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| P34 | 中国の意向に敏感なアメリカとダライラマは控えめに話し合う | sensitive to : 〜に敏感な、 distrust : 不信、 Dalai Lama : ダライラマ(=Grand Lama)《チベットのラマ教の教主》、 low-key : 控え目な,地味な |
| 1 | 彼が穏やかな僧侶であり大国の首長でないことを考えると、彼と話そうと官 僚達がずらっと並んだのは壮観であった:ビル・クリントン大統領、ファー ストレディ、副大統領のアル・ゴア、国務長官のマデリン・アルブライトな どのことである。それにしても先週のホワイトハウスの歓迎は、アメリカ人 がダライラマ、すなわちチベットの亡命している精神的指導者、に長く抱い ていた尊敬と好意以上のものがあった。それはチベットの将来に関して中国 と協定を結ぶための最新の一歩で、崇高なものではあるが恐らく実りのない ものであった。チベットから彼は、中国の占有に対する反乱が失敗に終わっ た40年ほど前に逃れたのである。 | soft-spoken : 物柔らかな話し方をする,当たりの柔らかい、 lineup : 人の列,陣容、 Secretary of State : 国務長官、 affection : 好意、 exile : 追放する,亡命させる、 spiritual leader : 精神的指導者、 futile effort : 無益の骨折り、 accord :協定,合意、 occupation : 占有,占領 |
| 2 | 先週の会議によりあり得べき短期的な見通しは:まず、アメリカでは何も起 きないだろうということ。というのも、中国にとり内政問題と考えられるも のにアメリカが公に関与することを北京が嫌うからだ;次に、今週マレーシ アで開かれるアジア・太平洋経済協力フォーラムで、江沢民主席との間でク リントンが改めてチベット問題を取り上げるということ;最後に、対話に関 して別の局面が生じるだろうということ。それに対して、三者がより密かに 考慮するであろう。 | visibility : 見通し、 resent : を不快に思う,怒る、 overly : 過度に、 involvement : 深い関係,熱意、 internal affair : 国内問題,内政、 bring up : の話をする,問題にする、 Jiang Zemin : 江沢民、 Asia-Pacific Economic Cooperation : アジア・太平洋経済協力 |
| 3 | つまり進展はないが動きはある。6月にクリントンが中国を訪問し、記者会見 の席で、「チベットが中国の一部であるという認識の代償として」江沢民に ダライラマとの対話を始めるように迫って以来そういった動きはあったので ある。江沢民はこう答えた。もしダライラマが、チベットが「中国の不可分 の領域」であるだけでなく、台湾もそうだと公に認めるなら、と。ダライラ マが台湾を訪問したのが中国には不快なのだ。彼はどちらも認めていない。 彼と江沢民との間に密かな接触はあるものの交渉は始まらない。ダライラマ がアメリカを訪問したのはまさにそういった状況下である。次の手を打つの は彼の番であり、クリントンもそう望んでいる。その理由はまた別にあるの だが。 | underway : 進行中で、 in return for :代償として、 recognition : 認知、 acknowledge that : that以下のことを認める、 inalienable : 譲渡できない、 annoyance : 不快感,迷惑,厄介、 back-channel : 秘密の |
| 4 | 米国大統領はすでに、アジアの将来の大国としては日本ではなく中国を考え ていると明らかにしており、どの大統領よりもチベット問題に力を注いでい る。ハリウッドの俳優とは違って彼は仏教徒ではないが、ダライラマに非常 に感銘を受けている。ダライラマを嫌うのは困難だし、彼の運動はアメリカ 人にとり倫理的な必然のように思われている。他の大統領も同様に感じてい たのだろうが、クリントンは今こそ絶好の時期だと感じ取っているのだ。中 国には自信を深めている現実的な指導者、啓蒙的な変化を受け入れることが 可能な人間として江沢民がいると彼は信じている。チベット問題を解決すれ ば中国の信頼を勝ち取ることができ、インドのような緊張の耐えない隣国と の関係を安定させることができるであろうし、台湾と平和裡に統一する道が 開かれ、西洋との関係も強化できるだろう。 | predecessor : 前任者、 Buddhist : 仏教徒、 backer : 支持者、 cause : 運動,大義、 moral : 精神的な,道徳の、 imperative : 要請、 auspicious : 幸運な,有望な、 confident : 自信がある,自信を持つ、 pragmatic : 実際的な、 enlighten : 啓蒙する、 reunification :再統一 |
| 5 | アメリカは、江沢民−ダライラマの対話に加わる意図は持ってない。それこ そ許容できない干渉であろう。またチベットの独立を支持することもしない。 だが大統領も含め官僚達は、米中関係が強固な今が、チベットの自治問題を 推し進める最良の時期だとみている。問題は、いつでも同じで、バランスを 正しく保つこと。チベットは些細な問題だが厄介でもある。非常に多くの議 題−−貿易、核兵器非拡散、正常な外交関係の維持−−が米中間に横たわって おり、チベット問題を無理強いすると逆効果になりかねない。 | party : 関係者、 unacceptable : 歓迎しがたい、 autonomy : 自治、 volatile : 不安定な,予測が非常に難しい、 proliferation :《核兵器などの》拡散、 agenda : 議題、 push too hard : 無理強いする、 counter-productive : 逆効果の |
| 6 | 結局のところ中国の観点からすると、より差し迫った危険があまりに現実に 起こりそうなときに、和解といった長期的な利点といったものは長続きしな いということだ。どうしてダライラマを故国に帰国させることができようか。 政治的に積極的には関与しないと誓っても、40年もの間彼に会うことを諦め ていた支持者の感情を掻き立てずにはおかないだろう。またチベットが自治 を獲得すれば、たとえそれが独自の仏教文化を維持するためという制限付き であったとしても、中国の他の地域が同様な処置を望まないであろうか?つ まり、中国本土全体に渡って、香港のような特別区が生じることとならない であろうか?こうしたことは中国の指導者は望んでいない。百花斉放のとき に何が起きたか彼らはよく知っているのだ。 | vantage point : 見解,視点,地の利、 long-term benefit : 長続きする効き目、 accommodation : 和解、 ephemeral : 短命な、 despair of : 〜をあきらめる、 arrangement : 協定,処置、 administrative : 管理の、 sprout : 発生する、 hundred flowers policy : 「百花斉放」政策《1957年毛沢東が行なった体制批判 の自由化政策》 |
| 7 | 今週この問題を追求することを中国に伝えようと意図したホワイトハウスで の集いなのだが、政府は決して対立を望んでいるのではない。例えば、今欠 員となっている国務省のチベットの特別コーディネータのポストはなかなか 補充されない。1997年にそのポストが作られたとき中国が反対したのである。 また、クリントンのダライラマとの会談でさえ半ば偽善的な「訪問」であった。 この精神的な指導者を公式に迎えたのではなく、ヒラリー・クリントンとダ ライラマとの会談にクリントンが参加したのだ。アメリカは対話を支持する が、その「様式や内容」には関与しないとスポークスマン。それこそが有能 な司会者の役割だ。 | confrontation : 対決、 reluctant : 気が進まない、 vacant : 欠員の、 State Department : 国務省、 coordinator : 調整する人,コーディネーター、 hypocritical :偽善的な、 drop by : ひょっこり立ち寄る、 modality :様相、 substance : 内容、 interlocutor :司会者 |
| 8 | 中国との溝は広く、交渉する前に信頼を築きたいと言って、ダライラマは ワシントンを去った。「時には沈黙が有効だ」とは、彼が去る際の言葉。 対話が始まるとはこういうことなのだろう。 | gulf : 大きな隔たり、 build trust : 信頼を築き上げる、 exit line : 退場のせりふ |
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