Friend of the Poor

Friend of the Poor
(10.26.P64.1998)

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今回は ESSAY から
  今回は面白そうな記事がないのでエッセイから選びました。エッセイとしては比較的読み 易い記事ではないかと思います。

貧しき者の味方


語彙は主に『英辞郎』Ver.10から抜粋

 

大意

語彙

P64 ノーベル賞受賞者のアマティア・センは、貧者の救済策として民主主義と 報道の自由を支持 Nobel laureate : ノーベル賞受賞者、 champion :支持する,〜のために戦う、 press freedom : 報道の自由、
1 ベンガル人男性でかつ今年のノーベル経済学賞受賞者のアマティア・センに ついて、私が気に入っているのは、情報が世界の苦難に対する万能薬だとす る彼の信念である。有名人の多くはジャーナリストを個人的に利用しようと する;センは政治目的にジャーナリズムを使おうとするが、今のメディアは 激しい競争の時代であり、重要な問題を矮小化するので流行らないのだが。 ジャーナリズムは社会経済的に重要な責任があると彼は信じているのだ。無 論、これは彼自身の物の見方を反映している:これまでのノーベル賞受賞者 は市場やマネタリズムを重要視していたのだが、センは経済学に人間味を与 えた。 Bengali :ベンガル人,バングラデシュの公用語》、 Nobel Prize winner : ノーベル賞受賞者、 conviction : 信念、 panacea : 万能薬、 celebrity :著名人,有名人、 strategic alliance : 戦略的提携、 unfashionable : はやらない,流行に従わない、 triumphalism : 勝利主義、 trivialization :平凡化、 craft : 技術、 perception : 認識、 whereas : 〜であるのに対して[反して]、 high priest : 司祭長,(大)指導者,主唱者、 monetarism :マネタリズム《経済活動水準の決定要因として通貨政策を 第一とする立場》、
2 民主主義というのは戦争をしないことで知られているが、貧者を飢えさすこ ともない、と彼は確信している。報道の自由無くして民主主義は有り得ない とさらに続ける。民主主義と報道の自由を合わせれば飢饉は起こり得ないと 言うのだ。この理論を裏付けるために、センは毛沢東さえ利用する。1994年 のニューリバブリックの記事で彼は次のように主張。大躍進が失敗し、およ そ3,000万人が死亡したとき中国の指導者は「民主主義の情報としての役割」 を認め、「民主主義なしでは下層部で何が起きているか理解はできない」と 共産党幹部に警告した。 go to war : 戦争する,武力に訴える、 starve : 飢える、 it follows that : その結果として〜が起こる、 free press : 出版の自由、 taken together : 総合すれば、 famine : 飢饉、 rope :繩で囲う[仕切る],繩張りする、 Mao Zedong : 毛沢東、 thesis : 命題、 Great Leap Forward : 大躍進(運動)、 collapse : 崩壊する、 acknowledge :(事実だと)認める、 informational : 情報の、 cadre : 幹部
3 社会経済の発展という点でインドより進んでいても中国は閉鎖社会なので飢 饉を防ぐことはできなかった。「こんなことは、きちんと選挙を行い独立し た報道機関をもつ国では起こりようがない」とセンは書き、新聞(規制されて いた)や野党(存在していなかった)からの批判がないことを非難した。 「情報が自由に伝わる制度がないので政府自身が誤った方向に行ってしまっ た。自分達のプロパガンダ、さらには、北京の信用を勝ち取ろうとする党役 員のばら色の報告を信じてしまったのだ。」すっかり誤った情報を受け取っ た中国の指導者は、食糧が1億トンも余っていると思ってしまったのである。 ahead of : まさって、 socioeconomic : 社会経済の、 closed society : 閉鎖社会、 regularly : きちんと,正規に、 mislead :誤った方向に導く、 propaganda : 宣伝,主義、 rosy : 楽天的な,明るい、 party official : 政党の役員、 compete for : 〜を張り合う,〜獲得のために争う、 profoundly : 大いに、 misinform : 誤解させる、 surplus : 余剰
4 センがこのように考えるきっかけとなったのは1943年の飢饉のときのこと。 当時英国の統治下にあったインドのベンガル地方で300万人が亡くなった。 彼が10歳のときのことで、カルカッタの通りは死者や瀕死の人達でいっぱい であり、彼らの悲痛な声があちこちから聞こえていた。収穫は十分あったの だが、日本軍が侵略してくると予期されていてその撃退のために連合軍が動 員され、食糧は彼らのためにとっておかれたのだ。また米は実のところボン ベイから輸出されていたのである。これがインドの独立運動を挫くために意 図的に行われていたかどうかは別にして、英国議会は、実際の1週間の死亡 率が平均30,000人なのに対して1,000人という報告を受けていた、と小説家ハ ワード・ファーストは主張している。 road to Damascus : 回心の道、 perish in : 〜で死ぬ、 litter : を散らかす、 piteous : 悲しそうな、 harvest : 収穫高、 stockpile : を蓄積する,貯蔵する、 Allied : 連合国の、 troops : 軍隊、 mobilize : 動員する,集結する,移動する、 repulse : 撃退する,反撃する、 deliberately : 故意に、 engineer :たくらむ、 cripple : 不自由にする、 independence movement : 独立運動、 allege : 主張する,断言する、 British parliament : 英国議会、 death rate : 死亡率,致死率
5 センは恐ろしい子供時代の記憶を41年後のロンドンタイムズ紙に蘇らせた。 英国統治下のカルカッタ新聞ステイツマンで飢饉のときの編集長だった イアン・ステファンの追悼記事を書いていたのだ。ステファン自身英国人 だったが、「インドと英国に災害の内容と大きさを知らせるため、詳細な報 告書と写真を載せ、長く激しい戦いをしていた」とセンは書いている。ステ ファンは、「インドには事実上食糧問題はない」という公式見解に反駁する ために「ジャーナリストとしての膨大なエネルギーと才能を奉げて来た。」 この精力的な運動により、何十万人もの人が助かり、飢饉に対する政策変更 の助けともなったのだ、とセンは信じている。インド、バングラデシュそれ にサハラ以南の飢饉を生涯に渡って研究しているこの経済学者にとり、ステ ファンへの共鳴は当然のことであったし、飢餓への対策として報道の力と透 明性に対する信念を強めることとなった。 revive : を生き返らせる、 grim : 残忍な,恐ろしい、 Times :《(1) London の新聞, いわゆる「ロンドンタイムズ」; 1785 年 Daily Universal Register として創刊, 1788 年から The Times となる、 obituary : 死亡告示,死亡告知、 tribute : 貢ぎ物,捧げ物、 detailed report : 詳細な報告書、 recount : 詳述する,数える,列挙する、 talent : 才能,手腕、 rebut : 反駁する、 assertion : 主張,表明、 virtually : 事実上、 food problem : 食糧問題、 vigorous : 精力的な、 revise : 修正する,改正する、 public policy : 社会政策、 sympathy : 共感,共鳴,賛成、 symptomatic : 微侯となる、 sub-Saharan : サハラ砂漠以南の,サハラ以南の、 strengthen one's faith : 信念を固める、 transparency : 透明性,透明度、 antidote : 対策、 starvation : 飢餓,窮乏
6 他の経済学者は、飢饉は必ずしも食糧不足によって起こるものではないという センの理論を疑問視するかもしれない。アジアの価値を認めているものにとり、 自分達が支配を正当化するために孔子の都合のいいところを引用するとか、 独裁主義は成長の必須条件ではないという彼の非難に怒りを感じているに違い ない。西側諸国のリベラル達は、個人の自由がヨーロッパの啓蒙主義から 始まると言われても喜ばないかもしれない。威風堂々としたベンガルトラが 保護されているのに、ガンジス川河口の同じ地域にいる赤貧の村人を守る ものがないと彼がいうとき、野生生物保護者は苛立ちを感じるかもしれない。 しかし、飢饉が独裁的な社会に起きても、「王や大統領、官僚や有力者それに 軍部指導者や指揮官は決して飢えない」とセンが言えば、誰もその意見に 反対はしない。「これとは逆に、民主主義では、飢饉が起きたときの苦しみ が支配者層や政治の指導者にまで伝わるのだ。」 resent : 憤る,怒る、 accusation : 告発,罪,非難、 quote : を引用する,引き合いに出す、 Confucius : 孔子、 justify : 正当化する、 authoritarianism : 権威主義,独裁主義、 sine qua non : 必須条件,不可欠のもの、 liberal : 自由主義者、 relish : を楽しむ,好む、 individual liberty : 個人の自由、 date :〜から始まる、 enlightenment : 啓発,啓蒙,啓蒙主義、 wildlife : 野生生物、 enthusiast : 熱狂者、 bristle : 怒る, いらだつ、 Bengal tiger : ベンガルトラ、 habitat : 居住地,生育地,生息地、 Ganges : ガンジス川、 dispute : 〜に異論を唱える、 by contrast : 比較すれば、 penalty : 罰
7 こういう訳なので、数年前に痩せたセンがステツマンの私の事務所−−昔 はステファンの事務所だった−−に闊歩して入ってきて彼の演説の記事が 誤っていることを指摘したのは、虚栄心からではなく、有力な新聞という のは間違いを正すだろうと期待してのことだった。彼の関心事は、マウス をクリックして何十億ドルというお金を移動させるヘッジファンドや大型 金融、それに投機家ではなく、世界中の貧者を助けることである。そして メディアをこの崇高な事業の協力者と見ているのだ。ほとんど忘れられて いる信任に対するそうした助言がもっと欲しいものである。 gaunt : ひょろ長い,やせた、 stalk :大股で歩く,〜に忍び寄る、 inaccuracy : 間違い、 vanity : うぬぼれ,虚栄心、 expectation : 期待、 leading newspaper : 有力な新聞、 hedge fund : へッジファンド(信用取引やオプションを積極的に利用してできる だけ多くの投機的利益を配分することを目的とした有限責任のファンド)、 high finance : 大型金融,大多額の融資、 speculator : 投機家、 ally : 同盟者,協力者、 noble : 崇高な、 could do with : 〜が欲しい、 reminder : 注意,助言、 mandate : 指図,指令,命令


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