ。この時までは、 Moritaは日本の企業家の中では本当の意味で受け入れられてはいなかった。 というのも、ソニーは比較的小さな会社であり、製鋼とか公共事業とか重工 業といった従来の大企業ではなかったからである。日本の企業家にとって、 経団連会長になることは皇帝になるようなもの。あとでわかるように、Morita が脳卒中を患った1993年11月30日は、その後継が発表される予定の日であった。 | successor : 後継者、 prestigious : 誉れの高い,名声のある、 business association : 商業組合、 important position : 重い地位、 steelmaking : 製鋼、 public utilities : 公共事業、 heavy industry : 重工業、 economic circle : 経済界,財界、 liken : たとえる,なぞらえる |
| 17 | このことは1993年の日本にとり素晴らしいこととなっただろう。まさに日本がその後 に続く不景気に陥ろうとしていた時期なのだ。Moritaは既に日本の改革を考え ており、政治家、企業家、それに官僚を集めて何が必要かを議論する討議グル ープを組織していた。Moritaのような人が企業家や経済活動を利するように意 見を述べる立場にいたなら、日本の現在の経済状況は違ったものとなっていた だろうと言われる−−次々と産業を救助すべく政府に懇願するのとは対照的に。 私もまさしくその通りだと信じている。全く残念なことは、日本には彼のよう な人が他にいないことである。 | collapse : 崩壊する、 sustain : (損傷を)受ける、 recession : 景気後退、 discussion group : 討議グループ、 bureaucrat : 官僚、 economic situation : 経済状態、 on behalf of : 〜の代わりに,代表して、 entrepreneur : 企業家,起業家、 as opposed to :〜と(は)対照的に |
| 18 | Moritaは一生のうちに想像が及ぶ以上のことを成し遂げた。ソニーがアメリ カの消費者にとりトップブランドにランクされていると書いている新聞を彼 が読むことができたなら、オアフにある海沿いのマンションで彼は笑ったこと であろう。そしてこういうに違いない、「当然だ。そういっただろう!結局 のところ、ソニーはアメリカ製なのだから!」 | beachside : 海岸の,海岸にある、 |
第3段落
catch up with:
ここの「追いつく」の意味は、忙しくて近況を語り合う暇のない
友人とかと、「最近、どうしてる?」と情報交換をしたりすることを
指していると思います。
追いつくのは、会わなかった時間を埋める、近況まで追いつくという感じでしょう。
By つくちゃん
第8段落
pop vernacular:
流行っていたと似ているけど、「日常でよく使われている言葉だったし」
ぐらいかな。
By つくちゃん
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