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| P23 | だが考えてもみよ。根回しが上手な小渕は、日本が景気回復に必要とする人材かも しれない | |
| 1 | 新しい首相を選ぶ段になって、日本の与党が、誰も望んでいるとは思えない 人間を選出したのは、日本の絶望の度合いを測るものでもある。先週金曜の午後、 自民党本部8階で、「万歳」という気勢を上げる声が鳴り響く前に、早くも、 小渕恵三は長老政治の中から生まれたパッとしない人材だと非難されていた。 自民党内の若手議員の中には、彼の立候補に反対して党内反乱を企てようと するものもいた。「冷めたピザ」のように冴えないと彼を評するものもいる。 それでも、小渕は411票のうち225票を獲得−−彼の支持者でさえ予想 しなかったほど多かった。 | rousing : 鼓舞する,興奮させる、 banzai : バンザイを唱える、 Liberal Democratic Party : 自民党、 party headquarters : 党本部、 unimaginative : 想像力に欠ける、 pawn :【チェス】ポーン《将棋の歩に近い》,人の手先、 gerontocracy : 長老支配,長老政治、 mount :取りかかる、 revolt : 反乱、 candidacy : 立候補、 commentator : 解説者,業界関係者、 walk away with : 〜に楽勝する |
| 2 | 小渕の勝利は2週間に及ぶ熱狂的な政治論争の果てのもの。7月12日の参議院 選挙における壊滅的な敗北に続く橋本竜太郎首相の辞任に伴うものであった。 自民党の新首相として、61歳の小渕氏は今週間違いなく橋本のあとを受け継ぐ であろう。だが現在外相である彼は、世界のどの政治家もためらうような仕事 を始めることとなる。第二次大戦来最悪の不景気に見舞われている日本経済は、 週を追う毎に状況が悪化している。先週金曜日に投票が行われる前に、ムーディ の投資会社が、日本のトリプルAの信用格付けを引き下げることを検討中と発表 したことで、金融市場は不信のうめき声を上げていた。日経255株価平均は 取り引き終了前に回復したものの−−今週、投資家達は、日本の新首相による 素早い対応を要求するに違いない。 | frenzied : 熱狂した,熱狂的な、 politick : 政治に従事する,政治を論じる、 resignation : 辞任、 on the heels of :直後に追随して,すぐあとに続いて、 resound : 響きわたる、 Upper House : 参議院、 Foreign Minister : 外務大臣、 step into : 足を踏み入れる,〜を始める、 mire :(苦境に)陥れる、 recession : 景気後退、 deteriorate : 悪化する、 by the week : 週決めで、 financial market : 金融市場、 heave : うなり声を出す,溜息をつく、 groan : うめき声,不満の声、 no-confidence : 不信任、 telling :有効な,効果的な、 downgrade : 格下げする、 triple-A :金融上最高位の,AAA の、 credit rating : 信用格付、 Nikkei stock average : 日経平均株価 |
| 3 | 実のところ、小渕恵三は、現在この仕事にうってつけの人間かもしれない。議 員達は、外相に投票した理由をこう話している。小渕にはカリスマ性はないけ れど、根回しの達人であり、これは今でも日本の政治を左右するものである。 さらに外交政策では実績があり、先週の選挙における対抗馬−−経済に明るい 梶山勢六、改革派の小泉純一郎−−の及ぶところではない。また、小渕の発 表した政策は、対抗馬達よりむしろ革新的なものであった−−3人共に同じよ うな政策を発表したけれど:不良債権の迅速な解決、恒久減税、それに世界第 二位の経済を活性化するために惜しみなく財政支出をすること。「日本と自民 党は一丸となってこの問題に取り組まなくてはならない」とは自民党議員村田 義孝(?)。彼は、初めは小渕を支持してなかった。「小渕氏ほど安定している 人はいない。」 | for all : 〜にもかかわらず、 charisma : カリスマ、 consensus-building : 根回し、 steadiness : 堅実(さ),着実(さ)、 reformist : 革新主義者、 if anything : かえって,どちらかと言えば、 general plan : 基本計画、 resolution : 決意,決断、 permanent : 永久的な、 tax cut : 減税、 generous : 物惜しみしない,気前のよい、 fiscal policy :財政政策、 tackle : 取り組む、 concede : 真実と認める |
| 4 | だが、日本が安定するには長い道のりがある。選挙前に、小渕は、日本の低迷 する経済を活気付けるために大胆な計画を発表した。橋本内閣が提唱した 1,000億ドルの財政支出に加え、自民党新総裁は、日本の経済の原動力の起爆 剤として700億ドル要求している。また彼は企業などの減税430億ドルも提案。 これは経済専門家が消費を促すだろうと言っているもの−−前任者が行うこと ができなかったことである。破産した銀行はつぶすとか、政府の規模を大幅 に減少させるという話もでている。 | stimulate : 元気づける、 moribund : 消滅しかけている、 prime :〈ポンプ〉に呼び水を差す、 corporate : 企業の、 private income :私的源泉からの収入,不労所得《勤労所得以外の投資・不動産・相続 などからの収入》、 income taxes : 法人税、 boost : 押し上げる、 one's predecessor : 前任者、 insolvent : 支払能力のない,破産した |
| 5 | 小渕のやるべきことはそうした言葉を実行に移すことであろう。まずは国会が 招集される7月30日から。小渕を首相に承認してから、6,200億ドルの不良債権 に取り組み、減税を議論することとなる。今のところ、小渕も有力官僚も、 これら改革についてはなんら詳細な案を提示していない。「重大な信用問題 がある」と現政権の中枢にいる議員。「市場が我々を信頼するようにならな ければ、何をやってもさして変わらないだろう。」 | convert : 変える、 convene : 召集する、 order of business : 業務予定,課題、 so far : これまでは、 powerful bureaucrat : 有力官僚、 detailed plan : 綿密な計画、 credibility : 信頼性、 appointee : 被指名人,被任命者 |
| 6 | 不信感は小渕が是正するべきもの。それができなければ、根回しの腕を買われた 男は四面楚歌となる−−目をさました国民や党内議員を敵にして。先週の選挙 で小渕が勝ったのは、投票と引き換えに議員達に閣僚入りを約束したからだと いうものも多い。自民党は分裂すると予想するものさえいる。だがもっと厄介 なのは7月12日の選挙に引き続き国民の支持を得ている野党である。与党自民党 は衆議院で過半数を維持しているけれど、法案を成立させるには参議院で野党 の手を借りなくてはならない。小渕がうまくやるかどうかに関わらず、次の総 選挙は2年後なのだが、民主党指導部は既に国会の早期解散を叫び始めてる。 ライバルを抑えること−−しかも日本経済を活性化すること−−は、小渕恵三 の持つあらゆる根回し術を必要としそうである。 | credibility gap : 不信感,信頼性の崩壊、 hail : 歓呼して迎える、 disenchant : 〜の魔法を解く、 in exchange for : 交換に、 speculation : 考察,推測、 fracture : 破砕する、 in the wake of :〜に引き続いて、 Lower House : 下院,衆議院、 stumble : へまをやる,つまづく、 dissolution : 解散、 general election : 総選挙、 keep in check :防ぐ,抑える、 consensus : 総意、 muster : 召集する |
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