|
| |
| P31 | こんなことがまた起きるのはなぜか?愚かさが重なり合い、干ばつと人間の 馬鹿な行為でまたもや恐るべき飢餓が生み出されようとしている | unholy : 神聖でない、 synergy : 相互作用,相乗効果、 drought : 干ばつ、 human folly : 人間の愚かさ、 famine : 飢饉 |
| 1 | スーダンでは、起伏のない干上がった平原が地平線のかなたを超えてどこまで も続いているようだ。町を出れば、道路も電話も電気もない。この国は、100万 平方マイルに渡る広大な空虚な場所である;だが2,850万人が住む場所でもあり、 ある場所から別の場所に行く方法はただ一つ、歩くこと。たとえ飢え死にしそ うでも、国際援助機関が運営する10ほどの食料センターのどれかにたどり着 くには何日も時には何週間もよろめきながら歩いて行かなくてはならない。ま さしくこれが、小枝のような体となった何千人ものスーダン人がやっているこ と:必死に食料を求めて歩きまわり、よろめき、地面に倒れて死ぬこともある。 食料を目の前にして死ぬこともあるのだ。今回は、頬のこけた子供を連れた、 やせ衰えた母親だけではない。骨の浮き出た男達も同様だ。しかも、これは戦 争で荒れた南部だけのことではなく、北部でも同じことが起きている。スーダ ン全域に渡って無慈悲にも飢餓が260万人の生命を脅かしている。そのうちの35 万人は死に直面することになるかもしれない。 | parched : 干あがった、 run on : 続いている、 emptiness : 空虚、 starve : 飢える、 stagger : よろよろあるく、 international aid : 国際的な救援、 trek :旅をする, (徒歩で)行く、 desperately : 死にもの狂いに,猛烈に、 in search of : 捜して、 totter : よろめく,よろよろ歩く、 within sight of : 見える所で、 emaciated : やせ衰えた、 skeletal : 骸骨の,非常にやせ(衰え)た、 ravage :荒らす,破壊する、 pitiless : 無慈悲な,情け容赦ない、 expanse of : 〜一面に,〜一帯に、 starvation : 餓死,飢餓 |
| 2 | なぜまた起きるのか?こうした悲しい光景をまた見るのはなぜか?国連は責務 を果たしていないのか?クリントン大統領はこの春アフリカに行き、もう少し 問題にすると約束したのではないか?おそらく、スーダンは、援助の専門家が 遠回しに言うところの「複合危機」の状態にあると思われる。専門用語では、 単純な危機というのは、人為的なものかまたは自然災害の結果によるものであ る。複合危機というのは、人為的なものと自然によるものとが合わさって破壊 をもたらし壊滅的なものとなること。この定義はまさにスーダンの危機を遺憾 なく表している。 | wrench : 歪曲する,悲しみ、 euphemistically : 遠回しに,婉曲的に、 complex : 複合の,複雑な、 emergency : 非常事態、 terminology : 専門用語、 man-made : 人為の、 natural disaster : 自然災害,天災、 catastrophe : 大災害,破局、 doleful : 陰鬱な,悲しい、 to perfection :遺憾なく,完全に |
| 3 | しかし、これは今に始まったことではない。過去20年間というもの、2,3年 毎に時計で測ったかのようにこの国は飢饉に陥る。不運によるものばかりでは ない。誰もが関与する愚かさによって引き起こされているのである。カーツー ムのイスラム政府と南部のスーダン人民解放軍との15年に及ぶ内戦が、この国 を根こそぎ剥いでしまったのだ。戦況が政府側に不利となると、政府は食糧援 助をカットし、反乱軍を飢えで苦しめ降伏させようとする。反乱軍は、自軍の 食料獲得のため、決って一般人の食料を奪ったり、他の反乱軍への食料供給を 妨害する。かくして、援助組織は弱腰だ、援助を緊急に要している地域に無理 にでも届けようとはせず政府の制限を甘んじて受けている、という非難を受け ることとなる。アメリカ政府でさえ、そうした不毛な飢饉が繰り返し起きない ようにすると約束しながら、「完全に失敗した」とクリントン政府高官。「こ の大きな失敗は私たち全員に責任があります。」 | is nothing new : 〜は今に始まったことではない、 like clockwork : 時計のように規則正しく、 lapse into : (〜という状態に)陥る、 famine : 飢饉、 civil war : 内戦、 to the bone : 骨の髄まで,徹底的に、 submission : 降伏、 food aid : 食糧援助、 routinely : いつも、 sheer : まったくの、 pusillanimity : 意気地なし,臆病、 docilely :従順に,、 submit to :甘受する、 stricture : 拘束、 screw up :台無しにする,へまをする,失敗する、 royally : 堂々と,立派に,完全に、 Administration official : 政府高官、 massive : 壮大な |
| 4 | 悲劇が始まりそれが広がっていくのを見守るなか、アメリカ、国連、民間救済 組織は互いに非難しあっている。自分以外の誰かがこれを予測し行動を起こす べきだったというのだ。ホワイトハウス高官は、U.S.A.I.D.が警告を発しな かったといって激怒。だが飢えというのはスーダンには絶えずつきまとう脅威 であり、国連と民間組織からなるOperation Lifeline Sudanが主体となって、 1989年以来援助供給の活動をしている。1989年には250,000人の死者が出た。 近くは1994年にも飢饉が起きた。この国に今年も食糧援助が必要だということ は関係者なら誰でも知っている;わからなかったのは、その規模とそれが広ま る速さであった。 | extent of : 及ぶ限り、 incipient : 始まりの,初期の、 nongovernmental : 政府と無関係の,非政府の,民間の、 furious : 激怒した、 sound the alarm : 警鐘を打ち鳴らす、 consortium : 共同体,協会、 nongovernmental organization : 非政府機関 |
| 5 | 背筋の凍るような餓死の情景が人道主義の立場からの怒りを掻き立て始めた とき、ビル・クリントン、マデリン・アルブライト国務長官、ウィリアム・ コーヘン国防長官、それにサンディ・バーガー国家安全保陣担当大統領補佐官 達が緊急時の対応を協議するためワシントンに集まった。スーダンへの基金と 食料援助では最大の寄与国であるアメリカは、当初、今後来年の春までに 2,370万ドルの援助を申し出ていた。2週間前、アメリカはそれを7,500万ドル に増加、先週のラジオ演説では、クリントンは更なる援助を約束した。 | appalling : ゾッとするような、 stir up :を引き起こす、 humanitarian : 人道主義者の、 outrage : 激怒、 Secretary of State : 国務長官、 Secretary of Defense :国防長官、 National Security Adviser : 国家安全保陣担当大統領補佐官、 contributor : 寄付者、 donation : 寄付、 radio address : ラジオの講演 |
| 6 | スーダンの「飢えの期間」は今に始まったことではない。これは4月から9月まで の期間で、前年の収穫による食料が尽きるのに次の収穫にはまだ間がある時期 のこと。この期間は毎年厳しいものがあるのだが、3年か4年毎に乾季が長引く と全面的な飢饉が広がる。今回の干ばつは凄まじいものがあり、過去2年の 収穫を吹き飛ばしてしまった。雨が降らなければ、牧草地も魚のいる川も干上 がってしまい、飢えた農民に頼るべきものは何もなくなってしまう。 | harvest : 収穫期、 run out :底をつく、 nothing new : 今に始まったことではない、 prolonged : 長期の、 full-scale : 全面的な、 dry spell : 乾期,干ばつ、 devastate : 打ちのめす、 pasture land : 牧草地、 fall back on : 〜を頼みとする |
| 7 | しかし、個々の飢饉のひどさは内戦と密接に関連がある。過去15年間で内戦 による死者は150万人と見積られている。この惨状に世界がカメラを繰り返し 向けるまでは、戦争当事者は食料を武器として利用し、飢えている人々には 少しも関心を向けなかった。今年の冬、いつもの人為的な打撃が3者間の権力 闘争により複雑化された。政府側についた反乱分子離脱派がカーツーム側に 組する飢えた村を襲い略奪し、その後SPLAに再び忠誠を誓ったのだ。1月には、 SPLAが南部で血なまぐさい反政府攻勢を開始し、農民の耕作を妨害、なけ なしの食糧援助を受け取れないようにした。その結果、100,000人もの大量の 難民が、既に飢えつつあるバールエガザルという52,000平方マイルの地域に 追いやられている。今、そこの700,000人の人達は、救援作業員が運び込む ものしか食べるものがない状態である。 | integral part : 切離せない部分,不可分の一部、 slaughter :を虐殺する、 periodically : 定期的に、 mischief : いたずら,(損)害、 three-way : 三者間、 power struggle : 権力闘争、 breakaway : 分離,離脱、 pillage : 略奪する、 loyalty : 忠誠、 SPLA :=Sudan People's Liberation Army,スーダン人民解放軍、 bloody : 血生臭い、 antigovernment : 反政府の、 offensive : 攻撃,攻勢、 cultivate : 耕作する、 flood of refugees : 大量の難民 |
| 8 | 戦況が不利になるにつれ、イスラム政府はこれを反乱軍に圧力をかける好機 だと考えた。そこで、政府は2月と3月、もっとも必要とされる地域に 援助物資を運ぶ飛行−−食料配布の唯一の効果的手段−−を禁じた。何年に も渡り、国連のOperation Lifelineは権限や独立性が失われるのを承知で、 アクセスを維持する代価として政府の制限を甘受してきた。この春、あまり に強引にやると政府はLifelineを締め出すのではないかとLifeline長官は 恐れた。「機関としては、生き残ろうとするのに汲々としてきた」と国務省 高官は不満を述べる。ワシントンでは、救援関係者は飛行禁止に苛立って いたけれども、カーツーム政府に世論の圧力をかけようとは誰もしなかった。 | put pressure on : 〜に圧力をかける、 bar :禁止する、 customarily : 通例、 erode : むしばむ,侵食する、 mandate :委任統治,為政権、 regime : 政体,体制、 State Department : 国務省 |
| 9 | 飢饉に陥りがちな国を監視する役目の他の機関も、早期の警報を出すことが できなかった。去年9月、U.S.A.I.D.は飢饉早期警戒システムに関する広報 を発行した。これはスーダンが不作で食料の不足が生じること、食料供給の 戦いを強化しなくてはならないとことを予測するものであった。だがここも、 全面的な飢饉までは予想していなかったのである。Operation Lifelineの 主たるパートナーである国連の世界食糧計画が、12月に援助国にスーダンへ 30,000トンの食糧援助を要請しようとしたときには、少なくとも35,000トン が必要だと見積られていた。(今では、スーダンは毎月15,000トン必要だ と食料計画は言っている。)だが、「援助疲れ」と配布に関するおびただしい 問題のために、その要請は縮小された。援助コーディネーターはこう言って いる。「供給に応じて需要を決定している。その逆ではない。」 | charge A with :Aに委任する、 liable to : とかく〜しがちな、 fail to : 〜できない、 early warning : 早期警戒、 put out : 発行する、 bulletin : 公報,ニュース速報、 bad harvest : 不作,凶作、 shortage : 不足,品不足、 World Food Program : 世界食糧計画、 fatigue : 疲労、 immense : おびただしい、 scale back :縮小する、 coordinator : 調整する人,コーディネーター、 other way around :逆に,反対に |
| 10 | 4月半ば、食料がますます不足し危機を感じたOperation Lifelineが南部の 飛行場を再開するよう政府に迫ったときには、配布に必要なチャータ機が 十分にはなかった:16トン運べるC-130ハーキュリー1機とさらに小型の バッファロー2機だけ。4月の末には、スーダン政府は不承不承ながらさらに 3機のC-130の許可を与えた。まもなく大型イルージョン-76が4機許可される 見込み。この空輸能力の増強により、配布量はまもなく月10,000トンに 達する。悪くはないが、必要とされている15,000トンには及ばない。「この 状況を終わらせる唯一の方法は、戦争を止めさせることです」と世界食料計画 の事務局長、キャラリン・バーティニ。 | air strip : 滑走路、 drop zone : 投下地帯、 chartered plane : チャータ機,貸切飛行機、 C-130 : 中距離用の人員・貨物輸送機、 grudgingly : 不承不承ながら、 give clearance :許可を与える、 cargo capacity :貨物船積載能力、 beefed-up : 強化された、 World Food Program : 世界食糧計画 |
| 11 | だが、スーダンが1956年に独立してからというもの、悲惨な戦争状態が断続 していた。アフリカ最大の国家は実は2つからなる:イスラムのアラブ化した 北部と、キリスト教とアニミストの南部。カーツーム政府はハッサン・アル バシール陸将が率いているが、真の指導者はハッサン・アルツラビである。 彼は過激な学者であり、愛国イスラム戦線を率いてこの国にイスラム教を施行 しようとしている。戦場では、ジョン・ギャランのSPLA率いる連合が、このと ころ連合相手を代えつつ成功してきており、北東部で新しく戦線を開いた。 公式には、反乱軍は自治を求めて戦っているのだが、本音は完全なる独立を 求めている。最近ギャランは国土全体を征服する希望を抱いているかもしれな いが、今のところどちらも勝利を得るには至っていない。 | vicious : ひどい、 warfare : 戦争,戦闘状態、 on and off : 断続して、 arabize :アラブ化する、 animist : 精霊信仰の、 fight for : 〜のために争う、 self-rule : 自治、 agenda : 重要な政治課題、 slot :地位、 outright : 無条件の,完全な |
| 12 | 軍隊が争っているとき、国民は絶え間ない略奪で踏みにじられている。カーツーム 政府は、南部から反乱指導者を追い出しはしたが、彼らの矛先を国民に向けさせた だけである。もう一つの厄介ごとはPopular Defense Force militiaで、軍隊の 補助部隊として募集されたアラブの騎手である。彼らもまた南部の村々を襲い、 家畜を盗み、若者を撃ち、女性や子供をかどわかす。 | trample : 踏みにじる、 marauder :襲撃、 buy off : 厄介払いする、 scourge : 災難,天罰、 recruit : を募集する,募る、 auxiliary :補助部隊,外人部隊、 raid : 襲撃する |
| 13 | 今や、スーダンを非難する世界の目が再び集まってきているので、食料配布が 自由に行えるよう政府と反乱軍は一時的休戦に同意した。この休戦で、飢饉を 終わらせるべく十分な食料が手におえない反乱分子や無法者の手をかいくぐっ ていけるだろうとか、またさらなる恒久平和に向けての話し合いが真剣に進行 するであろうという保証はない。カーツーム政権は日々100万ドルもかかる戦争 にうんざりしており、無益な戦いにいやがる若者を徴発すればますます人気が なくなるしで、南部の自治に関しては話し合う用意がある;ギャランは、勝利 の展望を持っているのでこれを拒否。 | cease-fire : 休戦,停戦、 pause : 一時停止、 famine : 【変化】《複》famines,【大学入試】,凶作,飢饉,欠乏、 unruly : 手に負えない,荒れ狂う、 bandit : 無法者、 permanent peace : 永遠の平和、 get under way : 軌道に乗る,始まる、 in earnest : 真面目に,本気で、 weary : 飽き飽きしている、 fruitless : 無益な、 autonomy : 自治 |
| 14 | だが平和こそがスーダンの人々がもっとも必要とするもの。彼らの飢餓という のは不要なだけに始末が悪い。スーダン南部はアフリカでももっとも肥沃な 土地であり、そこに住む人々は勤勉な農夫であり牧童であり、家畜を育たり、 少量の雨でやりくりし種を有効に利用する達人である。戦争が終わりさえす れば、彼らは自分でやっていけるだろう。だがそうならずに、今回の飢饉と 将来の飢饉で多くの人が死んでいくであろう。 | commodity : 必需品,役に立つもの、 productive land : 豊かな土地、 hardworking : よく働く,勤勉な、 herdsman :牧童、 past master : 達人,名人、 cope with : 対処する、 scanty rainfall : お湿り程度の雨,少量の降雨、 husband :有効に利用する,節約する |
第7段落
for Khartoum
ここのforはなんでしょう?賛成のforかな
単に 「政府軍のために」じゃ変ですか? カーツーム側って、政府軍側のことで
すよね。SPLAが食糧を略奪できないように、先にやった。。。というのは、考え
すぎだろうか? (^^;
By Greenyさん
確かに、for(代わりに、代わって)と普通に訳してもいいですね。でも常識では 政府が村を襲わせるってのが考えにくい(^^;
第8段落
shifting: a. 移動する; 変わる,〈風向きなど〉変わりやすい; 策を弄する, ご
まかしの. というのもありますね。
By 金野さん
感想などがありましたら、メールを下さいね!!